小沢氏12/19早大講演(1)原発、TPP、外交
2013-12-30

衆議院議員 小沢一郎 生活の党・代表
特別講演「 覇道の政治から王道の政治へ 」 2013年12月19日(木) 早稲田大学 大隈大講堂 書き起こし「銅のはしご」氏から
衆議院議員 小沢一郎 生活の党 代表
皆さん,今日は。 (会場「今日は」の声と拍手)
ただ今,ご紹介をいただきました小沢一郎でございます。
実は,鵬志会の皆さんのお招きで,一度こちらへお伺いし駄弁を弄したことがあったんですが,聞いてみますと,16年前だったそうでございます。
ですから,こうして大隈講堂で皆さんの前でお話し申し上げる機会を得ましたのは16年ぶりということになるわけでございます。
皆さんに何をお話ししたら良いのか。
学生の皆な,何に関心があるのかなあ,ということで鵬志会の方にお尋ねをいたしましたら,まあまあ,あんまり七面倒臭い話しよりも政局談義的な話しのほうが良いと言うことでありましたけれども,
私(わたくし)はどなたに呼ばれても何処へ行っても,政局談義ちゅうのはお断りをいたしておりまして,一切 しないことにいたしております。
特に今日は,マスコミの人達も入ってるそうですから,余計なことを言いますと何を報道されるか(会場・爆笑)分かりませんので(笑),そういう意味もあって,あまり政局談義的なことは申し上げるわけには行かないんですけども。
私(わたくし)今,紹介ありましたように昭和44年(1969年)初当選で,今まで馬齢を重ねて来ているんですが,
だいたい皆さんの前で話しをするというのが,今以ってたいへん苦手でして,何処へ呼ばれても,なるべく紹介だけにして下さいといって話さないことにしているんですけれども,
話しが下手だから結局,話すのが嫌いになるということなんだろうと思います。
皆さんもわざわざ時間割いて聴く以上は,やっぱり面白い話し,笑えるような話しを誰もが望むんですけれども,
政治家も誰も皆な,そうですけれども,だいたい面白い話しというのは,みんな作り話しで,嘘が多いわけでございます。(会場・爆笑)
従いまして,特に政治家としては,私(わたくし)は口下手であると同時に,聴衆の皆さんの興味を惹く面白い類いの話しはすべきでないと,そう思っておりまして。
そうすると,あんまりややこしい難しい話しも駄目だし,面白い話しはできないし,何をするかなあと思って考えておりました。
いずれにしても,こうして皆さんの前に立つと,私(わたくし)も学生時代をふっと想い出します。
まあ学校の傍までは行きましたけれども,授業にはあまり出なくって,その意味で不良学生だったんですけれども。
ただ,ティーン・エイジャーの頃から,学校の勉強はあんまりしなかったんですけれども,やはり根が好きなんでしょうか,政治的な本とか或いは歴史の本は,私,特に歴史が好きなもんですから,他人(ひと)よりも多く読んでおりました。
人間の歴史,有史以来と言いますと,ほんの4~5千年のことでしかないんですけれども,この人類の歴史の中で色んな意味で,技術は驚異的な発展をいたしましたけれども,
ほとんど同じことをずっと繰り返して来ているのが,だいたい人間の歴史でありまして,その意味では人間の本性(ほんせい)本性(ほんしょう)と言いますか,考える限界というのは,昔の人も今の人も変わりないということだと思います。
ですから,皆さんも,政治に参加,或いは興味ある・参加するという人はもちろんですけれども,一般の社会人として生きていく場合もですね,結局は人間社会の人間関係なんですね。
そうしますと,その意味で一番参考になるのは歴史だと,私(わたくし)は思います。(人間は)だいたい同じようなことを本当に繰り返し,しております。
ですから,歴史を,ぜひ暇な時はページを捲って,好きな処だけで良いですから読んでみたら,何れ(いずれ)参考になるのではないかと思います。
それから,もう1つは,鵬志会。
おおとり 大鵬の鵬ですが,鵬(おおとり)の志(こころざし)と言う会です。
ですから,その名前の通り,若い人は本当に無限の可能性があります。
だんだん,だんだん年取るに従って可能性は萎んできちゃって空気の抜けた風船みたいになっちゃいますけれども,若いうちは,何処までも可能性がありますし拡げることができる。
どうか,そういう意味で,今日の主催の会の(名前)通り,大きな大きな志を(持って),どんな道に進んでも,もちろん良いわけですが,志だけは,大きく持っていくべきだと思います。
やっぱり大人になるとねえ,特に「最近の若い者は 」って口癖みたいに言うんで,これは年寄りのあれ(=常)ですけれども,しかし,事実でもありますし,現在の若い人たちの間には,そういった「志」とか,「夢」とかいうものが無 さ過ぎるという言い方は,一面,私(わたくし)は真実だと思います。
どうかそういう意味で,ぜひとも皆さんには,大きな志を持って(いただきたい)。
そして現実は厳しいから,なかなか実現しませんけれども「理想」とか「志」というのは,そう簡単に実現しないから理想なんですよ。
簡単にヒョイと実現するんじゃ,理想じゃありません。
ですから,最後まで理想を持って,高く掲げて,志を大きく持って,ぜひ頑張ってほしいなと,そう思います。
最初に年寄りの一言を申し上げたいと思います。
そこで今日,要請のあった政局に関連した話しですけれども,これ2部では「民主主義とは...」ということが,パネル・ディスカッションがあると,聞いておりますけれども,日本は,敗戦によって,戦後いわゆる欧米流の或いはアメリカ流のと言っても良いですが,制度を,民主主義の制度を導入しました。
これ,民主主義というのは何かと言いますと,政治的に言うと,国の最終の決定権は国民にある,と。
主権。旧い言葉では,主権在民。
最近の言葉では,国民主権,と言いますけれども,国民が,最終の判断を主権者として下す,ということであります。
そういう判断を下し,民主主義の機能をより良く発揮して行くためには,一人ひとりの国民が,自立しなければなりません。
私(わたくし)は理念として「自立と共生」ということを,ずっと前から言っておりますけれども,自立なくして民主主義というのはあり得ないわけでありまして,私(わたくし)はそういう意味で,何も欧米流の民主主義そのものを同じ考え方で(取り入れたり)まったく同じである必要は無いんですけれども,日本には日本の民族と国家の成り立ちありますから,それなりの要素が入って,当然良いんですけれども。
やはり,自ら,自立する,と。
自立とは何か。自分自身で考え,自分自身で判断し,自分自身の責任で行動する。
いわゆる良い意味での「個人主義」でありますけれども,それがありませんと,民主主義が成り立ちません。
その意味で私(わたくし)は,日本は,まだまだ民主主義国家とは言えないというふうに思っておりまして,日本人自身の自立を促し,自立した国民の集合体である自立した日本と,国家と,いうふうになって行かなくちゃあならない。
そう思っているんですけれども,なかなか,任重くして道通しの感で,政治の上でも,また国民の皆さんに対しても,この民主主義というものを日本に定着させる,という仕事は道半ばであります。
そういうことで,ぜひ,ね。皆さんもほとんど有権者でしょうから,先ず(選挙には)参加しないと(ならない)。
「良識ある棄権」とか何とかと言ってますけれども,選挙に棄権するというのは,これは,白紙委任ですからね。文句言う資格無い,先ずは。
ですから(投票行動は)せっかくの主権者の権限ですから,選挙には必ず参加しなくてはならない。
全部任したって人は,参加する必要はないんですけれども,そういう人は,後でブースカ文句言っては,いけません。任した以上は,陰で文句言うのは,それは宜しくない。
ですから,その意味で自分の意思をハッキリ表示することが第一でありまして,それによって民主主義は,成り立ちます。
ですから,どうか,せっかくの権利ですからね,ぜひ行使して頂きたい。
それから,まあマスコミが悪いんですけれども...余り言うとまた問題になりますから(会場・笑),僕がそういうこと言うと「アイツは選挙のことばあっかり言う」っつって,選挙が何か良くないことみたいな,俗に,風潮を醸し出しているメディアの対応ですけれども,今言ったように,主権者が主権を行使する機会というのは,選挙しかないんです。(断固として)
選挙に参加し,そして民主主義社会では,主権者の意思によって,政権をつくることができる。(断固として)
もちろん,変えることができる。
そういう仕組みが民主主義であって,ぜひそのことを,肝に銘じていただきたい。
それから特に,どいつ(を見ても)も碌な政治家いないし,どの党も碌な政党が無いと,こういうこともまた言われますけれども,人間社会にね,そんな完全なものなんか,ありっこ無い。
自分自身を振り返って見りゃあ分かることで。(会場・苦笑)そんなね,理想的なね,哲人はこの世に存在しない。
選択と言うのは,所詮ベターの選択。
ですから,どっちが良いかなと,どっちがよりマシかなと言う選択肢しか無いんですね。
だから,そういうことも現実に踏まえながら,ぜひ,有権者たる皆さんは,大事な貴重な権利を権限を,選挙の機会に行使してもらいたいと思います。
前置きはそのぐらいにいたしまして,その選挙の結果ですね,今,自民党政権・安倍政権が成立いたしました。
1年経ちました。「アベノミクス」という言葉が世間に行き渡りまして,マスコミの宣伝もあって,国民皆さんも何かより良いことが起きるような期待感を持ったのではないかと思いますけれども,その「アベノミクス」の最大のセールス・ポイントである経済も,今大企業中心に増益だと言う報道がなされてますけれども,年明け後の経済情勢については,必ずしも誰も自信を持って言えない。
というようなことでありますと同時に,懐のことが一番,国民の実際の生活には関心事なんですけれども,
経済的なことは極端に言えば,皆ながそれだけ我慢すりゃあ,食えなくなるわけじゃありませんので大丈夫だという言い方もできるんですが,今一番大きなテーマになっておりますのは,1つは,原発ですね。
私(わたくし)は,チェルノブイリの事故,そして日本の福島原発の結果を見て,これはやはり原発は,止めた方が良いと。
脱原発の立場なんですけれども。
まあ最近になったら,小泉何某って人がね,脱原発なんて言い始めて(会場・笑)私も最初ビックリしたんですけども,まあ良いことですからね,その意味では。
彼までが,言い出した。
それで,なかなか彼は勘のいい男ですから,多分,国民の意識がそういうふうに流れて行くだろうということで以って,言い出したんだろうと思いますが。
それはそれで良いとして,原発は,皆さんお解かりと思うけれども,非常に深刻な状況にあると私は(考える)。
民主党政権(の期間内)で起きたことなんで,あまり言えない面もあるんですけれども,この根本的な対策を講じないと,何十兆かかろうが何百兆かかろうが,放射能を封じ込めませんと,日本の将来は無い,と私(わたくし)は,そう思っております。
この問題も,日本のテレビ,新聞はほとんど報じませんけれども,皆さん,お調べいただければ分かる通り,外国では非常に神経質にこの問題が取り上げられております。
そういう,国内的には先ずは,何だかんだ言っても一番大きな問題だろうと,私は思っております。
それから,TPPの問題も,年を越すことになったようですけれども,これは,単なる関税交渉じゃあないんです。
どうせ農業のことだろうと,漁業のことだ農業のことだということで皆,片付けてますけれども,実はそうじゃないんですね。アメリカの狙いは,農業や漁業じゃないです。
農林水産業というのは,大事な位置付けをすべきだと僕は思ってますが,数字でGDPで言いますとね,全部合せたって12~13兆円なんですね。5百兆円の内の12~13兆円ですから大したことないんです,その意味では。
アメリカの狙いは,もっともっと大きな処にある。
いわゆる関税交渉,グローバリゼィションの名を借りたアメリカナイゼィション。
アメリカのルールを日本社会に適用しようという魂胆を持って,これに臨んでおる。
ですからね,毎日の買い物みたいに思ってますけれども,所詮,日米のバイの会合なんです。
バイの交渉なんです。
(バイ bilateral negotiation 二国間交渉)
私は,今の日本政府に,日本の官僚に,アメリカと差しで交渉する能力と力は無い,結局アメリカに寄り切られるんではないかと思っております。
私は戸別所得保障というのをやりましたけれども,農業や漁業の分野は,それだけの手当てと仕組みをちゃんと,セィフティ・ネットを考えりゃあ,日本の食糧の自給も充分できますし,たいしたことないんですけれども,その意味ではね。
その他の,健康保険にしろ,その他の大きな問題が,隠されておりますんで。 これも大きな話しで。
それから最近は秘密保護法,国家安全保障(会議)。
安倍内閣になりましてから,何でも「国家,国家」という言葉が多く用いられるようになりました。もちろん,国家は大事です。
しかし,国民あっての国家ですから。
国民が安心して,安定して生活できないで,国家は存在し得ません。
そういう意味で,ただ観念的な国家論を振り回すのは如何かと思っておりますが,そういう問題もあります。
憲法のことはね,何か旗色悪いと見えて,(安倍政権は)喋んなくなっちゃいましたけれども,そういったこともあります。
消費税が上がるということも,これは経済的な面でありますけれども,色んな問題が,今,国内的にも非常に大きな政治の課題になっております。
私はそういう意味で今日(こんにち)の状態で,選挙が民主党始め今の野党が国民によって選ばれなかった。これは,しょうがないですね。
民主党も結果的に国民の期待を裏切ることになってしまいました。私共含めて,それは仕方ない。
ただ,問題は,最初の民主主義の話しに戻りますけれども,何か無気力になってですね,あの強大な与党に,とても,とても敵わないという意識なのかどうか分かりませんが,第3極と呼ばれておる政党も,秘密保護法でも,自・公・維新・みんな,4党の共同提案。
自民党・政権に擦り寄るような形になっておりまして,明確に自分の主張を出し切れない,
ということが今の,政治の最大の悲劇と言いますか,欠陥だと思っております。
数なんて大したことないです。
まあ,これもまたマスコミがね「あんたの所も小さくなったし,野党も皆小っちゃくてダメじゃないですか?」なんて言いますけど,それはもう,不勉強な輩の言い方でしてね。
政権が,交代し易くなるように,私(わたくし)は小選挙区制度を一生懸命になって導入したわけであります。
自民党は昨年末の選挙も,夏の参議院選挙も,票は増えてません。
だけども小選挙区制度の仕組みによって議席は大きくなる。
それと,棄権が10%以上になりました。
さっき言ったように,この人達は白紙一任っていうことになってしまいますが,そういう中で,今の政治が行なわれている。
非常に私(わたくし)は,危うさを感じております。
今日は,時間も限られてますので,国内問題は別といたしまして,もう1つやはり問題は,日中。
それから,中国と朝鮮半島との関係ですね。
もちろん一番の問題は,日米関係なんですけれども。
「日米関係は大丈夫だ」 みたいに皆,マスコミを含めて日本人皆,思っているんですね。(やれやれというふうに首を傾げて) 日米関係「大事だ,大事だ」(と言うだけ) 大事なのは分かってますけど,じゃあ本当に日米関係が,日米同盟と言われるような中身に(強調して)なってるかって言うんですよ。
皆さん,本当にそう思います?
アメリカは日本のことなんか,ほんとにパートナー,同盟国なんて思ってないですよ。
まあ,言う通りついて来るポチ公で,お金をいっぱい持ってる。
必要な時,金出させりゃいいや,というくらいな感じなんです。現実にはね。
紹介にあったから言いますが,私(わたくし)が自民党の幹事長の時に,第1次湾岸戦争,中東のクウェートをイラクのフセイン大統領の占領・侵略があった。
この時に,米軍は50万の兵力を沿岸に駐留し,各国も兵力を出しました。しかし,開戦のね,前の晩。官邸で政府与党首脳会議が開かれた。
そして私は「単なるデモンストレィションじゃない。50万もの兵力を集中して,デモンストレィションで終わるなんということは,ない。必ず戦争になる」ということを主張したんですけれども,
政府側は,外務省を始めとしてですね「いや戦争にはなりませんね,絶対なりません」と言う。 夜中の12時ころでしたかね。そう言う。
私はこれ,別に直接的にアメリカと話しして情報を持ってたわけじゃありません。常識論として「戦争になる」と言ったんですが,「ない」と政府は言う。
それでしょうがない,家に帰って寝てましたら夜明けの4時頃,突然電話が来て「ただ今,アメリカから,本日の朝8時を以て開戦するという通告がありました」と。
ホントにバカみたいな話しでしょう。
何故,政府ってのは現実を目の前にしながら,そのことを判断できないのか。
アメリカから,何も知らされてないからですよ。日本に教えたって役に立たないし,情報は漏れちゃうだけだと。
4時間前に,アメリカ政府から,8時の開戦を知らせて来たんですね。
そんな程度なんですよ,日本というのは。
それから次の戦争(2003年イラク)の時にはどうだったか。その次の戦争,ブッシュはブッシュですけれども,私(わたくし)が小泉さんと,与野党の党首は集まれと呼ばれて,小泉総理の時の,このまんまだと,やはりまた戦争になるんじゃないでしょうか,と。
その時,日本はどうするんですかと尋ねましたら,小泉さんが「いやあ,そん時はそん時の雰囲気だ」といった。(会場・爆笑)
戦争になった時どうするかという問題をね,そん時の雰囲気で片付けるということ自体が,まったく奇妙な話しなんですが,何故,そう言ったか。
これも,何も(アメリカから)知らされてないからです。
そしてこの時は,アメリカから開戦=戦争が始まってから,電話が来た。
しかも大統領でもない,国務長官でもない。
あの時は確かアーミテージ(国務副長官)かな,の次官補かなんかの電話1本で「戦争が始まった」という通告があっただけ。
ですから本当に私(わたくし)は,日米同盟は大事だし,生命線です(と考える)。
しかし,そのためには本当に同盟と言われるに相応しい,パートナーに,日本はならなきゃならない。
そのための役割を果たさなきゃいけない,と思ってます。
しかし,今日は,日米関係はメインに話そうと思ったことではなくて,日中なんです。先ず,日中。
防空識別圏を突然彼等が設定した。これは非常識だし,直ちに「結構でございます」って言えるはずのものではありません。
何れにしろ,現実問題として彼等がそういうことをやってきた。
今,安倍さんも,或いはその他の人も,まったく首脳と話し合いができないという,異常な状態にあります。
これは,一番最初のきっかけは,これは民主党の総理なんだけども,野田さんがね,ウラジオストックかでASEANだったか (APEC※)の会合があった時,立ち話し的だったらしいんですが,当時の胡錦濤主席から「尖閣諸島の国有化は困る」と「国有化されちゃうと,ちょっと立場ない。それだけは止めてくれ」という話しをされて,(私は)その場にいたわけでないから野田さんが何言ったか知りませんがね,
良いような悪いような意味不明な話しをしたんじゃないかと思います。
外務省が後からになって「ちゃんと,あの時断った」なんて言ってますがね,そんなのウソッパチです。
断りっこないんです。
常にそういう曖昧な態度を取りますから,誤解を招き,また,軽蔑される。
結局,(日本に)帰って来た途端に国有化やっちゃいましたから。
中国としては胡錦濤主席がそうやってお願いしたのに,イエスとは言わなかったんでしょうけれども,良いような悪いような意味不明な返事だったんでしょうが。何となく,
俺の言うこと聞いてくれたかなあと思ってたら,途端にそうなったということで,まったくの面目丸潰れ,という処から始まったんですね。
私(わたくし)も日米交渉というの二度三度と。
私は外交の専門家ではないですけどね。誰も行く奴いなくなって,役人も政治家も誰も行かない。「お前 行 け」なんつって言われまして,最初は,建設交渉ちゅうのがありました。
それから,オレンジ・牛肉の交渉もありました,同じ時期に。それから,皆さん今繋がってる携帯電話,テレコミの交渉がありました。
特に,建設もそうですけど,テレコミのね,携帯電話。当時日本のはNTTの独占でしたからね。携帯電話だって,こんなデッカな(両手広げてサイズを示す・ショルダ―フォン約3kgか)重いトランク持って歩くみたいな携帯電話だったんですね。
アメリカのモトロ-ラというのは,こんな小さい(小さい長方形を両手指で作る)今の携帯電話みたいのを発明して,これを入れろって言う。
ところが日本ではNTT独占。「それは困ります,困ります」って言って,政治問題化しちゃった。貿易摩擦の最たるものです。
それで誰も行かなくなって「お前行け」っちゅう話しに,なったわけです。
それでもね,とにかく二度三度の交渉で,一番,僕は何があれだったかと言いますとね「日本人はウソをつく」と。「信用できない」ということから始まったんです。
何故かって言いますと,(交渉はそれまで)特にお役人がずっとやって来てるわけです。彼等は,悪意ではないんですけども,日本の国内産業を守ろうということで戦後ずうっとそれでやって来たわけですから,その都度その都度,その場を糊塗するような話しぶりをして来たわけです。
だから相手は日本の真意(が不明で信用しない)。
(日本人は)ノーという言葉は絶対言わないでしょ。
良いような悪いような話しして来るもんですから,まったく信用しないんですね。
あの有名なニクソン・佐藤栄作さんの会談。繊維交渉だったんですが,その時に,何でこれ,ニクソンが怒ったかと言いますとね,繊維のことでアメリカが日本に要請して,佐藤栄作さんは「前向きに検討します」といったんですよ。(会場・笑)
「前向きに検討する」ちゅうのは役人が作り出した用語でして,これはノーっちゅうことなんですね,日本じゃあ。(会場・笑続く)
日本人だと分かります。「前向きに検討します」ああ,こりゃあもうダメなんだな,と。
ところが英語で何と訳したか。
外務省の官僚は,二枚舌というか,違う訳し方をした。
「日本の内閣総理大臣は,それについて great effort.make great effort」ってやったんです。
「最大限の努力をします」と総理大臣が答えたんだから,ニクソン大統領・アメリカは,ああ,これは了解だなと思ったんです。
ねえ。(あきれたという声で)
こんなこと本当にやってんですよ,いつも。
「前向きに検討します」なんてねえ。まあ,英語で訳しようがないから,彼等の顔色との兼ね合いで,そういう言葉使ったんでしょうけど。
こういう日本人の曖昧さ。
外交交渉は,非常に苦手です。
ですから,私(わたくし)が最初に行った時は,そこから始まったんです。
ーーーーーーーーーーーーー
小沢氏12/19早大講演(2)へ続きます。
- 関連記事
-
- 小沢氏3/9講演、奈良:すべてに民主主義の認識を (2014/03/14)
- 小沢氏2/10会見:負けてはいない、逃した都知事選挙 (2014/02/12)
- 小沢氏2/3会見:政権に擦り寄るのは野党ではない (2014/02/07)
- 小沢氏1/21会見:細川氏を支援する (2014/01/23)
- 小沢氏1/8年頭所感 (2014/01/09)
- 小沢氏12/19早大講演(1)原発、TPP、外交 (2013/12/30)
- 小沢氏12/19早大講演(2)北東アジア、テロ、質疑 (2013/12/30)
- 小沢、堀茂樹対談Vol3(1)堀前説、秘密保護法 (2013/12/26)
- 小沢、堀茂樹対談Vol3(2)前代未聞の野党、自己主張がなければ民主主義はない (2013/12/26)
- 小沢、堀茂樹対談Vol3(3)反対で支持する矛盾、首相リコール制 (2013/12/26)
- 小沢、堀茂樹対談Vol3(4)国の将来、堀後説 (2013/12/26)
コメント
コメントの投稿
トラックバック
この記事へのトラックバックURL
http://bator.blog14.fc2.com/tb.php/2068-547111d0