野村・モンテパスキ事件と国際金融寡頭勢力
2013-04-20

私がよく覗いている「闇株新聞」に興味あるコメントがあり。闇株新聞氏も興味深い事件として解説しているので紹介します。
国際金融資本とヨーロッパの危機に深くつながるかも知れません。
なお、闇株新聞の著者は元野村証券の大物トレーダーという噂があります。
※印は北風の注釈です。
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4/18 闇株新聞へのコメント
野村・モンテパスキ問題
本件の解説を是非お願いします。
門外漢の小生には、出鱈目な経営をしていて破綻しかけている 歴史だけは古いモンテパスキの前経営陣が リーマンショック直後の赤字隠しの飛ばしのデリバティブを 野村とドイツ銀行と組んで行った。検察に摘発されて 「自分は悪くない。野村とドイツ銀に騙されただけだ。」 と供述し、シエナ(田舎)の検察も地元田舎企業・地元の名士の支援する為 敢えて それに乗った形で 日本人とドイツ人が悪い(奇しくも 関係者は 旧枢軸国ですね) と 他国を悪者にしている。こんな 感じなのですがーーー
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世界最古の銀行・モンテパスキを巡る騒動 4/19 闇株新聞
コメント欄にもリクエスト頂いていたのですが、なかなか奥が深そうな事件です。
イタリア中部シエナの検察当局が4月16日、イタリア第3位の大手銀行モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(以下、「モンテパスキ」)の損失隠しの捜査に関し、同銀行が野村ホールディングスのイタリア現地法人に差し入れていた担保金18億7000万ユーロ(2400億円)を差し押さえました。
イタリア中部のトスカーナ州にあるシエナは、13~14世紀に最盛期を迎えた金融業を中心としとした都市国家で、そこに本店のある1472年創業のモンテパスキは、現在も営業している世界最古の銀行です。
その世界最古の銀行が、金融危機前の大型銀行買収(アントンベネタ銀行)や最近のイタリア国債の値下がりなどで経営危機に陥り、何度か資産性の強い債券発行で乗り切っていました。
ところが本年1月に、損失隠しのためのデリバティブ取引で損失が発生しており、野村とドイツ銀行がモンテパスキの元幹部の損失隠しに「共謀」していたと発表していました。
当局が差し押さえた野村ホールディングスの担保金18億7000万ユーロ(2400億円)とは、損失隠しのために野村がアレンジしたデリバティブ取引のためのもので、野村は自社の財産が差し押さえられたわけではないと強調しています。
ここでモンテパスキは、損失隠しの総額が5億5700万ユーロ(712億円、意外に小さい?)であり、これらのデリバティブの損失総額が7億3000万ユーロ(934億円)と発表しています。
損失総額は最大で9億ユーロ(1150億円)にもなるとの報道もあるのですが、これらの損失の中に、隠した5億5700万ユーロが含まれているのか、それとも全く別にそれだけ損失が出たのか、さらにそれらの中で野村の分がどれくらいなのかは明らかにされていません。
しかしいずれにしても野村が差し押さえられた18億7000万ユーロの担保金は「少なからず」毀損していることになります。その担保金をすべて差し押さえられれば(最終的には没収されます)、野村にも「少なからず」損失が発生することになります。
正確に言うとイタリアの検察当局は、野村とモンテパスキの契約を凍結し、モンテパスキの資産がこれ以上流出しないための措置を取ったのですが、野村がそれらの取引を外部でカバーしていれば(当然そのはずですが)、その損益だけが野村に残ってしまうことになるからです。
報道されている限りでは、ドイツ銀行の担保金は差し押さえられていないようです。
また検察当局は、この担保金以外に野村がこの取引で得ていた8800万ユーロ(112億円)の利益の差し押さえにも動いています。要するに8800万ユーロは、野村にとって「あまりにも有利な取引による収益」であり、いわゆる高利貸しのような不正な利益として差し押さえ(つまり没収)対象になるようです。
(※ 業務委託料と考えてよいでしょう。)
またドイツ銀行の得た収益(※野村と同じく)は9200万ユーロ(118億円)と野村より多いようです。
またモンテパスキはドイツ銀行に5億ユーロ、野村に7億ユーロの損害賠償を求めています。
野村ホールディングスは、最悪の場合は毀損した担保金の損失を負わされ(ドイツ銀行と半々として7億3000万~9億ユーロの半分)、8800万ユーロの利益を没収され、モンテパスキに7億ユーロの賠償金を支払い、さらにイタリア当局にも「かなり」の和解金を支払う羽目になってしまいそうです。
(※併せて13億ユーロ=1,680億円?!)
ここで「共犯」であるはずのドイツ銀行は、ユーロ盟主国ドイツの最大手銀行なので、同じような処分にはならないように思えます。
つまり「世界最古のモンテパスキ」「ユーロ圏のドイツ銀行」「野村ホールディングス」と並べて考えると、何となく落としどころが見えてくるような気がします。
久々に本誌に登場した野村ホールディングスですが、以前から「欧州で問題が起きる」と繰り返し書いていました。
その端緒なのかもしれません。
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※ シエナはフィレンツェから30kmほど南の小都市。中世からフィレンツエと同じトスカナ地方に属する。
ヨーロッパが暗黒の中世だった12世紀、金融資本はロンバルディア(ヴェネツィア)において始まった。
この金融資本は13世紀には北イタリアの都市とスイスのチューリッヒに商圏を拡大する。
ではトスカナ地方とは。
トスカナ盆地の中心であるフィレンツェは、ローマ帝国の滅亡による衰退を経て、14世紀には盆地の生産を支配すると共に、毛織物業と金融業が興隆する。
15世紀に貴族派を追放した銀行業のメディチ家により金融業はさらに発展し、フィレンツェ金貨はヨーロッパの基軸通貨となる。また、メディチ家の庇護によってルネサンス文化の中心地となった。
フランスの侵略、サヴォナローラの神聖政治と処刑、16世紀スペインの侵略などを経て、18世紀にメディチ家は途絶え、オーストリア・ハプスブルグ家領となり衰退を続けた。
また、メディチ家は16世紀にはフランス王家に嫁を出し、その嫁入りに多くのイタリア調理人を同行し、フランス料理の基礎となった。アルプスの北側にフォークと言う道具がもたらされたのも、この時である(それまではスプーンと手づかみ。)。
メディチ家の始祖はロンバルディアの銀行家です。
モンテパスキの創業が1472年といっても、歴史の変遷の中で幾多の消滅、復活、合併、吸収など繰り返しながらも「のれん」を維持してきたということなのでしょう、いずれにしても15世紀メディチ家の最盛期からの「老舗」ということになります。
スイス・チューリッヒのUBS銀行は合併吸収を繰り返してUBSとなったわけですが、正面回転ドアの上には1285年と表記され、13世紀ロンバルディアの系譜であることを主張しています。
ロンドンの金融街は訳もなくロンバルディア(ロンバード街)となっているわけではありません。
いずれも、イタリア語でいうデル・バンコの一族であることを(それとなく)主張しています。
彼らは15世紀から18世紀そして今も金融家同士はもちろん、西欧王族との婚姻を繰り返し(宮廷ユダヤ人から黒い貴族と青い血の合流へ。)、血族集団を形成してきました。
資本主義の経済体制である通貨、金利、信用創造、さらに取引市場、財務諸表、債券、株式等々は、彼らの経済に貢献するためのシステムとして彼らによって「発明」されたものであるため、当然にもこれらを意のままに使いこなすことで、彼らにかなう者はいない。
アメリカ連邦準備制度(FRB)は連邦政府の出資がない純民間組織ですが、その出資はロックフェラー系列を除く全てが欧州の金融寡頭勢力の系列です。ロックフェラー自体も軍産複合体の利害以外の面では彼らの支流と見做せましょう。
彼らが公式にユダヤ教徒であるかないかは問題ではありません。
血族の集団であることが重要です。
彼らにとっても、また世界にとっても逆の意味で。
モンテパスキに戻りますが、15世紀からの「のれん」を存続させている必要があり、また存続させる、あるいは消滅しても復活させる必要があり、支える力があったと考えられましょう。
その力はどこの誰だったかと問えば、それは欧州の金融寡頭勢力である、デル・バンコであり、モンテパスキはその本流に近い血族の一員だと考えるのが自然かと思うわけです。
いずれにしても、この野村・モンテパスキ事件は、地元検察が地元田舎企業や地元の名士を支援するために介入したと言うレベルの事件では全くないと考えます。
彼ら総体の資産と信用、つまり金融力は彼ら以外は誰も想像できないレベルと考えられます。
野村も分かっているはず。
血族をなしている国際金融寡頭勢力による、一つの実験もしくは打診ではないかと考えられます。
ユーロの危機がまったく解消されていないし、明らかな展望もない中で、国際金融資本とりわけ本流の欧州寡頭勢力がどう動くかは世界が見守っていることでしょう。
野村・モンテパスキ事件は彼らにとって、一つのモデルに進んでゆくのかも知れません。


モンテパスキの中庭
※ 以下は資本主義と国際金融寡頭勢力に関連するページ。
世界通貨戦争(2)表向きの混乱
国際金融資本の成立
信用創造と言えば聞こえは良いが
信用創造とは
通貨、金利と信用創造の特殊な性質
信用創造(3)無政府的な過剰通貨
金(gold)のバブルは崩壊し始めた
動乱の2012年(3)通貨と国債、デ・レバレッジ:吉田
国際金融資本が仕掛けたヨーロッパの危機
通貨戦争(66)金の暴落…….!
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