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もうすぐ北風が強くなる

通貨戦争(65)アベノミクスに潜む「日米密約」

 米国の犬

 かつてブッシュ政権当時に米国は一定程度の円安(ドル高)を認め、その代償として日本は50兆円にも昇る巨額の為替介入、つまり米国債購入を行った。
 為替介入はトリックであり、米国政府への直接資金提供である。
 2005年くらいから円キャリーが大きくなり、民間資金が米国に流出するスタイルが確立するとトリックの「為替介入」はあまりしなくなった。
 流出した資金が投資され米国の税収にもなったからである。
 この資金は米国内で回転し、サブプライムローン・バブルの一因を成したのである。

 日米関係での米国の利益は、基本スタンスが日本のデフレ、円高、ゼロ金利で支えられているが、もう一つの方法は円安であっても米国政府あるいは民間への資金流入が確保されればよいのである。
 要は帝国循環が確保されて、拡大すれば米国の利益が成長するわけである。
 
 いまアベノミクスとやらの黒田日銀「異次元金融緩和」だが、日米関係と切り離して理解することはできない。
 日銀が超金融緩和として過剰流動性供給を行うことは、日本国債の「買い占め」になるわけで、相手方の金融保険業界はさらにダブつく資金の運用を米国債に向けることの公算が最も強い。
 間違っても中小貸付には行かないし、巨額の社内留保をもつ大企業には資金需要がないからである。

 このアベノミクスとやらについての日米「密約」?
 無いと考えるほうが非常に不自然である。
 というより、3.11以来の日本の放射能汚染拡大に見切りをつけた米国が、その資金収奪のスピードアップを図るため、日本に「指示」したと言えるだろう。
 安倍や黒田がはしゃいでいる原因でもあろう。

 ついでに言えば「出口もリスクも無視、空気に従う委員たち」の日銀総裁が黒田に変わった途端に意見を変えた政策決定委員たちは、「米国の指示」に従ったのだ。
 ーーーーーーーーーーーーー
   アベノミクスに潜む「密約」 4/6 「月刊日本」編集部ブログから

 黒田東彦日銀総裁による大規模な金融緩和策の発表によって、円は一時97円台にまで下落しました。この金融緩和策は世界各国から注目されており、フィナンシャルタイムズは「革命」だとまで述べています(4月4日『フィナンシャルタイムズ』)。

 この政策については、FRBからも賛同の声が上がっています。FRBの次期議長の呼び声の高いイエレン副議長は4日のワシントン市内の講演で、「(日銀の緩和策は)完全に理解でき、適切だ」と全面的に支持したと報道されています(4月6日『産経新聞』)。

 しかし、円安はアメリカ政府にとっては必ずしも歓迎できるものではないはずです。オバマ政権は輸出促進により雇用を創出しようとしているわけですから、円安(ドル高)は出来れば避けたいはずです。

 それにも関わらずアメリカが日本の金融緩和を支持しているのには理由があります。
 彼らの狙いは恐らく、日本の円安政策を容認する見返りとして、アメリカの金利上昇を救済してもらうことです。
 具体的に言えば、米国債の購入です。それが暗黙の了解か、口頭了解という「密約」であるかどうかは定かではありませんが、日米間で何らかの駆け引きがあったことは間違いないでしょう。

 そもそも、黒田日銀総裁の誕生自体が、アメリカの了解のもとで行われたという側面を持っています。
 黒田氏は2月24日にワシントンに向けて発ち、バーナンキFRB議長と極秘会談したと言われています。
 また、安倍総理も黒田氏の後任のアジア開発銀行総裁として中尾武彦財務官が控えていることを示すために、中尾氏を訪米随行団に加え、中国にアジア開発銀行総裁のポストを取られる心配はないということを示したようです(歳川隆雄「ニュースの深層」より)。

 アベノミクスを巡る議論はもはや神学論争のごとき様相を呈してきています。しかし、経済政策の結果如何だけでなく、その背後にある日米関係にも注目する必要があるでしょう。
 ここでは弊誌3月号に掲載した「国民生活を犠牲にするアベノミクス」を紹介したいと思います。(YN)

『月刊日本』2013年3月号
「国民生活を犠牲にするアベノミクス」より

  アメリカが円安を黙認する理由
 急速な円安の進行に対して、海外では日本を批判する声が強くなっている。ドイツのメルケル首相やアメリカの自動車業界などが円安を厳しく批判し、メディアでは「通貨戦争」という言葉まで出始めている。

 この円安は明らかに安倍政権の誘導によってもたらされたものである。
 実際、日銀は円安になるような緩和を行っておらず、日米の二年国債の金利差もここ二、三ヵ月動いていない。円安を導くような環境変化が起こっていない
 にも関わらず円が安くなっているのは、ひとえに安倍政権が市場に流したメッセージのためである。

 諸外国が日本を批判する中、オバマ政権はこの円安に対して沈黙を守っている。
 アメリカが円安を黙認しているのには理由がある。彼らは円安容認を日本政府との取引カードに使っているのだ。具体的に言えば、円安を容認する見返りとして日本にアメリカの金利上昇を救済してもらおうとしているのだ。

 ここのところアメリカの金利はじわじわと上がってきており、昨年秋に1・3%台だった10年債の金利は今では2・0%を越えてきている。
 そのため、アメリカ国内ではFRBの金融緩和政策を心配する声が大きくなっている。このまま緩和を続ければインフレになり、金利が大きく上がってしまうためだ。
 たとえば、FRBが失業率が6・5%を下回るまで緩和を続けると主張していることに対して、セントルイス連銀のブラード総裁は失業率が7%台前半まで下がれば緩和の終了を検討すべきだと主張している。

 アメリカの失業は構造的な問題であり、金融緩和で解決できるようなものではない。
 とはいえ、アメリカ経済が盤石でない以上、支援を必要としていることもまた事実である。
 そこで、オバマ政権はかつてルービン、サマーズ両財務長官が行ったように、ドル高政策によって周辺国の金融緩和を取り込むことで、痛みを伴わずに金融緩和効果を得ることを目論んでいる。

 安倍政権が外債購入ファンドの設立に向けて動いているのはそのためだ。つまり、アメリカは日本の円安を容認する代わりに米国債を購入させ、金利の上昇を抑えようとしているのだ。アメリカはそれに加え、FRBが購入する段取りとなっていた銀行の不良債権をも日本に購入させようとするだろう

 これはEUとの関係においても言えることである。
 麻生財務大臣は先日、欧州安定化メカニズム(ESM)が発行を始める債券について購入する意向を表明した。
 メルケル首相が円安批判をしている一方で、EU全体としては表立った日本批判を行っていないのはそのためだ。しかし、その欧米もいつまで沈黙してくれるのか怪しい。

 このように、日本政府は欧米と取引しつつ円安に誘導しようとしている。しかし、円安の見返りとして不良債権を掴まされると言うのであれば、その代償はあまりにも大きいと言わねばならない。

  大企業だけが儲かる円安政策
 円安誘導の問題点は他にもある。現在の日本政府のように不自然な力を市場に与えれば、均衡が崩れて行き過ぎが生じてしまう。
 内閣官房参与の浜田宏一氏が目標としているような、1ドル100円で留まる保証もない
 それどころか、円はさらに安くなる危険性がある。
 というのも、日銀がインフレ目標2%に達成するまで無制限の金融緩和を行うことになっているからだ。
 ーーーーーーーーーーーー
 ※ 以下は勤労者賃金、所得の再配分と消費増税、デフレに関連するページ。

労働分配率の強制修正
世界で日本のみデフレ
日銀の金融緩和は誰のためか
信用創造と言えば聞こえは良いが
信用創造とは
公務員叩きとデフレ政策
通貨、金利と信用創造の特殊な性質
信用創造(3)無政府的な過剰通貨
デフレ脱却には賃金上昇が不可欠:根津
これからの経済生活はどうなるのか
なぜデフレなのか、なぜ放置するのか
ゆでガエル!
消費増税でデフレ強行を目指すかいらい政権
日本の労働は封建主義の農奴農民か 
窮乏化、3軒に1軒が貯金もなし
逆進課税とデフレ恐慌
消費増税を許すな!三党談合政権を倒そう
破滅の緊縮財政か、恐慌を断ち切る財政出動か
景気対策ではない、消費増税を通すためのGDP操作だ
安倍某の経済政策?恐怖のシナリオか
安倍の過激刺激策は過去のミス繰返し:人民網
家計、企業、政府の共倒れ破綻
生活と円安、アベノミクスが招くこと
アベノミクスが作り出す地獄の窮乏生活
通貨戦争(62)ゴロツキ右翼が口火で世界大戦:ペセック
アベノミクスは現実を欠いた宗教:ペセック
勤労者の地獄と国際金融資本の高笑い
賃上げが無ければ経済成長は無い
来年度成長率2.5%?参院選向けの国民騙し!
なぜ消費増税に固執するのか
アベノミクス、勤労者窮乏化の効果だけは必ずある 
アベノミクスの展開と帰結:吉田繁治
企業内労組連合の腐敗とブラック企業、アベノミクスの茶番
安倍の犯罪、早くも生活苦が始まった
失業、窮乏、貧富の拡大を目指す安倍政権
通貨戦争(64)キプロスにみる、金融緩和という火薬庫
スタグフレーションとバブル:藻谷
狂気のアベノミクス、マネタリーベースと長期国債
注意!大マスコミが好景気を「演出」している
小沢氏4/1経済も安倍政権もこのままでは持たない
出口もリスクも無視、空気に従う委員たち
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コメント

>間違っても中小貸付には行かないし、巨額の社内留保をもつ大企業には資金需要がないからである。

 難しいことはわからなくてもこれだけわかっていればアベノミクスがいかに意味のない、それどころかマイナスの作用が大きい愚策であるかがわかります。お金をどんどん刷るということはそれだけ持っているお金の価値が下がる。紙幣の枚数が2倍になればそれだけで価値は半分になりますからね。
 しかも会社の儲けは内部留保とされるか株主に配当として分けられるので一般大衆にはその紙幣すら回ってこない。さらに円安が生活必需品の値上げとなって追い打ちをかける。しかも消費税増税が既定路線ですから多少儲かったところで増税後に抜かれるのもわかっている。

 バブルの終焉が既に確定している、今ちょっとだけ浮揚感があるのは
 消費の先食いでしかないのは明らかであるにもかかわらずもてはやされるアベノミクス。
 異常としか思えません。

コメントをありがとうございます

まったくそのとおりと思います。
米国の支持にはしゃぐ権力亡者。オバマの犬。
勤労国民の利害などはまったく一切無視。
それでも彼らを同じ人間だと思っている勤労国民。
好景気が近づいたかのような「演出」にふけるマスコミ。
こう書いてゆくと、わたしゃあ嫌になってくる。

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