小沢、堀茂樹対談4/5(5)堀茂樹感想と解説
2013-04-19

シャンゼリゼ通りのシャルル・ド・ゴール
小沢、堀茂樹対談4/5(4)からの続きです。
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第3部
堀 茂樹 慶應義塾大学教授 の感想と解説/小沢一郎に感じる国家のセンス 文字起こし「銅のはしご」氏から
(椅子から立上がられて話し始める)
しかし,小沢さんの印象が強いのと......お若いですねえ(つくづくと)。信じられない(若々しさ)ですねえ。(促されて,堀教授は椅子に掛けられる)
実はね舞台裏と申しますと,始めはこういう前振り,後振りってのは考えてませんでしたので,舞台裏の楽屋で初めてお目にかかってやるかって事だったんですが。
折角だから,前振り,後振りで皆さんとの交流があった方が良いんじゃないかと言われまして,今日は国会から(小沢さんが)駆け付けて来られたので(事前に)会う時間がありませんでした。
この間,議員会館に連れて行ってもらって,30分くらい話したんですよ。その時お目にかかって,私は本当に,こりゃあ全然精悍そのもので,若いなあって。
ちゃんと毎日散歩してらっしゃるから,運動不足の僕と違って大したもんだなあと思って。そう思いました。
本当に,声に力がありますよね。
それから,非常にこの,意志というか,確信というか,そういうもの。説得力が大きいし,やっぱり大したもんだというように思いました。
本当は勿論,小沢さんには政策の問題,色々伺いたい事は実はいっぱいあるんですよね。
例えば地方。最近,“地方主権”なんて妙な矛盾した言葉がありますけれども,主権と言うものが地方にあったりは,それは連邦国家にしてしまうんなら別なんですが,ちょっとおかしいんですが。
地方分権化,中央集権化と言う事でも,小沢さんの考えを良く見ると,決して地方分権一辺倒ではないですね。
中央で担うべき役割っていうのも重要だって言う事を,書いてらっしゃる。
振り分けの問題なのか,改革の人なのか,伝統の人なのかとか,自由主義と社会保障との関係はどうなるのかとか。
一般に『日本改造論』の時に,小沢さんのファンになった人の或る部分には,その後の小沢さんには,なんか賛成でなく,またその後の小沢さんに心酔した人は,かつての小沢さんは保守的と言うか右寄りだと言うんで,あんまり賛成じゃないとか,色々な見方があって,
それはもう,ああいう政治家の方に対しては,人それぞれ意味が,解釈して意見を持つのは当然の事だと思うんですが。
が,私の印象としては,マスメディアを通して国民の多くから誤解されていると同時に,もしかしたら我々も,良く分かっている訳ではない。
私も仮に支持者の一人であるとすれば,良く分かっていない,という場合もあるかなと。
別に小沢さんの言ってる事に全部賛成する必要はない訳ですから。ただ,小沢さんの考えはどういう考えなのかってのを,正確に把握したい,把握すべきだと。こういうふうに思いますね。
冒頭に何人かの人の(小沢氏批判の)引用を言いましたけれど,あの通りでですね,なんか本当に一体,本を読んだのかって言いたい論評が,訳知り顔で行なわれているってのは,何なのか?
しかも事実が違っている時でも,ジャーナリストがパッと指摘する事が出来ないっていう。
まあ,これは,今も話しありましたけれど,政治文化......政治ってものを緊張感を持って行なっていないのが,少なくても戦後の日本の社会なので,良い意味でも悪い意味でも平和ぼけで。
勿論,平和は大事なので,平和のためにもう少し緊張感を持たなきゃいけないと本当に痛感するんですね。
他にも持ちだすべき事幾つもありますが,小沢さんっていうのは,ひとつは今のお話しにもあったように,非常に長いスパンの歴史のセンスと言うか,そういう流れを捉えて,そして,且つもう少し絞った時代の歴史的パースペクティヴの中で捉えるというセンスを持っていると。
それから,飽くまで国民のための国家なんだけれども,国家が自立しなきゃならないと。国家のセンスというものを持ってる。
国家のセンスという事で言いますとね,僭越ですけどちょっと付け加えさせて頂くと,こんな事もあるんですね。
私はフランスに長くいましたから,こういう事があるんですよ。善い悪いは別にして,フランスは核兵器持ってますよね。他国の事だから,善し悪しを言うんじゃないんですけれども,大統領選挙がありまして,今は,5年任期です。
ついこの間までは7年任期だったんですね。
フランスっていうのは,物凄く分裂のベクトルの強い,そういうものが働いている所だから,逆にまた中央集権的にグッと(大きな手振り・身振りで)まとめなきゃならない事もある訳ですね。
7年任期何てのが第5共和制で続いておって,今は5年任期になりました。
5年でも,日本の首相の(就任期間の)長さから言えば,長いですよね。
前にも言いましたけど,負けた方の政党・野に下ったほうの勢力は,政党は勉強をやる。本を出す。シンクタンクを作って,そして,だんだんとイデオロギーで,思想闘争をやって価値上がって行って,地方選挙から勝ち上がって,中央を制する。こんな感じで政権交代が起るんですね。
で,政権交代が起っても,差が開いても55%対45%なんて事は,そんな事はないぐらい,52%対48%ぐらいで,勝ち負けが決まる。そう言う中で政権交代が起ると,もう,右と左ですし,真っ向対立なんだけれども,大統領が替わります。
大統領が替わって,大統領府に新しい大統領がやって来ます。古い方の大統領は,そこから出て来て階段の所で握手をしてですね,そして,中に入るんですね。で,まあ小一時間出て来ないんです。
何やってんのか?
分かりますよね?
つまり,核兵器の暗号を受け渡ししてるんですよね。これを,預かってるんですね。
だから,左から出た人でも,右から出た人でも,もう本当に怖いものですよね。
それを引き受けて,預かって,まあどういうふうにして安全管理をやって,本人が死んでも大丈夫なようにしてるのか,そこまで詳しい事は知りませんけれども。
二人だけで,或いは側近もかな,籠るって事があるんですね。
そういうふうにしてフランスの場合は,かつてソビエトやアメリカの物凄い巨大な核兵器に対して,核兵器の場合は「小刀で戦える」抑止力だって言うんで。そういう戦略を持って,彼等は決めて。
私はこんな話ししてますけども,今日本がそういうものに手を出すべきだとは全然思ってませんけども。
そういうものも国家というものは,伴っているもので,それを担う,と。
それは本当にヘラヘラ,ヘラヘラしたことでは担えない。厳しい貌になって(担うしかない)。そういうものじゃないかと思うんですね。
そういうものに自分の人生を懸けるってのが,大政治家なんじゃないかと。
そういう考えから来ると,これはもう国家のセンスを持ち合わせている日本の政治家って,そんなにはいないだろう,と思いますが。
私は,プリンシプルにこだわる,飽くまで,自分達が決めた事だ,って言う,こういう国家のセンスを,小沢さんには,感じますね。
それから同じ事ですけど,リーガル・マインドですね。法的なセンス,法に対する執着と言うか,絶対何があってもそれはって言う,原則に対する執着というものも,あって,本当に国際的に通用する数少ない大政治家じゃないかと,
私は思うんですね。
で,ただ,小沢さん70過ぎてらっしゃるし,小沢さんだけに頼ってるのは良くない事で,私なんか勝手な応援者に過ぎませんけども,生活の党,若手がグイグイ出て来て,ガリバー・小沢にぶら下がっている状態,のように見えてる時があるので......実際にはそうではないな。
私,若い(聞き取れません。○○)さんと話して,さすがに優れている方だと思った事ありますんで,そんな事ないんだけど,そういうイメージがかなり世間に流布されているので,ちょっとそういうアピールも,やり方を変えた方が良いんじゃないかなと言う事も思ったりしてますが。
そういう,歴史センス,国家センス,法的なセンスとマインド,こういうものを持って,そして先ほどのお話しにもありました様に,具体的な他者の生活,皆なかけがえのない毎日を一生送ってる訳ですよね。
これをヘラヘラと,まあ仕方がないよとか,気紛れな事でですね,
その生活をメチャクチャにするようなね,失業者を増やすようなね,或いは国民皆保険はですね,名目だけ残して中身は変質してしまうようなものをやるとかですね。
そういう事は,絶対あってはならないんではないかと。
だけど同時に,何かそういうものを守ろうとすれば,代償もあるので,覚悟を決めて,国民も市民としてですね......まあ偉そうなこと言うあれじゃないんだけど(照れ笑いしながら)そんなふうに私は思っております。
今日本当に小沢さんと議論させて頂いて,光栄の極みでありまして,
成るほど、そうなんだなあと思いましたし,仰っている中身の話しはだいたい私は知ってる話しでしたけれども,しかしその生の声で,肉声で聴くとですね。
これをそういう思想と言うか,理念と言うものを,体現している訳ですよね。体現者としての存在感を,非常に強く私は感じました。
これが私の感想でありまして,言い足りない事があれば,また勝手なツイートを致しますので(笑)読んで頂ければと思いますが,改革の人であって,保守の人であると。
小沢さんの保守ってのはつまり
「変わらず残るためには,変わらなければならない」ってやつですので,それを地で行ってるんだと思います。
そういう方とお話し出来て,私は今日は大変幸せでした。
さて,若干時間があるので,感想とか,ここはどう思うかとか,お受けしますので,発言を募りたいと思います。いかがでしょうか?
第3部
② 質疑応答
中・高校生ネットワークの
リーダ-;若者にとっての選挙
堀 茂樹 ; 人間に対する
分厚い理解を
参加者T ; 初めまして。中学生,高校生のネットワークのリーダーをしておりますT.T.と申します。
堀 茂樹 ; 高校生?(驚いた様子で) 今いくつ?
参加者T ; 16です。
堀 茂樹 ; おおーっ!(驚嘆)
参加者T ; 私自身,去年の衆議院選挙の時に,リーダーって言う立場から,中高生の意見をちゃんと政治家そして投票する人に伝えようと言う事で,衆議院選挙の前にですね,メッセージ・ヴィディオを作って,それが実はNHKで放送されたり新聞の一面になったりとかが,あったんですけども。
あと国会議員とディスカッションして,中高生の意見を伝えるって事はしてたんですけど。
それでも前回の衆議院選挙で,20代の投票率がいちばん低くて,投票できる人の中で,若い人の投票率がいちばん低かった所を見て,やはり,政治家の方々がどうしてもこう,若い人より高齢者が多い中,投票する人も年齢いってる人の方が投票しに行く訳じゃないですか。だから政治家の方の政策がそっち向きになってしまうってのは,分かるんですけども,
それがどうしても負の連鎖を生んで,若い人が,投票に行きたくないって言うか,行っても変わらないんじゃないかと言うような思いを持って来てるって所も目の当たりにしてるんですよ。
でも,その中で逆に今,最近は、中学生,高校生が政治に向けて参加したいだとかって動きも見て来てるんですよね。
で,その中で思うのが,選挙権を出来れば(年齢を)下げるっていう事も,良いと思うんですけども,被選挙権も,さすが中学生にって言わないですけども(笑・堀氏も笑),少しこう(年齢を)下げる事が出来ればなって,て言うのと,あと未成年者が選挙活動にかかわる事が出来ないって言うのが,前回の衆議院選挙でも,すごいいやだったと言うか……
堀 茂樹 ; うーん。(微笑しながら)
参加者T ; まあ,政治活動は出来ても,いわゆる例えば立候補者の応援演説に行く事も出来ないし,その人を支持するようなスピーチをする事も出来ないってのが,いやだったもんですから。
そういう未成年者,次の世代を担って行く若い人達,僕から言うとあれですけれど(笑)次の世代を担って行く人達に対しての,政治からの,いわゆるそういう選挙権(年齢)を下げるだとか,被選挙権(年齢)を下げる。
まあ選挙活動だとかにかかわる事が出来るようにして行くっていう事が出来たら良いなっていうふうに僕は思っているんですけども,そこはどういうお考えをお持ちでしょう。
堀 茂樹 ; それについてね,私の意見,オピニオンに過ぎないですけれどね,何か証明するとかじゃなくてオピニオンですが,
私は,成人に達する年齢をね,例えば18歳にすると言う事は,諸外国でもそうですけれども,充分あり得る事だろうと思いますが,
それをした上で「成人」が政治に参加するって事でならなければ ならない,と。
未成年が参加するってのは,私は罷りならんと思いますね。
と言うのは,一人前の市民と認めるか認めないかですから,国家で法律を決めて,18歳以上これは1人・1票。
そして一端の市民だと。自分で生活していようと,していまいと。税金払っていようと,払っていまいと。と言う事を定めた上でならば,良いんじゃないかなって言うふうな考えです。
で,加えて,敢えて言わしてもらうと,そういう政治活動に参加して行くのも...... そりゃあ良いですよ。私,抑制するつもりは全くないですが。
しかしね,私が印象として持ってるのでは,今の大学生の人達が政治を語る時に,なんか,システムや,装置や 技術や,そういうものを語っている事が多いような気がします。
私は自分の大学の学生に向けた教員プロフィールのメッセージの下のほうにね(書きました)「青臭い書生論をやれ」と。なんかチマチマとね,分かったような所謂評論家のような,そんな事じゃなくて「根本を論じろ」と。「原則を論じろ」と。
その,どうやって政策的にどうやって,どう言う策を用いるかなんて......それも大事なんだけど,根本の原則を考えろっていう事を,良く言ってます。(それは)だから両方必要なんだけどね。
政治に参加しちゃいけないとかいう事では全然ない。
まだお前は早いとか,そういう事じゃないんですけども。
根本の理念の所を自分で良く考えるって重要だと思います。
それから敢えて,申し訳ない,(笑)教師なもんですから,おこがましい教師っぽい事を言うと,やっぱりね,人生経験は足らないと思うんですね,年月が少ないから。
私だって足らない,全然足らない。
但しそこで,経済学も重要ですよ。私,今頃になって経済学とかマクロ経済とか読んで(笑),それじゃだめなんですけども。経済学だとか社会学だとか,色々ありますよね。
しかし,小沢さんも言われたようにね,ドブ板で行って人の話しを聴いて来なきゃいけないってのが,ありますよね。
本当はそういう事とつながるんですが,私は,古今東西の文学作品ね,戯曲や小説を,ドップリ読み込む時期が若い時には必要だと思います。
そうするとね,色んな人物が出て来るんですよ。自分の生きられる人生だけでなく,色んな境遇の,自分と性も違う,男の人,女の人,老人,子どもと若い人,貧しい人,金持ちね。色んな人の生きる経験っていうものが描かれている。
しかも,それが古典として残った作品であれば,より良く優れた作品になってるので,それを通して,追体験する事がありますよね。
そうすると人間の事,分かって来ますよね。
人間に対する分厚い理解というものなしに,チョコマカと社会科学やってもダメだ,と言うのが私の考えですね。
まあ,色々迷ったりもしましたけれども,今はそう思ってますね。だから,まあ哲学も良いんですけれどね,哲学はね、ちょっと哲学だってエラソウにする何かこう自己満足があったりね,
観念的な事に走りがちなので,私はドストエフスキーだとか,シェイクスピアだとか,バルザックだとかね(読みました)。
私は(フランスの)新しい小説,訳しましたけれどね,新しい作品ってのは当り外れがあるんですよ。
外れが多いんですよ。
やっぱりね,時代を越えて残ったものは,騙されたと思って(手にとってもらいたい)。
◇ 蛇足
「小沢さんも言われたようにね,ドブ板で行って人の話しを聴いて来なきゃいけない」
一人ひとりの体温を感じながら,普通の暮らし向きを間近に見聞きする事で,実際に人びとに必要な政策を練り上げていくことが出来る。机上で抽象的に政策を論じ,「お上」の意向でそれを作るのではないという事が原点だとする,イギリス民主主義の具体的な,基本の民意の汲みあげ方。
国民一人ひとりが主権者であるというファンダメンタルを体現する衆議院議員・小沢一郎の真骨頂。たとえ通行人がまばらな過疎の地でも,風雨も雪も人々と共有する意思を表すために,たとえばビール箱の上にたって,政策を話すことから始めるという映像は,政治には無知の私でも良く知っています。
再び,政治家・小沢一郎の『小沢主義 オザワイズム 志を持て、日本人』 (集英社文庫) なんと,一時的に在庫切れのようです。
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