「北の将軍様」もびっくりの危険人物がメディア統制:ペセック
2014-02-11

ゴロツキか狂気か
「将軍様」もびっくりの危険人物がメディア統制-ペセック 2/10 ブルームバーグ
自分の叔父を最近処刑した独裁者に危険人物として目を付けられるようになったら、北アジアにおけるあなたの評判はこれ以上落ちようのないところまで落ちたと認識するべきだ。
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記によってアドルフ・ヒトラーと比べられた安倍晋三首相は、真剣に考えるべき時だろう。
もちろん、将軍様は世界一まともな政治評論家というわけではない。叔父の張成沢(チャン・ソンテク)氏を狂犬病の犬に食わせたという報道まであったくらいだ。
しかし安倍首相をヒトラーに比べたのは金第1書記だけではない。
第2次世界大戦のA級戦犯14人が祀(まつ)られている靖国神社を昨年12月26日に参拝したことは、アジアの「ナチス」に敬意を表する行為だと中国当局者から激しい抗議を受けた。
韓国も安倍首相の歴史認識に怒りを隠さない。
朴槿恵大統領は昨年9月、日本との関係改善を呼び掛けたヘーゲル米国防長官に、「もしドイツが何事もなかったかのような顔をして隣国国民に痛みを与えるような発言を続けていたら、欧州の統合が可能だったと思いますか」と問い返した。
朴大統領は「私はそうは思いません」と述べ、ヘーゲル長官に安倍首相の「誠意の完全な欠如」について一席ぶったと報じられている。
安倍首相は平和と友好、理解を望んでいるのだとアジアに信じさせようとしている。それが本心からのものであれば、翻訳の途中で何かが抜け落ちたのだろう。
しかしNHKをめぐる最新のごたごたは首相の本心を疑わせる。
特定秘密保護法とNHK経営委員会
安倍首相は昨年遅くに特定秘密保護法も強引に成立させた。
さらに、NHK経営委員会を自分と意見の合う保守主義者たちで固めてしまった。
12人の経営委員は国会が指名するが、首相の意向が強く反映される。
政府人事案に基づき新任委員となった作家の百田尚樹氏は先週、「南京大虐殺はなかった」との発言で猛烈な非難の嵐を巻き起こした。女性は家庭にとどまり子供を育てるべきだと論じる長谷川三千子氏も、安倍首相が推した経営委員。
そして会長に就任した籾井勝人氏はまるで、米FOXニュースのボス、ロジャー・アイレス氏だ。
米国のPBSも公共放送だが、日本の文化や世論に対するNHKの影響力はPBSの比ではない。
日本国民が敗戦の玉音放送で初めて昭和天皇の声を聴いたのもNHKラジオを通じてだった。
子供たちはNHKの番組を見て育つ。
家族は夕食を囲みながらNHKのドキュメンタリーや時代劇、特番を見る。
ロシアのソチで始まった冬季五輪を観戦するのもNHKでだし、2011年3月の大震災後の日々、福島から放射能の雲が押し寄せてくる中で1億2600万人の国民が情報を求めて頼ったのもNHKだった。
メディアの役割
戦時中の従軍慰安婦問題について思慮を欠いた発言で国際的緊張をさらに悪化させた籾井氏のような人物を、安倍首相がNHK会長に推挙した上に今もなお支持しているというのは大いに憂慮される。
政府の言いなりになって安倍首相の右寄りの政策の片棒をかつごうとしていると認めた籾井氏の発言も、国民の怒りを買った。
籾井氏は就任記者会見で「日本の立場を主張するのは当然のこと。政府が右と言うことを左と言うわけにはいかない」と発言。
しかし、それは「当然」ではない。
民主国家におけるメディアは政府を監視するためにあるのだ。
公共放送でもそれは同じだ。
なのに今やNHKは、ブッシュ前大統領にとってのFOXニュースのように、安倍首相が自身の見解を国民に押し付けるための宣伝機関になってしまった。
その弊害は既に表れ始めている。
NHKラジオで経済コメンテーターを長年務めていたエコノミストの中北徹・東洋大学教授は、東京都知事選を前に脱原発についてコメントを予定していたが、NHKに内容の変更を求められ出演を拒否した。安倍首相の自民党が電力会社や原発再稼働に賛成する産業界を支持基盤としていることは周知の事実。
安倍首相は原発用の設備や技術の国外輸出にも力を入れている。
福島原発事故
2011年の原発事故の当時ですら、NHKの報道はお粗末だった。
パニックを引き起こすことを恐れ、リスクを過小に報道した。
東京の住民の多くは福島第一原発での爆発を、日本の最も信頼されている放送局からではなく、CNNやBBCといった外国メディアまたは米軍の記者会見で知った。
次の大災害の時にはどうなっていることだろう。
国民が情報を切に求めている時に、NHKはせっせと政府のちょうちん報道でわれわれの不安を紛らせてくれるのだろう。
それが今や、政府とNHKの公式方針なのだから。(ウィリアム・ペセック)
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