世界に類を見ない選挙規制
2013-07-07
参議院選が始まったが、マスコミの煽りともみえるキャンペーンにも関わらず、世間の選挙ムードはしらけて低調なようだ。
「政治の質は国民の質を反映する」ことは事実だが、この国の選挙制度の特殊性を抜きには語れないのが現実だ。
世界の民主制度の国家は概ね選挙運動に規制などはない。自由である。
日本は戦前からの規制制度をほぼそのまま戦後に移行し、のみならず十数度にわたって規制を強化複雑化してきた、世界に類を見ない規制された選挙である。
270条に及ぶ選挙法とその曖昧な条文の山は、官僚にとって思うままの運用と解釈を作り出してきた。
戸別訪問を禁止、期間中は演説会禁止、自由な文書配布を禁止し、例えば衆院選12日間で大衆に何が伝わるだろうか!
こうして、国民は候補者とりわけ日米与党の自民党以外の反対野党など意見をほとんど知ることのないままに短い選挙期間で「始末」されているのである。
この「知らしめない」規制の山と合わせて、マスコミが橋下、石原、安倍などの恣意的な大宣伝を行うのであるから、結果はマスコミの立ち位置を反映したものになる。
「自立すべき国民」は、米国かいらいの官僚とマスコミがタイアップして潰してきたわけである。
Net選挙の実施がこの馬鹿馬鹿しい事態を打開するきっかけになるかどうか?
ーーーーーーーーーーーーーーーー
●「日本は民主主義が根づいていない」 7/5 Electronic Journalから
小沢一郎氏がよく口にする言葉に「自立と共生」というのがあります。これは小沢氏のゆるぎない政治理念になっています。
この「自立と共生」という政治理念は、小沢政治のバイブルともいうべき小沢氏の著書、『日本改造計画』(1993年講談社刊)に詳しく述べられています。
小沢氏は政治家になった直後から、日本には米国式の戦後民主主義が導入されたものの、まだ真の民主主義が根付いていないことを指摘して、「自立」というコンセプトを打ち出しています。
小沢氏は『日本改造計画』で次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
民主主義の前提は、国民が自分の価値観を持ち、自分の判断で行動できる自立した個人であるということだ。
この前提が日本人に欠けたままであり、アメリカ式の『戦後民主主義』が導入されても、実際には民主政治が根付かないまま現在に至っている。
戦前の官僚組織が存続したなどの問題があるが、基本的には、国民の側に民主主義を実現する条件が揃っていなかったからだ。 ──小沢一郎著、『日本改造計画』/講談社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
小沢氏は「民主主義は国民の自立からはじまる」という前提が必要であることを強調しています。
しかし、日本では現在においてもとくに政治的には個人が自分の価値観を持ち、自分の判断で
行動できていないといっています。
国民が「自立」していないと、国民が選挙で選んだ代議士が官僚依存政治を許してしまうことにつながるのです。
つまり、国民の政治意識が低いということを意味しています。
第23回参議院選挙は昨日5日に公示され、21日に投開票が行われます。
今回の選挙は安倍政権になってはじめての国政選挙であることと、与党の自公が過半数を獲得して、いわゆる「ねじれ」が解消できるかどうかに注目が集まっています。
しかし、今回の参院選の投票率はきわめて低くなることが予想されるのです。なぜなら、街頭で国民の声を聞くと、次のような答えが返ってくるからです。
―――――――――――――――――――――――――――――
◎どうせ、自公が勝つに決まっている
◎誰が当選しても、政治は変わらない
◎どの政治家を選んだらよいかが困難
―――――――――――――――――――――――――――――
これらの国民の声は、今回の選挙に限らず、いつの選挙でもほとんど同じなのです。これはそれだけ国民の政治意識が低いことをあらわしています。
国民が政策を吟味し、候補者がそれを実行できる人物かどうかを判断して投票するという意識の人が少ない
のです。
投票率が低いのは、それをあらわしています。これでは「お任せ政治」になってしまいます。つまり、国民が「自立」していないのです。
ちなみに、今回の選挙から公示日以降でもネットの利用ができるネット選挙が解禁されています。
しかし、海外の多くの国では選挙運動は原則自由であり、今頃になってネット選挙だけを解禁した日本は稀有な存在です。
しかも全面解禁ではなく、まだ多くの不可解な規制が残っています。
規制が多いということは、政治を役人まかせにしていることの結果です。もう少し正確にいうと、国民が選んだ代議士が規制を変えようと努力しなかった結果なのです。
そういう規制に対して国民が声を上げないからです。
選挙を例にとると、日本の選挙制度は、規制のオンパレードなのです。
米国、英国、ドイツ、フランスと比較してみると、次のようになります。
―――――――――――――――――――――――――――――
日本 米国 英国 ドイツ フランス
戸別訪問 × ○ ○ ○ ○
選挙運動期間 × ○ ○ ○ △
ネット利用 △ ○ ○ ○ △
演説会 × ○ △ ○ △
文書頒布掲示 × ○ ○ ○ ×
○規制なし △一部規制 ×禁止
──「WEDGE」/2013年6月号より
―――――――――――――――――――――――――――――
日本の選挙は公職選挙法(公選法)の下で実施されます。公選法の原型は、1925年に制定された男子普通選挙法にさかのぼるのです。
当時は、納税額によって選挙権が与えられる制限選挙だったのですが、選挙運動自体には規制はなかったのです。
しかし、選挙権の制限が少しずつ撤廃され、有権者の数が増えるにしたがって、戸別訪問の禁止や文書図画の制限などが加えられ、戦前の選挙法ができていったのです。
しかし、その選挙法とからめて、悪名高い治安維持法が制定され、政治活動が抑制されるようになっていきます。そして、それが、1942年の「翼賛選挙」につながるのです。
戦後になって治安維持法は廃止され、憲法も改正されたのですが、選挙法だけはなぜか戦前の規制を残したまま、現在の公選法が制定され、1950年に交付・施行されています。
そしてその公選法にさらに細かい規制を加えたものをこれまで使ってきているのです。
公選法は国民が候補者の情報を詳しく知ることを制限しています。
それはネットを解禁しても十分ではありません。これでは国民から「誰を選んでいいかわからない」という声が出るのは当然です。
選挙期間についても日本では、衆院議員は12日、参院議員は17日とあまりにも短いです。
1950年の時点では衆参ともに30日になっていたのを改正のたびに少しずつ短縮していったのです。これでは候補者をますます選びにくくなります。
こういうことを国民はこれまで黙認してきたのです。それは、国民が本当の意味で政治的に自立していないからなのです。
――─ [自民党でいいのか/05]
≪画像および関連情報≫
●ネット選挙解禁で公選法はぶっ壊れる/加藤秀樹氏
―――――――――――――――――――――――――――
ネット選挙が次の参議院選挙から解禁される。
ウェブサイトやSNSを使って候補者や政党、選挙に関する情報が流せるようになるのだ。
私が注目しているのは、今度の参院選挙への影響よりも、ネット選挙解禁が公職選挙法(以下公選法)が細かく定めている現在の選挙のし方そのものを、無意味なものにしてしまうだろう、という点だ。
法律というものは普通読んでも面白くない。ところが、公選法は大いに笑える。
そこで、選挙のし方について公選法が何を定め、ネット選挙解禁がどんなインパクトを持つか整理してみたい。
そしてそのことが、皆さんによってこの古風で滑稽な法律に引導を渡すような議論につながり、「ネット選挙解禁」が「選挙そのものの解放」につながればと期待している。
公選法は、昭和25年に施行されて以来、毎年のように改正され、今や、約270条からなる膨大な法律だ。 その中には選挙権、選挙区から投開票まで、公職の選挙に関する詳細な規定が並んでいる。
とりわけ、選挙運動については、約50条、全体の五分の一近くが費され、非常に細かな、そのくせ曖昧で解釈に困るような規定が並んでいる。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/katohideki/20130603-00025415/
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Netで会見する小沢一郎氏
「政治の質は国民の質を反映する」ことは事実だが、この国の選挙制度の特殊性を抜きには語れないのが現実だ。
世界の民主制度の国家は概ね選挙運動に規制などはない。自由である。
日本は戦前からの規制制度をほぼそのまま戦後に移行し、のみならず十数度にわたって規制を強化複雑化してきた、世界に類を見ない規制された選挙である。
270条に及ぶ選挙法とその曖昧な条文の山は、官僚にとって思うままの運用と解釈を作り出してきた。
戸別訪問を禁止、期間中は演説会禁止、自由な文書配布を禁止し、例えば衆院選12日間で大衆に何が伝わるだろうか!
こうして、国民は候補者とりわけ日米与党の自民党以外の反対野党など意見をほとんど知ることのないままに短い選挙期間で「始末」されているのである。
この「知らしめない」規制の山と合わせて、マスコミが橋下、石原、安倍などの恣意的な大宣伝を行うのであるから、結果はマスコミの立ち位置を反映したものになる。
「自立すべき国民」は、米国かいらいの官僚とマスコミがタイアップして潰してきたわけである。
Net選挙の実施がこの馬鹿馬鹿しい事態を打開するきっかけになるかどうか?
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●「日本は民主主義が根づいていない」 7/5 Electronic Journalから
小沢一郎氏がよく口にする言葉に「自立と共生」というのがあります。これは小沢氏のゆるぎない政治理念になっています。
この「自立と共生」という政治理念は、小沢政治のバイブルともいうべき小沢氏の著書、『日本改造計画』(1993年講談社刊)に詳しく述べられています。
小沢氏は政治家になった直後から、日本には米国式の戦後民主主義が導入されたものの、まだ真の民主主義が根付いていないことを指摘して、「自立」というコンセプトを打ち出しています。
小沢氏は『日本改造計画』で次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
民主主義の前提は、国民が自分の価値観を持ち、自分の判断で行動できる自立した個人であるということだ。
この前提が日本人に欠けたままであり、アメリカ式の『戦後民主主義』が導入されても、実際には民主政治が根付かないまま現在に至っている。
戦前の官僚組織が存続したなどの問題があるが、基本的には、国民の側に民主主義を実現する条件が揃っていなかったからだ。 ──小沢一郎著、『日本改造計画』/講談社刊
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小沢氏は「民主主義は国民の自立からはじまる」という前提が必要であることを強調しています。
しかし、日本では現在においてもとくに政治的には個人が自分の価値観を持ち、自分の判断で
行動できていないといっています。
国民が「自立」していないと、国民が選挙で選んだ代議士が官僚依存政治を許してしまうことにつながるのです。
つまり、国民の政治意識が低いということを意味しています。
第23回参議院選挙は昨日5日に公示され、21日に投開票が行われます。
今回の選挙は安倍政権になってはじめての国政選挙であることと、与党の自公が過半数を獲得して、いわゆる「ねじれ」が解消できるかどうかに注目が集まっています。
しかし、今回の参院選の投票率はきわめて低くなることが予想されるのです。なぜなら、街頭で国民の声を聞くと、次のような答えが返ってくるからです。
―――――――――――――――――――――――――――――
◎どうせ、自公が勝つに決まっている
◎誰が当選しても、政治は変わらない
◎どの政治家を選んだらよいかが困難
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これらの国民の声は、今回の選挙に限らず、いつの選挙でもほとんど同じなのです。これはそれだけ国民の政治意識が低いことをあらわしています。
国民が政策を吟味し、候補者がそれを実行できる人物かどうかを判断して投票するという意識の人が少ない
のです。
投票率が低いのは、それをあらわしています。これでは「お任せ政治」になってしまいます。つまり、国民が「自立」していないのです。
ちなみに、今回の選挙から公示日以降でもネットの利用ができるネット選挙が解禁されています。
しかし、海外の多くの国では選挙運動は原則自由であり、今頃になってネット選挙だけを解禁した日本は稀有な存在です。
しかも全面解禁ではなく、まだ多くの不可解な規制が残っています。
規制が多いということは、政治を役人まかせにしていることの結果です。もう少し正確にいうと、国民が選んだ代議士が規制を変えようと努力しなかった結果なのです。
そういう規制に対して国民が声を上げないからです。
選挙を例にとると、日本の選挙制度は、規制のオンパレードなのです。
米国、英国、ドイツ、フランスと比較してみると、次のようになります。
―――――――――――――――――――――――――――――
日本 米国 英国 ドイツ フランス
戸別訪問 × ○ ○ ○ ○
選挙運動期間 × ○ ○ ○ △
ネット利用 △ ○ ○ ○ △
演説会 × ○ △ ○ △
文書頒布掲示 × ○ ○ ○ ×
○規制なし △一部規制 ×禁止
──「WEDGE」/2013年6月号より
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日本の選挙は公職選挙法(公選法)の下で実施されます。公選法の原型は、1925年に制定された男子普通選挙法にさかのぼるのです。
当時は、納税額によって選挙権が与えられる制限選挙だったのですが、選挙運動自体には規制はなかったのです。
しかし、選挙権の制限が少しずつ撤廃され、有権者の数が増えるにしたがって、戸別訪問の禁止や文書図画の制限などが加えられ、戦前の選挙法ができていったのです。
しかし、その選挙法とからめて、悪名高い治安維持法が制定され、政治活動が抑制されるようになっていきます。そして、それが、1942年の「翼賛選挙」につながるのです。
戦後になって治安維持法は廃止され、憲法も改正されたのですが、選挙法だけはなぜか戦前の規制を残したまま、現在の公選法が制定され、1950年に交付・施行されています。
そしてその公選法にさらに細かい規制を加えたものをこれまで使ってきているのです。
公選法は国民が候補者の情報を詳しく知ることを制限しています。
それはネットを解禁しても十分ではありません。これでは国民から「誰を選んでいいかわからない」という声が出るのは当然です。
選挙期間についても日本では、衆院議員は12日、参院議員は17日とあまりにも短いです。
1950年の時点では衆参ともに30日になっていたのを改正のたびに少しずつ短縮していったのです。これでは候補者をますます選びにくくなります。
こういうことを国民はこれまで黙認してきたのです。それは、国民が本当の意味で政治的に自立していないからなのです。
――─ [自民党でいいのか/05]
≪画像および関連情報≫
●ネット選挙解禁で公選法はぶっ壊れる/加藤秀樹氏
―――――――――――――――――――――――――――
ネット選挙が次の参議院選挙から解禁される。
ウェブサイトやSNSを使って候補者や政党、選挙に関する情報が流せるようになるのだ。
私が注目しているのは、今度の参院選挙への影響よりも、ネット選挙解禁が公職選挙法(以下公選法)が細かく定めている現在の選挙のし方そのものを、無意味なものにしてしまうだろう、という点だ。
法律というものは普通読んでも面白くない。ところが、公選法は大いに笑える。
そこで、選挙のし方について公選法が何を定め、ネット選挙解禁がどんなインパクトを持つか整理してみたい。
そしてそのことが、皆さんによってこの古風で滑稽な法律に引導を渡すような議論につながり、「ネット選挙解禁」が「選挙そのものの解放」につながればと期待している。
公選法は、昭和25年に施行されて以来、毎年のように改正され、今や、約270条からなる膨大な法律だ。 その中には選挙権、選挙区から投開票まで、公職の選挙に関する詳細な規定が並んでいる。
とりわけ、選挙運動については、約50条、全体の五分の一近くが費され、非常に細かな、そのくせ曖昧で解釈に困るような規定が並んでいる。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/katohideki/20130603-00025415/
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Netで会見する小沢一郎氏
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原発に対する会見でも小出氏に感銘したとか言ってますが具体的には何も言ってない 曖昧な抽象語にくるんだ物言いだ
お人よしなのは誰なのか?自立などと一方で国民に責をなすりつけるような言い方は便利だろうが政治家の言葉ではない 公正も正義も見失われた時代なのだということ 小沢氏に対するいやがらせは中国側につこうとする態度がアメリカの怒りをかっただけだ とんでもない迷路に嵌り込んだ国 それが日本の姿で六ヶ所村の処理施設の建設に一役かった小沢氏とて責任を免れない そういった自らへの反省を皆無にして自立とは笑わせる 要は 他よりましかどうか ぐらいしか判断材料はない 小沢氏を他よりはましだと思うなら支持すればよい 中国は完全に官僚国家になった 生産の公平な分配から程遠い 共産主義からも程遠い国だ ODAの金を自らのぽっぽに入れる事に目の色を変えて邁進した アメリカは監視と拷問を正当化する警察国家に成り果てた 日本は右顧左眄し自立など影も形も見えぬ政治家と官僚が大手を振ってのさばる どの国の支配層も腐敗しつくしておりもはやここでもましなのはどっちかという判断材料しかない 日本の政党と同じだ 世界は今 国という枠組みを無効化させる方向にはっきりと舵を取った 赤字国債を発行させ利子等により天文学的な財力を手中にした 貴方はコンビ二でこう聞かれる 「レシート要りますか?」キャッシュレス社会への布石だ 「要るよ 当り前だろ」と言おう