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バブル崩壊後の政府の負債と家計の資産 前編:三橋(1)

 国の借金が1000兆円で国民一人当たりいくらの借金とか、また、事業のムダを減らして公務員人件費削減とかの財政緊縮、消費増税などと、マスコミは経済記事も、誰かさんに都合の良いことばかりを報じている。
 それを後追いで目標にする政府、というとんでもない構図である。

 三橋貴明氏から引用します。

 バブル崩壊後の政府の負債と家計の資産 前編
 2011/02/22 (火) 12:05

 先日、S&P(スタンダード&プアーズ)が日本国債の格付けを引き下げたが、その直後の菅直人首相の国会答弁を読み、筆者は大変驚いた。と言うよりも、言葉を選ばずに言わせて頂くと、笑ってしまった。

『2011年2月1日 ブルームバーグ「菅首相:国内のカネ余り状況や財政健全目標で金利低い状況続く-答弁」
菅直人首相は1日午後の衆院予算委で、国内金利が低い状態を保っている理由について、国債の大部分が国内で消化されていることや経済活動が低迷しカネ余り状況で銀行資金が国債購入に充てられていることを挙げた上、政府の掲げる財政健全化目標も背景にあるとの認識を示した。野田毅氏(自民)に対する答弁。』

「国債の大部分が国内で消化されており、経済活動が低迷し、カネ余り状況で銀行資金が国債購入に充てられている」
 ために、日本の国債金利が長期低迷している。日本経済の問題は「国の借金(=政府の負債)」や「財政危機」などではない。デフレ深刻化により、国内の資金需要が高まらず、企業が投資しようとしないことだ。そんな環境下にありながら、「国の借金」を殊更に騒ぎ立て、政府が緊縮財政(公共投資削減や増税)に走ろうとするため、民間(企業など)は益々投資意欲をなくし、銀行貸出態度DIがプラス化しているにも関わらず、銀行の過剰貯蓄が拡大していっている。この悪循環を断ち切るために、政府は「民間の資金需要を高めるように」支出を拡大せよ。

 以上が、筆者が日本経済に対して提案しているソリューションの骨子である。

 まさか、菅直人首相自ら、筆者と問題認識を共有して頂けるとは思わなかった。本連載も90回を数え、ようやく筆者の主張が「政権」にも浸透したようである。

 などと言いたいところだが、現実にはもちろんそんなことはない。そもそも菅直人首相にしても、自分が何を発言しているのか、その意味については全く理解していないだろう。何しろ、S&Pの格下げ直後、首相自ら、
「そういうことには疎い」
 と、断言したわけである。

 ちなみに、上記首相の「国債の大部分が国内で消化されており・・・」という国会答弁について報道した新聞社は、ブルームバーグ紙のみであった。「国の借金!」「財政破綻!」などのフレーズを用い、日本国民を無用に煽り立てている国内の大手紙の新聞記者たちの場合、とてもではないが菅首相の答弁をそのまま記事にするわけにはいかなかったのだろう。
 あるいは、大手紙の記者でさえも、首相が何を言っているのか、理解できなかったのかも知れない。

 現実の日本は、実質預金残高が増え続ける中、貸出金が減っていくという状況が続いている。すなわち、預金超過額(過剰貯蓄)の拡大だ。図90-1を見ると、日本の過剰貯蓄問題が始まったのが、97年の橋本政権による緊縮財政を切っ掛けにしていることが分かるだろう。

 銀行からの貸出金残高は、03年に底打ちし、その後はジワリジワリと戻していたのだが、リーマンショック(08年)を引き金に、再び減少してしまった。


【図90-1 日本の民間銀行の貸出金・実質預金・預金超過額(単位:兆円)】
 90-1.png
 出典:日本銀行「金融経済統計月報」
 ※預金超過額は「実質預金-貸出金」で計算
 ※09年までは各年末残高。2010年のみ各月末残高。


 銀行は国民などから預金を集め、企業に貸し出し、金利差を稼ぐのが商売だ。実際、日本はデフレが続いているにも関わらず(いや、むしろデフレが続いているからこそ)実質預金残高は増え続けている。ところが、銀行からの融資(貸出)の方は全く増えない。結果、銀行の手元には「貸し出せない預金」としての預金超過額が膨れ上がっていくわけだ。

 企業などがお金(我々の預金)を借りてくれない環境下であろうとも、銀行は預金に対して金利を支払う必要がある。預金超過を放っておくと、銀行は逆ザヤで倒産してしまうことになるだろう。

 結果、銀行はお金を政府に貸し出す、すなわち国債を買うしかない状況が続いている。銀行の預金超過のうち、現在は八割以上が国債で運用されているのである。

 結果的に、日本国債の金利は延々と世界最低を続けている。S&Pが格下げしようと、格上げしようと、銀行の国債購入姿勢にはほとんど影響を与えない。
 何しろ、企業の資金需要が高まらず、民間への貸出が増えない以上、銀行は「国債を買うしかない」のである。まさしく、菅直人首相が言うとおり、
「国債の大部分が国内で消化されており、経済活動が低迷し、カネ余り状況で銀行資金が国債購入に充てられている」
 というわけである。

 ちなみに、菅首相の答弁の最後にある「政府の掲げる財政健全化目標も背景にある」は、S&Pの格下げ同様、今ひとつナンセンスである。
 なぜならば、日本がもし経常収支赤字国で、国内が「過小」貯蓄状態で、かつ民間の資金需要が高まれば、政府が財政健全化目標を掲げていようがいまいが、国債金利は上昇するはずだからである。

 日本国債の金利が格下げに反応しない理由は、「政府の財政健全化目標」などという定性的なものではない。「銀行の過剰貯蓄が増えている」という、極めて定量的な理由からなのだ。

 「財政健全化目標」や「金融市場の信用」は、過小貯蓄の経常収支赤字国(しかも、経済規模が小さな国)であれば、長期金利に大きな影響を与えるだろう。しかし、日本の場合は的外れもいいところだ。

 (前編(2)へ続く)
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