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もうすぐ北風が強くなる

JR北海道、異常な組織崩壊

 JR特急

 JR北海道は2011年5月の石勝線トンネル内での全焼事故以来の相次ぐ火災、発煙、脱線に加え、レールの異常を300箇所近くにわたり放置していた。
 異常なほどの整備不良、情報疎通の欠如、さらには保線については本社内に責任部署がなかったという恐るべき事態が明らかになっている。

 鉄道事業としての組織が崩壊していると言って良いだろう。
 内部人事抗争という日刊紙がある。また某元首相はJR東日本に吸収させよと発言した。
 いずれにせよ、このまま鉄道事業を続行は不可能だろう。
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  ■JR北海道の沿革と概況  9/23  はてな匿名ダイアリー

夏休み前から連日のようにJR北海道の事故がお茶の間をお騒がせしております
これはひとえに、国鉄分割民営化により知識と技術の継承が途切れたからです

今から26年前、1987年に国鉄は分割民営化されました
この時、社員を目一杯抱え込んで発足したため、JR各社は長らく新規採用をやめました
これでは教育が途絶えざるを得ませんでした

日本と同時期に国鉄を民営化した多くの国では、技術が失われたことによる事故が続発して見直しが行われました
一方日本は民営化に起因する事故も信楽高原鉄道事故しか見られず、世界でもっとも成功した国鉄民営化だと考えられてきました

しかしどうやら、国鉄マンの生き残りがJRを支え続けていたにすぎなかったようです
国鉄で鍛えられた彼らがJRを去る日が来ると、JRの現場は誰も気づかないうちに静かに崩壊してしまっていました
それゆえに、諸外国、最も典型的にはイギリスが直面したような、技術の継承が失われてコストカットばかり追求されたがための事故が今になって続々と起きているのです

鉄道車両の点検整備を誰がしているかご存知でしょうか
カーエンジニアと同等、大型で多くの乗客を乗せる以上はもっと専門的な熟練のメカニックかもしれないと思うでしょう

JR北海道について言えば、違います
時給750円、僅かな座学で現場に投入されるアルバイトです
ちなみにこれは、車内清掃と同じ時給です

4月と7月に特急「北斗」、8月に特急「スーパーとかち」が、いずれもボルトの折損からエンジン周りの火災を起こしています
折損自体はやむを得ないもので、車両区に帰ってから発見して直せばそう大きな問題ではありません
JR東海やJR東日本でもしばしば報告はあり、これ自体は、事象の範疇です
問題は折損に気付かずに走らせ続けて火災事故を招くに至ったことにあります

ではどうやって点検するかといいますと、入り組んだ箇所、時にはカバーの下にあるボルトを直接視認することはできませんので、火かき棒のようなものを付近に当て、軽く叩いて打音により判断します
今来たばかりで再来月には音を上げてローソンやセイコーマートに移るアルバイトがどうしてそんな異状を発見できるでしょうか

東日本大震災の2ヶ月後だったため道外では全く知られていないのですが、実は一昨年、特急「スーパーおおぞら」が営業中に全焼する列車火災事故が起きています
国鉄には、列車火災発生時にトンネル内で停まってはならないというルールがありました
国鉄時代の1972年、福井県北陸トンネルを走行中の急行「きたぐに」喫煙室から火災が発生し、トンネル内で停車させた所、一酸化炭素が発生して乗客乗員30名が犠牲になったためです

ところが「スーパーおおぞら」の運転士は列車をトンネル内で停車させてしまい、あまつさえ車掌は乗客に車内で待機するよう指示しました
乗客が指示に従わず勝手に逃げ出して事なきを得ましたが、JR北海道はもう乗客を死なせたに等しいと言っても過言ではないでしょう

過去の悲劇から得られた教訓を忘れ去って教育しない会社に安全運行などできようはずもありません

信頼のなさが招いた不幸中の幸いといえる結果が皮肉ではありますが
この「スーパーおおぞら」の火災原因もまたボルトで、ボルトが破断してエンジンから車輪に回転を伝える推進軸が落ち、燃料タンクを突き破ったものでした

車体をグイグイ左右に振りながら高速で走る極めて特殊な構造の車両のため、モリブデン鋼製(引張・剪断に強い)を使っているはずだったのに、破断したボルトはクロム鋼製(腐食・摩耗に強い)でした

工場での車検・オーバーホールにあたる全般検査を担当するのはさすがにアルバイトではないものの、新製時からお守りをして知り尽くした熟練の匠が退職し、車両メーカーも事業撤退して尻を絡げ、その際メーカー側の資料が失われ、メーカー技術者に至っては転職先の会社も辞めてしまったと伝え聞く今、誰がどうやって特殊な車両を適切に管理できるのでしょうか

JR北海道は車両整備の管理台帳を電子化しています
世界の車窓からのICT広告でやっている電子カルテのように、全社でデータを共用できるため大変便利になるはずでした
しかし台帳にデータがきちんと入力されるのは全体の半分ぐらいです
電子化により、共用どころか整備データが残らなくなってしまいました
そんな空白の履歴を持つものをいったいどうやって適切に整備するのでしょうか

信号無視が相次いでいます
鉄道の信号は道路の信号とは全く別の概念で、一区切りの閉塞区間、信号と信号の間に一つの列車しか入れないことで安全を保っています

青信号なら絶対に前に列車はおらず、赤信号なら絶対に前に列車がいるのです
電車は急に止まれず、ブレーキを掛けても600m滑走するため、こうしないと安全が確保できません
道路で信号無視しても、交差する道路や横断歩道に何もいなければ9000円分の過ちにすぎません

しかし鉄道の赤信号冒進は、そこに何かいると示されているのに進行する行為、確実な衝突・追突への道です
確かにJR北海道は信号や閉塞の概念を廃止するGPS列車運行システムを開発中ですが、未来への夢を描きすぎて、現時点で持っていなければならない枯れた技術の重要性を軽視してはいないでしょうか

寝台特急「北斗星」の運転士が安全装置のATSをハンマーで叩き壊す事件が起きました
機関車を二台使う重連運転で二台目のスイッチを切り忘れていたようです
この機関車を折り返し使用する寝台特急「カシオペア」では当然ATS故障が起き、途中まで走って機関車を入れ替えました

はて、その途中までは安全装置なしで走っていたのでしょうか
突っ込みどころが多すぎてもう何も言えません

線路が25mmずれていてJR貨物のコンテナ車を脱線させてしまった事故がありました
事故を受けて調べたところ、97箇所で最大28mmの軌間狂いを放置していた事実が判明しました
これは線路を急いで総点検したわけではなく、台帳を探して発見されたもので、つまり検測は行っていて記録が残っていました

検測結果が基準値を越えると報告、しませんし、直すように指示が、別に出ません
基準値19mmを越えて直す必要があると思うと保線区から自発的に直しに行くようになっているので、予算もないし人手も補充されずにどんどん減っているし先送りしておこうと思うとそのままです

理論上43mmから脱線の危険性があると聞かされていれば、28mmならまだ行けると思ってしまうかもしれません
しかしこの数値は計算上軌間に車輪が落ちてしまう値で、それ以下でもぶっちゃけ脱線はします
軌間狂いは通常7mm、ポイント付近で5mmに抑えるべきもの、最後のデッドラインが25mmとされていたのです、昔は

国土交通省の数値基準が規制緩和でなくなったからといって、理論になっていない理論を振りかざして基準値を緩和しさらに無視していいわけがありません
どこまでが安全か、積み上げてきた知見すら失われているのではないでしょうか

はてなー好みに不安定雇用の招く社会崩壊を安全地帯から論じたり、逆に右っぽく労組の度重なる非強力ぶりを論ったり、技術こそ全てで文系に任せたらこうなると吼えたり、階級社会にして労働者を教育しようぜと三浦朱門ばりに上から唱えたり、失われた25年とそして永遠に失われたものを思って真っ青になったり、旗印として国鉄民営化を必要とした新自由主義を今こそ問い直したり、どういう大きな話に結び付けるのが適切なのか、よく分かりません

ただ、JR北海道けしからん吊るし上げろだけでは解決しない大きな流れの中の問題であると捉えて、我が社会の類型的な問題として考えてみていただければ幸いです

 JR北海道
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コメント

疑問の一部が解けました・・・転載了解お願いいたします。

ひげさんへ

ありがとうございます。
よろしくお願いいたします。
私もすべてではありませんが、疑問のかなりが納得しました。
他にも、同じ不採算と言ってもJR四国とは寒冷、積雪、鉄道延長の条件が過酷すぎるし、そこに競争の働かない地域独占など様々な問題点が当初の民営化からあったのだと思います。

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