恫喝する恐怖の医療:近藤誠インタビュー
2013-07-20

がんの手術、抗がん剤治療は患者を幸せにするのか。近藤氏は早期発見の有効性に異を唱える
勘三郎さん、ジョブズ氏…「がん手術は間違い」 慶大・近藤誠医師が直言 2013.07.10 zakzakから
『患者よ、がんと闘うな』などで知られる慶応義塾大医学部講師の近藤誠10+ 件医師(64)が、2014年春に迎える定年退職を前に本紙のインタビューに応じた。独自の「がんもどき」理論、激しい論争、自らの死生観など約90分間で語り尽くした内容を全3回の集中連載にまとめてお伝えする。第1回は「がん“治療”が命を縮める」をテーマに、抗がん剤投与や手術至上主義の実態に迫った。(聞き手・構成 久保木善浩)
もしもあなたや家族ががんを告知されたら-。抗がん剤治療や手術に望みを託す方が多いのではないか。例えば、食道がんに冒された歌舞伎俳優の中村勘三郎さん(2012年12月死去、享年57)は手術に挑んだ。胸を切り開いて食道を切り取り、胃をのど元まで引き上げる難易度の高い手術を受け、入院から約4カ月後にこの世を去った。
◇
──勘三郎さんの早過ぎる死はショックだった
「日本は医師不足といわれていますが、実は余計な分野に医者が多いだけ。食道がんもその1つで、手術をする外科医は2000人もいます。外科医が手術をしたがり、多くの患者が手術に追い込まれているのです」
──勘三郎さんが近藤先生の患者だったら、ああいう結末は…
「あり得ません。勘三郎さんに自覚症状はなく、(食道は)食べ物の通りもよく元気でした。
まず診るのは転移があるのか、ないのか。転移がない『がんもどき』ならば今後も転移が出てこないと考えられ、即座に手術する必要はありません。
転移があれば、残念ながら統計上は5年後にはほとんどの方が亡くなっています。
やはり、即座に手術をする理由はなかったのです」
《近藤氏は、がんは2種類あると唱えている。1つは転移する本物のがん、もう1つは近藤氏が「がんもどき」と名付けた転移しないもの。本物のがんは転移のため手術や抗がん剤で治る見込みはなく、「がんもどき」なら転移しないので端から切る必要はない、という理論である》
──勘三郎さんは術後、肺炎にかかった
「手術によって誤嚥(ごえん=異物を気管に飲み込んでしまうこと)防止ができなくなり、消化液が肺の中に入って肺の細胞がやられました。
何もしなければ1年以内なら体力はほぼ落ちず、亡くなることもあり得ません。(今年4月に始まった)新しい歌舞伎座のこけら落とし公演には十分出られたと思います」
──芸能リポーターの梨元勝さん(2010年8月死去、享年65)は肺がんで抗がん剤治療を受けていた
「体調不良を訴えて(10年5月末に)入院し、進行期の肺がんということで抗がん剤治療が始まりました。投与が進むなか、梨元さんは体調が悪化していく様子をツイッターでつぶやいています。
そして数回目の投与の後、息を引き取りました。肺がんで症状が急激に悪くなることはなく、こういう亡くなり方は抗がん剤の影響以外ではあり得ません」
──がん死というと、スキルス胃がんのアナウンサー、逸見政孝さん(1993年12月死去、享年48)の印象が強烈だった
「手術でおなかを切り開き、胃を摘出すると傷口ができます。その傷口に腹膜、腹水中のがん細胞が潜り込みます。
傷口を治すために体はいろいろな細胞を増殖させようとして、その流れにのり、がん細胞も一緒に勢いよく増殖してしまう。メスを入れただけでがんが広がることを、僕は『局所転移』と呼んでいます。
スキルス胃がんで手術をしたすべての方が局所転移で命を縮めている、といっても過言ではありません」
《スキルス胃がんは、胃の粘膜から出たがん細胞が約5ミリの胃の壁を垂直に潜り込み、腹膜に達して腹部全体に広がっていくもの。この場合、5年生きる人はいないといわれている》
──スキルス胃がんと聞くと「逸見さん」「あっという間に亡くなる」と連想し、手術に走ってしまうのか
「スキルス胃がんそのものではなく、手術が恐ろしいのだと見方を変えなければならないのです。
スキルス胃がんで手術した患者の生存期間を調べると、多くは1年以内、ほぼ全員が3年以内に亡くなっています。
しかし、僕が手術も抗がん剤投与もしないがん放置療法で様子をみていると、ほぼ全員が3年以上、なかには9年生きた方もいます。僕が診た患者さんの経過が『手術は間違っている』ということを証明しています」
──アップル創業者のスティーブ・ジョブズ氏(2011年10月死去、享年56)は、膵(すい)がん発見から9カ月放置したことを、後に「早く手術すればよかった」と後悔したとか
「手術で転移が判明したのですが、膵がんもメスを入れると転移が早まります。
膵臓を取ったところにがんが再発しやすいのです。
僕ならば放射線治療でたたく、鎮痛剤で症状を緩和するといった治療をすすめました。
実際に亡くなった年齢よりは長生きできたのではないでしょうか」
──多くの人が、がん治療は早期発見が有効だと思っている
「結局は医療も産業で、患者さんの幸せより産業の発展が第一目標になっています。
健康な人たちに病院へきてほしい医者たちが集団検診事業を展開し、治療しなくてもよい『がんもどき』をたくさん見つけ、それを手術した成績を加えているから生存率がアップしたように見えます。
そうして、早期発見が有効なように感じてしまうのです」
──先生は医療を「恫喝(どうかつ)産業」「恐怖産業」と表現している
「実際にがんになったとき、医者に『治療を受けたくない』といえば、ありったけの言葉で不安に陥れられ、『手術しなければすぐに死ぬ』などと脅されます。
そこではじめて、医療は恫喝産業、恐怖産業だと実感するのです」
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