欧米の大量破壊兵器「民主主義」、オバマの後退
2013-09-04

ダマスカス ウマイヤド・モスク
大量破壊兵器「デモクラシー」 9/2 ロシアの声
化学兵器の使用について西側諸国はシリア政府を非難している。
しかし正当な非難でないことは明らかだ。おそらく化学兵器を使用したのは蜂起勢力の側である。
どちらにせよ、これ(「化学兵器の使用」)はアサド政権への非難の外面でしかない。非難の中核にあるのは、シリアに「独裁制」が敷かれ、「民主主義が機能していない」という点なのだ。
この中核となるポイントに関しては、西側諸国は誠実であると言えるだろうか。
彼らはシリアに現代的な、民主主義的な社会を建設しようと、真剣に考えているのだろうか。専門家エヴゲーニイ・エルモラエフ氏の意見を聞こう。
10年前、当時の米国大統領ジョージ・ブッシュ氏は、イラクへの米国の侵攻を正当化するため、こう言った。
<イラクの民主主義は勝利する。その勝利によって、あらゆる民族にとって自由は宿命であるということが示されるだろう>と。
その後に起こったこと、そしていまのイラクの状態を見て、それを勝利とは言いがたいものがある。
国家は瓦解し、経済は低落し、宗派対立が深刻化した。
しかしどうやら、ワシントンは、イラクの例を成功例と見ているらしい。
イラクの次には欧州よびアラブの同盟国たちとほぼ同様の<民主主義>をリビアに持ち込んだ。
今度はシリアというわけだ。
しかしそもそもこの国は、市民戦争が勃発するまでは、この地域でも最も民主主義的な国家であったのだ。
少なくとも複数政党制が生き、理想的なものではないにしろ、ともかくも選挙が行われていた。君主制の湾岸諸国には政党も選挙もない。
しかしその国々には米国はどうやら無関心でいられるらしいのだ」
つまり西側は中東・北アフリカ地域の中でも既に民主主義が存在する国を強制的に民主化しているということになる。
それによって民主主義を完成し、発展させるのでない、むしろ破壊しているのである。
いわゆる中東民主化について、専門家ヴィクトル・ナデイン=ラエフスキイ氏は次のように語っている。
「西側は、中東諸国に民主主義や自由についての西側的な観念を植え付けるべく、インターネットを通じて多くのことをなしている。
それにより、そうした国々には、西側モデルの民主主義を信奉する社会層が形成されている。それは事実だ。
いまシリア政権を相手に戦っているのは、イスラム主義者ばかりというわけでもない。おそらく、中には、誠実に、全てのことがヨーロッパのようにあってほしいと願う人もいるのだろう。
しかし欧州が、現在民主主義と呼ばれるものを勝ち取るには、実に数世紀を要した。その過程は単純ではなかった。しばしば血が流れた」
西欧の民主主義というのは、試行錯誤の果てに見出された、社会的な不調和の平和的な解決手段である。
この「平和的な」という点が重要である。
現実には西側諸国は中東を力によって変革させ、そして力を行使する側の人々ばかりを応援している。
率直に言って、西側諸国は民主主義の建設でなく、破壊ばかりを事としているように見える。
そして廃墟の上に、マリオネットの指導者率いる、脆弱な国家が打ち立てられるのである。
その支配は完全に西側が握る。
民主主義の欠如というのは方便に過ぎない。理想的な社会というのはどこにも存在せず、かつて存在しなかったのである。
ーーーーーーーーーーーーーー
アメリカ大統領のシリア攻撃に関する立場の変化 9/1 イラン国営放送
ミールターヘル解説員
アメリカのオバマ大統領が、1週間にわたり、繰り返しシリア攻撃を示唆した後、それまでの立場を後退させました。
オバマ大統領は、シリアでの化学兵器の使用は、アメリカとその同盟国にって脅威であるとしながら、アメリカのシリアへの軍事介入は、議会の許可にかかっているとしました。
オバマ大統領は、「私はアメリカ大統領として、攻撃の指示を出す立場にあるが、議会にもその決断を求める」と語りました。
オバマ大統領は、シリア攻撃は、あすかもしれないし、1週間後、あるいは1ヵ月後かもしれないとしながら、「我々はアメリカであり、シリアで起こっていることを無視するわけにはいかない」と述べました。
アメリカ議会は、2週間以内に決定を下すと発表しています。
アメリカの憲法では、戦争に関する権限の項目の中に、一つの例外が存在します。それは、大統領が議会の許可なく、戦争の指示を出すことができるということです。
それは、アメリカ、あるいはアメリカ軍、そしてアメリカの領土が攻撃を受けた場合、あるいはその恐れがある場合です。
オバマ大統領は、シリア攻撃の問題を、議会の許可が必要なケースと見なしているようです。
オバマ大統領の明らかな立場の変化は、最近の地域や世界の情勢に関係していると思われます。
オバマ大統領は、シリア攻撃に関して、国連安保理で国際社会の賛同を得ることができませんでした。
西側やアラブのその同盟国が提示した、シリアに対する圧力強化を目指す安保理の決議は、これまでに3度、否決されており、最近では、イギリスが、シリアへの軍事攻撃を可能にするための決議案を提示しましたが、それも失敗に終わりました。
オバマ大統領は、イギリスが辞退したため、現在、ヨーロッパの同盟国の中でも、フランスのみを自らの支持国と見なしています。
フランスでも、シリア攻撃への同調に反対する声が多くなっています。
フランスのメディアは、「オランド大統領は、オバマ大統領のシリア攻撃において、ヨーロッパで唯一の同調者だ」としています。
実際、このような状況の変化により、オバマ大統領は、自分のシリア攻撃を支持する国はほとんどないと見なしています。
しかしオバマ大統領は、シリア攻撃の責任を単独で背負いたくないと考えています。
実際、オバマ大統領は、特別な権限を認めた法に基づき、単独でシリア攻撃の許可を出すことができたはずでした。
それにより、大統領は、議会の許可がなくても、それを完全に単独で実行することができます。
オバマ大統領は、アメリカの世論の賛成を得ることができていません。
世論調査によれば、アメリカ人の60%以上がシリア攻撃に反対しています。
アメリカ議会の賛同は、オバマ大統領に対し、より強い立場から行動する許可を与えるものです。
アメリカ下院は、シリアへの軍事介入に賛成しています。民主党が過半数を占める上院も、恐らく、この法案に賛成するでしょう。
一部の専門家は、政府が議会での表決を提案したのは、初めから結果が分かっているためであり、より大きな支持を得た上で、それを行えるとしています。
オバマ大統領は、アメリカ議会の賛同を得ると見られていますが、たとえ否決されたとしても、オバマ大統領はそれを守る必要はありません。
なぜならこの票決は、意見を伺うものに過ぎないからです。
(※しかし?)政治的な観点からも、議会の反対を無視するのは非常に難しいことです。
概して、オバマ大統領の今回の決定は、"シリアでの化学兵器の使用に対しては、断固とした対応が必要だ"とした当初の立場に比べると、明らかな立場の後退と見なされます。
オバマ大統領は最終的に、シリアに対して限定的な攻撃を行うと見られていますが、それに関する迷いや疑いは、明らかに、アメリカの同盟国、特にアラブ諸国やトルコのオバマ大統領に対する信用にマイナスの影響を与えることになるでしょう。
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