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もうすぐ北風が強くなる

ウクライナ、実体の無い民族主義

ウクライナ

 ウクライナの政権崩壊によって超国家主義を民族思想とする暫定政権が一応生まれた。
 先に「ウクライナの政変」の後半に書いたとおり、ロシアとウクライナの民族的な差異は非常に少なく、帝政時代もソ連時代にもウクライナ、白ロシア(ベラルーシ)といった民族性は極度に希薄なものだった。
 ソ連は15の共和国を設置したがウクライナ、ベラルーシは住民がその民族、共和国国民というよりはウクライナ人と言う意識は端的にいって無く、共和国というより実態は行政区域であった。

 民族国家は言語もしくは宗教によって区別される「民族」を基盤として構成されるが、ウクライナはそれを欠いているのである。
 ウクライナ民族主義なるものは、ソ連崩壊後に西側が獲物を収奪しやすく分断するために持ち込ん作られた思想である。
 現在、ネオナチのスヴォボダを加えて西側寄りの超国家主義が権力を握ろうとしているが、彼らが依拠するのは伝統的にナチスの侵攻時に協力した極西部住民の子孫のまた一部であろう。
 「ウクライナの政変はネオナチが支配した

 民族の根拠が欠けている「民族主義」は実体基盤がない。
 一時的な風潮に終わるだろう。
 ほとんどの「ウクライナ人」はロシアと欧米の経済支援を天秤にかけていると考える。
 ロシアにとってのウクライナは生命線だが、ウクライナにとってのロシアはさらにはるかに重要な生命線である。
 巨大な西側欧米に支配されることは決して利益にならないだろう。
 
 ウクライナとロシアの民族差異は、ウクライナ住民自身にとっても不明なほどに希薄なものであることについて、Global Research(カナダ)に掲載されたものを「マスコミに載らない海外記事」氏が翻訳してくれたので紹介します。
 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「モスクワへの道はキエフ経由: ロシアを脅かすクーデター」の抜粋
Global Research

   ウクライナ人とロシア人の間の曖昧な境界  2/28  翻訳「マスコミに載らない海外記事」氏から

東ヨーロッパ諸国の政策は、ウクライナ東部と南部ではロシア語が普及しているという事実によって、更に複雑になる。
正確な人口に関しては論争が続いている。
ロシア語とウクライナ語の近さゆえ、ウクライナの一部の地域では、現地人が、実際に、ウクライナ語方言で話しているのか、ロシア語で話しているのか判断するのは困難だ
非常に混乱するのは、自分がウクライナ人なのか、ロシア人なのか、あるいは、どちらの言葉なのかの境界線が決して明確でないことだ。

曖昧な言語の境界と、ウクライナ語もロシア語も、かつて一つの言語であったという事実は別として、民族的にウクライナ人である国民と、民族的にロシア人である国民の区別もあいまいだ。
ウクライナ政府によれば、約30パーセントのウクライナ人は、ロシア語を第一言語か母語と考えており、ロシア語話者だが、こうしたロシア語話者ウクライナ国民の、およそわずか半数が、実際は、民族的ルスキエ(ロシア系)だ。2004年に行われた社会学的研究で、ロシア語話者の人数は、実際にはずっと多く、ロシア語とウクライナ語は実際にはほぼ同等に使われていることが明らかになった。

第一言語としてウクライナ語を話す少数派ロシア系さえおり、第一言語としてロシア語を話す、それよりずっと多くのウクライナ系がいる。
多くのウクライナ国民は二言語を自由に話せ、ウクライナの多くの部分で、日常の言語や仕事用の言語として、ロシア語を好んで使う傾向もある。
歴史的・社会学的過程で、ウクライナ系の人が、ロシア系であることを選んだり、また逆に、ロシア系の人が、ウクライナ系であることを選んできた。
質問されても、多くのウクライナ国民は、自分がルスキエなのか、ウクライナ系なのかよく分からなかったりする

第一次世界大戦と第二次世界大戦の原因について何か記憶すべきことがあるとすれば、それは、一般市民の心を捉え、戦争支持へと操るべく、民族主義と例外論の感情が、アヘン剤のように利用されたことと、日和見主義者の台頭だ。
ウクライナの反政府派指導部は、支持者達の判断力を奪い、操る為、意図的に超国家主義感情をあおり醸成した
ウクライナ民族主義、具体的には、西欧指向の親欧州連合のものが、不健全な反ロシア感情基盤と、欧州連合の文化的優位性と、東スラブ人(とりわけロシア人だが、ウクライナ人とベラルーシ人も含む)の文化的劣等性というゆがんだ意識を基に形成されたのだ。

ウクライナ人とロシア人との間の様々な相似と、ウクライナ人かロシア人かという自己認識の複雑な関係が、反政府主流派を明確な反ロシア姿勢にさせているが、なかにはアドルフ・ヒトラーや、第三帝国や、そのソ連侵略を、あからさまに賛美する人々もおり、ウクライナ社会の結束や、ロシアやウクライナと国境を接する他の国々との、キエフの将来の関係にとって、極めて危険だ

記事原文のurl:www.globalresearch.ca/the-road-to-moscow-goes-through-kiev-how-the-protests-in-ukraine-transformed-into-a-coup-that-could-target-russia/5370479
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