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今、世界経済の肝心なこと:吉田

 ペーパーマネー
 通貨も債券も過剰に増発すれば過剰在庫を来たすのは自明のこと。

 世界通貨戦争に加わった黒田日銀だが早くも長期金利上昇と先行する物価上昇、勤労所得の停滞が露呈している。
 現状は資産バブルとスタグフレーションに向かっていると言わざるを得ないだろう。
 異次元金融緩和も米国FRBの意向に従っただけだったことが、国内金融はもとより一般投資家にも徐々に知れ渡り、信用が崩壊し始めている。

 ここで中国の「影の銀行」信用破綻が現れてきた。
 中国は通貨をさらに増発すると共に、潰れるものは潰して国内の金融流通を守るだろう。
 だが、日米欧への波及は免れない。

 特にユーロ圏はサブプライム以来の損失が不良債権として膨大に寝かされ隠されている。
 ユーロの危機は現実何も解決していないことを忘れてはならない。
 米国の住宅担保証券も同じでFRBが買い支えしているだけである。

 以下は今後の事態を予想するものではない。
 最低どうなるか、最大どうなるか。
 基本的で、肝心なことをしっかりと把握しようとするものです。 
 ーーーーーーーーーーーー
 肝心なこと:国債保有のリスクと予想される行動  6/27 吉田繁治 

中国の、銀行間金利が、異常に高くなっています。3%台だったものが、6月には突然、10%を超えています。

 ▼中国の金融崩壊

銀行間金利は、今日の資金に余剰が出れば、銀行がオーバー・ナイト(1日)で貸し、不足なら借りるものです。

英国の不正問題が解決していないLIBOR(ライボー:London Inter Bank Offered Rate )に当たるものです。日本ではTIBOR〔タイボ〕で、もっとも低い金利です。過去は、電話でやりとりするのでコールレートと言われていました。

現在、
・LIBORは翌日もので0.0886%、6ヶ月もので0.2286%です。
・TIBORも1週間もので0.11%、6ヶ月物で0.28%と低い。

中国の銀行間金利の、不意の高騰は、金融機関の大型倒産、つまり、払うべきものの決済での不能を意味します。
推測すれば、高騰していた不動産の融資での、数兆円規模の決済不能です。

中国は、政府によるマネー投入で、2年は先延ばしになっていた不動産バブルが崩壊する時期に直面しています。

〔400兆円のバッド・ローン〕2011年に、実態では不動産バブルの崩壊があった。不良債権は巨大で、400兆円と推計されています。
対策は人民銀行が元を刷り、決済に不足する銀行に貸すしかない。

政府が監視できていなかったシャドー・バンキング(影の銀行)の不良債権が多いと言われます。銀行が子会社や基金を作り、高い金利で、リスクの高い貸し付けをしたものです。

米国の金融危機を生んだサブプライム・ローンと、金融工学を使う方法は違っても質は同じです。シャドー・バンキングの決済不能は、親銀行の破産と同じです。
10%を超える銀行間の金利は、異常に高い・・・

中国の銀行システムの崩壊です。
人民銀行がマネー印刷します。対外的には、問題はない。しばらくすれば何ごともなかったように落ち着くでしょう。

〔その後のGDP〕ただし、その後、投資が減るため、経済成長は数%は下がります。
日本・米国は不動産ローンの不良化で、欧州は南欧債の信用不安からの金融危機でGDP成長が、数ポイント下がっています。

7%台に下がったと言われるGDP成長も、実際は3%台に落ちたという観測もあります。中国の発表は、こうした面で信用がない。

〔輸出減の問題〕中国の経済成長の急落は、GDP(国内総生産)の35%以上を占める輸出($1.9兆:190兆円:2011年)の急減によるものです。
GDPの総額は日本とほぼ同じですが、その中の輸出は日本(73兆円:13年3月)の2.6倍もありました。

外需先(1位:欧州、2位:米国)の景気が後退すると輸出額はブル・ウィップ効果で、何倍も減ります。
例えばスペインの、ファッション店(ZARA:低価格コーディネートのザラ)の店頭で10%売上が減ると、過去の仕入結果の在庫が残るため、仕入は急減します。

〔ブル・ウィップ効果〕ZARAの、中国の生産委託工場への発注は、30%や50%も減ってしまう。
ブル・ウィップは牛へのムチです。手許(消費)が少し動くと、先(生産)は大きく波打つ
サプライ・チェーンで言われる、小売倉庫(DC:ディストリビューション・センター:店頭への供給倉庫)からの工場への発注がこうなる。

〔三角貿易〕米欧、中国、日本は三角貿易の関係です。
パナソニックやソニーも、日本から部品や部材を輸出し、中国の自社工場で組み立て、欧州や米国に輸出しています。

〔外資系が輸出の70%〕このため、これらは中国の輸出というより、実際は、日本の輸出です。
中国内の工場は、中国のGDPです。
輸出GDPの急減は、日本の中国輸出の減少です。中国の景気は、日本にと
って肝心でした。中国の輸出の70%は、外資系企業のものです。

〔株価を決める次期純益〕円安(昨年比20%:2013年平均予想 95円水準)で、わが国上場製造業の、次期純益が55%増加し、次期純益の増加予想から、PER15倍(次期予想純益の15倍)で計る株価も70%は上がっていましたが、中国のため今日の梅雨のようになってきています。

 ▼再び、危機に向かう欧州経済

昨年の秋、ECB(欧州中央銀行)による、無制限の南欧債の買いの宣言のあとしばらく、市場では、南欧債を買い戻す動きが見られました。

ギリシア、スペイン、ポルトガル、イタリアの国債価格が回復し(長期金利は5%台に下がり)、危機は落ち着いたと言われていた欧州が、半年の時間をおき、再び、怪しくなっています。

(注)もともと南欧債の危機、財政危機から回復していなかった。
欧州も、当局の発表は中国に似ています。

〔回復の実相〕米国も欧州も、国をあげての金融危機に対し、中央銀行がマネーを増発して貸す、あるいは下落した不良債権を額面で買い取って支援するという方法で、表面を塗り固めた回復でした。

米国FRBは$3兆(300兆円)を、欧州ECBは3兆ユーロ(390兆円)を使っています。米欧で、合計690兆円です。
金融支援は08年9月のリーマン危機からですから、すでに5年です。

なければ、世界恐慌でした。ただし、中央銀行のマネーで先送りされた危機は、先送りだけのことです。

その間に、経済が、言い換えれば金融機関と企業が、売上と利益を回復することがなければならない。これが、米欧ともこれができていない。ここが問題です。
このため、繰り返す危機になる。

FRBによる住宅資金の大量投入〕米国では、2012年9月からの量的緩和第三段(QE3)で、FRBは、毎月$400億(4兆円)のMBSを、40%下がった市場価格ではなく、額面金額で買い、住宅金融にマネーを贈与し続けています。

(注)MBS:多くの住宅ローン(原資産)を混ぜて、その回収権を資産にしたデリバティブ証券。これによって米国住宅ローン資金が提供されが、リーマン危機の以来、AAA格のものでも60%に暴落していた。

年間ベースでは、48兆円という巨額マネーの投入です。3000万円の住宅で言えば、160万軒分(米国の新築の3年分)に相当します。

FRBが、昨年9月から与えてきた住宅資金のお陰で、住宅市場で160万軒の、FRB特需が起こって、米国の住宅価格(ケースシラー指数:全米20都市の平均指数)は、13年4月で前年比12%も上がっています。
再びのバブルです。

このため、FRBのバーナンキ議長は、「量的緩和(QE3)」を停止する予定を、毎月、仄(ほの)めかしています。

〔$850億/月〕QE3は、毎月、米国債を$450億(4.5兆円)購入し、額面の60%に下がっていた住宅ローン担保証券(MBS)を$400億(4兆円)、額面で買ってきました。
年間で$1兆(100兆円)のマネー増発であり、

QE1,QE2、QE3とリーマンショック危機直後の、マネー増発を続けてきました。
危機対策を、いつまでも続けるのは、ドル信用の問題になって無理です。

〔メッセージ〕ベーナンキの含意は何か?
はっきりしています。
米国FRBは、$3兆のマネーを増刷した。これ以上の増刷を続ければ、基軸通貨ドルへの不信が起こり、世界から、ドル国債が売られる恐れがある。
そうすると、貿易の急減から世界は恐慌を招くかも知れない。

米国の金利は2.3%が、4%、5%と高騰し、ドル国債は下落し、ドル安になる。・・・そこで日銀。

●FRBのあとを埋めるため、2013年からは日銀が、円国債を買い、ドル国債も買って、円を増発してください・・・というメッセージです。

最近の、欧州の経済指標を見てみましょう。
26%という恐慌に近い失業率の高さに、驚きます。

直近の 株価
失業率 GDP成長 長期金利 2013年
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
スペイン 26.8% -2.0% 4.6% -11%
ギリシア 26.8% -0.3% 10.3% +1%
イタリア 12.0% -2.4% 4.3% -1%
フランス 11.0% -0.4% 2.1% +5%
ドイツ 6.9% -0.3% 1.6% +8%
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
比較:日本 4.1% +0.4% 0.8% +27%
米国 7.6% +1.8% 2.3% +15%
中国 4.1% +7.7% 3.3% -6%
中国 (20%) (+4%)← 推計(真の姿)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
〔英エコノミスト誌13.06.22:巻末統計より作成〕

スペインとギリシアの失業率は、26%台です(!)。

実態は35%付近です。職を求める活動をあきらめると、失業者ではないからです。
これは日米欧に共通です。中国の失業は、もともと、1年前から20%でしょう。

南欧の経済は、失業率から見て恐慌の状態です。日本は、賃金が伸びなくても(減っても)失業率は4.1%で、世界最低レベルに低い。

このため公的失業率が10%(フランス、イタリア)や20%以上(スペイン、ギリシア)の、経済や生活が想像できない。
ひどいものです。希望がある・ないというレベルではない。日本では見られるそういう問いかけすら、起こらない。

しかし、失業や病気のときの、社会保障のレベルが欧州は高い。食べられないという困窮は少ない。このため政府の財政赤字が、後で、問題を大きくします。
(※ 財政、税制、社会保障は各国の主権による政策だが、各国は通貨を持たないために共通通貨ユーロの統一金融政策に完全制約される。このため国際金融投機の空売りに牛耳られて深刻な事態となる。)

イタリアのGDPのマイナス2.4%は、スペインを追い、ひどい状態に向かっていることを示しています。

〔フランスも・・・〕以前、週刊Economist誌(ロンドン)は、201
3年は、欧州の大国フランスが、経済危機に向かうと予測していましたが、フランスは、イタリアに似てきました。

欧州が「ひどい状態に向かっている」ことが、中国の輸出が急減して中国のGDP成長を大きく減速させ、関連して、円安の日本の輸出数量を増やさない原因です。

欧州のデータは、昨日より今日、今日より明日が悪くなっています。

日本は、昨年からのアベノミクスによる株価上昇(5月23日まで)に、意識が紛(まぎ)れて、世界を見ていなかったようです。

13年5月までは、金融相場だった世界の株価が、日本を最高にして、上がっていたので、世界景気はいいという認識に、傾いていました。
そして、経済データを見れば上記です。

ユーロ圏は、17ヵ国合計のGDPが実質で-1.1%(2013年:第1四半期)です。
平均物価上昇が1.4%なので、名目GDPで-2.5%になります。GDPの大きな後退です。
不況という域は超えています。

現下の主要国の経済を概観しました。次は、日銀が、異次元緩和を行った13年4月、5月以降の、異常に思える長期金利の上昇です。

 ▼不安定になった国債市場と、上がる長期金利

日銀の、3月31日の国債保有は、125兆円でした。
6月20日には、145兆円に増えています。

20兆円の国債を買い切って、円を増発したのです。
過去の6倍もの速度での、国債買いです。

https://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2013/ac130620.htm/

国債も、
・金融機関の間で売りが多ければ、価格が下がり(利回りは上がり)、
・買いが多ければ価格が上がって、利回りは下がります。
金利は、国債が売買されるときの、価格に対する利回りで決まります。

10年債で、満期までの残存期間(デュレーション)が7年の、表面金利0.6%の国債があったとします。期待金利が1%に上がると、この国債は、下の計算で価格が下がります。

計算:額面100万円×(1+0.6%×デュレーション7年)÷(1+1%×デュレーション7年)=100×(1.042÷1.10)=94.7万円

価格は94.7%になり、100万円に対し5.3%も下がってしまいます。
一般に、満期まで7年の債券は、金利が1%上がると、その金利の調整されるため、価格が5%の割合で下がります

ある生命保険が、30兆円の国債を持ち、平均デュレーションが7年なら〔30×5.3%=1兆5900億円〕のキャピタル・ロスが、一瞬で生じてしまいます。
(注)金利の0.3%や0.4%変動は1日で起こっています。

100万円の、デュレーション7年の国債が、94万7000円でしか売れなかったから、金利が1%にあがったということです。

国債は、常に、安全資産と言われてきました。
金利と価格は、日銀の政策で、コントロールされていた。
金利は低くても、満期には額面100%の償還がある。
価格変動の大きな株(リスク資産)とは違う、ということです。

しかし、13年4月・5月の日銀が、利下げをしようとし、
・20兆円の、長期債の買い切り出動したときから金利が逆に動き、
・国債価格は下がり、金利は上がっています。


金利が上がった原因は、日銀の買い切り(2ヶ月で20兆円)以上に、金融機関からの、国債の売りが多かったということです。

40兆円や60兆円分の売りがあったと思えます。
これは、異常な事態です。

日銀は、説明の言葉を失い、もごもご言う。
黒田総裁は意味のある部分を探すと「市場との対話がもっと必要」
と言うだけです。

【国債市場は相対(あいたい):OTC】
国債は、東証等の市場で売られるものはごく少ない。売買は、金融機関の間の、デリバティブのような相対取引(OTC:Over The Counter)です。

市場とは、銀行や保険会社のカウンターです。全部で290社(銀行、生命保険、社会保障基金、政府系金融)という、ごく少数の関係者
です。

日銀が言ったのは「銀行や保険と、日銀担当が、事前によく話し合って、売る価格を決める」という談合です。

あるいは、売らないでくれという圧力です。黒田日銀は、金融機関の、国債取引担当の信用を得ていないふしがあります。

一体、何が起こったのか?
これから、どうなるのか?

株価よりはるかに、950兆円の残高の、国債の金利問題は大きい。
経済に与える影響では、株価の10倍は重い。
 ーーーーーーーーーーーーーー
 吉田繁治氏の関連ページ。

動乱の2012年(1)金融危機、通貨増刷:吉田
動乱の2012年(2)ホルムズ海峡、増刷で逃げる通貨:吉田
動乱の2012年(3)通貨と国債、デレバレッジ:吉田
アベノミクスの展開と帰結(1):吉田繁治
アベノミクスの展開と帰結(2):吉田繁治
アベノミクスの展開と帰結(3):吉田繁治
アベノミクスの展開と帰結(4):吉田繁治
これからの世代と経済:吉田(1)貧困化とデフレ
これからの世代と経済:吉田(2)7割が限界所得、高齢化単独世帯化
これからの世代と経済:吉田(3)成長無ければ社会危機
吉田繁治:金融・経済・仕事への質問回答集
今、世界経済の肝心なこと:吉田
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