シリア攻撃阻止でG20を牽引するプーチン
2013-09-07

プーチンはG20の場を最大に活用して、シリア攻撃阻止の国際世論をまとめあげた。
BRICS各国に加えてイタリア、インドネシアが反対の立場を公式表明した意義は大きいだろう。
反対国はそれぞれが自主的な判断による反対である点が重要である。
シリア攻撃は自国と国際関係にとって害悪を招くからである。
シリア攻撃に賛成したのは米英仏、トルコ、サウジの攻撃当事国以外では米国のかいらいが政権を握るカナダのみとなった。
ロシアにとって米国の一部と見做される日本は、当然ながら数えられてはいないようだ。
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プーチン大統領、G20を総括して 9/6 ロシアの声
ロシアはシリア攻撃が行われた場合、この国を支援する。プーチン大統領は6日、G20サミットを総括した記者会見の席でこう語った。大統領は、ロシアは現在もシリアに助力しており、「武器を供給し、経済分野で協力している」と付け加えている。
G20サミットの討論の過程でシリア攻撃に支持を表明したのは、米国、トルコ、カナダ、フランス、サウジアラビア、英国で、逆にロシア、中国、インド、インドネシア、ブラジル、南アフリカ、イタリアは不支持を表明した。
プーチン大統領は、シリア攻撃には国連事務総長もローマ教皇も反対していると指摘した。
シリア情勢についてプーチン大統領は、中東情勢が不安定化することは経済的に苦しい時代において非生産的なことだと強調している。
大統領は、中東情勢は経済に深刻な影響を及ぼすと述べ、その理由として「この地域は世界経済全体に、いかなる場合にせよ、その大部分にエネルギー資源を供給している」からだと語っている。
プーチン大統領はシリアに対して武力を行使した場合、北朝鮮に核開発プログラムを断念させるという問題の解決は非常に困難になると指摘している。
大統領は、大量破壊兵器の不拡散のためには言うまでもなく国際法の基準を遵守する方法で闘わねばならないのであって、それは軍事キャンペーンではないと強調した。
エジプト情勢についてプーチン大統領は、この国の一日も早い状況の安定化を望むと期待を表した。
大統領は、ロシアはエジプトのいかなる合法政権とも協力を行うと語っている。
プーチン大統領はさらに、エジプトの政治情勢の不安定化が中東地域に危険な影響を及ぼしかねないと警告を発した。
プーチン大統領はG20サミットを総括し、世界経済の状況は5年前よりも安定してきたものの、リスクは依然として残り続けていると指摘し、各国が予算赤字の削減を狙った中期的計画を採択したと語った。
大統領はこれは労働市場の調整と課税、人的資源の開発、インフラの刷新、商品市場の調整など、切迫した問題を解決するためにとらねばならない措置であると説明している。
これらの措置は投資家に実質セクター、発展に投資するよう促すものになる。
G20サミットではまた、税政策の変革について原則的な決定が採択された。
プーチン大統領は、この決定は「オフショア・スキームの利用をはじめとする税金逃れに対抗する目的」で採択されたと語っている。
またG20サミットではG20グループの汚職対策計画への補足的な発案が承認された。
プーチン大統領は、特にまず予算的な性格の資金からの大型投資を要するスポーツ、文化の国際的なイベントを用意するなかで、汚職の発生度を制限する最良の実践を交換した作業を特に評価した。
インターファックス、リアノーボスチ、タス通信
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ロシア、攻撃の際はシリア支援を表明 9/6 インターファクス ロシアの声
ロシアはシリア軍事介入が行われた場合、シリアを支援する。6日、プーチン大統領はG20サミットを総括した記者会見の席で、記者団からの問いに答えたなかでこう語った。
プーチン大統領はまた、ロシアは現在も支援を行っており、「武器を供給し、経済分野で協力を行っている」と付け加えた。大統領は人道分野での協力に期待を表し、「人々を支援するための人道援助物資の供給もそうだが、市民は非常に苦しい状況にいる」と語った。
プーチン大統領は、G20サミットの討論のなかでシリア攻撃には米国、トルコ、カナダ、フランス、サウジアラビア、英国が支持を示し、逆に不支持を表明したのはロシア、中国、インド、インドネシア、ブラジル、南アフリカ、イタリアだったことを明らかにした。
プーチン大統領は、シリア攻撃には国連のパン事務総長もローマ教皇も反対していると指摘し、「これ以外にも西側諸国の大多数の市民がシリアでの軍事行動を支持していない」と強調している。
インターファックス通信
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シリア攻撃は核のカタストロフィーにつながりかねない (解説員) 9/6 ロシアの声
米国の対シリア攻撃は地域全体に核のカタストロフィーを引き起こしかねない。ダマスカス攻撃の際に、市近郊にある核施設が損壊する恐れがあるからだ。核施設自体が攻撃されなかったとしても、政府軍が敗北した場合、急進派が放射性物質を強奪する危険性もある。
ダマスカス近郊には中国の建設した小型の原子炉が存在する。原子炉で使用されているウランは核兵器製造に使用できる質のウラン・アルミニウム燃料で、中国の供給者は当時、原子炉の燃料用にシリアにこうしたウランを約1キロ分引き渡していた。
ロシア外務省のルカシェヴィチ公式報道官は、こうした理由でこの施設がダメージを受けた場合、正真正銘のカタストロフィーになるとして、次のように語っている。
「ダマスカス近郊の小型原子炉はニュートロンが保存されており、これに弾薬が故意に、または偶然にでも落ちた場合、その結果は誇張なしにカタストロフィー的なものとなる。この領域に隣接する場所は高濃度のウランに汚染されてしまうだろう。また事実上、被害の算出も、コントロールも保障できず、施設内に残る核物質の保存もできなくなるに違いない。」
さらにもうひとつ危険なのはシリア攻撃の後、政府軍が核施設を管理できない状態になりかねないことだ。
この場合、放射性物質は急進派らの手に渡るだろう。急進派には完全な核爆弾を作ることはできないだろうが、それでもそれから引き起こされる危険性は甚大なものになりかねない。専門家のイーゴリ・ホフロフ氏はこうした危惧の念を示し、次のように語っている。
「シリアのこの原子炉は核爆弾製造のための技術を有していない。だが、これを使って、いわゆる『汚い』爆弾を作ることは可能だ。
そして最も大事なのは、そうなった場合、この核物質は完全にコントロールを失うという点だろう。
はっきりいってしまえば、欧州でも急進派との状況は非常に緊張していることを考えれば、この『汚い』爆弾はヨーロッパ人に対して使われる危険性もあるのだ。
欧州にはフランスなど、シリア攻撃に積極的な支持を示している国もあるが、そうした国も範疇に入りうる。」
核の直接的な危険性のほかに、シリア攻撃がもたらす間接的な危険もある。
このキャンペーンはイランにとって核兵器製造を開始する論拠を十分に与えることにつながる。
この点から見ると、核を有していなかったフセイン体制もカダフィー政権も北朝鮮の金体制に比べれば、まだかわいいものだ。
なぜ誰も北朝鮮を攻撃しようとはしないかといえば、それはみんなが、この国が原始的な核爆弾を有していることを知っているからだ。
アサド政権が米国によって転覆された場合、イランもついで強制的に「民主化」されることは間違いない。
これを避けるために、イランは核武装をしようとするだろう。
もしこうした事態が起きた場合、ほかの限界状態にある国も追従するだろうと予想される。
こうなれば、核の不拡散体制のことなど、みんな忘れ去ってしまうだろう。
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※ このブログ内でのアラブ、イスラム、パレスチナ関係ページのリンク。
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