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もうすぐ北風が強くなる

これからの世代と経済:吉田(3)成長なければ社会危機

工場出勤
 今日も出勤する。
  
 これからの世代と経済(2)からの続きです。
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  ■5.これからの年齢別世代と、世帯所得の増減

わが国は、2010年代から、人口の年齢構成が、世界で先頭の高齢化に向かい、大きく変わります。

実際は、2012年から、退職者が増える高齢化時代を迎えます。
世帯主の世代別所得と、各々の世代の、人口数の増減を、組み合わせて、将来の状況を見ます。

2010年 2010年 2020年 2030年
世帯主 世帯所得 人口数 人口数 人口数
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
20代 314万円 1370万人 1180万人 1080万人
30代 515万円 1760万人 1360万人 1170万人
40代 634万円 1640万人 1740万人 1340万人
50代 714万円 1610万人 1600万人 1690万人
60代 544万円 1810万人 1510万人 1510万人
70代 415万円 1290万人 1570万人 1290万人
80代以上 400万円 820万人 1080万人 1310万人
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
合計 538万円 1億2560万 1億2030万 1億1090万

2012年からの高齢化で、今後20年での人口構成の変化ははげしい
以下は、確定した18年後(※2020年)の未来です。

(1)20歳未満は580万人減少26%減
(2)20歳~49歳は1180万人減少25%減
(3)50歳~69歳は220万人減少(16%減
(4)70歳代は、増減なし。
(4)80歳以上が1470万人増加60%増
(5)総人口は1470万人減少(12%減)

2020年までの特徴は、

(1)団塊ジュニアの40代が100万人増えて(30代から40代になって、増える40代世帯が50万世帯)
(2)団塊シニアの70代が280万人増えます(60代から70代にとなって、増える70代世帯が140万世帯)

30代から40代世帯所得が、1世帯当たり130万円(増加世帯50万軒で6500億円)増えます。これが、団塊のジュニアによる所得増です。

逆に、60代から70代になると退職のため、世帯所得は、544万円から415万円(うち年金240万円付近)へと、129万円減ります。増加人数は270万人(世帯数135万)です。
これによる所得の減少分は、1兆7000億円です。

(注)1年53兆円の支給に膨らんだ年金に関して言えば、財源の不足のときは、支給開始年齢(現在65歳)を、67歳、68歳、70歳と上げる対策が採られるでしょう。
どの政府でも、最終的には採らざるをえないことです。選択肢はない

2012年からが、本格的な、財政問題

・2011年の年金支給額(53兆円:支給対象は3703万人)と、
・医療費33.6兆円、
・介護その他の社会福祉が、合計で107.8円です。

社会福祉の必要額は、1年に3兆円(3%)ずつ増え、2020年には、(確実に)140兆円にもなります。

8年後には、32兆円の新しい財源が必要です。
消費税の換算では、あと25%(つまり30%)が必要になります。これは、経済的に無理です。
消費税が増えても、現在の社会福祉の、1人当たりの金額が上がるのではなく、65歳以上の世代の増加によって、総額の必要費が増えるからです。

消費税を上げると、物価がその分上がるためインフレのように実質GDPが大きく縮小して、所得と需要が減るため、増税効果もなく、逆に国家財政は破産します。

従って、やむを得ず、
(1)年金は、支給開始の年齢を上げ続け
(2)医療費も、増加分を削減するしか方法はない。
(3)これに加えて、国家+地方の公務員と準公務員の人件費(総
額40兆円:375万人)の削減30%

を行わないと、国家財政は破産し、その後は、強制的に「払えないものは、払えない」となります。

国民にとっての結果は、国家の財政破産のほうが、ひどい。

次の内閣からの3年の課題は、社会保障の改革と、公務員改革です。
(注)踏み込めない可能性も高く、日銀による赤字国債買い一本
(50兆円レベル)になる可能性も高い


世帯の総所得

2020年から30年までも、同じ、全体の所得減の傾向を示します。
2010年から2020年では、全世帯の総所得は世代変化の要因から、8兆円減少します。

加えて、決定した消費税10%(2014年+3%:2015年+2%)での負担の増加は、5%の増税で12.5兆円くらいです。
これによって世帯の総所得260兆円(2010年:消費税5%をマイナス後)が、248兆円くらいに減るマイナス効果があります。
2010年比で、マイナス12兆円(4.6%)です。

2020年までの世代別世帯所得は、消費税の増税要素をいれずとも、

(1)20代、30代で14兆円減少し、(21%減)
(2)40代が4兆円増加し(8%増)、
(3)50代が同じで、
(4)60代が8兆円減少して(16%減)、
(5)70代以上の所得が12兆円も増えます(27%増)

大きく言えば、
・20代~30代の世帯数の減少による総所得減14兆円(21%)が、
・70代以上の、世帯数急増による総所得増12兆円(27%)に振り替
わるイメージです。

これから10年は、70歳以上の、体力が衰えて生活習慣病が増える世代に適合する商品が、増えるということです。そしてまた、増えるのは、ひとり住まいの世帯です。
まとめれば、「ひとり住まいと高齢化」です。

TV、車、電子機器、ファッション、住宅の機能も変わるべきでしょう。
食では、肉食が減り、発酵食品と野菜が増えます。
これが、世界の最先端を走る、高齢化の日本です。
以上は、内需のマーケティング(メーカーの商品開発、小売の商品構成)の、コアにすべきことです。
増加する顧客層に合わせないと、売上の増加はありません。

以上は傾向です。1998年以降、14年も続いている世帯の所得減の傾向を変えるは、以下の方策しかない。

 ■6.はげしく歪んだ、社会福祉の受益と負担

年金は65歳から、厚生年金の場合、1人約200万円平均が、支給されます。国民年金は72万円です。

世代別医療費
65歳から急に増えるのが、慢性の生活習慣病です。このため医療費が急増します。
1年間の世代別医療費は、以下です(2009年:厚労省:男性)

全年齢平均の医療費は1年に28万円で、生涯(85歳と仮定)で、2380万円です。
医療費は、65歳以上で53%を使います。

0~14歳の各年齢 14万円/年(一人当たり)
15~44歳 9万円/年
45~64歳 28万円/年
以上の65歳未満 16万円/年
────────────────
65歳以上 74万円/年
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
1年平均 28万 円/年(総額の医療費は35兆円:09年)

65歳未満のときの医療費は、1年16万円(30%が負担:70%が政府保険)です。65歳を超えると74万円へと、1年に58万円も増えます。
この医療費とは別に、年5%で増えている介護費は7.9兆円です〔11年〕。

(注)医療費の自己負担分は、70歳~75歳未満は、2012年4月から自己負担20%です。75歳以上は、10%が自己負担です。ただし、世帯所得が520万円以上では、年齢にかかわらず30%負担です。

以上のような、高齢化に伴う年金・医療・介護費の負担を、世帯別に見ると以下のような、激烈な不公平があります(内閣府:2006年試算)。

受益と負担の世代間格差:2006年時点
60歳以上 4875万円の受益
50~59歳 1589万円の受益
40歳代 損益±0
30歳代 マイナス1202万円
20歳代 マイナス1660万円
19歳以下 マイナス4585万円

受益は、自分が払った年金の掛け金、医療保険、介護保険額より、生涯に受ける年金、および医療費で使う金額が多いという意味です。
2012年で65歳以上は4875万円の受益です。税からの補填と、自分が払っていない保険料での超過受け取りの、65歳以上の1名の平均額がこれです。

他方でマイナスは、その逆で、自分が払った分の社会保証保険の積み立て額と税負担より、受益が少ない分です。

現在の65歳以上は4875万円の受益ですが、24歳以下は、ちょうどその受益額に相当する4585万円の負担です。
受益と負担の差異は、1人当たりで9460万円もあります。
損益ゼロは、40歳代です。
こうしたはげしい世代間不公平は、日本が、突出して世界ナンバー1です。
(注)政党と政府は、これを、積極的には取り上げません。選挙での主な支持層が、50歳以上の「受益者」だからです。

以上を知って、どう思われるでしょう? 現在24歳以下の人は、現状の社会保障の制度が続くなら、1人当たりで4585万円を、税と社会保険料として、自分の将来受益額より多く負担せねばならない。
22歳から65歳まで働くとすれば、1人平均で1年の超過負担額が106万円です。
預金が4585万円あっても、社会保証と税の超過負担で消える
という意味になります。

生涯年収はほぼ3億円ですが、24歳以下の人は、この中から、4585万円を、超過負担することになります。
以上は、世代間ではげしく歪んだ社会保障であり、とても、サステナブルではないと思えます。

現在の65歳以上の世代は、ほぼ孫の世代から、1人当たり4000万円くらいを受けとることと同じです。

65歳以上の人にとっては、十分な社会保証ではないと思われるかもしれません。しかし・・・現在35歳以下の人には、自分が受益する分をはるかに超えた負担が大きい。

これは、ここ数年内に、修正に向かわざるを得ないことです。内閣が何党であっても、です。

若い世代にとって、将来所得の増加がなく、負担だけが増える社会を、現在の50歳代以上の人たちと政治が、作ってしまっています。

30代以下の若い世代は、自分の年齢以下の人口が増えないため、自分たちの受益分を、後の世代に負担させることはできないのです。
(注)政治の一面は、利害調整です。以上の世代間の、巨大な受益と負担の格差は、是正しないと、将来がありません。

今後の経済成長がないと、こうした受益と損の世代不公平は、ますます高まります
年金支給額と必要医療費は、減るものではなく、1年に3兆円も増え続けると決まっているからです。
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