金融抑圧(3)闇株新聞
2014-01-09
金融緩和と量的緩和は全く違う 「金融抑圧」は回避すべき その3
今年になってから「金融抑圧」ばかりですが、コメントもいただいているようにまだまだ説明不足ですので、もう1回だけ続けます。
現在の日銀の金融政策が「金融抑圧」だとして、為替や株式市場に与える影響を中心に考えます。
まず円相場ですが、日本での投資収益が国債利回りを基準として全体的に低く抑えられるため、資本流出に伴う「円安」であることは間違いなさそうです。逆にいうと「円高」になる材料が見当たりません。
一方で株式市場は、日本での投資収益が全体的に引く抑えられるため、株式の配当利回りや益回りが相対的に魅力あるものとなり「どちらかといえばプラス要因」となります。
昨年末(12月30日)現在の東証1部全銘柄の加重平均配当利回りは1.67%もあり、予想益回りは5.82%もあります。同日の10年国債利回りは0.735%でした。
それに加えて東証1部や日経平均採用銘柄は日本を代表する企業であり、外部負債コストの引き下げや「円安」などの「金融抑圧」のメリットを享受できる企業も多く、株式市場だけが日本経済全体の実感から遊離して好調となるはずです。
つまり日本経済全体の低迷が認識されてきても、株安になるとは限りません。
(※ つまり、実体経済を伴わない資産高騰=バブル。)
また昨日の記事で「巨額の金利収入が国民から政府に移転する」とはどういうことか?とのコメントをいただいています。
これは国債利回りが低く抑えられれば、政府が国民に本来支払うべき利回り(利息)が不当に安く抑えられ、結果的に国民が巨額の利息収入を失うことになります。
目にみえる形で国民から徴収するわけではないのですが、増税と同じ効果となります。
もっとも銀行は以前から国民の預金で巨額の国債を買い入れ、そうでなくても低い国債からの金利収入の「大半」をピンハネしているので、国民は増税だけではなく銀行に対する補助金まで支払わされていることになります。
さらに新たに発行される2~40年国債の7割を日銀が購入し、国債利回りが不当に低く抑えられることによって、どうしても財政の歯止めがなくなってしまう問題もあります。
公共投資など「本来ではコストの合わない低採算事業」がますます政府主導で行われる弊害も出てきます。
BNPパリバ証券の河野龍太郎は、早くから「金融抑圧」の弊害について述べられていますが、河野氏が最も懸念されているのが国債市場の機能低下のようです。国債市場の流動性が枯渇し、将来的に長期金利が跳ね上がるリスクを指摘されています。
本誌が最も懸念するのは、一度始めた「金融抑圧」つまり日銀の異次元・国債買入れは簡単にやめられず、どんどん強化していかなければならないことです。
年内の追加量的緩和は避けられず、しかも長期国債の買入れを増やす必要があるはずです。
つまり確かに国債市場の機能低下は進みますが、国債利回りが上昇する可能性は「ほとんど」ありません。
「金融抑圧」はますます日本経済全体を低迷させるため、長期金利が本格的に上昇するほど経済活動が活発になることは考えられないからです。
重要なことなので繰り返しますが、金融緩和とは政策金利(短期の基準金利)を低く維持することによって経済活動を活発化させるものですが、量的緩和とは「金融抑圧」によって経済活動を低迷させることになり、全く意味が違います。
元大蔵官僚の黒田総裁は、従来の白川総裁時代の金融緩和を100%変更して「異次元」量的緩和に切り替えました。
その結果、劇的な円安と株高となりました。
そのご利益(りやく)は当面続き、「金融抑圧」の弊害が市場に認識されることも当面はないはずです。
安倍内閣の最優先課題が株式市場であり(株が上昇すれば日本経済全体が回復していると信じ込んでいます)、黒田日銀総裁の最優先課題が国債利回りの低下(つまり金融抑圧)である以上、当面は「国債利回り低下」「円安」「株価堅調」となるはずです。
ーーーーーーーーーーーーーー
※ この記事について注意してほしい点。
闇株新聞氏はあくまで国内経済と政権の経済政策についての限定した議論であることに注意してください。
「金融抑圧」についての解説なので、米国、EUなどの動向は一応捨象されています。
とりあげると彼のブログに収まらない分量となるでしょう。
現実には今、米国の長期金利は上がり始めているし、EUの再度の破裂はいつあるかわかりません。中国の影の金融規制が円滑に実行できるかも問題です。
資本の移動はフリーですので、いつ大規模資本流出や金融側がインフレ期待に発展する可能性はあくまで否定できません。
例えばひとつ、日本の国債市場が官製談合であることなど、まだ海外にはよく知られていません。
従ってバブルリスクは常にある、ということも事実です。
今年になってから「金融抑圧」ばかりですが、コメントもいただいているようにまだまだ説明不足ですので、もう1回だけ続けます。
現在の日銀の金融政策が「金融抑圧」だとして、為替や株式市場に与える影響を中心に考えます。
まず円相場ですが、日本での投資収益が国債利回りを基準として全体的に低く抑えられるため、資本流出に伴う「円安」であることは間違いなさそうです。逆にいうと「円高」になる材料が見当たりません。
一方で株式市場は、日本での投資収益が全体的に引く抑えられるため、株式の配当利回りや益回りが相対的に魅力あるものとなり「どちらかといえばプラス要因」となります。
昨年末(12月30日)現在の東証1部全銘柄の加重平均配当利回りは1.67%もあり、予想益回りは5.82%もあります。同日の10年国債利回りは0.735%でした。
それに加えて東証1部や日経平均採用銘柄は日本を代表する企業であり、外部負債コストの引き下げや「円安」などの「金融抑圧」のメリットを享受できる企業も多く、株式市場だけが日本経済全体の実感から遊離して好調となるはずです。
つまり日本経済全体の低迷が認識されてきても、株安になるとは限りません。
(※ つまり、実体経済を伴わない資産高騰=バブル。)
また昨日の記事で「巨額の金利収入が国民から政府に移転する」とはどういうことか?とのコメントをいただいています。
これは国債利回りが低く抑えられれば、政府が国民に本来支払うべき利回り(利息)が不当に安く抑えられ、結果的に国民が巨額の利息収入を失うことになります。
目にみえる形で国民から徴収するわけではないのですが、増税と同じ効果となります。
もっとも銀行は以前から国民の預金で巨額の国債を買い入れ、そうでなくても低い国債からの金利収入の「大半」をピンハネしているので、国民は増税だけではなく銀行に対する補助金まで支払わされていることになります。
さらに新たに発行される2~40年国債の7割を日銀が購入し、国債利回りが不当に低く抑えられることによって、どうしても財政の歯止めがなくなってしまう問題もあります。
公共投資など「本来ではコストの合わない低採算事業」がますます政府主導で行われる弊害も出てきます。
BNPパリバ証券の河野龍太郎は、早くから「金融抑圧」の弊害について述べられていますが、河野氏が最も懸念されているのが国債市場の機能低下のようです。国債市場の流動性が枯渇し、将来的に長期金利が跳ね上がるリスクを指摘されています。
本誌が最も懸念するのは、一度始めた「金融抑圧」つまり日銀の異次元・国債買入れは簡単にやめられず、どんどん強化していかなければならないことです。
年内の追加量的緩和は避けられず、しかも長期国債の買入れを増やす必要があるはずです。
つまり確かに国債市場の機能低下は進みますが、国債利回りが上昇する可能性は「ほとんど」ありません。
「金融抑圧」はますます日本経済全体を低迷させるため、長期金利が本格的に上昇するほど経済活動が活発になることは考えられないからです。
重要なことなので繰り返しますが、金融緩和とは政策金利(短期の基準金利)を低く維持することによって経済活動を活発化させるものですが、量的緩和とは「金融抑圧」によって経済活動を低迷させることになり、全く意味が違います。
元大蔵官僚の黒田総裁は、従来の白川総裁時代の金融緩和を100%変更して「異次元」量的緩和に切り替えました。
その結果、劇的な円安と株高となりました。
そのご利益(りやく)は当面続き、「金融抑圧」の弊害が市場に認識されることも当面はないはずです。
安倍内閣の最優先課題が株式市場であり(株が上昇すれば日本経済全体が回復していると信じ込んでいます)、黒田日銀総裁の最優先課題が国債利回りの低下(つまり金融抑圧)である以上、当面は「国債利回り低下」「円安」「株価堅調」となるはずです。
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※ この記事について注意してほしい点。
闇株新聞氏はあくまで国内経済と政権の経済政策についての限定した議論であることに注意してください。
「金融抑圧」についての解説なので、米国、EUなどの動向は一応捨象されています。
とりあげると彼のブログに収まらない分量となるでしょう。
現実には今、米国の長期金利は上がり始めているし、EUの再度の破裂はいつあるかわかりません。中国の影の金融規制が円滑に実行できるかも問題です。
資本の移動はフリーですので、いつ大規模資本流出や金融側がインフレ期待に発展する可能性はあくまで否定できません。
例えばひとつ、日本の国債市場が官製談合であることなど、まだ海外にはよく知られていません。
従ってバブルリスクは常にある、ということも事実です。
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