差別と屈辱の辺野古移設:琉球新報
2013-12-21

社説 埋め立て判断 「不承認」の歴史的英断を 12/17 琉球新報
米軍普天間飛行場の辺野古移設に向けた政府の埋め立て申請に対し、仲井真弘多知事が年内に判断を示す方針だ。
「軍事の要石」から「平和の要石」に転換する、新しい沖縄の歴史を切り開けるか。仲井真知事の英断を期待したい。
こうした動きの一方で米政府高官は日本側に、埋め立て申請は無条件で承認されるべきだとの圧力を強めているようだ。
辺野古移設までの間に日本側から、普天間駐留部隊の日本本土への移転や、米軍の運用に制限をかける日米地位協定の一部見直しなどの要求を提示されることへ警戒感があるのだろう。
しかし、部隊移転を落としどころとするような移設の懐柔策が仮にあるとすれば許されない。
そうした小手先の「負担軽減策」がまやかしにすぎないことは、これまでの経緯からも明らかだ。
県民は代替基地の条件とされた使用期限15年や基地使用協定など、浮上しては消えた“空手形”を忘れない。
米政府が無条件の埋め立て承認を求めることは当然想定されることだ。現行移設計画に関与してきた当局者として、交渉相手の日本側をけん制する狙いがあろう。
言うまでもないが、知事の埋め立て判断に当たって重要なことは、普天間の「固定化」の脅しを冷静に分析し、振り払うことだ。
米政府は表向き、埋め立てが認められない場合は普天間を継続使用するとの立場だが、固定化は実は米側にとっても最も避けたいシナリオだ。
住宅密集地にある普天間飛行場周辺で再び事故が起きれば「住民の支持は壊滅的な打撃」(キャンベル前国務次官補)を受け、日米安保体制そのものが揺らぎかねないことを米側は十分理解している。
知事は埋め立て不承認を求める公明党県本の提言を受け「内容を参考に結論を出したい」と答えた。
県選出国会議員らの県外移設公約を力ずくで撤回させ、辺野古移設容認の発表に同席させた安倍政権の強権的手法を、琉球処分と重ねる県民も少なくない。
「処分官」に例えられた石破茂自民党幹事長を前に、こうべを垂れる地元代議士の屈辱的な姿を目の当たりにし、県民の間に政権与党への反発が強まっている。
辺野古移設の是非は戦後68年基地を押し付けてきた差別的処遇と人権侵害を続けるか、その転換に踏み出すかの選択であり、選ぶべきは明らかだ。
後世の評価に耐え得る賢明な判断を知事に求めたい。
政府、24日にも知事要求回答 普天間5年内停止など 12/19 琉球新報
【東京】政府は18日、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた埋め立て申請に関し、仲井真弘多知事が17日の沖縄政策協議会で求めた同飛行場の5年以内の運用停止などの負担軽減策や沖縄振興策に対し、24日にも知事に回答する方針を固めた。
5年内の運用停止について政府関係者は「決して高いハードルではない」と話している。
知事は運用停止などの実現可能性や県内世論、事務方の審査結果などを見極めて埋め立て可否を判断するが、知事表明に関して政府内からは、25日以降に首相と知事の再会談を設定する動きも出ている。
知事は19日に沖縄科学技術大学院大学の整備拡充を要望するため官邸で安倍晋三首相と会談する。
知事は腰から足にかけての痛み、しびれが改善しないとして東京都内の病院に検査入院中だが、県によると一時的な外出が許可された。
安倍政権内では17日の知事の要求を埋め立ての承認に向けた事実上の条件提示と捉え、「知事は承認する」(政府筋)との見方が強まっている。
来年度政府予算案が決定する24日にも県要求に正式に回答し、その後に上京中の知事と首相による再度の会談を模索する案が浮上している。
首相は18日、知事が埋め立て可否を年内に判断する意向を示したことに関して「受け入れていただけるよう努力を積み重ねる」と記者団に語った。その上で「オスプレイの訓練移転や嘉手納より南の基地返還、グアムへの海兵隊移転などを着実に進め、負担軽減を沖縄の皆さんに実感してほしい」と理解を求めた。
政府関係者は普天間の5年内の運用停止に関し、県に提出した埋め立て申請で工期を「約5年」としていることを根拠に実現は可能だとしている。
オスプレイについては県外訓練の回数を増やす方針。返還前の基地立ち入りについては日米地位協定の運用見直しで対応するとしている。
一方、カジノを中心とした統合型リゾート(IR)整備の候補地にするなど沖縄振興策も検討している。
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