経常収支は史上最悪、GDPは下方修正。剥がれ続ける化けの皮
2014-03-11

1月の経常収支は史上最大の赤字 前期GDPは下方修正 3/11 闇株新聞
本日(3月10日)早朝、1月の経常収支と、2013年10~12月期GDPの2次速報値が発表されました。
1月の経常収支は単月では史上最大の1兆5890億円もの「大赤字」となりました。
内訳はサービス収支を含む貿易収支が2兆8128億円の赤字、所得収支が1兆2238億円の黒字となっています。
例年1月は正月休みで貿易収支の赤字が膨らみますが、昨年1月はサービス収支を含む貿易収支が1兆6458億円の赤字、所得収支が1兆2974億円の黒字で、経常収支は3848億円の赤字でした。
つまり1年前に比べて所得収支の黒字があまり変わらないところに、貿易収支だけが1兆1670億円も悪化したことになります。
貿易収支は東日本大震災のあった2011年から赤字が定着していますが、経常収支は昨年10月から4か月連続の赤字で、これも赤字が定着してしまっているようです。
経常収支が赤字になると、金融収支(昨年までの資本収支のことです)で純資産が減少することになります。
1月は1兆4720億円の純資産減少となっており、計算の合わない1170億円は誤差脱漏となります。
この金融収支とは、本邦企業の対外資産の取得超過が純資産の増加となり、外国人投資家の対内資産の取得超過が純資産の減少となります。
例えば1月は、本邦企業の対外直接投資が1兆2581億円の資産増加、海外企業の対内直接投資が1042億円の増加で、直接投資全体では1兆1538億円の資産増加となります。
証券投資のうちの株式・ファンド関連では、海外投資家が日本株式を1兆10億円売り越しており、国内投資家が対外株式を514億円取得しているので、株式・ファンド関連全体では1兆523億円の資産増加となります。
つまり外国人投資家が日本株式を売り越すと金融収支の純資産が増加することになります。
証券投資のうちの中長期債投資では、本邦投資家の対外債券投資は2兆6621億円の処分超過、外国人投資家の対内債券投資が1981億円の取得超過で、中長期再投資全体では2兆8602億円の資産減少となります。
また外貨準備が3521億円増加しており、これは純資産の増加となります。
これらをすべて合計した金融収支が1兆4720億円の純資産減少なのです。
わかりやすく言えば、経常収支の赤字が定着すると、本邦企業・投資家が対外資産を売却するか、あるいは取得するなら外国企業・投資家に国内資産を「それ以上に」取得してもらう必要があります。
つまり経常収支が赤字になると、日本人としては外貨準備を減らすか、対外資産を減らすか、外国人に国内資産を売り渡さなければなりません。
これは考え方ですが、日本が貧しくなっていくことになります。
それから2013年10~12月期GDPの2次速報値も発表され、実質の前期比年率換算では0.7%(1次速報値は1.0%)、名目では1.2%(同1.6%)と、それぞれ下方修正されました。
国内需要が民間設備投資の下方修正などで前期比0.8%から0.7%となり、外需が前期比マイナス0.5%で変わらなかったので、その分全体が下方修正となりました。
来月発表予定の確報値では公共投資が約定ベースから実行ベースに変更されるため、最近の傾向ではかなりの下方修正となります。
その10~12月期を2次速報ベースで計算しても2013年通年では1.5%成長となり、米国の1.9%を下回っています。
2013年通年で外国人投資家が日本株を15兆円も買い越した理由の1つが、2013年の日本の成長率が米国よりも高くなると期待されたからですが、見事に裏切ってしまいました。
また海外要因を除外した物価統計であるGDPデフレーターは、2013年10~12月期は前年同期比でまだマイナス0.3%で(1次速報値のマイナス0.4%からは上方修正されていますが)、2013年通年ではマイナス0.6%です。
つまりアベノミクスがスタートしてから、まだ一度もプラスになっていないのです。
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※ やはり、というしかない。
アベノミクスなど最初からペテンだったのだから。
景気対策と思って自民党に投票した人にはお気の毒だが、この目的は景気対策などではない。
目的は、ベースマネーを限界以上に拡大して溢れさせ、ドル、米国債に向かわせ、米国の金融緩和縮小をカバーすること。
同時に国債の独占買い付けで財政をファイナンスすること、金利抑制と物価上昇で国債負担を軽滅すること。
これが目的であったことが、月ごとに明らかになってきている。
従って、異次元金融緩和などと「何となく期待」で株価が上がっても、実体経済はますます悪くなるばかりである。
輸出大手以外の業種、とりわけ中小企業と勤労者ははデフレ縮小循環のままに、物価上昇にさらされている。
4月消費増税がとんでもない追い打ちになるだろう。
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