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秘密保護法の衆院通過、亡国の3点セット:闇株新聞

出陣壮行式

 11/30にその2(亡国の3点セット)を追加しました。
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   特定秘密保護法案の衆議院通過に思う 7/28 闇株新聞

 特定秘密保護法案が昨日(11月26日)、衆議院を「圧倒的多数」で通過しました。

 政府広報のパブリックコメント受付が「密かに」始まったのが9月3日(終了が9月17日)だったので、やはり「事の重大性が十分に認識されないうちに大急ぎで成立させてしまおう」との意図があったはずです。

 このままだと12月6日の会期末までに参議院も「圧倒的多数」で通過し、正式に成立してしまうことになります。

 衆・参両議院で自民・公明が安定多数を維持しているので、最初から「勝負がついている」のですが、昨日の採決ではみんなの党が(どうでもよい修正案をのませたとして)賛成に回り、日本維新の会は(同じくどうでもよい修正案をのませて賛成するものの、議論の時間が短いとの理由で)採決前に退場するなど、全く野党としての役割を果たしていません

 少なくともみんなの党は「コウモリ」はやめて、本当は与党に入れてほしいと正直にいうべきでしょうね。

 実際にできあがった特定秘密保護法案は、細部にまで「官僚の知恵とテクニックが宿って」いるようです。
 指定期間が最長60年となったことや、機密文書の破棄を禁じていないことや(注)、指定に際して第三者機関の設置を明言していないことなど、当初伝えられていた内容よりも「いつの間にか大きく後退して」います。

(注)民主党政権時代の「ほとんど唯一の功績」として、作成後30年が経過した外交文書を原則として自動的に公開するようになっていましたが、当然にこれも反故になります。一方で民主党政権時代に機密文書(外交だけではありません)が3万点も官僚によって「密かに破棄されていた」ようなので、要するにザルだったようです。

 また本日(11月27日)、日本版NSC設置法案が参議院を通過し(これには野党から民主、みんな、維新の会が賛成に回っています)正式に成立しました。

 これに集団的自衛権を憲法の拡大解釈で乗り切れば、「亡国の3点セット」が完成してしまいます。
 米国政府の思惑もあるため、すべてが官僚組織の思惑通りというわけでもないのですが、これが安倍政権を「国民が圧倒的に支持した」結果です。

 いつも思うことは、国民の代表で構成されているはずの国会が、明らかに「民意から大きくかけ離れた法案」をいとも簡単に成立させてしまう不気味さです。
 しかし(解散がないと思われるため)衆議院選挙は2016年の年末、(半分しか改選されない)参議院選挙も2016年夏までありません。

 つまりあと3年近く「行き過ぎた審判を与えてしまった反省をする機会」がありません
 また、それまでに「すっかり」忘れられてしまうのでしょう。

 2007年の第1次安倍政権では、同じように強行採決を連発したのですが、このときは直後に参議院選挙があり自民党が空前の大敗を喫し、間もなく政権を投げ出していました。

 また今回は自民・公明の安定政権を成立させてしまっていたことが問題ですが、昨年の消費増税法案(注)は、当時の与党民主党が安定政権でもなかったなかで「圧倒的多数」で成立してしまいました。

(注)正式には消費税関連法案というのですが、「関連」していたはずの社会保障改革、議員定数是正、特別会計を含む行政の無駄の見直しが「すっかり抜け落ちた増税だけの法案」を「圧倒的多数」で賛成してしまいました。
 7月31日付け「消費増税実施の前に思い出してほしいこと」に書いてあります。
 (※ 日本の国会議員が支持した有権者より米国と官僚に従うという矛盾。「がんばれ小沢一郎!」、「消費増税に議員の76%が加担した怖さ」を御覧ください。)

 改めていうまでもないのですが「国会が機能不全」であり、安定政権ができているときは「もっと機能不全」になるのですが、そうでなくても「やっぱり機能不全」なのです。要するに「常に機能不全」なのです。

 これも改めていうまでもないのですが「国会は官僚組織の意向」を実現させるところなのです。
 同じように「米国政府の意向」も実現させるのですが、この場合も官僚組織のメリットとなるよう「しっかり」と便乗してしまいます。

 この安倍「超安定」政権の唯一の対抗馬が、脱原発を掲げた小泉「超親米」政権の復活だけというのも、暗澹たる思いにさせられます。

 気を取り直して、いろいろと考えてみることにします。
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   特定秘密保護法案の衆議院通過に思う  その2 11/29 闇株新聞

 昨日の続きです。そこで書いた「亡国の3点セット」がなぜ問題なのか?とのコメントをいただいていましたので続けます。

 「亡国の3点セット」とは「集団的自衛権の行使」「日本版NSC設置」に「特定秘密保護法案」を加えたものです。その意味するところではなく、それぞれが「承認」されていく過程そのものが「まさに亡国」なのです。

 まず「集団的自衛権の行使」とは、同盟国(米国のことです)が攻撃されたとき、または同盟国ではなくても日本に安全保障上不可欠な国の求めに応じて共同軍事行動をとるものですが、従来は防衛以外の武力行使を禁じる憲法9条に違反していると考えられていました。

 安倍首相は8月に、内閣法制局長官の序列を無視して「集団的自衛権の行使は憲法9条に違反していない」と主張する小松一郎・駐フランス大使を起用しています。自動的に「集団的自衛権の行使は合憲」となってしまいます。

 次に「日本版NSC」とは、首相・外務大臣・防衛大臣・官房長官で構成される国家安全保障会議(日本版NSC)が外交・安全保障政策の基本方針や中長期的戦略を決めるものです。昨日(11月27日)参議院でも承認され、正式に設置されることになりました。

 米国NSC(大統領・副大統領・国務長官・防衛長官で構成される)は、各省庁や陸海空軍やCIAなどの枠組みにとらわれずに外交・安全保障政策を取決める文字通りの最高意思決定機関です。
 日本版NSCとは米国NSCと継続的協議ができるように同等の権限を備えたものとして、米国政府がその設置を要請していたものです。

 2007年の第一次安倍内閣でも設置に動いたのですが、辞任で立ち消えになっていました。後任の福田康夫首相(当時)が撤回していたからです。

 その実務を取り仕切る内閣安全保障局の初代局長には、内閣官房参与でもある谷内(やち)正太郎・元外務事務次官の起用が確定的です。

 そして最後の「特別秘密保護法案」とは、日本版NSCが米国NSCと「同盟国として」継続的協議を行うために、米国の軍事秘密などが外部に漏れないことが不可欠となります。

 要するに、自衛隊が米国と共同で軍事行動をとるためには「集団的自衛権の行使」が合憲でなければならず、その行動を決定する米国NSCと継続協議ができるような権限を備えた「日本版NSC」を設置せねばならず、そのためには「特定秘密保護法案」が絶対に必要となるのです。

 本誌はこの「3点セット」が本来の趣旨で運営されていくならば、必ずしも国益上「排除すべきものではない」と考えます。実際にも最近は対中国、対韓国を巡る米国の態度が「やや日本寄り」になってきたような気もしています。

 最大の問題は、国民にその趣旨をじっくりと説明しながら大所高所から議論を重ね、十分に民意を反映する形で堂々と国会で承認を求めるべきものが、よくわからないうちに大急ぎでコソコソと決められてしまった過程そのものです。

 明らかに主権者である国民が完全に排除されており、国民の代表で構成されている(はず)の国会が機能不全になっているのです。
 昨年の消費増税でもそうだったのですが、いつの間にか国民が選んだ政党や議員が「ホラー映画のように変身している」のです。

 さらなる問題は、「国益よりも自らの勢力と権益を優先する官僚組織」が、この3点セットを自由自在に拡大解釈・拡大活用し、さらには米国政府の思惑までも利用して「官僚組織にとっての万能の武器」に仕立てあげてしまう恐れがあることです。

 例えば、日本版NSCは外交・安全保障政策の最高意思決定機関となるのですが、実際の運営は官僚が主導する内閣安全保障局が取り仕切ります。
 首相など時の権力者はいずれ交代するのですが、官僚組織と「3点セットの枠組み」は未来永劫に存続し、いつの間にか「思いもよらない形」になっているかもしれないのです。
 歴史的には多くの事例があります。

 これこそが「亡国の3点セット」となるのです。
 国民に趣旨をじっくりと説明せずにコソコソと決めてしまったので、ますますその恐れが強くなります。

 最後に、本誌の記事が「代替案・改善案に乏しい」とのコメントもいただいています。

 あまり理想論ばかりを展開しても意味がないのですが、今後はもっと積極的に実現可能な案を書いていくことにします。
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コメント

法案の隠された性質

>本誌の記事が「代替案・改善案に乏しい」とのコメント

これは、貴ブログに責任がある訳では無く、近年生起する事由からの性質に依るものが大半でしょう。 「特定秘密保護法」に対して、本来の国家防衛上に必要な法制を幾ら説かれても法案になり成立する見込みは無い訳ですから。
 この法案について観れば、その本質は、矢張り、TPPに関連したものであるのは歴然で、法案の条項を仔細に観れば、その証拠自体が法案から出てきています。 
 法案を法律の専門家が読めば歴然です。 以下の弁護士のブログでも解説されておられるとおり、国家秘密を保護する等とは、建前に過ぎないのです。 また、知る権利を妨害する等とは、表面的に見える面のみで、その本質は、TPPに依る国家の改変を図るものです。 即ち、日本の国をグローバル企業に売るものです。 この法案を自民党と云う保守政党が成立を図ること自体が容易ならざる事態を物語っています。 列記とした嘗ての保守政治家が、この法案に反対していることと云い、法案成立を目指す巨大な外からの力の存在を知らしめるものとなっています。

http://moriyama-law.cocolog-nifty.com/machiben/
街の弁護士日記

Re: 法案の隠された性質

> 「特定秘密保護法」に対して、本来の国家防衛上に必要な法制を幾ら説かれても法案になり成立する見込みは無い訳ですから。
・ そのとおりです。
 闇株新聞氏は闇株新聞なりの読者層に対してのそういう言い方になっているので、具体的に彼が検討するかはまた別の問題と思っています。私としてはこの最後の文脈は省略しようとも思ったのですが、著述の人格を尊重して入れたものです。
 私としての闇株新聞へのアプローチについて補足します。
 経済関係は理論的な整合性で均衡することを前提としつつ、その均衡と均衡しない現実との矛盾する関係をどのように把握するかによって考えが分かれるところです。
 ただ、いずれの考えも展開される理論であるところから、現実の経済史が人間の具体的な意志、意図による主体的な実践行為によって動いていること。このことの側面は非常に弱いものになっています。このことを完全に無視すると理論的な整合性は図れますが、逆に隠すがゆえに政治権力の意志に従う典型的な御用経済学になります。
 現実の経済は人間が殺し合い奪い会うなかで、交易、商業、金融へと進んできたものであり、グローバル化の中でも国家が経済単位である事こそ、その証左と考えています。
 奴隷、農奴、「国民国家(帝国主義)」と政治社会(労働生産の権力関係)と経済体制は連動して高度化してきました。
 勤労家計の主体である広義の労働者階級から世界金融寡頭勢力の血族集団に至るまで、その主体的な意志、意図が作り出す創意工夫、あるいは市場操作もですが、それらを抜きには歴史現実としての現代経済は片面の把握のみと思いっています。
 経済原理と国際金融資本「家」が意志を発現する広義の市場原理の両方を踏まえている、数少ないエコノミストの一人としての闇株新聞を評価しています。

> 巨大な外からの力の存在
・ そのとおりと思っています。
 偶然や成り行きで均衡(政治決定)するものではない。米国大統領もまったく逆らえない「意志」とそれを利用して自己の権益拡大を進める勢力。
 ほとんどの国が同様な構図を持っているのでしょうが、社会的同調性と服従精神、論理矛盾に平気で情緒的な日本の国民性が大きくわざわいしていると思っています。

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