オバマ戦争権限を議会に移譲
2013-09-03

シリア 紀元前2000年期からのオアシス都市国家パルミラ
さきに山本尚俊氏「シリア攻撃、軍産複合体の禁断症状か」にて、98年の民主党クリントン政権が軍産複合体にスキャンダル暴露に追い詰められたこと。
軍産複合体は戦争なき長期の平和に耐えられず、「禁断症状」から凶暴な罠を仕掛けてくること。
妥協の結果とかんがえられるクリントンの「砂漠の狐作戦」が、今回のオバマ「短期間シリア空爆想定」とそっくりであること。
オバマも結局クリントン程度には妥協するのか.......?というわけでした。
ところが、今回オバマ氏は唐突に強引に、議会承認を通すとしたわけです。
つまり、攻撃すると言いながらも、その権限を大統領から議会に移譲したことになる。
再び、山本尚俊氏です。これも情勢への見方の一つでしょう。
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シリア空爆の実行意思決定を米議会に委譲したオバマ:ジョン・マケインなど好戦派議員はシリア戦争したいのに、シリア空爆に反対するというジレンマに陥る 9/1 「新ベンチャー革命」から
1.シリア軍事介入実行に関して、意思決定権を議会に委譲したオバマ米大統領
本ブログ前号No.790にて米国オバマ政権のシリア軍事介入について取り上げました。
英国議会が米オバマ政権のシリア空爆に参加しないと決めた直後、オバマは米国単独でもシリア軍事介入すると決めたと勇ましい発表していますが、その実行に際して、米議会の承認を得ると条件をつけました。
ここで重要なポイント、それは、オバマは米国のシリア軍事介入を容認したものの、その実行意思決定を米議会に委譲している点です。
要は、オバマ自身はシリア空爆を実行すると明言していないのです。
この発表は一見、民主主義的提案に見えますが、米国民の描く大統領イメージとは違うような気がします。
米国がシリア軍事介入するか、しないかというような重大な国家意思決定の権限と責任は大統領に与えられています、なぜなら、米国は大統領制だからです。
一方、英国は議会民主主義国であり、大統領はいませんから、キャメロン英首相がシリア軍事介入の賛否決定を議会の採決に委ねたのは当然です。
しかしながら、米国は大統領制なので、重大な意思決定は大統領がしなければなりません。ところが、今回のシリア軍事介入に関して、あろうことか、オバマは肝心なところで、おのれの権限と責任を放棄しています、なぜでしょうか。
2.好戦派の巣である共和党はオバマの議会提案にどう向き合うのか
米国のシリア軍事介入に関する今回の米大統領らしからぬオバマ提言にて、9月9日から再開される米議会でアンチ・オバマである共和党議員はどのような反応を示すのでしょうか。
9月9日は、サンクトペテルブルグG20首脳会談(9月5日~6日)が終わった直後であり、そこでシリア問題で対立する米露両国の首脳会談が公式には行われないとしても、オバマとプーチンがシリア問題で非公式に会談する可能性は非常に高いわけです。
米国のシリア軍事介入の実行に関する意思決定を米議会に委ねたオバマの方針に野党の共和党議員がどのような反応を示すかについて、米国主要マスコミのひとつであるWSJに取材記事が載っています(注1)。
この記事によれば、共和党の2008年の元大統領候補で、オバマに敗れたジョン・マケイン氏は、なんと、オバマの軍事行動を支持できないと答えています、その理由は、オバマのいうシリア空爆(米軍の死者はゼロ)は効果がないとみているからのようです。
ということは、9月9日から米議会が再開されたら、共和党はオバマ政権のシリア空爆提案を支持しないということになります???。
本ブログでは、マケイン氏はブッシュ系の典型的な米戦争屋ネオコン政治家とみていましたので、マケイン氏がオバマのシリア軍事介入決定を支持しないと表明しているというWSJ記事に仰天しました。
WSJ記者がマケイン氏に取材した際、何か聞き違いしたのではないかと、最初思いました。
なお、上記、米国戦争屋(世界的寡頭勢力の主要構成メンバー)およびそのロボット・悪徳ペンタゴンを構成する日本人勢力の定義は本ブログNo.687の注記をご覧ください。
そこで、マケイン氏のシリア問題取組みをネットで調べたら、マケイン氏こそ“アメリカをシリア介入に駆り立てる男”であることがわかりました(注2)。
同氏は今年5月、シリアを電撃訪問し、シリアの反政府軍幹部と会談しています。マケイン氏は米戦争屋ネオコン勢力を代弁する最右翼の大物政治家であり、米国のシリア軍事介入を求める米軍事産業界の代弁者でもあります。
上記、マケイン氏のシリア反政府軍コンタクト行動から、シリアにてアサド政権の政府軍と内戦している反政府軍を背後から支援しているのが米戦争屋ネオコン(米軍事企業含む)であることが如実に判明します。
3.オバマの議会への意思決定権委譲の意図は何か
上記、WSJの記事(注1)によれば、米国では、米大統領たるもの、重要な意思決定を議会に委譲することは、米大統領の尊厳を損なう行為のように受け取られるようです。
しかしながら、日本は英国式の議会民主主義制ですから、われら日本国民はオバマの議会提案にあまり違和感はありません。英国民もおそらく同じでしょう。
ところが、米国では、大統領が権限の一部を議会に委譲する行為は責任逃れの卑怯な行為と受け取られる可能性があります。
もしそうなら、9月9日以降の米議会は大混乱する可能性ができました。
米国は日本と違って、国民が民主主義の何たるかをわかっていますので、シリア空爆の実行に賛成か、反対かの採決を迫られる議員は地元の支援者や選挙民に相談して決めますから、世論調査どおり、米国民の過半数が米国のシリア軍事介入に反対すれば、その結果は米議会での採決に反映されます。
そして、もし、英国同様、シリア軍事介入の実行が否決されれば、オバマは米海軍にシリア空爆の命令を出さなくて済む可能性が出てきます、そして、これが米国民の民意だと言えば、さすがのマケイン氏もお手上げとなります。
上記のように、英国がシリア軍事介入に参加しないと決定した事実に加えて、NATOも英国の決定に準じて、シリア軍事介入に参加しないと表明しています(注3)。
これらの動きは当然ながら、米国世論に一定の影響を与えるはずです。
4.オバマはシリア軍事介入を決めても、米国民の民意で実行されない可能性が浮上
マケイン氏など米戦争屋の子飼い議員はいずれ、オバマが大統領の尊厳を損ねているとしてオバマを批判せざるを得ない立場に追い込まれます、
その結果、本音ではシリアへ軍事介入したくても、オバマの提案(限定的シリア空爆)には賛成できないというジレンマに陥ってしまいます。
マケイン氏など米戦争屋エージェントの議員はシリアへ米軍を送り込んで地上戦にてシリア政府軍を倒すというイラク戦争の二番煎じを狙っているわけですが、その本音が米国民にばれると、イラク戦争時代の悪夢が蘇ってきて、ますます、米国民は米軍のシリア軍事介入を忌避するようになるでしょう。
そして、その民意は米議会の採決に反映されます。
以上より、やっぱり、米戦争屋は米国民をだまして、政権を獲らないと、彼らの思い通りのシリア戦争(イラク戦争並みの地上軍投入の本格的戦争)はできないということです。
しかしながら、米国民はイラク戦争で懲りていますから、ブッシュ時代と違って、もう簡単にはだまされないのです。
近未来、米議会にてシリア軍事介入が否決されたら、米戦争屋の言いなり安倍総理や石破幹事長はどうするのでしょうか、米軍の代わりに自衛隊をシリアに派遣するのでしょうか(笑)。
注1:WSJ“オバマ米大統領、シリア軍事介入決断―議会承認求めると表明”2013年9月1日
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887323779204579047831722754974.html
注2:ニューズウィーク“アメリカをシリア介入に駆り立てる男”2013年5月28日
http://www.newsweekjapan.jp/stories/us/2013/05/post-2943.php
注3:朝日新聞“NATO、シリア軍事介入に不参加へ 事務総長が明言”2013年8月31日
http://www.asahi.com/international/update/0831/TKY201308310050.html
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