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現在のエジプト、2月下旬の状況

 ラバア広場
 2013/8/13 ラバア広場

   朝日中東マガジン2月27日の記事より。   「エジプト在住者」から

お久しぶりです。
突然更新をストップしていたので、いくつかの生存確認メッセージまで頂いてしまいましたが
元気に暮らしていま~す。
いやもう、暫定政府の茶番が進むにつれて呆れるやらあほらしいやらで書く気が失せてしまっておりました。
お休みしていた二ヶ月の間の一番のニュースといえば、シナイ半島での観光バス爆破テロ。
その前にも治安本部前が爆破されたり、警察官が銃撃されたり。シリア人がますます迫害されてたり。
アルカイーダ系(という呼び方が正しいのかどうか。実体がはっきりしていないのがテロ組織なので・・・)
がついに動き出してきましたね。
声明によると、暫定政府への抗議として、経済の主軸である観光関係施設と、天然ガス関係を狙うそうで、「テロだらけの国」へと一歩一歩・・・。
夫は7月の時点から、過去のアルジェリア並みにテロだらけになる、と予想していましたが。

で、今日は久しぶりに更新をしようと思ったきっかけが、朝日中東マガジンの2月27日付けの記事。
朝日新聞中東局長の川上氏が編集されている、月額300円という有料サイト。
前半部分は一般公開されているので、貼り付けます。続きが気になる方は、購読して下さいね。

私が激しく共感した部分や今後のキーワードになる、と思った部分を勝手に赤字にしておこうっと。

   軍出身の政治アナリストが指摘するエジプトの民衆の新たな動き 川上 泰徳

エジプトで1月の国民投票で改正憲法が承認され、次は大統領選挙が4月にも実施される見通しになっている。
昨年7月に、選挙で選ばれたイスラム系のムルシ前大統領をクーデターで排除したシーシ国防相(軍総司令官)が最有力候補として上がっている。
街頭には早くもシーシ氏のポスターが出ている。
しかし、一方で「クーデター反対」のデモも続いている
クーデター後に任命されたベブラウィ暫定首相は突然、辞任したが、その背景には、公共バスの運転手や道路清掃公社の労働者が大規模な「賃上げ要求」ストが広がり、政府への批判が強まったためという見方が一般的だ。

 いまのエジプトの状況について、エジプト人の退役軍人(少将)で、退役後、民間の「国防・軍民間関係戦略対話フォーラム」の所長をつとめる政治アナリストのアーデル・スライマン氏(70)にインタビューをした。
スライマン氏は「私は軍の出身であり、シーシ氏に反対するものではない」と断った上で、軍の政治に関わることが「国を危うくする」との見方を示した。
スライマン氏は「エジプトで起こっている全く新しい民衆の変化」について語ったことは、現在のエジプト情報を考える上で参考になる指摘である。
 以下に一問一答を掲載する。

問い:いまのエジプトの情勢をどう見ているか?

アーデル・スライマン氏 2011年1月25日に民衆のデモが始まり、2月11日にムバラク大統領が辞任した。
ムバラクが辞任した後、全権を掌握したのは軍最高評議会だった。
ムバラクは辞めても権力は国民にわたされることはなく、軍が保持したわけで、体制は何も代わらなかった。
体制の長は辞任したが、体制そのものは残った

ムバラク辞任の後、民主的な選挙があり、議会が生まれたが、軍最高評議会の指令で議会は解散させられた。
その後、大統領選挙があり、イスラム組織のムスリム同胞団から出たムルシが大統領に選ばれた。
しかし、その大統領も、昨年7月に軍の介入で排除された。
また軍の支配が新たに始まり、結局、何も変わっていない
変ったのは、民衆だ
2011年は革命にはならなかったが、体制を変えようとする民意の噴出があった。
最初は民主主義や権利や自由を訴えてデモに出たのは中流の人々や文化人だったが、その動きが、その後、国民の多数を占める貧しい人々の政治への目覚めを起こした

問い:昨年夏の軍によるムルシ排除をどう考えるか?

スライマン氏 私は、それは「クーデター」とは呼ばない。
クーデターというのは、権力を転覆することだが、ムルシは選挙で選ばれて大統領になったが、ムルシは大統領のイスについただけで、もともと権力は何も有していなかった。
軍も、警察も、官僚組織も、司法も、国家の権力を担っている機構は何も、大統領であるムルシの意のままにならなかった。
ムルシは権力を行使する統治の手段を何も持っていなかったので、大統領と言っても名前だけだった。
軍の介入は大統領だったムルシ個人を排除しただけだ。
つまり、ムルシ大統領の下で、権力を陰から支配していたものが、ムルシを排除して、表にでてきただけだ
軍の動きを支持したのは、国民の中にいた体制が変わることを望まない者たちだ。ムバラク時代に体制から利益を得ていた企業家であり、さらに腐敗した政府の幹部職員たちだった。
そのような旧政権系の人々は決してわずかではなく、人口の1割よりも少し多い割合を占めていると私はみているが、ムルシは行政のありかたや、投資のありかたなどを変えていき、少しずつ体制の変革を進めようとした。
それは旧政権勢力にとっては許されないことだった。
だから、軍を支持して、ムルシを排除した。
そのような人々は、もう一度、昔の時代に戻ろうと望んだ。
軍は政治への介入に合法的な体裁を与えるために、まず、憲法を改正して、国民投票で実施した。
その後は大統領選挙で、軍の最高司令官であるシーシが立候補して、選挙で大統領に選ばれる。これがいまのシナリオだ。


問い:軍による政治介入の影響は?

スライマン氏:選挙で選ばれた大統領を排除するのは、民主主義を求める国民の意思を裏切ることになった。
2011年後にエジプトで出てきた新しい民衆の変化がある。
国民の多数を占める貧しい民衆が、都市でも地方の田舎でも、権利や自由を主張し、民主主義を求める声を上げ始めたことだ
これは、それ以前にはなかった、全く新しいことだ。
このような人々は、2011年1月25日に、エジプトで反ムバラクデモが始まった時にも、デモには参加していなかった。
この時に参加していたのは中流の人々であり、文化人などエリートが多かった。
しかし、この時の民意の噴出が、それ以外の、より貧しい人々に「政治的な覚醒」をもたらした。
2012年の大統領選挙でムルシに投票したのは5000万人の有権者のうちの1300万票である。
同胞団の支持層は国民の10%を超えることはないと私は見ている。
ムルシが獲得した票は、同胞団の支持者をはるかに超えている
ムルシに投票した人々には、それまで政治に関わったことにないような貧しい人々も多く、ムルシに政治をやらせて政治を変えようとした。
なのに、軍は力でムルシを排除した。
貧しい民衆は自分たちの投票が反古にされたと反発し、その後、反政府のデモに参加するようになっている。
そのような政治参加の広がりによって、いま、エジプトの社会は変わり始めている。
国民の多数である貧しい民衆が政治にかかわる形で、革命が続いているということだ。

問い:政府や新聞は、デモをしているのはムスリム同胞団の支持者で、彼らは国民への影響力を失っていると報じているが?

スライマン氏:新聞はすべて政府の統制の下にあり、自由な報道はない。
反体制デモの参加者が減っているというのは、政府の宣伝であって、自分で通りに出て見れば、数は増えていることが分かる。

地方の村々でもデモが始まっている。もし、街頭でのデモ隊がみな、同胞団の支持者であれば、全国の町や村などいたるとこでデモが広がることはあり得ない。
私は同胞団の支持者は人口の10%を超えることはないと見ている。
同胞団はどんな村にも彼らのメンバーがいて、慈善運動などを通じて、貧困層の生活につながっている
彼らは国民の多数がどこにいるかを知っているということだ。
同胞団は、政党や政治組織という前に、社会の一部になっている
国民の多くは、同胞団が権力を支配することにも反発するが、だからといって、全国に広がり、社会の一部となっている同胞団を排除することも出来るものではない

ただし、いまの反政府デモは、同胞団の支持者の範囲をはるかに超えている。
全国でストをしている公共バスの運転手は、みんな同胞団か? そんなはずはない。
昨夏の軍の介入でムルシが排除された後は、同胞団の支持者が多かったが、いまは同胞団の支持者だけではない。
同胞団の支持者だけなら、8カ月も延々とデモがつづくことはないし、数を増やすことはない。
同胞団の支持者ではない新しい人々が参加しているのだ。


問い:軍の介入後、政府の言論統制や警察によるデモ規制など国民への圧力が強まっているが。

スライマン氏:政府や警察の圧力は確かに強まっているが、国民はそれに服従せず、反発は逆に強まっている
民衆はもう警察の圧力を恐れなくなっている。
2011年1月前には、民衆は権力や警察を恐れていたが、いまはちがう。
強権体制は民衆を恐れさせることで支配していたが、その恐れが崩れてしまった
もう、強権支配の時代は終わった。
貧しい民衆が、民主主義を求めて街頭に出ている。警察の車に火をつけたりしている。
今日、父親がデモに出て、警察に殴られれば、翌日はその息子がデモに参加し、兄が警察に捕まれば、翌日は弟がデモに参加する。
民衆が権力を恐れないということは、新たな困った問題を生んでいるのだが、もう、強権で抑えることはできないということなのだ。


問い:どうして民衆が変わったと分かるのか?

スライマン氏:民衆と話せば分かる。
家にきている家政婦と話すだけで分かる。
通りにでて、デモをしている人々を見れば分かる。
それまで政治を語らなかった人々がいまは政治を語るようになっている。ところが、いまの政府や軍には、…「続きはログイン・ご購入後に読めます」
・・・・・・・・・・・・・・
とまあ、ここまでしか公開されていないので、ここでカット。
いまだに「同胞団のデモ」だの「同胞団支持者のデモ」と決め込んで、思い込んでいる方々に
これを見て、少し認識新たにしていただけたらな~と期待をこめて。
まあ、人はそうそう変わらないので難しいけどね。

ただいまエジプトの学校(インターナショナルを除く)は絶賛冬休み中。
通常より一ヶ月遅れの3月9日からスタート予定だけど、どうなることやら。
もともと夏休みが3ヶ月近くあるのに、冬も2ヵ月って、いつ勉強するねん!

延長の理由は、「豚インフルエンザ(こちらではこの呼称)の流行によるもの」との事だけど、実際は
大学がスタートすると、また学生のデモが活発になるのを恐れているんだろうな、と予想がつく。
明日は大統領選挙の要項についての発表があると言われているけど、さてどうなるか?

というわけで、何~にも落ち着いていないエジプトより、久しぶりの更新でした。
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※ 筆者の安全を確保するため、リンク及びブログタイトルなどは省略しています。
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 ※ エジプト関係のページ。

・ 中東への分裂謀略が続く
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・ 反政府闘争はムバラク追放では終わらない
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・ R・フィスク批判:民衆か宗派かではない、闘う思想の重要性
・ エジプト革命、大統領が軍政幹部を解任
・ アラブの春と欧米帝国主義
・ ムスリム同胞団と欧米帝国主義、エジプトクーデター
・ 無差別虐殺が続いているエジプト:フィフィ
・ デモ隊排除ではない、行われているのは大虐殺:植草
・ 無差別虐殺が続いている8/16エジプト:フィフィ
・ 大虐殺の日、8月14日
・ シーシーが殺されるか逃亡して終わる:インタビュー(カイロ)
・ 大虐殺前、ラバア広場の人々

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