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もうすぐ北風が強くなる

破綻するウクライナと賢明なロシア

ウクライナ地図

   ウクライナ政変とデフォルト危機  3/3 闇株新聞

 先週は「人民元の急落」や「ビットコイン消滅」などがありましたが、世界の金融市場にとって(日本の株式市場にとっても)最も影響が大きいと懸念されるのがウクライナの経済危機です。

 2月22日に親ロシアのヤヌコービッチ政権が崩壊して、親EUの暫定政権が発足しました。
 しかしプーチン大統領は、ロシア人が多く軍事上重要なクリミア自治共和国に対する軍事介入も辞さないようです。

 最大の問題は、ウクライナを巡りロシアとEU・米国が対立していることだけではなく、ウクライナは1400億ドル(うち国家分は375億ドル)もの対外債務を抱えてデフォルト寸前であることです。

 ヤヌコービッチ政権時に約束されていたロシアからの150億ドルの金融支援(ウクライナ国債の引き受け)は、当然に見送りとなりました。

 政権の交代後、ウクライナの対外債務総額は報道される毎に大きくなっており、たぶん現在の暫定政権では誰も正確に把握していないはずです。
 またウクライナ通貨のフリブナは年初の1ドル=8.2フリブナから一時1ドル=10.6フリブナまで急落しており、ドル建・ユーロ建の対外債務は日々膨らんでいることになります。

 ウクライナの2013年の経常赤字はIMFの推計で128億ドル(GDPの7.3%)もあり、頼みの外貨準備は危機ラインとされる150億ドルを割り込んでいるようです。
 またウクライナ経済は公式統計には現れないアングラ経済の比率が5割ともいわれ、ますます実態が把握できないことになります。

 さて親EU政権となったウクライナから金融支援を要請されているEU・IMF・米国は、驚くほどスピード感・危機感に欠けています。

 EU諸国(特にオーストリアとイタリア)の銀行はウクライナ国債を大量に保有しており、当然に早急な措置が必要となります。
 ところがウクライナ入りしたアシュトンEU外交安全保障上級代表は、調査のための専門チーム派遣を約束しただけで、しかも「IMFが支援に合意すれば融資を検討する」と完全に他人事です。

 さらにその場合でも、融資額はヤヌコービッチ大統領(当時)が反故にしたEUとの連合協定にあったわずか6億ユーロ(8.4億ドル)を示唆しただけです。

 そのIMFも、そもそも2008年9月に164億ドルの緊急融資(実行は106億ドル)、さらに2010年7月に151億ドルの緊急融資(実行額不明)に踏み切っており、これ以上の融資ができる状況ではありません。

 ラガルド専務理事も調査チームの派遣を約束しただけで、「(ウクライナ経済は)現時点では危機的な状況ではない」「まず必要な金額を見極める必要がある」と懸命に予防線を張っています。

 米国では、オバマ大統領が「いかなるロシアの軍事介入も代償を伴う」といつものように息巻いたもののプーチン大統領に完全に無視され、肝心の金融支援はルー財務長官が「IMFを中心とした国際支援を要請するように(ウクライナに)提案した」だけです。

 つまりEUもIMFも米国も全く他人任せで、誰も自らが金融支援するとはいっていません
 つまりウクライナの暫定政権はヤヌコービッチ大統領を追い出したものの、期待していた金融支援についてはEUやIMFや米国との間に大変な距離があることになります。

 これにウクライナの政治と経済情勢が日々悪化している状況を考え合わせると、ウクライナが実際にデフォルトする可能性は、考えられているより「はるかに高い」となります。

 ただ日本株がウクライナ情勢に直接反応するのではなく、いつものようにNY株式や欧州株式に悪影響が出れば「それをみて反応する」ことになります。とりあえずは先週末(2月28日)のNY市場や欧州株は上昇しており、日本株もとりあえずは影響されないはずです。

 ただ日本に対しては、そもそもウクライナに対する支援原資のないIMFが、必ず資金提供を求めてきます
 IMFは財務官僚にとって「大切な天下り先」なので気前よく応じてしまうはずです。
 民主党政権時にも欧州債務危機に備えるIMFに600億ドル(当時の為替で5兆円)も資金提供してしまいました。

 今回も「別に日本にとってはあまり関係のない」ウクライナのために、日本の税金が気前よく使われることになりそうです
 ーーーーーーーーーーーーーー
※ (もうすぐ北風)
 破綻が既に見えているウクライナ。
 国際金融資本が手を出すには、欧米国家がIMFなどにより支援するのが前提。
 IMFの支援条件は当然超緊縮財政と資産売り払い、民営化。
 そこに国際金融資本が「投資」という名の買い叩き略奪というシナリオか。

 ところが、この世にはもう一つの凶暴な片割れ軍産複合体がいる。
 彼らは戦争、紛争、対立と混乱を飯の種にする。
 シリアで本格戦争に失敗した彼らは、もう一つの用意された駒であるウクライナでネオナチを反政府の中核にすえた。
 経済破綻による社会の窮乏がファシズムの風潮を作る条件だ。

 ウクライナのいわゆる民族主義はあまり実体的な根拠が無い。
 「ウクライナの政変」、「ウクライナ、実体の無い民族主義
 経済は破綻状態で、軍は給料遅配。
 烏合の野党連合では、長期維持の展望がなかったのだが、ネオナチの登場でその崩壊はさらに早まることが疑いないだろう。
 そしてネオナチ自身もその作られた基盤を失う。

 ロシアはクリミアの治安維持(実効支配)を優先し、あとはしばし様子見の実態把握に努めている。
 極めて賢明な選択と思われる。 
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