小沢氏12/19早大講演(2)北東アジア、テロ、質疑
2013-12-30

小沢氏12/19早大講演(1)からの続きです。
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こういう日本人の曖昧さ。外交交渉は,非常に苦手です。ですから,私(わたくし)が最初に行った時は,そこから始まったんです。
それでもう,アメリカの言う通りしろというんだから。携帯電話の時も,日本じゃこんなバカみたいデッカイ携帯電話でしたけど,自動車電話としても使ってたわけですね。
私はそのセルラー良いだろうとは思うけれども,それを使わせる電波がない,といったんですよ。そうしたら何て言ったと思います。
日本で今使っている自動車電話,携帯電話の電波を「俺によこせ」といったんです。 まともな顔してホントに言ったんですよ。(会場・笑)
「お前,何を言うか」と。
じゃあ日本が逆にだね,お前達が一般国民が使ってる此処の部分の電波,日本によこせっつって「ハイ分かりました」って言うかっちゅうの。
こういう非常識なことでも,平気で言う。どこまでも来る。
ですから私(わたくし)は,そこを解きほぐすのに,1週間か10日くらい,かなりの交渉しましたけれども,そういうことが必要だったというのが,現実です。
アメリカ人はとても人が好(よ)くて明るくて陽気で善い人達ですよ。
だけど,実際に政治を行なうような支配層と言いますか,エスタブリッシュメントと言いますか,そういうリーダー達の感覚は,そんな程度です。日本に対して。
これを日本人はね,よっぽど頭に入れておかないと,間違います。
アメリカのことは,それぐらいにいたしまして,今の中国と朝鮮半島ですがね。中国も,これは引くに引けないです。
私がかつて中国に行った時, 「 尖閣問題は何れ解決しなければだめですよ。私,民主党内閣になったら解決します」と言ったんですけれども,その時相手方は「いや,これは鄧 小平さんが言ったように後世の世代の人達に任せようという解決で」って言った。「いや,後世の世代といったって,鄧 小平さんからもう20年も30年も経ってますよ」という話ししたんですが,
何れにしろ中国としても引くに引けないですね。
あの胡 錦濤・野田会談以来ですが。
特に最近の中国は非常に国内の治安が悪化しております。
そりゃそのはずなんですね。
僕は彼等にも面と向かって何でも言うんですが,共産党の一党独裁と,市場経済とは,その原理,相反する。両立できないよ,と。市場経済は何かというと,自由な商取引を前提としている。
経済の自由というのは,政治の自由につながる。だから必ず,一党独裁・共産党政権との矛盾が起きてくると言った経過があるんですけれども。
何れにしろ,非常に貧富の格差が大きくなって,色々な問題が起きる。
それから,多民族の国家ですから,此間,天安門に突っ込んだり,或いは新疆ウイグル自治区での,いつもと言うか最近ずうっとですが暴動が起きたり熱河・承德・満洲皆同じですけれども,そういう内政上の事情がありますから余計引けない。
常套手段として,内政で問題ある時は外に強く出るというのが,政治の常套手段です。
ですから,ここは本当にお互いの信頼関係と誠意を持って早く解決しておきませんと。
此間は,船が巡視艇に衝突したぐらいで終わりましたけれども,今度は防空識別圏ということになりますと,軍の領域になってきますから,偶発的 な事故が起こらないとは限らない。
そんな危うさを非常に含んでいると思っています。
それから,歴史問題もそうです。朝鮮半島。
これも朴大統領は,とにかく慰安婦始め歴史問題を非常に強く主張しておりまして,安倍さんが「そんなことは私じゃなくて後世の歴史に任せる」なんていってますけれども,後世ったって,あれから60年も70年も経ってんですから。
今,政治が現実の問題として判断しなければならない。
どういう判断をするかは,その政府の決定に依るわけですけれども,何れにしてもそういう中で(判断しなければならない)。
朝鮮半島でも北朝鮮は凄いですよねえ。近所の国で,ああいう所あるんですものねえ,今なお。
自分が第1書記に就く時に後ろ盾になってくれて応援してくれた叔父さんをね...ありゃあ,もう...処刑しちゃうんだから。殺しちゃうんだから。
そういう国が現実に存在している。
しかしこれはね,恐怖政治。皆に恐怖を植え付けるんでしょうけれども,恐怖政治はこれまた歴史の中で,長続きしたことはありません。
民を治めるのに,暴力や恐怖で治めることは,できません。(断固として)
従いまして,北朝鮮の内情も非常に深刻なんだと,私は思います。ですから、そのぐらいのことを,やらなくちゃならない。
だいたい政権ちゅうのはね,国民の色んな意見をね,「力 」でこれを圧殺しよう抹殺しようとした時には,崩壊が始まってます。
それも歴史の教える処です。
ただ,北朝鮮のような場合は,韓国国防相があの後全軍の司令官を集めて,期日を限定して言いましたよね。
「1月から3月の間に必ず軍事的挑発行為があるだろう。どのような行為があろうとも断固反撃できる態勢を取っておけ」と全部隊の司令官に指示を出しております。
これはもう私も覚えてませんが朝鮮動乱のことなんか,皆さん分かってないと思いますが,北の軍隊が南下しまして,朝鮮半島を席巻し,残るは釜山(プサン)とその周りだけになりました。
時の連合軍司令官マッカーサーがソウルの西の港の仁川( ジンセン)という河港から逆上陸して,北の軍を追い払ったんですが,危ういと見た中共・人民解放軍が参戦してまた後退し,今の38度線になったんですが,
これはね,本当に純軍事的に見ますと,北朝鮮が突然南下したら,とても韓国の軍隊やアメリカの二個師団では,多分,防ぎようがないですね。もう一度,戦後の朝鮮動乱の二の舞になる可能性が非常に強い。
核兵器や何かは使えないですから。
すると通常兵器での戦いは,奇襲のメリットを持ってる所が強いに決まってる。
それで,ソウルは,北朝鮮からの長距離砲の射程範囲内です。脅かしにね「 一瞬にしてソウルの火の海だ 」って北朝鮮の軍人が言いますけど,本当なんです,
事実。長距離砲の射程内で,本気でやればソウルがいっぺんに壊滅するというのが現実の状況です。そういうことをやるかどうかは分かりませんが,非常に危険を孕んでいる。
中国も色んな地域で,さっき言ったように色んな暴動が起きてんですね。
そういうことを考えてみますとね,日本の位置するこの北東アジア・極東というのは,非常に不安定な政治状況の下にある。
日本人はまだもう天下泰平で良いことがずっと続くみたいな気でおりますけれども,周辺の国々は,そういう状況にあるということであります。
中国のことでも,天安門に突っ込んだなんていうことはね,前代未聞ですよね。
これをね,中国政府はテロと言いますし,アメリカもあの国際ビル(WTC)の攻撃をテロと言いますけれども。
テロ,即ち,暴力に依って或いは武力に依って,ひとを納得させよう,或いは征服しようということは,もちろん,認めることはできませんし,これを排除しなけりゃなりません。
しかし皆さんね,テロと言いますと,今言ったように,テロと絶対対決しこれを排除しなきゃいけないと思う人? (右手を上げて,賛成の挙手を問う)
どうですか,テロは(排除すべきと)思います?
(会場・沈思黙考状態で,挙手ほとんどなく,静けさに包まれている)
思わん?!
テロには絶対,対決し,これを阻止しなきゃならないと,皆さん思います?
(左手を上げて,再度,挙手を問う)
(挙手がないので) 思わないか?! (会場・笑)
これもまた,珍しいなあ。(会場・爆笑)
まあ普通一般,そう言いますよね。「テロはいけません」「暴力はいけません」
じゃあ例えば,今言った中国の例を取ると,新疆ウイグル族ですね。
これは古くには蒙古高原にいた種族ですけどね。これが漢族 ・漢民族の支配に抵抗して,色々今,襲撃事件や何やら起こしている。これを中国政府はテロだと。もちろん中国政府はテロだと言うに決まってますが。
これテロだと思う人?(再び,右手を上げて,賛成の挙手を問う)
いない?! (会場・少し笑)
じゃあ,正当な行為だと思う人?(再び,右手を上げて,賛成の挙手を問う)
どっちも,いない。(会場・爆笑)
(会場奥を指して) ああ,そちらに(います)。
(会場から「独立運動で...」と発言がある)
うん。
だから,独立運動とテロとは,どう違うか,ということなんですね,民族運動。
テロというのを,例えばですよ,ロシアのチェチェン共和国ってありますね。チェチェンって,知ってます? コーカサス地方の。これは,7代まで親の仇を知ってるという,もの凄い民族ですけどね。
このチェチェンも最近まで,ソビエト以来,ロシアと武力抗争をしてましたね。
これ,テロですかって言うんですね。
テロだったら徹底的にやっつけなきゃならないでしょ。ところがこのチェチェンつう所は,ロシアの。女帝エカテリーナ,ロマノフ王朝の,この時にコーカサスを攻めて,そして確か何十年かかって,ようやく,征服したんですね。しかしそれ以来ずうっと数百年に亘ってチェチェン民族はロシアに反抗してんです。
これを,テロと言うのかということになるわね。
じゃあ,武力でチェチェンを支配したロシアの行為は何だ,ということです。
うん。
中国と言うと,新疆は清朝の領土ですからね。満洲族の清朝の。今の中国の領土というのは,清朝の領土。
もっと清朝は大きかったですけれどロシアに全部削り取られてね,今の国境線になりましたけど。
じゃあ例えば,パレスチナはどうだろう。
パレスチナもテロですか?
テロだったら,徹底的にやっつけなきゃならないでしょ。
だから,そのようにですね,非常に単純に「いやテロだ」「いや民族運動だ」「いや何だ」っつって,一線を明確に引けるわけじゃあないんですね。
そして,アメリカはアフガン戦争する時に「 これはアメリカの戦争だ 」ってブッシュ・ジュニアが威張ってね。
他の連中が何言おうが「俺・アメリカがやるんだ」っつってアフガンに進駐しましたけどね。
結局上手く行かなくて,皆に泣いて回ってね。国際社会でもっと助けてくれということになったんですが。
この時にも,アメリカは,チェチェンの方はテロだと,新疆の独立運動 もテロだということを,ロシア,中国と妥協したんですね。
それでアフガン侵攻を認めさせた。
ですから,そういう意味で,非常に国際政治というのは日本人の考えてるような,そんなヤワなものじゃないんですよ。
本当に,生き死にを懸けた,国家と民族の生き死にを懸けた闘争なんですね。
日本というのは,非常に幸いなことに何千年と平穏な日々が続いてきました。蒙古襲来も「神風」の御蔭で撃退できた。
そして,文明開化して初めて太平洋戦争をして負けた,ということになるんですが,それ以前,日本の国家の形成の過程を見ましても,民族形成の過程を見ましても,ほとんど争いらしい争いは無いんですね,国民と国民による。権力者同士の争いはありましたけども。
弥生時代以来ね,まあ縄文時代も含めてかな,大陸や朝鮮半島から 300万人か 400万人の人達が日本列島に移り住んだと言われております。それは何百年かかけての話しですが,その数がね。
その当時の日本の人口は 200~300万人じゃないかなと言われてるんですけれども。
それと同等の人数が,何百年かかけてですけれども,大陸から朝鮮半島から移り住んだ。
にもかかわらず,血みどろの戦いというのは,ほとんど歴史の中に顕れておりません。その後も,あまり無い。
ですから,そういう意味で,日本は非常にラッキーな平穏な国家として,ずうっと来たわけですね。だから,外交交渉,他民族との交渉なんちゅうのは,非常に苦手なんです。
ところが大陸の国家というのはね,そらあもう戦争になったらね,女性以外は,男は子どもだろうが何だろうが皆殺されちゃって,戦争に負けりゃあね。
その繰り返しで来たわけです。ですから非常に,外交交渉も,非常にシヴィアです。
そして自分の主張を何処までも言います。
さっき日米交渉のことをちょっと言いましたけれども,日本人じゃあ「そんなバカな」と思うようなことも,どんどん言ってくる。( こちらが )下がりゃあ,何処まででも,どんどん,どんどん押してくる。
それは当然,自分達の国益を代表してやるんですから,当たり前なんですけれども。
そういう人達を相手にして日本の生存を図って行かなくてはならないということでありまして,ただ単にですね「 中国怪しからん,韓国怪しからん 」と(言っても)まあ怪しからん処はあるでしょうけれども,それだけで済まないし,単にアイツ等が悪いんだと言うだけでは,国際政治の問題は解決しません。
私(わたくし)はその意味で,非常に今日(こんにち)の安倍政権ですけれども,大変危惧の念を強くいたしております。
(安倍政権は)非常に危うい。
危うい。脆い。
私( わたくし )はそのように思っておりまして,これから本当に日本が,世界中の国と伍して,日本の国の国民の生活の安定を,日本の将来を図っていく ためには,もっと,しっかりした,自立した日本人。そしてちゃんと彼等と対等に話しのできる日本人にならなければ,ならない。
政治制度で言えば,きちっとした民主主義を理解し,民主主義の政治制度を日本に定着させなきゃいけない。
そういうふうに思っております。
今日は何か質疑があれば,質疑をということでございましたので,私(わたくし)はの話しは,この程度で終わります。
たいへん面白くない話 しで,失礼をいたしました。(小沢氏・笑顔)
有り難うございました。 (会場・拍手)
司会 ; それでは質疑応答に移らせていただきます。

質疑応答
質問者 A ; 今日は役に立つ講義を有り難うございました。一般人の○○と申します。2点ほど小沢さんにお尋ねしたいことがあり,お願いしたいんですけど,先ず1点目,原発のことで小泉さんのことを言われたんですけど,僕も反原発主義者なんで,できたら小沢さん,小泉さんと組んで頂いて(小沢氏・笑)そのことを強く国民に訴えていただきたいんです。(小沢氏 ・笑)
それと,7年後に日本でオリンピックが開かれるんですけど,日本人はまだ何か,脳味噌の中の物差しがグローバルになってない気がするんですよね(小沢氏・頷く)。
だから,どういうふうにしてったら,小沢さんやそういう政治をされている方々が考え方をグローバルにしてってくれるのかなと思うんですよ。
例えば新宿区だと路上に4か国語で「路上での喫煙は止めて下さい」って書いてあるんですけど,日本人は平気でその上を吸いながら歩いて行くんですよ。
ていうことは外国人から見たら,日本人って文字読めないんじゃないかなと思われてしまうんですよね。どうでしょうか。すいません。お願いしまーす。
衆議院議員 小沢一郎 生活の党 代表
小泉さんのことはね,まあ彼は彼の主張と立場があるでしょうから。
そして,彼は彼で,私は私で,その立場でやってた方が,却って効果的だと思いますので。
もちろん,そういう巡り合わせになれば ,同じ意見だとすれば ,協力するのは吝(やぶさ)かじゃないですけれども,
現時点ではむ しろ,それぞれでやった方が,僕は良いと思っております。
それから2番目のことはね,やっぱりさっきからずっと言ってるように,もう少 し日本人は自立して,そして,自分の判断力をもう少し養い,自分の責任でやんなくちゃいけない。
その,区が決めたとか,都が決めたとか,国会が決めたとかつったって,それは自分達の代表が決めたルールですから,ルールになった以上は,守らざるを得ないということが,少しその点欠けているんじゃないかと私は思っております。
司会者 ; 有り難うございます。学生の方,質問される方,いらっしゃいますか。
質問者 B ; 法学研究科の○○○と申します。今日は有り難うございました。早稲田大学は,政治家を志す学生が多いと思うんですが,小沢先生から見て,選挙でも,政治の世界でもいいんですけれども,何かこれだけは止めておけ,っていうような(会場 ・笑)先生からのアドヴァイス・失敗談などがありましたらぜひ教えていただきたいと思います。
衆議院議員 小沢一郎 生活の党 代表
政治志す,に関して ?
質問者 B ; そういう学生がいると思うんですが,先生が,選挙でも政治の世界でも,これだけは止めておけというアドヴァイス・失敗談がありましたら,ぜひ教えていただきたいと思います。
衆議院議員 小沢一郎 生活の党 代表
あの,人生で ? どういうこと ? その...政治家として?
質問者 B ; 政治家としてでも,人生としてでも良いんですが,学生に向けて,これだけは止めておけという...(会場 ・笑)
衆議院議員 小沢一郎 生活の党 代表
止めとけというよりも,あらまほしい(=そうあってほしい。理想的である)ということとしては,鵬志会の名の通り,最初に言った通り,志を持つこと。
それからやっぱり僕は「誠」という字,新撰組じゃないんだけれど「誠」という字が好きでね。
「百術は一誠に如かず」と色紙に書くんですけれども,とにかく一生懸命やってればね,一生懸命,誠意を持って,何事も,自分の為すべきことを成す,ということで。
他人から言われたから,どうだとか何とかいうのは,止めておけという方じゃないですかね。
やっぱり自分の思った通りで,きちっと生きるということで。
他人(ひと)の言ったことに右顧左眄する,或いは,命令されたからシャアないからやるとかいう類いの生き方は,よろしくないと思います。
その,誠意を持ってと裏腹にだけど,私はこの世界にいてね,もうずうっと色んな...まあ,こういう言い方はあれだけど...裏切られることも騙されることも,いっぱいあったけどもね。(会場 ・笑)
「お前は,なんかまあゴッツそうに見えてて,しょっちゅう騙される」つって仲間に言われるんだけども,やっぱ,騙すより騙されるた方が良い,という言葉がありますけれども,僕はそれが当たってると思いますね。
これまた僕が言うんですけども,ちゃんとね,やっぱお天道様が見てるんですよ。
うん,そりゃあ夜陰に乗じて上手いことやったと思ってる連中も,やがて朝が来て白日の下に晒される。
だから,天は必ず見守ってるから,自分の信念に基づいて,誠意を持って(やる) 。
他人(ひと)を騙す,引っ掛けるということだけは,やんない方が良いと思いますね。
それは当面,何かの利益は入るかも知れないけれど,全体を通してみたら必ず,自分にとってマイナスだね。
愚直に生きることが大事だと思いますね。(会場・大きな拍手)
質問者 B ; 有り難うございました。(会場 ・大きな拍手続く)
質問者 C ; 貴重なお話しを有り難うございました。早稲田大学1年生教育学部の○○○と申します。
先程,アメリカとの関係をお話しなさっていて,日本とアメリカの関係が平等ではないというような小沢先生の話しを伺っていて,そこで今話題になっている秘密保護法について考えてみたんですけれども,やっぱり対等な関係にしたいからこそ政治家の方々は秘密保護法をそこで作ることによって秘密を守っていくことで,信頼を得たい。
先程,小沢先生が仰っていた,すぐ秘密が漏れてしまうからアメリカ側は秘密を教えたくない。確かにすごい納得できる考え方だなと思うんです。
ただその一面,危険性も孕んでいて,それを知っているからこそ,国民の人がデモなどで動いているということもあって,そういう人達が夢を持って, 学生達も,そういった,秘密保護法によって禁止されたくない夢を持って動いている人達に於いて,そういったものが考えられないこともある。
そこで秘密保護法を制定することによって,日本とアメリカが本当に対等な関係を結べるのかどうかについての,小沢先生のお考えを伺いたいです。お願いします。
衆議院議員 小沢一郎 生活の党 代表
全然,対等にはならないね。こんなの作ったって。(会場・笑。大きな拍手)
要は,アメリカにとって都合良いから,やれと言ってるんでしょうね,陰ではね。
ですからもし,特に安全保障に関してですからね。
軍事機密(保護が)必要ならば,自衛隊法や,公務員法を,厳格にすりゃあ良いだけですから。
この秘密保護法というのはね,何がいけないかって言うと,非常に,雑な,乱暴な法律案 (だったし)法律なんですよ。
それで,アメリカよりも日本にとって,より危険なのは何かって言うとね,日本ではやっぱり官僚機構・官僚の力がもの凄く大きいでしょ,アメリカより遥かに。
ですから,大雑把な括り方をしますと,執行者の裁量の余地がううんと大きくなるわけだ。
税務署だって,そうでしょ。
働いてる人は分かると思うけれども。特に企業経営なんかはね。
税務署の鉛筆の舐め方次第で(同じ申告をしていても)これは経費だとか,これは経費でないとかって,税金の額が変わっちゃうでしょうが。
もの凄く,裁量の範囲が大きいんですよ。
ですから,そういう意味でね,官僚の悪い意味での支配がますます大きくなる。(小沢氏 ・ 厳しい表情)
特に,刑罰を科すことになってますから。
その刑罰を,法律に基づいて,法を執行しようとするのは,誰か。
検察と警察です。
今でさえ,僕なんか,何んも疚しいこと無いのに,検察にそうされた。(会場・大きい拍手) ほおんと,酷いでしょう。(拍手大きくなり続く)
検察審査会なんたって,あの報告書は,現職の特捜の検事がデタラメ書いて,検察審査会を信じ込ませて起訴させたわけです,ムリヤリね。
その(偽造文書を作成した)検事は,何のお咎めも無く,無罪釈放になってんですね。
有印公文書偽造。法律家の,法学部の人は,刑法を見て下さい。これは大変な犯罪なんですよ。 (会場 ・大きい拍手)
今でも,そんなことが平然と行なわれる。
何の責任も取らないよ,彼等は。
3年半以上に亘って,僕は,検察の捜査と裁判でずうっとやって。申し訳ないって,何かお詫びでもされるんなら,まだ別だけれども(会場 ・笑)なあんか全然。
「まあ,あれだけやりゃあいいや」みたいな顔されて。(会場 ・笑)
そういう日本社会ですから,(小沢氏 ・再び,厳しい表情になり)この法律に基づいて,何が特定秘密なのかは,一切,国民には分かりません。全部,役所でペタペタ,ペタペタ,マル秘の判子押してるだけですから。
そして,その犯罪。法学部の人は法律用語を分かると思いますが,犯罪の構成要件。罪刑法定主義。
(秘密保護法の)犯罪の構成要件は,非常に大雑把で,曖昧です。
ですから,ケチつけようと思えば,何でも,つけられるみたいな話しになっちゃう。
今でも(すでに),選挙法であれ,政治資金規正法であれ,或いはさっき言った刑法であれ何であれ,官僚の=お役所の判断次第で,国家権力を背景にした権力行使が可能な,日本社会なんです。
それを,秘密保護法を作ることによって,この漠然とした中で行なわれることは,空恐ろしい考えがします。
ですから戦前の治安維持法より,もっと大雑把で,荒っぽい法律だって言われるのは,そこに(原因 ・本質)があるわけです。
そういうことでね,アメリカはある意味で,都合良いかも知れません。だけど,それでね,日本は対等な国家だなんて,全然,思いません。
日本はもっともっとね,日本として果たすべき役割を,きちっと果たして行くということ。
そして言うべきことを言う。という処に,初めて信頼関係ができるんですよ。
私がさっき言った日米交渉でも,もうトコトンやり合ったんです,朝から晩まで。怒鳴り合うようにやり合ったんですが,最後にはね,お互い “ Good work ! ” って。「良く仕事したね」「いい仕事したね」っつって,ニコニコして別れる。
そして,その時の喧嘩相手が,その後ずうっとアメリカの近しい友人として,色んなことを,情報を教えてくれましたね。
だから,そういうようにね,言うことを,言う。
そして約束したことは,守る。
嘘はつかない。
相手を騙さない。
そういう基本のことはね,日本人同士でも日本社会でも(そうすべきで),対外的には特にそうです。
きちっと言わなければ,ダメです。
自己主張のない人間は,軽蔑されます。彼等が自己主張の社会だから。
だから,そういう意味で日本の社会で「まあ,まあ,まあ,まあ」波風立てずにという類いの手法は,これから皆さんが実社会に出たら,それは日本人同士の時はそれで良いけれども,外(国)人には通用しないということを,良く理解していた方がいいと思います。 (会場 ・拍手)
質問者 D ; こんにちは。お話し有難うございます。現在,退職して,若者の社会参画をもっと促そうというNPOを設立中の○○○○と申します。
質問なんですけれども,若者は大志を抱いてどんどん色んなことをやっていくと良いというのは非常に励まされたんですけど,一方でやっぱり政治においての投票であったり陳情であったり,若者からの声が少ないと思うんですけれども,高齢者向けの政策,結構手厚くやってると思うんですよね。
その中で,小沢さんが考える「若者向けの政策」小沢さんの党で今どういうことを主張されてるのかというのが1つと,あと,投票とか,どのぐらい陳情されたら若者向けのマニフェストも入れるかも知れない,入れざるを得ないっていうぐあいになるのかなと,ちょっとお聞きしたい。
衆議院議員 小沢一郎 生活の党 代表
ん? 次のやつ(=質問)が,ちょっと意味分かんないけど。
質問者 D ; 例えば,若者からの投票率,こんぐらい上がるとか,事務所にもっと投書であったり,陳情がどんどん来ると,マニフェストをもっと若者向けにも作っていかなきゃいけないかなって思う,っていう...どういうアクションがあったら良いんですか。
衆議院議員 小沢一郎 生活の党 代表
若い人達向けにという,私は,特別の制度的・予算的な処置というのを,特別扱いして考えるという必要はないと,思ってます。
年寄りはね,だんだん,だんだん身体も動けなくなるしね,医療費もかかるとか色んな問題があるんで,そこはきちんとしたシステムを作って行かなきゃならないと思ってます。
若い人の場合は,君がNPOをやるとか或いは普通の会社に就職するにしても,その,雇用の政策とか,雇用の制度とか,或いはNPOをきちんと支援して行く仕組みとか,そういうものを作って行くということが,私(わたくし)は大事だと思って(います)。
直接,金を投入して,どうこうすると言うよりも,若者がその自らの志を自由に活かせるような環境を作って行くことが大事だと思います。
特にNPOちゅうかヴォランティア活動なんかの場合は,これも欧米との比較になるけれども,(欧米では)そういった活動に一般の人がもの凄く金銭的にも支援するんですね。
日本の場合は,そういう習慣があまりないでしょ。だから,こういうことも国民全体として考えて行かなきゃならない。
そういう,役所から補助金を貰ってやるというようなことは,あまり良い考え方ではないと,僕は思います。
やっぱり自分達自身で,若いんだから,走り回ってでも皆に頼んででも,資金のことであれ或いは目的の行動であれ,やって行くという姿勢が,私(わたくし)は大事じゃないかなと(思います)。
もう1つ,雇用の問題はね,今,非正規(雇用)が4割になってますよね。
そしてニートも何十万人と言われてますけども,これは,安倍内閣の何とか審議会で,正規社員,残りの正規社員6割を皆,非正規社員にしちゃおうというような考え方が打ち出されてるんですね。
これはアメリカから言われていることも事実でしょうけれども,これをさっき言ったね,アメリカ流の雇用体系・雇用の仕組みを作ろうということになるわけですけれども,これは本当に社会生活を不安定にするものですし,私(わたくし)は色んな意味で,日本社会の変質をもたらすのではないかなと,思っております。これは,経営者の方も,それから働く方もね。
日本の雇用制度というものは,プラス・マイナスありますけれども,やはり非常にプラスの面まで失われてしまうんじゃないかなということを心配をいたしております。
単なる企業のコストの論理だけで,全部を支配してしまうというと,まさにアメリカ的な感覚・社会になってしまうというふうに思ってます。
少なくてもそういった面での,若い人達への支援の環境整備をするということが,政治の仕事であって,後はぜひ若い人達の力と意志とエネルギーで,道を拓いて行っていただきたいなという気がします。(会場・大きな拍手)
司会者 ; 有り難うございました。時間が迫って参りましたので次の方で最後の質問者とさせていただきたいんですけれども,何か質問がある方いらっしゃいますでしょうか。
質問者 E ; 今日は貴重なお話し有難うございます。一般人の○○○と申します。先程,官僚の権限が大き過ぎると言うお話しをされてましたけれども,自分も,今起きている問題の多くは,官僚の権限が大き過ぎるからだと思っておりまして,それで,きのう,みんなの党から離脱した江田さんを始めとする議員の方が,結いの党というのを結成されましたよね。 そこでは官僚政治の打破を言っておりましたけれども,現段階で,生活の党としては,その江田さんの所と一緒にやれるかっていうふうに思っていらっしゃいますか。(会場・少し複雑な笑)
衆議院議員 小沢一郎 生活の党 代表
要は,これからの,特に野党を中心とした,再編というのは,さっきから言ってるような大きなテーマについて,基本的に合意してやって行く,と。
ですから,自民党の中から参加しても民主党から参加しても良いんですけれども,そういうことが基本だと思っております。
江田さん始め,皆さんが,さっき言ったようなテーマについてコンセンサスが得られれば,それはどなたとであっても協力してやって行かなくてはならないだろうと思っております。
ただ,みんなの党もね,秘密保護法の共同提案者になってるんですよね。
だから,そういうことだと結局...まあ江田さん達はその時どう考えたのか分かりません。
それが1つの,離党する原因だったのかも知れませんけれども。
いずれにしても,そういった,もの凄く基本に関わる,日本の社会・日本の将来,基本に関わる問題が今,出されてますんで。
枝葉のことはどうでも良いですけれども,こういったことについて,そういう大きな基本の問題については,意見の一致する,そういう人達が集って本来の政党・グループを作り上げて行く,と。
ですから,もちろん江田さんのグループであれ,どなたであれ,そういう気持ちを考えを持った人と一緒にやって行くということは,その通りであります。
質問者 E ; 有り難うございました。(会場・拍手)
司会者 ; もう少しだけ時間がありますので,あと一人だけ最後に。
質問者 F ; 貴重な講演,有り難うございました。(早稲田大学)政経(学部)1年の○○○○と申します。今,会場の色が小沢さん一色で,非常に質問しづらいんですけれども,今の講演の中であまりお話しに上がらなかった民主党について伺いたいんですけれども。
野田さん,民主党政権が下野して安倍政権になって,それが最大の経済効果となったのか,上辺だけなのかも知れませんけれども,景気がどんどん上がって来ていると。そのような状況の中で民主党の3年間というのは,何がいけなかったのか,と。小沢さん自身はやりたいことがあって,まあ反省することも少ないかと思うんですけれども,何が3年間いけなくて,国民の信を失って衆議院選挙で大敗するという結果に至ったのかということを,ちょっとお伺いしたいです。よろしくお願いします。
衆議院議員 小沢一郎 生活の党 代表
私(わたくし)自身はさっき言いましたように,総選挙の半年前からずっと,検察の捜査に行動が制約されておりましたので。
それだけに非常に,一生懸命つくった民主党政府が上手く行かなかったのを大変残念に思ってるんですけれども,民主党政府が上手く行かなかったのは,形で言うと,マニフェストを守らなかったこと(会場・拍手)。
中身で言いますと,官僚主導から政治主導へ・国民主導の政治へと,その具体的な方法論として,お金も財源も権限も,身の回りのことに関する限り全部,地方に遣(や)る,と。中央政府は,国家レヴェルのことに官僚も政治家も集中する,と。
そういうことが,あらゆる政策の根幹だったんです。或いは,前提になってたわけです。
けれども,私はどうにも解せないんですけれども,多分、民主党のその後の権力の座にずっと就いてた人達も,自分達で主張したことについての認識が,凄く不足していたのではないだろうか,というふうに思います。
或いは「どうせ,あれは選挙の時のことで,できっこないよ」という意識だったのかも知れません。
ですから,本当の(主張),我々が主張したのは,まさに革命的な改革なんですね。まあ革命たってね,歴史で言う俗な革命ではないですけれども。
中央集権的な国家体制から,地方分権的な体制へ,と。
中央政府はコムパクトで,しかし国家のレヴェルについては強力な政府をということだったんですが,そのことが全く理解されなかったのか,認識が不足してたのか,どうせできなかったと思ったのか,知りませんけれども,結局,官僚に負んぶに抱っこという形になってしまいました。
これが結局,国民の皆さんの失望を大きくしたんじゃないでしょうか。
官僚まかせなら,まだ手慣れた自民党の方がいいやっちゅう話しになっっちゃいますからねえ。
ですから,そこの,基本を,そしてマニフェストの基本になっている,そういう理念を忘れてしまったということが,私は,民主党の失敗の最大の原因だと思います。
これはね,簡単なことじゃないですから。
そんなに,すぐできる話しじゃないですよ。
ただ,さっきも申し上げましたように,人間はね,やっぱり,皆との約束,約束したことは守る。
その約束を守るためにね,懸命に努力をする。結果的に約束通りできなくてもですよ,守ろうとして一生懸命努力する,その姿が私(わたくし)は尊いんじゃないかと思うんです。(会場・大きな拍手)
ですから(拍手続く)それが全く,民主党政権には見られなかったということが,期待が大きかっただけに,大きな反動となってしまったんじゃないかなと,そう思います。
だからと言って,さっき言ったように(国民は)自民党政権を積極的に支持してるわけじゃないですね。
今なお,その後の地方選挙を見ても,自公の候補と野党サイドの候補と1対1で争いますと,自公の候補者はほとんど敗れています。
ですから,国民の皆さんは,期待してんですよね。
自民党政治というのは,もう散々,半世紀以上も分かってんですから。そうじゃない新しい手法の新しい発想の理念に基づく政治を,期待しているんだと思うんです。
ですから,その期待に応えるような努力を我々がやることによって,本当に国民本位の政治が,少しでも実現に近づくんじゃないかと,そう思っております。(会場・大きく長い拍手)
司会者 ; 有り難うございます。これを持ちまして講演会を終了させていただきます。
小沢一郎先生,本日は,本当に有り難うございました。(会場・拍手)
衆議院議員 小沢一郎 生活の党 代表
有り難うございました。(小沢氏・会場1階,2階,左右に向かって礼,会場 ・大きく長い拍手続く)
(了)
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