国際金融資本の手先が隠す卑劣な売国政策:植草
2013-04-21

TPP日米事前協議に見られる売国政策の実態 4/20 植草一秀
(前省略)
安倍政権発足とともに円安と株高が生じたことは事実だが、このような些末な事項に目を奪われている場合ではない。
為替レートの水準を冷静に見つめれば、現在の円ドルレートが、すでに適正水準よりも円安に振れていることは明かである。
円安の日本円をさらに円安に誘導するべき理由は見当たらない。
通貨の水準が低い国が自国通貨を意図的に引き下げて、輸出競争力を高めようとすることは、他国から雇用を奪うことであり、「近隣窮乏化政策」として非難を受けるべきものである。
米国は日本の売国政策を支援するために、安倍政権の円安誘導を容認しているが、円安なのにさらに円安が進めば、その後に大きな反動が生じるリスクが高まる。
行き過ぎた円安水準を是認するには、日本のインフレ率を大幅に上昇させる必要が生じる。日本がこの方向に政策を誘導するなら、この先、日本で深刻なインフレ問題が発生することになる。
どちらに転んでもその弊害は大きい。
目先の株高環境を得るためだけに、日本の利益を米国に売り渡すような政策が採られていることの方が、はるかに深刻な問題なのである。
TPP事前協議に関する「売国」の実態は、すでに多くの識者や一部のメディアが報じているところだが、極めて深刻な事態が生じている。
しかも、安倍政権は、こうした売国政策を推進しているにもかかわらず、その実態を国民の前に明らかにしていない。明らかにしていないと言うよりも、真相を隠蔽している。
マスメディアは勉強不足なのか節穴なのか、あるいは、知っていながら真実を読者に伝えていないのか。このいずれかの理由であると思われるが、TPP事前協議のポイントをまったく伝えない。
このことから、ほとんどの国民は、いかに卑劣な売国政策が推進されているのかに気付いていない。
「売国政権」であるのに、その「売国」の実態をメディアは覆い隠し、このままの状態で参院選になだれ込み、売国安倍自民党を勝利させようとしている。
国を挙げて「売国」の企みが進行しているのだ。
誰がこの大がかりな謀略を仕掛けているのかは明白だ。日本の売国で利益を得るのは国際金融資本である。
この強欲な資本が日本の売国政策を推進している。
日本国内でこの売国政策を推進している人々は、みなこの国際資本の手先なのである。
事前協議の結果について公表された公式文書は
「駐米日本大使と米通商代表代行の往復書簡」
と
「自動車貿易TOR(委任事項)」という添付文書
である。
http://www.cas.go.jp/jp/tpp/pdf/2013/130412_syokan.pdf
http://www.cas.go.jp/jp/tpp/pdf/2013/130412_tor.pdf
この文書が合意文書であり、公開もされている。
問題は、この事前協議の合意について、日米両政府が国内向けに示した発表文書に大きな相違が見られることだ。
日本政府が発表したものがこれ。
「日米協議の合意の概要」
http://goo.gl/Yq0L5
米国政府が発表したのがこちら。
TOWARD THE TRANS-PACIFIC PARTNERSHIP
: U.S. CONSULTATIONS WITH JAPAN
http://goo.gl/TiGWI
米国政府発表文書を前衆議院議員の首藤信彦氏が仮翻訳したものを元農林水産大臣の山田正彦氏がブログに掲載している。
「TPPへ向けて:日本との協議事項報告<仮訳>」
http://goo.gl/8xDrB
これらを見ると、
1.TPP事前協議で日本政府が一方的に譲歩していること
2.しかし、日本政府はその事実を完全に隠蔽していること
が明らかになる。
とりわけ重要な三つの具体的事項を示しておく。
1.日本政府はアメリカとの協議において、日本車の輸入関税はTPP交渉の他のいかなる製品に猶予された最長期間よりもさらに遅い時期において段階的に廃止されることに合意した。
2.日本政府は、簡易許可手続き(PHP)すなわち日本に輸出される米国車に対してより簡単で時間のかからない認証方法での輸入台数を二倍以上にすることを一方的に決定して通告した。
3.日本政府は、日本郵政の保険に関して、民間の保険会社に日本郵政と平等な競争条件が確保され、また日本郵政の保険が適切なビジネス経営(非公営)の下で運営されていると日本政府が決定するまでは、いかなる新規のあるいは修正されたがん保険及び単独の医療保険を許可しない、ということを一方的に通告した。
この三点が米国発表の国内向け文書に明記された。しかし、これらの三つの重要事項のうち、2と3については、日本政府の国内向け発表文書には記載されなかった。
他方、日本政府の国内向け発表文書にある、
「日本には一定の農産品,米国には一定の工業製品といった二国間貿易上のセンシティビティが両国にあることを認識」
の表現は、米国政府の国内向け発表文書には記載されなかった。
ーーーーーーーーーーーー


いくらでも騙せる……..報道しなければ気づかない国民.
このブログ内のTPP関連ページリンクの一覧
・ 世界通貨戦争(15)自由貿易主義批判Todd
・ 世界通貨戦争(16)米国TPPは100年目の攻撃
・ 世界通貨戦争(17)米国TPPはジャイアン
・ 世界通貨戦争(19)中野剛志TPP批判の要約
・ 世界通貨戦争(20)TPPは日米不平等条約
・ 世界通貨戦争(25)日本マスコミがカットしたオバマ演説
・ 異様なTPP開国論:内橋克人
・ 米国の走狗か社会共通資本か:宇沢弘文
・ TPP推進のため平気で嘘をねつ造するマスコミ
・ TPPは国を揺るがす大問題に発展するか
・ 売国協定となる日米TPP:中野
・ TPP阻止行動が国民的に広がってきた
・ 榊原:TPPの交渉などマスコミ、CIAが後ろから撃つ
・ 破局に向かう世界に新たな流れを
・ アジアに米国の属領ブロックを作るTPP
・ 無知と卑劣で対米盲従する野田某
・ 1%の金持ちと99%の我々:ビル・トッテン
・ TPPのウソと真実:三橋
・ 完全収奪を狙う米国TPP
・ TPP全物品を関税撤廃対象としていた政府:植草
・ TPPは開国でなくまさに売国:トッテン
・ TPP=自由貿易の嘘
・ 奴隷のTPP、新たな同士を結集し新時代をつくる!亀井静香
・ 世界経済変動の中のTPP:孫崎
・ 日中戦争挑発とTPP対中ブロック化
・ 非公開、秘密のTPP、各国が反対
・ 世界から孤立する日本の完全属国化
・ 恐るべき非関税障壁:山田
・ TPPの非関税障壁、公的医療制度の崩壊
・ 小沢氏3/4会見「TPPは米国ルールの日本適用協定
・ 暗闇のTPP、不利を隠す政府、米国労働総同盟は反対する
・ 秘密交渉のTPPは多国籍企業の国家支配:山田
・ 名実ともに植民地とするTPP:孫崎
・ 嘘つきを政権につけた報い、日本を売り渡す自民党:五十嵐
・ TPP交渉参加表明を即時撤回せよ:生活の党、社民党
・ 国民国家の主権を失う、究極の不平等条約TPP:岩上
・ この国に未来はあるか、阻止の全国民運動を:鈴木
・ 小沢氏3/18定例会見「TPPリスク負うのは国民」
・ マスコミと政府に騙されるな!聖域は無いし、交渉もない!:岩上
・ TPP参加は亡国の道だ!亀井静香
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
このブログの中で、植草一秀氏に関するページ一覧。
テレビが伝えない原発の状況
植草:11年度消費税大増税悪魔構想が浮上
迫っている危機、無脳で無責任な政権
滅亡か、米国債売却による経済復興か
植草:復興特会設置し、財源に外貨準備を活用せよ
迫るデフレ恐慌に無能政権の打倒を
東京電力の原因者責任を明確にせよ
火事場泥棒を狙う「震災復興構想会議」
政権と与党の争点は反増税、対米自立、脱原発!
米国債で巨額損失、国を滅ぼす財務官僚
世界経済を壊す財政再建原理主義者ども
世界の死を招く超緊縮財政
日米欧の超緊縮財政が世界経済を破壊する
野田某とは、政策詐欺の国民地獄政権だ
謀略のNHK、それでも177票の力
米国と財界の政治を倒し!国民の政治を!植草
植草:最近の経済社会と政策
TPP全物品を関税撤廃対象としていた政府:植草
貸した金を返せと言えない奴隷政府
人権侵害の控訴に反撃を:植草
さようなら原発、さようなら談合政権
ヨーロッパ金融危機と日本経済:植草
戦後米国支配とかいらいマスコミに鉄槌を
尖閣(釣魚)問題への基本スタンス
植草:9/1講演「生活が第一」支援集会
前原と石原、領土問題を煽るマスコミと米国奴隷
戦後最大の売国奴、吉田茂
財政危機の大嘘、消費増税と原発再稼働阻止!
悪化する日中関係に笑う米国
破滅の緊縮財政か、恐慌を断ち切る財政出動か
小沢一郎氏はよみがえる:植草
脱原発・消費増税阻止・反TPPの統一戦線を:植草
マスメディア情報工作が生んだ「元の木阿弥政権」:植草
- 関連記事
-
- これからの世代と経済:吉田(2)7割が限界所得、高齢化単独世帯化 (2013/05/11)
- これからの世代と経済:吉田(3)成長なければ社会危機 (2013/05/11)
- 黒田「異次元金融緩和」は米国とFRBの意向 (2013/04/30)
- TPPは既に外交敗北:山田 (2013/04/27)
- 黒田日銀は己の失敗を願うべき:Richard Koo (2013/04/24)
- 国際金融資本の手先が隠す卑劣な売国政策:植草 (2013/04/21)
- 通貨戦争(65)アベノミクスに潜む「日米密約」 (2013/04/19)
- 出口もリスクも無視、空気に従う委員たち:山田 (2013/04/12)
- 注意!大マスコミが好景気を「演出」している (2013/04/06)
- 狂気のアベノミクス、マネタリーベースと長期国債 (2013/04/06)
- スタグフレーションとバブル:藻谷 (2013/04/05)
コメント
コメントの投稿
トラックバック
この記事へのトラックバックURL
http://bator.blog14.fc2.com/tb.php/1726-67740583