フクシマ、ちっとも減らない問題
2014-02-05

フクシマ、ちっとも減らない問題 リュドミラ・サーキャン 2/4 ロシアの声
事故を起こした日本の福島第1原発は未だに世界で最も危険性の高い技術施設であることに変わりはない。
問題が生じたというニュースはほぼ毎週にように報じられている。
1月半ばにもまた放射性汚水の漏洩が見つかった。この水は原子炉内に冷却用に注入され、その後、水は1000トンもの容量の大きな容器に集められ、長期間の除染プロセスが始まる。
この容器に汚水を溜めるために使われている手段が壊れた場合、放射性物質は漏洩してしまう。
これらの容器内に2万トンを越える高濃度の放射線汚水が溜まっている恐れがある。
放射性汚水の漏洩という深刻な問題のために、ここ最近は汚染土壌の除染問題は地元や世界のマスメディアの視界から抜け落ちてしまっている。
事故のために放射能に汚染されてしまった土壌面積は1万3782平方キロメートル 。これは日本の国土面積の約3.6%にあたる。
土壌の除染プロセスを急速化させるためにはフセヴォロド・コルトフ教授の提唱するメソッドは助けとなる。
ウラル連邦大学で教鞭をとるコルトフ教授はロシア自然科学アカデミーの会員であり、固体放射性物理学学校の校長もつとめ、今までに60を越える発明を行って世界に知られており、日本で2005年から開催されている国際放射能モニタリング会議に唯一のロシア代表として出席し続けている。
コルトフ教授は、ウラル連邦大学で開発した吸着剤を提案している。
この吸着剤は海緑石という自然界の化合物だ。
「海緑石は自然界にある吸着剤で、これはロシア、カザフスタン、旧ソ連のほぼ全共和国に鉱物の形で存在する。
そのままでは吸着剤としては役に立たないが、うちの大学の放射性化学部はこの表面を変える技術を生み出した。
ある一定の時間、焼きなましをすることで化学的な加工ができる。これが «global» という状態で、表面に高い吸着性を持つ一種の球体ができあがるのだ。
これは «Chiyoda Technol Corporation»の指導部の関心を呼んだ。
我々は日本に10キロの海緑石を送った。
他の6種類の吸着剤と共に行なわれた実験では、我々のサンプルは試料に入れられた放射性セシウムの3分の2を吸着させることができた。
これは他の吸着剤に比べおよそ3倍も高い効果であり、素晴らしい成果だ。
我々は日本に変容させた海緑石を用いることを勧める。
土地を掘り返した際にこの石はセシウム137とセシウム134を吸着し、それが植物の根に達する事を防ぐ。
こうした除染をすることで、将来、汚染地に再び米を育てることができるようになる。
海緑石は希少な鉱物では全くないことから、おそらく日本にも産地は見つかると思う。
我々の技術でこれを除染のために用いることができるといいのだが…。」
コルトフ教授はチェルノブイリ原発の事故処理にも参加し、福島第1原発の30キロ圏内にも2度の立ち入りを行なった。
教授はこうした経験にてらすと、日本が行なう除染方法はチェルノブイリのそれとは大きく異なっているとして、次のように語っている。
「福島第1原発付近の除染技術はチェルノブイリで用いられたものとはものすごく異なる。
日本は化学性の吸着剤を使わず、圧力をかけて浄水で全てを洗い流すことを決めた。
その後、汚染水は刈り取られた草を集めるように、入念に大きな容器に集められる。
これは人的リソースの観点から言っても、財政の観点からいってもあまりにも無駄が多い。だが日本はエコロジーの問題を第1に掲げている。
汚水を集めた容器をどうするか、彼らは考えていないのではないだろうか。
昨年、20キロ圏を通過した際、われわれは放射性の廃棄物をつめたコンテナーが並ぶ広大な土地を目にした。
日本はどうやらこうした放射性廃棄物を埋め立てない決定を採ったようだ。これもチェルノブイリとは異なる点だ。
チェルノブイリでは設備もふくめ、みんな地中に埋められたからだ。日本は地中でコンテナーが腐食し、汚染物質が地下水に入り込むことを恐れているのだろう。
だが私には最後までわからないのは、このコンテナーをこの先どうしようとしているのか、という点だ。
30年は持つだろう。この30年という時間は家屋や植物の主な汚染原因となっているセシウム137の半減期にあたる。」
30年の間に放射能レベルはかなり低下した。だが16万人もの被災者を元の住処に戻すためには除染を効果的に行うだけではなく、被爆地に戻ることができる際の年間被爆量を確定する問題を解決せねばならない。
コルトフ教授は、この問題については日本はチェルノブイリの経験を無視したようだとして、さらに次のように語る。
「年間20ミリシーベルトというのは国際放射能防御委員会の提唱する『住民の避難を開始する』最低レベルの値だ。
日本にはこれは特に重要な問題になっている。なぜならば未だに多くの市民が一時的避難を余儀なくされているからだ。
これはかなりきつい条件であり、予算も高くつく。このため以下に早い時期に避難した住民を元の住まいに戻すかという課題がたてられた。
福島市で実施された記者会見で私は状況を説明し、批判を行った。
なぜなら年間20ミリシーベルトという値は職業上被爆する成人が耐えられるものだからだ。つまり原発で毎日6時間働き、そのあと清浄なゾーンに戻る生活を行う人が耐えうる被爆量になる。
ところが福島では、若い人も年寄りも24時間こうしたゾーンに暮らすように提唱されていることになる。
ウクライナでチェルノブイリ原発事故後、25年間に渡って行われてきた調査では、低レベルの汚染地に長く住むほうが、一度だけ大きな被爆量を受けるよりも害が大きいことが分かっている。
一度だけ被爆した場合は効果的な治療法が存在するが、10年もの長期間、低レベルの汚染地に暮らした場合は、体内被曝が蓄積され、免疫が傷つき、遺伝子の破壊が起きて、とても大きな害がもたらされてしまう。
私は、この値はロシアやヨーロッパの標準には当てはまらないと語った。
事故後の復旧に献身する日本の専門家らに心から敬意を示し、決められた期日内に必要な成果が出せるよう祈念している。」
こんにち、原発事故や他の原子力産業施設での事故を100%防ぐ保証を与えられる人は誰もいない。
こうした原子力施設から何百、何千キロ離れた場所でも完全に安全だということはできない。
こうした事故はそれが発生した国の境を越えてしまうことから、原子力エネルギーの安全保障では国際的な協力が欠かせないことを如実に分からせてくれている。
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