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経常収支の赤字国とは?

 ユーロ
 ユーロ、金融政策と各国主権の分離格差は致命的な欠陥だが、露呈しないうちは全体で欧州としての信用価値が安定している。

 日本は経常収支の赤字国となり始めており、この傾向は長期に続くと考えられる。
 あまりにも長い間黒字を続けてきたために、意味は分かっても、その影響、評価尺度、その弊害(被害)を減らすにはどうするのか、といった視点が育っていない。
 
 先ずはその意味を把握し、長年にわたり赤字国でも平気な国、赤字で経済危機に陥る国、そして日本はどちらに向かうのか。
 このことを考えるのが先決だろう。
 ーーーーーーーーーーーーーー
   経常収支が赤字になる意味を正確に考える その1 2/12 闇株新聞

 2013年通年の経常収支の黒字が3兆3061億円と、比較可能な昭和60年以降の最少となりました。
 経常収支とは貿易収支・サービス収支・所得収支・経常移転収支の合計で、投資活動を除いた対外的な経済活動の結果、日本の資産が増えたのか(豊かになったか)減ったのか(貧しくなったか)を表します。

 経常収支の黒字のピークはリーマンショック前年・2007年の24兆9341億円で、2010年も17兆8879億円ありました。
 ところがそこから2011年は9兆5507億円、2010年は4兆8237億円、そして2013年は3兆3061億円と急減しています(数字は全て速報値)。

 2013年の経常収支は年後半(7~12月)だけでみると70億円の赤字に転落しており、さらに第4四半期(10~12月)では1兆3593億円もの赤字となっています。

 つまり日本は、すでに足元では経常収支の赤字国に転落しているのです。

 経常収支の赤字国に転落することは、そんなに大問題なのでしょうか? 報道ではあまり深刻に考えられていませんが、少し詳しく考えてみます。

 2013年の経常収支の内訳は、貿易収支が10兆6399億円の赤字、サービス収支が1兆5950億円の赤字、所得収支が16兆5318億円の黒字、経常移転収支が9908億円の赤字です。

 サービス収支と経常移転収支は恒常的に赤字なので、貿易収支と所得収支をみてみます。

 日本は近年までずっと貿易黒字国でした。
 年間の貿易黒字額は、ピークが1992年の15兆7764億円で(年間平均為替が1ドル=126.65円、以下同じ)、その後もリーマンショック前で世界経済が加熱していた2007年が12兆3223億円(117.75円)、円高となった2010年でも7兆9789億円(87.78円)と高水準を維持していました。

 ところが東日本大震災のあった2011年に貿易収支が赤字に転落し、年間の赤字額は2011年の1兆6165億円(79.80円)が、2012年に5兆8141億円(79.79円)、2013年には10兆6399億円(97.59円)と急増しています。

 最近の貿易赤字拡大の理由として、輸出企業の海外生産の増加や円安・エネルギー価格の上昇による輸入額拡大といわれていますが、そんな一時的なものではありません

 つまり日本経済は、2011年に長く続いた貿易黒字国から赤字国に転落し、さらに2013年後半には経常黒字国から赤字国に転落していることになります。

 一方で所得収支は円安の影響で2013年は史上最高額となったのですが、急激に増えたり減ったりするものではないため、急増する貿易赤字を補えずに経常収支が赤字になりました。

 日本は「成熟化した債権国」といわれていますが、それは2011年~2013年前半までの状況で、現在は単なる経常赤字国です。

 繰り返しですが日本は対外的な経済活動で、今までの「豊かになっている」から「貧しくなっている」に変化してしまっているのです。

 ここで「別に経常収支が赤字になっても海外から投資資金が流入すれば何の問題もない」あるいは「米国は毎年が巨額の経常収支なのに何の問題もない」と考えられると思います。

 ここからは海外からの資本流入と海外への資本流出の差額である「資本収支」についてです。
 正確には対外債務の増大を示す資本流入と対外債権の増大を示す資本流出の差額で、流入超を黒字、流出を赤字といいます。

 2013年の資本収支は4兆6090億円の黒字(つまり流入超)でした。
 普通は経常収支の黒字幅が大きくなると資本収支の赤字(流出)も大きくなり、実際に2007年の資本収支は22兆5383億円の赤字、2010年も17兆6971億円の赤字でした。

 2011年の資本収支は1兆1722億円の黒字(流入)となったのですが、これは東日本大震災の影響で本邦投資家が対外資産の処分を進めた結果でもあり、実際に円高が進みました。

 そこから2012年の資本収支は8兆1878億円の赤字となり、2013年は4兆6090億円の黒字です。

   経常収支が赤字になる意味を正確に考える その2

 昨日の続きですが、まず日本がすでに経常収支の赤字国に転落しているとの認識が大変に希薄なようです。

 2013年10~12月は1兆3593億円の経常赤字だったことは昨日も書いたのですが、これは決して一時的な現象ではありません。
 実は本年1月上中旬の貿易統計(国際収支統計とは少し違います)がすでに発表されており、何と2兆150億円の巨額赤字となっています。

 例年1月は正月休みで貿易収支が悪化するのですが、昨年の同時期は1兆1763億円の赤字だったので「さらに急激に悪化している」ことになります。
 所得収支が黒字だとしても、1月だけで2兆円近い経常赤字になるかもしれません。

 2013年4~12月の経常収支は累計で1兆7217億円の黒字でしかないため、2013年度(2014年3月まで)の経常収支が赤字となる可能性が強くなりました。
 
 経常収支が年間で(年度集計ですが)赤字になってしまうと、まず外国人の日本経済に対する評価が悪化し、当然に日本株に対する評価も悪化することになります。
 経常収支の赤字とは、経済活動を通じて富が海外に流出していることだからです。

 最近の新興国経済で「特に問題がある」といわれる5ヶ国は、すべて巨額の経常赤字国です。
 その5ヶ国とはインド(2012年の経常赤字が882億ドル、以下同じ)、ブラジル(552億ドル)、トルコ(447億ドル)、インドネシア(240億ドル)、南アフリカ(240億ドル)で、昨年から通貨の下落が続き利上げを余儀なくされています。

 もちろん日本の状況がこれら新興国に近づくというつもりは全くありませんが、少なくとも時期的に日本株に対するイメージが悪化することは考えられます。

 2013年の日本の資本収支は4兆4090億円の黒字(流入)でした。
 もちろん外国人投資家が日本株を15兆1196億円も買い越したからですが、この買い越し額は2012年が2兆8264億円、2011年は1兆9724億円しかありませんでした。

 もし本年(2014年)の外国人投資家の日本株買い越し額が2011年、2012年並みとなると、資本収支が赤字になります。

 資本収支の赤字とは、本邦投資家の対外資産の取得が海外投資家の本邦資産の取得よりも大きい状態であり、経常収支の赤字とは違い「好ましい」ことです。

 ところが経常収支と資本収支がともに赤字になると、それだけ日本が海外に支払う資金(外貨)が膨らみ、日本全体では資金(外貨)繰りが窮屈になることを意味します。
 とりあえずは、昨年末に1兆2668億ドルある外貨準備を取り崩す必要が出てきます。

 そう書くと「日本は資金(円)が有り余っているのだから、外為市場で円を外貨(主にドル)に交換していくらでも海外に支払えばよいではないか?」となるのですが、そのためには円が外貨(主にドル)並みの信用力を維持しなければなりません。

 例えば韓国は3000億ドル以上の外貨準備を持ち、日本よりも多い600億ドル(2013年予想)の経常黒字を稼ぎ出しているのですが、それでも時々外貨不安が囁かれています。
 外貨(主にドル)不安とは、決して日本に無関係な話ではなくなるかもしれません。そのような意味でも経常収支の赤字転落は「大変に由々しき事態」なのです。

 実はもう1つ不安に思っていることがあります。

 2013年の国際収支統計では、経常収支が3兆3061億円の黒字、資本収支が4兆6090億円の黒字(流入)でした。
 つまり合計で7兆9151億円の資金(外貨)が流入していたのですが、国際収支統計は合計がゼロになるように作られます。

 2013年はその流入した外貨のうち3兆8504億円を外貨準備が吸収しています。
 為替介入がなかったので、これは米国債の利払いなどをそのまま外貨準備に組み込んだ結果です。

 それでは残る4兆648億円はどこに消えたのでしょう?

 実はわからないのです。国際収支統計では誤差脱漏として同額が計上されていますが、要するに把握できない資金(外貨)が日本から海外に流出しているのです。
 少なくとも2012年まではみられなかった傾向です。

 要するに本年は、経常収支も資本収支も不明の項目(誤差脱漏)も、揃って猛烈な資金(外貨)流出となる可能性があり、その影響は予測不能なのです。

   経常収支が赤字でも問題がなさそうな国もあるのでは?

 ここのところ日本の経常収支の赤字転落についてばかりですが、考えれば考えるほど奥が深いので、もう1回だけ続けます。

 コメントもいただいているのですが、米国・英国・フランス・オーストラリア・カナダも経常収支が大赤字です。
 しかし昨日書いたインドなどの新興国とは違い、特に問題があるようにも思えません

 もう一度、世界各国の経常収支をみてみましょう。
 まだ2013年の数字が出揃っていないので2012年の数字を使いますが、2013年も基本的には大きく変化していないようです。出典はIMFのWorld Economic Outlook Databases(2013年10月版)です。

 まず経常黒字が大きい国を順番に並べますと、ドイツ(2384億ドル)、中国(1931億ドル)、サウジアラビア(1646億ドル)、クウェート(797億ドル)、オランダ(778億ドル)、ロシア(748億ドル)、ノルウェー(708億ドル)、スイス(707億ドル)、アラブ首長国連邦(665億ドル)、カタール(623億ドル)となり、これが上位10ヶ国です。

 やはり資源に恵まれた国が多く入っています。

 2012年はこの10ヶ国の後に、日本(604億ドル)、シンガポール(514億ドル)、台湾(499億ドル)、韓国(431億ドル)と、アジア諸国が続きます。

 日本の2013年の経常黒字は3兆3061億円で、円安もあり324億ドルまで激減しています。
 また発表されている2013年のドイツは2146億ドル、中国は1886億ドルで、変わらず1位、2位です。

 一方、経常赤字が大きい国を順番に並べますと、米国(4404億ドル)、英国(938億ドル)、インド(881億ドル)、カナダ(622億ドル)、フランス(571億ドル)、オーストラリア(569億ドル)、ブラジル(542億ドル)、トルコ(477億ドル)、インドネシア(240億ドル)、南アフリカ(240億ドル)となり、これが上位10ヶ国です。

 確かに「特に問題がある新興国5ヶ国」がすべて入っており、総じて2013年も改善していません。

 最大の経常赤字国は米国ですが、ピークの2006年は7984億ドルもあったため、リーマンショック後の世界経済の減速で「かなり減少」していることにはなります。

 もちろん米国は基軸通貨国なので、ドル紙幣も米国国債も「それ自体に価値がある」と考えられ、乱暴な言い方ですがそれらを輸出に含めれば均衡していることになります。

 英国は元基軸通貨であるポンドがドルと同じように考えられているのではなく、ロンドン(シティ)を中心にドル経済圏が確立しているため、やはりドル紙幣や米国国債を輸出して均衡しているとも考えられます。

 しかし「円」は基軸通貨ではないため、円もしくは日本国債を輸出して均衡させることはできません
 支払代金として円は「限界的」にしか受け入れられないため、経常収支も資本収支も赤字になってしまうと、いくら国内に円が有り余っていても対外取引に使える外貨(主にドル)が不足してしまうことになります。

 さて問題はカナダ、フランス、オーストラリアです。

 オーストラリアは大変に地下資源に恵まれた国です。それでは何で経常赤字なのでしょう? 
 特にオーストラリアは30年くらい遡っても「ずっと経常赤字」です。
 それでもオーストラリアが経済危機だとは聞いたことがなく、オーストラリア・ドルも資源通貨やリスク通貨の代表として活発に取引されており、経済危機で急落したこともありません。

 もっと不思議なのがフランスで、年間8000万人と世界最大の観光客を受け入れているにもかかわらず巨額の経常赤字です。
 ユーロを使用しているので通貨の急落はありませんが、かといって経済危機といわれたこともありません。

 簡単に考えるとオーストラリアとは、国土に眠る豊富な地化資源を「昔も今も変わらず」評価していることになります。問題国に転落した南アフリカでは、資源が枯渇してコストが上昇しているのですが、オーストラリアはまだそういう状態ではないのかもしれません。

 フランスは、その歴史的かつ文化的な存在感と、ドイツと並ぶユーロ圏の中心国としての役割が評価されているのかもしれません。
 またカナダも、まだ枯渇していない資源と、米国経済との連動性が評価されているのかもしれません。

 この辺りを考えていくと、経常収支の赤字転落に備えて日本が取るべき道がみえてくるような気がします。
 直感的には「異次元」金融緩和で金融抑圧を引き起こし、ひたすら円の価値と収益力(国債利回り)を下げてしまうことは「最もやってはならないこと」のような気がします。
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