fc2ブログ

もうすぐ北風が強くなる

ガンダーセン:40年の幻想

 ガンダーセン

 40年の幻想を粉々に打ち砕いたフクシマ  7/27 翻訳「星の金貨プロジェクト」から

フェアウィンズのアーニー・ガンダーセン氏が、国際的な外交官として知られ、国連開発計画の元特別顧問であり、人類の生存のための宗教指導者と議会指導者のための国際フォーラムを創設してその事務総長に就任し、1992年にリオデジャネイロで開催された議会地球サミット会議では事務局長を務めた松村昭雄氏と対談を行いました。

ガンダーセン氏と松村氏は今なお続いている福島第一原発の危機的状況を検証し、一日も早く東京電力を事故収束・廃炉作業から除外すべきであるとの一致した結論に達しました。

そしてガンダーセン氏が自らが原子力産業界で過ごした40年間を振り返り、たった一日の出来事がそれまでの考えを全く逆転させてしまった、「楽しき40年と恐るべき1日」についての経験について語りました。
…………..

ガンダーセン : こんにちは、フェアウィンズ・エネルギー・エデュケイションを主宰するアーニー・ガンダーセンです。今日に至り、私は自分自身が原子力産業界で得てきた経験を、少しばかり皆さんと共有したいと考えるようになりました。
42年前に私はレンセラー工科大学で学年でトップの成績を収め、原子力工学の学士号を得ました。
そして翌年には原子力工学の修士号を獲得しました。
私は原子炉を実際に操作する資格も持っていました。

当時私は原子力発電が世界を救うことになると、本気で思っていました。
私は原子力技術の開発、そして原子力発電所の管理運営に心血を注ぎ、安全管理の特許を獲得するまでなったのです。
私は認められて上級副社長に就任し、原子力発電のすべてを知る立場に収まりました。

そして私は原子力発電の内部告発者になったのです。

私がそうしていた間に、まずスリーマイル島の事故が起き、続いてチェルノブイリで原子炉が爆発しました。
それでも私は原子力発電技術は安全だと信じていました。
いずれの事故も、原子力発電所を管理している側に問題があったと考えたのです。

ではなぜ私が内部告発を行うようになったのか、その時のことを振り返りましょう。
私は原子力発電の安全基準こそは白馬の騎士であると信じていました。
そして地平線の彼方からやってきて、当時悩み始めた私の心を救い出してくれるものと考えていたのです。
しかしそれは幻想に過ぎませんでした。
その事により、私はアメリカにおける原子力発電の管理・規制が不完全なものであることを理解したのです。
しかしまだ心の奥底では、原子力発電は安全な技術だと信じたい、そう考えていたと思います。

さて、その後の私の人生は、NGO、つまり非政府組織などのために報告書や論文を提出することに費やされるようになりました。
それでもまだ心の底では、誰もが一生懸命前向きな取り組みを続ければ、原子力発電はいつか安全な技術として確立する日がやってくると信じていました。

そして福島第一原発の事故が発生しました。

福島では安全を確保するためのあらゆる技術が、競うようにして崩壊して行ったのです。

海水を使った冷却装置は機能しませんでした。

ディーゼル発電機は役に立たなくなりました。

外部電源も使えなくなってしまいました。

そして原子炉の故障。

原子炉格納容器の爆発。

環境中に放射性物質を拡散させないための防御装置も、役には立ちませんでした。

全ての『安全技術』が崩壊してしまったのです。
その事が原子力技術者としての私の後半生を決定してしまったと思います。

今私は原子力発電は40年間夢を見続けた挙句、フクシマの一日によって現実に引き戻された、そう考えています。
原子力発電は私が人生の多くを捧げたものですが、あなたの間近でフクシマの事故が現実にならないよう、あなた自身ができることに取り組んでください。

フェアウィンズ・エネルギー・エデュケイションは、ここでご紹介するような映像による情報提供を2年以上に渡り続けてきました。
今日ではその取り組みに対し、世界中で一定以上の評価をいただくようになりました。

私たちは単にニュースとして、福島第一原発の事実を伝えるだけではありません。
そこでいったい何が起きているのか、その事実が指し示す真実とは何なのか、分析と解説を進めることにより、他のメディアからは得られない『真実』をお伝えしたいと考えています。

ところで7月はフェアウィンズを立ち上げた月であり、妻のマギーや私たちの周囲には一緒に働こうというスタッフが集うようになりました。
これからも私たちが有意義な活動を続けられるよう、ふたつほどお願いしたいことがあります。

ひとつ目は、ご意見をお寄せいただきたいのです。
ツイッターやフェイスブックにもフェアウィンズのアカウントがあります。
また英語のほか、フランス語、ドイツ語、そして日本語のサイトもあります。

もう一つは活動資金へのご協力をお願いしたいという事です。
私たちの活動は無償では継続することができません。

マギーと私はフェアウィンズの活動を無償で行っていますが、スタッフが居なければフェアウィンズの活動を継続することは不可能です。
そして若干の必要経費もあります。
私たちの活動にご賛同いただけるのであれば、ぜひ一度ご寄付についてもご検討いただけますよう、お願いしたいと思います。

それでは、松村昭雄氏と私との対談が、あなたのために役立つことを願っています。

松村 : アーニー、まず、このような非常に有意義な場にお招きいただいたことを感謝します。
今回私は初めてバーモントを訪問しましたが、まずはあなたと奥様のマギーさんが、福島が予断ならない状況にある事を、くりかえし啓発されてこられたことについて、お礼を申し上げたいと思います。
私のブログをご覧になっている皆さんも、フェアウィンズの取り組みを非常に高く評価されています。

ガンダーセン : ありがとうございます。
今回あなたをお招きしてお話が聞けるという事は、非常に意義がある事です。もちろん、妻のマギーもこの日を心待ちにしていました。
世界が真実を知りたいと思っている以上、私たちも最善を尽くしていくつもりです。

松村 : ところで私は、東京電力に果たしてこの巨大事故の収束能力があるかどうか?という多くの質問を読者から受け取りました。
私には判断のしようがありません。
しかし、経営陣も東京電力独力では事故処理はできないと考えている、そのような内輪話を耳にしたことがあります。
しかし私たちは素人であり、正しい判断ができるわけでもありません。
その上福島第一原発の事故については、様々な立場の科学者がまるで違う発言を繰り返しています。
そこで私は国連が核物理学者、原子力工学の科学者、地質学者などからなる独立した調査チームを編成し、改めて検証を行うよう要請する書簡を、国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長あて送りました。
日本の鳩山元首相にも同様の意見を述べました。

現在信じ得るのはヘレン・カルディコット博士の発言、そしてアーニー、あなたの見解だけだと考えています。
そこであなたに最初の質問です。
私の提案内容は、福島の現状についてあらゆる側面から検証し、全ての問題を明らかにするため、独立した国際的調査団を設立すべきであるというものですが、あなたはどうお考えになりますか?

ガンダーセン:それは素晴らしいアイディアだと思います。
わたしはこう考えます。
真に独立専門家によって構成される調査チームを編成の上、福島に派遣し、これ以上日本の人々を放射線被ばくさせないための論理的に正しい対策を策定し、急ぎ実行する必要がある。
国連には独立した機関としてIAEA、すなわち国際原子力機関がありますが、その憲章の第2項にははっきりと「原子力政策を推進する」と書かれています。
私に言わせれば、これでは独立した機関とは言えません。

独立した調査チームは、これから
1. 放射線とともに生きていかなければならなくなった
2. そしてこの放射線を取り除く取り組みをしなければならなくなった
日本の人々に信任される必要があります。

この状況を考えれば、原子力発電を推進しようとしているIAEAのような機関に調査を任せることは、馬鹿げている以上に危険でさえあります。

専門家による国際調査団が現地に入り、どうすれば事故収束・廃炉作業を前に進めることが出来るのかを日本の国民の皆さんに明らかにし、その上で東京電力以外の手によってその作業を行う、そのことが大切です。

もう一つ大切なことは、本格的な事故収束・廃炉作業が始まり、東京電力とは別の技術企業体がその作業を行う場合には、その企業はおそらくは国際的な連合企業になると思われますが、独立調査団は現地に留まり、作業の進展の監督をする必要があるという事です。
なぜなら一方では原子力発電所を建設しているような企業が、的確な事故収束・廃炉作業を行う事を日本の人々に信じさせることは難しいからです。
全ての行程を監督すること、それが専門家による独立した調査チームに課せられる使命なのです。

またこの調査チームは日本政府に対して、問題の解決に必要な費用を支出するよう圧力をかけられるようにすることも必要です。

現在日本政府はもうこれ以上、東京電力に国の予算を割きたくはないと考えていると思われます。
そうである以上、東京電力は本来必要な金額を下回る予算で、あらゆる問題に対処していこうとしている、そう考えられます。
そこで必要になるのが、国際調査団が新たに契約した企業に対し正しい処理、必要な処理を行うよう指導し、その上で福島第一原発の事故収束・廃炉作業に必要な本当の金額を日本の人々に公開することです。
そうして初めて、現在福島第一原発が直面している2つの大きな課題をクリア出来ると考えています。

ガンダーセン : このビデオの冒頭部分で、私たちは福島第一原発で今実際に起きている状況、その本当の状況を明らかにし、その解決のためのひとつの選択肢を提案しようとしています。

様々な新聞記事、あるいはネット上で公開されている専門家やジャーナリストのブログなどを見れば、福島第一原発には公開されている以上の数限りない問題が存在していることに気づかざるを得ません。
海に流出している放射性物質、ワイヤーをかじるネズミたち…
しかしこの2年有余、福島第一原発の問題に向かい合ってきたフェアウィンズとしては、さらに皆さんに伝えなければならない事実があるのです。

福島第一原発の事故収束・廃炉作業には、もっと別のやり方があるはずです。

将来の社会においては、原子力発電に代わるべき別の発電手段があるのです。

そこでこのビデオの後半部分においては、福島第一原発の真実の状況に加え、世界がどの方向に向かって進むべきかをお話しています。
どうか皆さん、このメッセージが一人でも多くの方に伝わるように、寄付、翻訳、そしてツイートなど皆さんができることをしてください。
そうやってフェアウィンズの取り組みをサポートしていただきたいのです。
フェアウィンズは、最悪の結果があなたの側そばで現実のものにならないようにするために、あなたにも手を貸していただきたいのです。

松村 : アーニー、ありがとうございます。
さて、次に政治指導者の問題について考えたいと思います。
昨年私は2度日本を訪問し、福島第一原発の問題は国家的危機であると表明しました。
そして福島の問題は、単に技術的課題に留まるものでもないし、民間企業に任せきりにしてよい問題でもないと主張しました。
この問題の処理を誤ればその災厄は日本国内に留まるものではなく、福島第一原発の危機は世界的にも重大な原子力災害なのです。
解決すべき問題の筆頭に挙げるべきものなのです。

ところでアーニー、あなたは事故発生以来原子炉4号機の危険性について警告を繰り返されてきました。
使用済み核燃料プール内の膨大な量の汚染水、そして使用済み核燃料の問題です。
そして最近では、3号機についても重大な懸念を表明されていますね。
原子炉3号機のどの点が問題なのか、4号機の問題と比較しながら詳しく説明していただいてよろしいですか?

ガンダーセン : ご説明しましょう。
福島第一原発は現在不安定なままですが、ただし、大きな地震に見舞われない限りはまだ大丈夫です。
『大きな』地震とは、地震が頻発する国で大きなものと感じる程の地震、つまりはマグニチュード7.0以上の地震の事です。

現在、福島第一原発には3つの大きな問題があります。

最初のひとつ、それは発電所内の数百基のタンクに貯蔵されている放射能汚染水です。
東京電力は福島第一原発の敷地内において、どこにどれだけの放射性物質が存在しているか正確なところを明らかにしていませんが、汚染水のタンク内には膨大な量の放射性物質があることは疑いありません。

福島第一原発の発電所の外に居た人々が、大量の被ばくをさせられてしまったことは隠しようの無い事実です。
それからしても、発電所内に莫大な量の放射性物質がある事は間違いないのです。

ここに制御放射と呼ばれる現象があり、さらにはタンク内の放射性物質の放射性崩壊により、高い値のエックス線が福島第一原発の外部にも放出されています。
それはつまりどういう事でしょうか?
何百とある汚染水タンクは、きわめて高い値の放射性物質を含んでおり、しかもこのタンクは耐震構造を持つものはひとつもありません。
もし大地震が起きれば、その結果は目に見えています。

そう、大地震が発生すれば、700以上あるタンクから高濃度の汚染水がほとばしり出て、発電所の地面を走り、太平洋になだれ込むことになるのです。

貯蔵されている汚染水の量は、これまで太平洋に流れ出した汚染水の量を上回っています。

そうです、1番目の問題とは、地震発生により貯蔵タンク内の汚染水が太平洋に流れ込む危険性があるという事なのです。

ガンダーセン : 第2はここ数年私が懸念し続けてきた問題です。
原子炉4号機の構造に関わる問題です。

現在4号機の使用済み核燃料プールには、最も多量の使用済み核燃料が存在します。
しかもまだ熱を持っているのです。

そのため、4号機使用済み核燃料プールの冷却機能が失われれば、大量の核燃料が火災を起こすことになり、莫大な国土を汚染してしまうことになります。

時間の進行とともに核燃料の温度は下がり続け、その分火災発生の危険性も減少していくことになります。
しかし4号機の核燃料はまだその段階には至っておらず、プールの水が失われてしまえば火災が発生する恐れは充分にあります。

そして現在計画されている使用済み核燃料プールからの核燃料の取り出し作業、その前提条件となっているのは、プール内の核燃料が無傷のままであるという事です。
もし核燃料を変形させてしまうほどの地震が発生すれば、当然使用済み核燃料プールが損傷し、全てはご破算になってしまいます。
水が失われ燃料の冷却が出来なくなり、そうなれば燃料はたちまちに発火点となる温度まで上昇し、火災を発生させてしまう事でしょう。

そして第3の問題、それが原子炉3号機に関するものです。
3号機に残っている核燃料は4号機ほど多くはありません。
その点はましだと言えるでしょう。

問題は3号機の場合、事故による損傷がひどいという点です。
仮にマグニチュード7.0以上の地震が発生した場合、4号機の原子炉建屋はもっても3号機の方は倒壊の恐れがあるのです。
3号機の核燃プール内にある核燃料の量が4号機よりも少なくても、構造上深刻な問題を抱えており、福島第一原発が抱える最大の機器のひとつとして私にとってもずっと気がかりでした。
3号機が爆発した(正確には『爆轟』。詳しくはガンダーセン氏による解説をお読みください http://kobajun.chips.jp/?p=5311 )際、巨大な衝撃波が生みだされ、原子炉と原子炉建屋が最大の損傷を受けました。

この問題は計り知れない程危険です。

日本はこの問題について、戦争と同じ対応をしなければなりません
いざ戦争が始まった場合、国は敵の状況を無視し、予算の制約によって一方的に作戦を変更したりするでしょうか?
福島第一原発の危機は戦争と同じぐらいの国家的危機である、私はそう認識しています。

東京電力は福島第一原発の事故収束・廃炉作業について限られた『予算』を計上し、その予算内ですべての処理について『最善を尽くそう』としています。

そして日本政府にとっては、もはや福島第一原発の事故収束・廃炉作業に使うべき充分な予算が無いという事実を認めることよりも、あらゆる責任を東京電力のみに負わせることの方がはるかに楽なことなのです。

世界の産業事故史上、最大となったこの福島第一原発の事故を解決するためには、必要なだけの資金を確保するための基金を設立する必要があります。

私はこの問題についてこれ以上日本政府や東京電力に期待することはできませんが、日本の皆さんには福島第一原発の事故によって、日本人が潜在的にどれ程巨額の借金を負わされてしまったのか、きちんと考えていただきたいと願っています。

日本人が福島第一原発の事故によって背負った借金は50兆円から75兆円の間だと、私は考えています。

松村 : 福島第一原発で現在起きしている環境問題、そして健康問題を解決するための最良の方法にはどんなものがあるでしょうか?

ガンダーセン : 福島第一原発の事故の根幹部分を形成するものとして、私は2つの問題があると考えています。

ひとつは地下水が破壊された3つの原子炉建屋に流れ込んでいる問題です。
ここで思い出していただきたいことがあるのですが、東北地方の太平洋岸は東日本大震災によって約90センチの地盤沈下を起こしました。

あなた自身がビルディングになったつもりで、ちょっと考えてみてください。
もしビルディングであるあなたが建っている地面が、突然90センチも沈み込んでしまったら建物の基礎の部分が壊れてしまいますね。
そしてもっと大切なことがあります。
建築物が90センチ沈み込むことにより、基礎部分にかかる水圧が高くなってしまうのです。
これが福島第一原発の原子炉建屋の地下部分に殺到している地下水の量が、一日に400トンにも達している理由のひとつなのです。

ガンダーセン : さらにもうひとつ問題があります。
原子炉格納容器には構造上、いくつかの穴が開けられています。
配線類、そして注排水をするパイプを通すための穴が開いているのです。
これらの穴の周囲をふさぐための絶縁体は、次の3つの問題の発生を想定していません

高い放射線にさらされること
高温状態に置かれること
絶えず塩水をかけられる事


福島第一原発ではこの3つの悪条件すべてが揃い、配線も配管もずたずたになっています。
本来なら格納容器内にあるべき放射性物質がこうした経路を伝い、他の建物まで汚染する状況が続いていると考えられるのです。

もう一つは手ではつかめない程の小ささに破砕された核燃料の存在です。
これら核燃料は破壊された原子炉建屋の各フロアに散乱しており、これらが流れ込んでくる地下水や冷却水の中に入り込み、膨大な量の汚染水を生み出す原因になっています。

ふたつ選択肢があるように思えます。
これ以上汚染水を増やさないように、溶け落ちた核燃料への注水を止めるという選択肢もあります。
あるいは放射線の漏出を止めるという方法もあります。

いずれも現実的な選択とは言えませんが、方法が無い訳ではありません。

私は福島第一原発の敷地をぐるりと取り囲む溝を掘り、そこにゼオライトと呼ばれる物質で満たすことを提案しました。
ゼオライトは火山岩の一種で、放射性物質を非常に効率よく吸着・固定する性質を持っています。

日本の科学者である中村興一博士は、問題となっている地下水面を下げるために、その溝の外側に井戸を建設することを提案されました 。

そこで地下水面を下げることが出来れば、この地下水は未だ汚染されてはいないので、海洋中に放出することが可能になります。
そして溝の中に敷き詰められたゼオライトが、これらの井戸の中に放射性物質が入り込むのを防ぐ働きをします。
こうすれば原子炉建屋の破壊された基礎部分に入り込む水量を、大幅に減少させることが可能になります。

では今度は、放射性物質が福島第一原発の敷地の外に漏れ出さないようにする方法について考えてみましょう。

つながれていた馬たちは解き放たれて、小屋の外にいます。つまり放射性物質は原子炉格納容器から漏れ出し、周辺の建物まで汚染してしまっている状態です。
しかしこれ以上もう漏れ出すことが無いよう、まず原子炉格納容器の漏出個所をふさいでしまう事がどうしても必要です。
漏出個所を特定し、その穴を塞がなければなりません。

しかし今やその対策も、原子炉建屋付近の放射線量が驚くほど高い値になってしまったために、非常に難しいものになってしまいました。
誰かにコーキング剤を持たせ、「これであちこち穴を塞いで来てくれ…」などとは間違っても言える状況ではありません。
漏出個所を特定し、その穴を塞ぐ作業を行ううちに、致死量の放射線被ばくをしてしまう可能性があるのです。

また一刻も早く原子炉内から核燃料を取り出す必要がありますが、それも放射線量が高すぎて着手が不可能な状況です。
だからこそ、一日当たり400トンずつ増え続けている莫大な量の汚染水タフ遺作として、現在採りうる最良の方法は、地下水面を下げ、これ以上建屋付近に地下水が入り込まないようにすることなのです。

フェアウィンズはこの技術を持つアメリカ国内の企業2社と詳細な打ち合わせを行った上で、この対策を福島第一原発において実施するよう日本側に働きかけました。
しかし日本側の回答は『ノー!』、どちらの社の提案も拒絶したのです。

私は拒絶の理由はアメリカ側の提案内容にあったのではない、そう確信しています。

事実を申し上げます。
ゼオライトを敷き詰めた溝を使う技術は、アメリカ国内のウェスト・バレー原子力発電所で実際に行われており、非常に、非常に高い効果が証明されているのです。
そしてアメリカにおいて効果の高さが証明されたこの技術は、日本政府、東京電力、その両方に拒絶されたのです。

どちらが『拒否』を強く主張したのか、そこまでは私も知りません。

松村 : アーニー、問題の根幹にかかわる部分についてのご説明、ありがとうございました。
福島第一原発には未解決の数多くの問題が山積している、私もそのように確信しています。
福島第一原発は人類がかつて経験した事の無い、非常な難問を私たちに突きつけています。
この問題の解決のため、私たちは徹底した検証を行い、世界の叡智を結集することを何としても実現させる必要があります。

世界中の知識と技術を結集する以外、解決の方法があるとは思えません。
どうか日本を、そして世界を救ってください。

アーニー・ガンダーセン、マギー・ガンダーセン、そしてカルディコット博士、みなさんに重ねてお礼を申し上げます。

マギー・ガンダーセン : みなさんこんにちは、マギー・ガンダーセンです。このビデオをご覧いただいたことに感謝申し上げます。
そして私たちが仕事を進める上で、ご助力いただいている点についてお礼を申し上げます。
フェアウィンズにはきわめて有能なチームがいて常に最大限の努力を惜しまず、世界中の原子力問題、核問題について最新の情報を皆さんにお届けしています。

私たちはこうした作業に、常に全力で取り組み、大手メディアなどからは決して得られない答えをご提供しています。
私たちの活動へのご理解とご協力をぜひお願いいたします。
ご寄付をお願いいたします。
これからも最先端の情報提供を続けるため、現金をお送りいただくか、ペイパルを利用しての寄付をお願いしたいのです。

ありがとうございました。
 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 そして、この国の隠蔽体質は今も変わらず、ガンダーセン氏の真摯な姿勢も変わりません。
 下に、このブログ内のガンダーセン及びカルディコット氏関係記事のリンク一覧。

・ 第一原発、絶えず新たな危機、現場は限界に
・ 3号機は核燃料プールが臨界爆発
・ 
グンダーセン:最も危険な4号機、そして3号機
・ ガンダーセン:インタビュー(1)原発の状況
・ ガンダーセン:インタビュー(2)4号機の危険
・ ガンダーセン:インタビュー(3)被曝と汚染
・ ガンダーセン:インタビュー(4)汚染と除染
・ 3号機の使用済み核燃料プールは空っぽ
・ ガンダーセン:深刻な放射能汚染、黒い雨
・ 車のエアフィルターと呼吸による被曝
・ 10シーベルト超の致命的な放射線:ガンダーセン
・ ガンダーセン:日本に重要な警告
・ ガンダーセン:日本政府は重大さを認識せよ
・ ガンダーセン:原発の欠陥と過小コスト計算の欠陥
・ ガンダーセン:マーク1型原発の全て閉鎖を提言
・ ガンダーセン:フィルターや靴紐の汚染が示すこと
・ ガンダーセン2/20会見「事故の真相と展望」
・ 放射性廃棄物の焼却は原発事故の再現だ
・ 福島の子どもたちが危ない:Business Insider
・ 36%に甲状腺異常、見解と提言:カルディコット
・ ガンダーセン、カルディコット対談「福島の現実」(1)
・ ガンダーセン、カルディコット対談「福島の現実」(2)
・ ガンダーセン、カルディコット対談「福島の現実」(3)
・ ガンダーセン、カルディコット対談「福島の現実」(4)
関連記事

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://bator.blog14.fc2.com/tb.php/1836-573bf502

 | HOME | 

 

プロフィール

もうすぐ北風

Author:もうすぐ北風
こんにちは。
いろんな旅を続けています。
ゆきさきを決めてないなら、しばらく一緒に歩きましょうか。

最新記事(引用転載フリー)

カテゴリ

経済一般 (118)
経済一般~2012冬まで (161)
日本の経済 (224)
通貨戦争 (70)
ショック・ドクトリン (12)
震災関係 (23)
原発事故発生 (112)
事故と放射能2011 (165)
放射能汚染2012 (192)
汚染列島2013-14 (146)
汚染列島2015-16 (13)
福島の声 (127)
チェリノブイリからの声 (27)
政治 (413)
沖縄 (93)
社会 (316)
小沢一郎と「生活の党」 (232)
健康と食 (88)
環境と地球の歴史 (28)
未分類 (175)
脳卒中と入院 (7)

カウンター

最新コメント

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

リンク

このブログをリンクに追加する

カレンダー

11 | 2023/12 | 01
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31 - - - - - -

最新トラックバック

月別アーカイブ

RSSリンクの表示

Template by たけやん