ドイツ脱原発報告(6)小沢代表記者懇談
2013-04-04
ドイツ脱原発報告(5)会談・視察3-8、9、10からの続き。
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Ⅴ 小沢一郎代表の記者懇談概要(4-1)
2012年10月17日午前 ベルリン環境省
今日は企業の団体の代表の方、そして今、担当の大臣にお会いして、ドイツの2022 年脱原発政策につきまして、その議論の経過、あるいはお考えを聞いてまいりました。
私どもとしてはあらかじめいろいろと知識を得ておりましたけれども、今日当事者の方からお聞きして、改めて、非常に驚いたというか、ドイツの意気込みに大変力強いものを感じました。
というのは、ドイツでは前から脱原発の議論があったそうですが、チェルノブイリの事故で国民の意識がかなり高くなって、そして福島の原発の事故において、もうこのままではだめだ、脱原発ということで、
国民の80%以上、それから政治の場で、政党の場で言いますとすべての政党が、議員の中でもほんの数人が反対している程度で、みんながこの脱原発の徹底と今後の進め方を支持しているということを、改めて当事者の方からお聞きいたしました。
私どもとしては福島原発の事故を抱えている当事者ですから、国民皆さんに今日のドイツの担当大臣と産業界の代表の方のお話を聞かせてあげたいと思うくらいの、明確な脱原発に対する意思表示でありました。
私どももこれから、政治の場で国民の皆さんにこのことを強く、そして広く訴えていきたいと思っております。
なにしろ日本の政界の中では、国民の生活が第一、我々だけが唯一、明確に期限を切って10 年後に脱原発ということを主張しているにすぎないので、
大変残念に思っておりますが、これを機会に一層自信を持って国民皆さんに訴えたいと思っております。
Q.環境大臣との会談の中で10 年後に原発をなくすにあたり、参考になるような具体策や話はあったのか。
A.1つはドイツでは非常に風力発電が以前から進められておりまして、これが再生可能エネルギー、代替エネルギーとしてかなり大きな比重を占めていると言っておりました。
それから太陽光にしろ、あらゆる新しい代替エネルギーの開発に今後も取り組んでいきたいと話しておりました。
こちらから、電気料金が上がると日本では伝えられているが、ということを申しあげましたところ、新しい、まさに原発以外の方法で、再生エネルギー、代替エネルギーをつくっていくので、その分のコストとして30 年にわたってそれを分担していこうということを言っておられましたが、
いずれにしろ、原発からくる命の問題、そして暮らしの問題、そして最終的にドイツでも高レベルの廃棄物の最終処分が決まらないのです。
ですからそのコスト自体も膨大なものに今後なっていくでしょう。
ましてや事故を起こしたならば、日本の福島原発の処理にどれほどの莫大なお金がかかるか。
県民の皆さんの生活の問題、それからまだまだ放射性の物質が飛散しているというのが東電からも発表になりましたそうですね、最近。
だから完全に福島原発の放射能を収めるためにはこれまたたぶん何十兆円という規模のお金がかかると思います。
それを考えますと、非常に原発というのが安い安全なエネルギーという風にいわれてきましたけれども、とても安いどころではない、そのコストを考えたら大変な高いものになる。
それからひとたび事故が起きたら本当に国民の命、生活がだめになってしまう。
こういうことですので、誰もが電気料金は安い方がいいですし、なんでも安い方がいいですけれども、やはりそのことを冷静に考えてみると、新しいエネルギーを、安全で環境にもいいエネルギーを開発していくには、多少のことは、という感覚で、ドイツではおられるようです。
Q.かねてドイツでできることが日本でできないわけがないということをおっしゃっているが、実際に再生可能エネルギーを促進させ、脱原発を進めているドイツの環境大臣の方から、日本で実現できるかどうかどう言及されたか。
A.ドイツの大臣にしてみれば人の国の事ですからいろんな論評をするはずがないのですけれども、
この国で行われている再生可能エネルギー、代替エネルギーの状況をみれば、日本ではかなり原発に依存してきましたから、その面の努力が足りなかったと思います。
しかし私は風力であれ、水力であれ、あるいは日本では地熱を利用するということが非常に有効であると思っておりますけれども、そういうことを本気でやれば、ドイツ以上に容易に代替エネルギーが可能だと思っております。
ですから、今の問題は、一つはCO₂の問題。例えば新しいものができるまで当面石油やガスといったものに依存することになるでしょう。
そうなるとCO₂の問題はどうなのかと。ドイツでは2050 年にCO₂を今の8割~9割減らしたい、そういう計画でこれは絶対変えないと強調しておられました。
CO₂の問題を技術的にも、あるいは代替エネルギーを作ることによっても減らしていくということで解決できると思っております。
またコストの問題も、今すぐ石油やガスに変えれば高くなるので、電力会社の経営あるいは経済界の電力コストが上がるという、それが財界の反対ということなのでしょうけれども、それは十分解決可能だと思っております。
Q.ドイツではすべての与野党が脱原発に賛成をしたということだが、日本では自民党をはじめ原発を推進するという方向の党もあるようだが、生活としてどのように訴えていくか。
A.ドイツが脱原発を決めたきっかけというのが、日本の福島の原発事故なのです。
それで誰もがぐずぐずしてられないと、決めようということになって決めたのです。
その原発事故を抱えている日本が転換しきれないというのはちょっとドイツ人から見れば日本人はどうなっているのだろう、日本の政党はどうなのかな、と最後に大臣から質問されました。
日本の状況はどうなのですかという質問をされまして、ちょっと格好悪かったのですが、日本では明確に10 年後に脱原発を唱えているのは我が党だけです、ということを申しあげましたが、少々怪訝な顔をしておられました。
だから我々としては、現実にドイツがやっているのですから、日本は可能性としてはドイツ以上に大きいと思います。
できると思います。
今までそこに力を注いでこなかったから安易に原発に依存してき、それは政治家として我々も含めて反省しなければならないが、ですからこういう事故が起こってしまった、
これをきっかけに日本がむしろ率先して脱原発に取り組んでいくべきだと思います。
我々もその主張を今回の訪問を契機にさらに日本の皆さんに広めて、お話していきたいと思っております。
Q.脱原発のドイツの経済的影響などの産業界の反応はどうだったか。
A.これも大臣の話も、代替エネルギーによって競争力が落ちたのでは、これは経済全体に影響してしまうのでいけません、と。
ですから我々は競争力を維持していけるようなエネルギー転換についても施策を講じております、ということでした。
それから電力会社で一部自分たちの権限が、原発をやめるということになって、ある意味既得権が侵されてしまうというわけです。
これについて裁判を起こしている、ということもあるそうです。
ですがそれは脱原発に反対ということではなくて、やめることによって損害を受けるから、その分なんとかしてくれ、少し面倒をみてくれという意味の訴訟だそうで、ドイツではそういう類の訴訟はマスコミも何もほとんど相手にしていないというか記事になっていないぐらいのものだそうです。
ですから産業界もみんな脱原発については賛成というわけです。
Ⅴ 小沢一郎代表の記者懇談概要(4-2)
2012年10月17日午後 ベルリン・太陽光発電施設内
今太陽光の発電の施設を見せていただきました。
ここで面積が12 万坪ほどだそうです。それで建設費が45 億円だそうでございますが、ほとんどメンテナンスがいらなく、多分数十年はもつだろうということでございました。
発電量は6,000 戸分配電できる量だそうです。
ドイツでは太陽光(日照時間)が割合少ないので、日本の場合にはこの1.5 倍くらいの発電ができるようです。ですから非常にきれいで、環境に影響が少ないので、太陽光はいいだろうと思います。
問題は日の照っているときと照っていないときで発電量が凸凹になってしまうので、そういう意味ではこれだけに頼るわけにはいかないでしょうけれども、これも一つの大きな代替エネルギーになるのだろうと思います。
Q.先ほど地熱が有力といっていたが。
A.それは日本の場合。日本の場合はどこを掘っても温泉が出るし、蒸気も出る。
日本の場合はドイツよりもはるかに日照時間が長いですし、地熱は本気でやったらかなりいいと思う、それからもちろん風力も。ドイツでは風力は国民の皆さんから格好悪いと、景観を害するという批判があるようです。
ドイツは風力が盛んでかなりのシェアを占めておりますが、日本でもまだまだ風力発電をやる気になればできます。
また、今言ったように日本はまさに火山列島のようなものですから、どこでも高温の水蒸気がありますので、地熱発電というのも有効だと思います。
岩手県で小規模ですけれども地熱発電をやっておりますが、これまで原子力に頼っていましたのでいろんな意味の代替エネルギー、再生可能エネルギーの開発に努力を怠ってきただろうと思いますから、日本も本気になればできるだろうと思います。
Q.太陽光発電は今ドイツでコストの問題がでているが、そのことについてどう考えるか。
A.電気代が上がるというのは、太陽光に限ったことではなく、風力など再生可能エネルギー、代替エネルギーについては、今まではいろんなかたちで発電して、それを買って配電しているということだったのですが、今度は風力などを全部電線でつながなければならない。
地域間にも電気を送らなくてはならないため、これからのコストがかかるという意味で電気料の値上げをお願いしようということになっているのではないでしょうか。
ただ原発というのは、日本ではコストが安くて安全なエネルギーだといわれてどんどん作ってきたわけです。
ところが原発は最終的な高レベルの廃棄物の処分をどうするか、という大問題があると同時に、今回の福島の様に事故が起きた場合にはコストが安いどころではない、大変なコストになるわけです。
それを計算しないでいるから安い安いということになるのだが、多分今度の原発の事故でもって大変なコストがかかり、国民の命と生活に大きなダメージを与えるということを国民の皆さんも分かってきたのではないでしょうか。
Q.ドイツでは数十年にわたって脱原発に対する国民の議論があったと思うが、日本は3.11 以降まだ短い期間で、今後より一層国民の喚起を促すためにはどうしたらいいか。
A.原子力の危険ということは、リスク・コスト両面で日本人も今回の福島の事故で相当認識が大きくなってきているのではないでしょうか。
ドイツでは日本の原発の事故をもって最終的に10 年で原発をやめることをきめたわけですから、当事者の日本で、今は皆さんの調査でも6割をこえているかな、もっともっと全国に広めればドイツと同じくらい7~8割の人は脱原発ということを考えているのではないでしょうか。
ですからそれを政治の場でシビアに、深刻に考えないといけないと思います。
どちらかといえば国民皆さんのほうが、かなり認識が進んでいて、永田町と霞が関が遅れているという感じではないでしょうか。
ぼくらとしてはその責任もありますから、政治と行政の中で脱原発を実行有らしめるように活動していきたいと思います。
Q.日本は地熱の潜在能力が高いのだが、公園法や温泉業者などいろいろな制約があり、実際には使えないという問題があるようだが、具体的にはどういった使い方を考えているか。
A.それは規制の問題でしょう。
地熱のところには温泉があります。今ボーリングの技術が発達しまして、僕の田舎でも各町全部温泉をもっています。
そのくらい発達しておりますので、地熱発電は本気になればコストも安くできるのではないかと思っております。
ですから規制は取っ払えばいいですし、旅館や観光業の人たちとの摩擦というのは、地熱発電そのものとは大して問題がないと思いますので、あとは国として全体的に代替エネルギー、再生可能エネルギーの開発についてどれだけ真剣に取り組むかではないでしょうか。
Ⅴ 小沢一郎代表の記者懇談概要(4-3)
2012年10月18日 ベルリン・ドイツ連邦議会
原発事故当事国の日本で、いろいろな政党がある中で、脱原発を明言しているのが我々だけということについてはドイツでは不可思議な感じを持っておられたように思います。
その反面ドイツにおいては、具体的な問題については議論がありますが、脱原発ということについてはほとんどの人が、ほとんどの政党が、ほとんどの議員が一致していると、ぜひこれをやらなければならないということでした。
連邦議会の環境委員会の方は別れ際に、あなた方の日本での成功をお祈りします、との話もありました。
今回の事で我々の主張が正しいと、何としてもこれを日本の国民の皆さんに理解してもらって脱原発を実現しようという決意を新たにしました。
Q.ドイツの議員から脱原発の成功のカギが電力生産を地方に移行させることだという話があったが、地方分権と脱原発の親和性についてどう考えるか。
A.それは規制の撤廃ということでしょう。
それぞれの地域で個人でも発電できるということについて、その電力をちゃんと買いますというシステムをきちんと作れば、地域もそれぞれの個人もいろいろな方法で再生可能エネルギーに参加できるということですし、それが地域の産業の発展や雇用にもつながっていくとおいうお話を聞きました。
ぜひ規制の撤廃、自由化につながるのですが、それをうまく、電力に支障をきたさないような、企業の活動に支障をきたさないような、国民生活に支障をきたさないような形で、再生可能エネルギーにシフトしていくための国のバックアップ、法整備や財源の確保をしなければいけないと思います。
ぜひこれは非常にいいことですので、脱原発と同時に、雇用の拡大にもつながるので、やらなければいけないと思います。
Q.プルトニウムの再処理への懸念について諸外国にどう説明しているか。
A.プルトニウムという点からいえば、日本では相当多くのプルトニウムがすでに蓄積されています。
ただ、時々ライトの方々から核武装論が突発的に出ることがありますが、国民の総意は核武装を望んでいると思いませんし、
また私は国際社会の中でもアメリカであれどこであれ政治的にも決してプラスにならないと思っておりますので、そのことははっきりと政府がその姿勢を表明すべきだと思います。
あいまいにしていると、いろいろな疑念を生じさせることになる。
我々は野党ですけれども、そこははっきりしていきたいと思います。
Ⅴ 小沢一郎代表の記者懇談概要(4-4)
2012年10月19日 メルケンドルフ村
まず、エネルギーを大事に、有効に使っていくという考えでなくてはだめだという前提で、ドイツでは2022 年で脱原発を決定しております。
そういう脱原発の決定とこういう再生可能エネルギーの開発・取り組みを並行してやることによって初めて脱原発が可能になる、というお話でした。
この町ではかなり前から太陽熱とか風力とかいろんな形で取り組んでこられたというお話をいただきました。
それで自分たちが使う2.5 倍の電気を作って、余った分は売ることによって村民の皆さんの収入にもなるし、またいろいろな形での雇用も生まれるという話でした。
その中で、今バイオガスの工場と現実に発電しているところを見せていただきました。
ここでは各農家から家畜の糞尿を集め、そしてそれにひまわり等の植物を加えて、メタンガスを作り発電する。
そしてメタンガスをとった残りのものはまた肥料として使う。
非常に有効な、自然のサイクルのような形で、きれいに電気を生むことができるということを、現実にこの目で見せてもらいました。
非常に今後私たちの脱原発を進める上においても大変参考になったと思います。
糞尿等を利用して、メタンガスを出して、残りを肥料にというこのサイクルの考え方自体は、日本でもわかっていたことですが、やはり安易に原発に依存してきてしまったということで、これらを本格的に推し進めようという努力を怠ってきたわけです。
特に僕は田舎の出身ですが、地方で一番問題になるのが糞尿の処理なのです。
これが牛であれ豚であれ、鶏、鶏も今大量に飼ってやりますから、この糞尿の処理が立地の際の一番の問題なのです。ですからそれがこういう形でエネルギーにできる、そして残りは肥料になる、このサイクルを完成させれば、問題を解決できるわけで、日本で本気になって取り組めば、技術的にはそれほど難しいことではないのです。
まず、政治的に、国民みんなの意思で脱原発ということを決定すれば、それに代わる再生可能エネルギー、代替エネルギーをどうやってやるかといえば、当然こういういろんな知恵でもってやっていこうということができるはずです。
ドイツではかなり前から取り組んできたということですが、今からでも日本は遅くないので、国として脱原発を決定し、同時に代替エネルギー、再生可能エネルギーの開発に取り組んでいくということであれば、経済的にも社会的にもほとんど障害が生ずることなくエネルギーの転換ができるのではないかと思っております。
今日現実としてこのシステムをお聞きし、目で見てさらに一層思いを強くしましたので、今後ともその方針で進めたいと思います。
Q.村長の話の中で農業の発展にもつながるという話があったが。
A.1つはソーラーなどで作った電気を売ることによって収入を得られる、バイオの発電の関係で雇用を増やせる。
この村でもかなりの雇用を再生可能エネルギーの関連施設で働いています。
それから家畜の糞尿の問題もバイオエネルギーによって、このシステムによって解決できる。
一石二鳥三鳥で、地域社会にとっても国全体にとってもいいやりかたではないかと思います。
Q.改めて日本での脱原発の必要性は。
A.原子力というのは、日本ではこれまで安くて安全なエネルギーだという触れ込みでどんどんやってきたわけです。
ところが決して安いものではない。
というのは事故が起きて福島の処理はどうするのか、何十兆、何百兆とかかるコストです。
これは電力会社では到底払えない。
また事故が起きなくても、ドイツでもそうですが、最終の高レベルの廃棄物をどう処分するのか、このコストはどのくらいかかるかわからないのです。
それを全然考えないで、ただ単に原発の初期投資だけでコストを計算して、安い、安全だという謳い文句はもう崩れてしまったのです。
コストの問題以上に、国民の命、生活を破壊してしまうことになるわけですから、脱原発というのは日本では特に、ヨーロッパ、大陸以上に、国策として決めないといけないのではないかと思います。
ドイツで現実にすでに始まっている脱原発、そしてそれに代わるエネルギーの開発を実際に見せていただきましたので、私たちの主張が裏付けられた。
我々の思いが正しいということを強く感じました。
Q.はじめCSU で脱原発を唱えた唯一の議員、ゲッペル議員に会ったが、どうだったか。
A.まさに先駆的な考えを持った地元の議員さんでした。
ところが彼も言っていましたように、今自分の主張が完全に党の主張になり、そして国民の、国家の主張になり非常にうれしい。これを何としても続け、今後とも全力で活動していきたいというお話でした。
だから我々も、会派で言えば60 人もいるのだから絶対できますよ、と激励をうけましたけれども、本当に先駆的なグループ、政党として必ず国民皆さんから賛同を得られると確信しながら頑張っていきたいと思います。
Ⅴ 小沢一郎代表の記者懇談概要(4-5)
2012年10月19日 ミュンヘン・ホテル内
Q.全日程を終えて率直な感想は。
A.本当に脱原発を実行しているドイツへ来て、話で聞いたり、本で見たりする以上に、実際に担当の大臣以下、国会の委員会、経済界等々ドイツの責任ある立場の人からその人の口でもって語られて、それを聞くことができたというのは、本当によかったと思う。
それと同時に我々の主張が間違っていない。
そして日本でも福島の原発を抱えている日本だからこそ、これを早くやらなくてはいけないということで、私どもの主張の裏付けと、むしろドイツの現状にバックアップされたような気がして、とてもよかったと思っている。
Q.特に印象に残っている視察は。
A.誰がとかどれがという話ではないけれども、ドイツ人の意識が変わったというのは、福島の事故でもって、8割以上の国民とすべての政党と経済界もみんな含めて、脱原発ということを10 年後に完全に実現しようという方向性は全員異論なしということになった。
ところが原発事故の当事国である日本ではまだその意識が低い。特に政治・行政・経済の中で、我々がまだ少数派だという現実がある。
ドイツの人も心の中ではかなり驚いていると思う。
僕は大手の調査で原発反対が6割くらいとでているけれども、全部まんべんなく調べればドイツと同じ8割くらいになると思う。
だからそういう意味で国民が支持してくれると思っているけれども、ドイツの人たちはその点では全く、国を挙げて一致している。
逆になんでそれに反対する人がいるの、という感じだったので、本当に日本も早くこれを国策として決めなければならない。
それから日本の場合はドイツと違って電力不足がすぐ起きるという話ではない。電力の供給能力は原発を除いても十分ある。
だから電力会社の当面のコストの問題とか、CO₂の問題とかが多少あるだけで、今日の村を見学してわかったけれども、あのようなことは、日本が本気になって取り組めばできる話である。
また電気の買い入れもドイツのようにもっと積極的な法の内容になれば個人でもやるようになる。
それからバイオの話は本当に地方にとってもとてもいいことだし、これもやる気になればすぐにでもできる。
だからマイナス効果というのはほとんどないと思う。
再処理の能力を保持しなければいけないなどという人がいるけれども、仮に原発をやめて、それをマイナスだと点数をつけたとしても、プラスの点数のほうがはるかに高いのではないかと思う。
Q.ドイツは日本と違い、20 年以上前から脱原発の議論が起こり、また再生可能エネルギーの割合も日本よりもはるかに大きく、またもともとの原発の基数も日本の半分以下で、経済界の反発も日本ではまだまだ大きいが、ドイツと同じ速度で脱原発を進めることは可能なのか。
A.経済界の反対は、直接話したわけではないけれども、電力会社を中心としたコンツェルンの影響が大きく働いていることと、大企業にとっては電気料金が上がったのではかなわないという意識があるのではないか。
それに加えて役所もある。
だから大企業の集団である経団連では脱原発は言えないだろう。
しかしドイツの例を見ながら、ドイツよりも僕は日本のほうがやる気になればやれると思う。
そういう意味で国民が理解すれば経団連がどうこうということは関係ないと思う。
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ドイツ脱原発報告(付録)参加者メッセージへ続く。
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Ⅴ 小沢一郎代表の記者懇談概要(4-1)
2012年10月17日午前 ベルリン環境省
今日は企業の団体の代表の方、そして今、担当の大臣にお会いして、ドイツの2022 年脱原発政策につきまして、その議論の経過、あるいはお考えを聞いてまいりました。
私どもとしてはあらかじめいろいろと知識を得ておりましたけれども、今日当事者の方からお聞きして、改めて、非常に驚いたというか、ドイツの意気込みに大変力強いものを感じました。
というのは、ドイツでは前から脱原発の議論があったそうですが、チェルノブイリの事故で国民の意識がかなり高くなって、そして福島の原発の事故において、もうこのままではだめだ、脱原発ということで、
国民の80%以上、それから政治の場で、政党の場で言いますとすべての政党が、議員の中でもほんの数人が反対している程度で、みんながこの脱原発の徹底と今後の進め方を支持しているということを、改めて当事者の方からお聞きいたしました。
私どもとしては福島原発の事故を抱えている当事者ですから、国民皆さんに今日のドイツの担当大臣と産業界の代表の方のお話を聞かせてあげたいと思うくらいの、明確な脱原発に対する意思表示でありました。
私どももこれから、政治の場で国民の皆さんにこのことを強く、そして広く訴えていきたいと思っております。
なにしろ日本の政界の中では、国民の生活が第一、我々だけが唯一、明確に期限を切って10 年後に脱原発ということを主張しているにすぎないので、
大変残念に思っておりますが、これを機会に一層自信を持って国民皆さんに訴えたいと思っております。
Q.環境大臣との会談の中で10 年後に原発をなくすにあたり、参考になるような具体策や話はあったのか。
A.1つはドイツでは非常に風力発電が以前から進められておりまして、これが再生可能エネルギー、代替エネルギーとしてかなり大きな比重を占めていると言っておりました。
それから太陽光にしろ、あらゆる新しい代替エネルギーの開発に今後も取り組んでいきたいと話しておりました。
こちらから、電気料金が上がると日本では伝えられているが、ということを申しあげましたところ、新しい、まさに原発以外の方法で、再生エネルギー、代替エネルギーをつくっていくので、その分のコストとして30 年にわたってそれを分担していこうということを言っておられましたが、
いずれにしろ、原発からくる命の問題、そして暮らしの問題、そして最終的にドイツでも高レベルの廃棄物の最終処分が決まらないのです。
ですからそのコスト自体も膨大なものに今後なっていくでしょう。
ましてや事故を起こしたならば、日本の福島原発の処理にどれほどの莫大なお金がかかるか。
県民の皆さんの生活の問題、それからまだまだ放射性の物質が飛散しているというのが東電からも発表になりましたそうですね、最近。
だから完全に福島原発の放射能を収めるためにはこれまたたぶん何十兆円という規模のお金がかかると思います。
それを考えますと、非常に原発というのが安い安全なエネルギーという風にいわれてきましたけれども、とても安いどころではない、そのコストを考えたら大変な高いものになる。
それからひとたび事故が起きたら本当に国民の命、生活がだめになってしまう。
こういうことですので、誰もが電気料金は安い方がいいですし、なんでも安い方がいいですけれども、やはりそのことを冷静に考えてみると、新しいエネルギーを、安全で環境にもいいエネルギーを開発していくには、多少のことは、という感覚で、ドイツではおられるようです。
Q.かねてドイツでできることが日本でできないわけがないということをおっしゃっているが、実際に再生可能エネルギーを促進させ、脱原発を進めているドイツの環境大臣の方から、日本で実現できるかどうかどう言及されたか。
A.ドイツの大臣にしてみれば人の国の事ですからいろんな論評をするはずがないのですけれども、
この国で行われている再生可能エネルギー、代替エネルギーの状況をみれば、日本ではかなり原発に依存してきましたから、その面の努力が足りなかったと思います。
しかし私は風力であれ、水力であれ、あるいは日本では地熱を利用するということが非常に有効であると思っておりますけれども、そういうことを本気でやれば、ドイツ以上に容易に代替エネルギーが可能だと思っております。
ですから、今の問題は、一つはCO₂の問題。例えば新しいものができるまで当面石油やガスといったものに依存することになるでしょう。
そうなるとCO₂の問題はどうなのかと。ドイツでは2050 年にCO₂を今の8割~9割減らしたい、そういう計画でこれは絶対変えないと強調しておられました。
CO₂の問題を技術的にも、あるいは代替エネルギーを作ることによっても減らしていくということで解決できると思っております。
またコストの問題も、今すぐ石油やガスに変えれば高くなるので、電力会社の経営あるいは経済界の電力コストが上がるという、それが財界の反対ということなのでしょうけれども、それは十分解決可能だと思っております。
Q.ドイツではすべての与野党が脱原発に賛成をしたということだが、日本では自民党をはじめ原発を推進するという方向の党もあるようだが、生活としてどのように訴えていくか。
A.ドイツが脱原発を決めたきっかけというのが、日本の福島の原発事故なのです。
それで誰もがぐずぐずしてられないと、決めようということになって決めたのです。
その原発事故を抱えている日本が転換しきれないというのはちょっとドイツ人から見れば日本人はどうなっているのだろう、日本の政党はどうなのかな、と最後に大臣から質問されました。
日本の状況はどうなのですかという質問をされまして、ちょっと格好悪かったのですが、日本では明確に10 年後に脱原発を唱えているのは我が党だけです、ということを申しあげましたが、少々怪訝な顔をしておられました。
だから我々としては、現実にドイツがやっているのですから、日本は可能性としてはドイツ以上に大きいと思います。
できると思います。
今までそこに力を注いでこなかったから安易に原発に依存してき、それは政治家として我々も含めて反省しなければならないが、ですからこういう事故が起こってしまった、
これをきっかけに日本がむしろ率先して脱原発に取り組んでいくべきだと思います。
我々もその主張を今回の訪問を契機にさらに日本の皆さんに広めて、お話していきたいと思っております。
Q.脱原発のドイツの経済的影響などの産業界の反応はどうだったか。
A.これも大臣の話も、代替エネルギーによって競争力が落ちたのでは、これは経済全体に影響してしまうのでいけません、と。
ですから我々は競争力を維持していけるようなエネルギー転換についても施策を講じております、ということでした。
それから電力会社で一部自分たちの権限が、原発をやめるということになって、ある意味既得権が侵されてしまうというわけです。
これについて裁判を起こしている、ということもあるそうです。
ですがそれは脱原発に反対ということではなくて、やめることによって損害を受けるから、その分なんとかしてくれ、少し面倒をみてくれという意味の訴訟だそうで、ドイツではそういう類の訴訟はマスコミも何もほとんど相手にしていないというか記事になっていないぐらいのものだそうです。
ですから産業界もみんな脱原発については賛成というわけです。
Ⅴ 小沢一郎代表の記者懇談概要(4-2)
2012年10月17日午後 ベルリン・太陽光発電施設内
今太陽光の発電の施設を見せていただきました。
ここで面積が12 万坪ほどだそうです。それで建設費が45 億円だそうでございますが、ほとんどメンテナンスがいらなく、多分数十年はもつだろうということでございました。
発電量は6,000 戸分配電できる量だそうです。
ドイツでは太陽光(日照時間)が割合少ないので、日本の場合にはこの1.5 倍くらいの発電ができるようです。ですから非常にきれいで、環境に影響が少ないので、太陽光はいいだろうと思います。
問題は日の照っているときと照っていないときで発電量が凸凹になってしまうので、そういう意味ではこれだけに頼るわけにはいかないでしょうけれども、これも一つの大きな代替エネルギーになるのだろうと思います。
Q.先ほど地熱が有力といっていたが。
A.それは日本の場合。日本の場合はどこを掘っても温泉が出るし、蒸気も出る。
日本の場合はドイツよりもはるかに日照時間が長いですし、地熱は本気でやったらかなりいいと思う、それからもちろん風力も。ドイツでは風力は国民の皆さんから格好悪いと、景観を害するという批判があるようです。
ドイツは風力が盛んでかなりのシェアを占めておりますが、日本でもまだまだ風力発電をやる気になればできます。
また、今言ったように日本はまさに火山列島のようなものですから、どこでも高温の水蒸気がありますので、地熱発電というのも有効だと思います。
岩手県で小規模ですけれども地熱発電をやっておりますが、これまで原子力に頼っていましたのでいろんな意味の代替エネルギー、再生可能エネルギーの開発に努力を怠ってきただろうと思いますから、日本も本気になればできるだろうと思います。
Q.太陽光発電は今ドイツでコストの問題がでているが、そのことについてどう考えるか。
A.電気代が上がるというのは、太陽光に限ったことではなく、風力など再生可能エネルギー、代替エネルギーについては、今まではいろんなかたちで発電して、それを買って配電しているということだったのですが、今度は風力などを全部電線でつながなければならない。
地域間にも電気を送らなくてはならないため、これからのコストがかかるという意味で電気料の値上げをお願いしようということになっているのではないでしょうか。
ただ原発というのは、日本ではコストが安くて安全なエネルギーだといわれてどんどん作ってきたわけです。
ところが原発は最終的な高レベルの廃棄物の処分をどうするか、という大問題があると同時に、今回の福島の様に事故が起きた場合にはコストが安いどころではない、大変なコストになるわけです。
それを計算しないでいるから安い安いということになるのだが、多分今度の原発の事故でもって大変なコストがかかり、国民の命と生活に大きなダメージを与えるということを国民の皆さんも分かってきたのではないでしょうか。
Q.ドイツでは数十年にわたって脱原発に対する国民の議論があったと思うが、日本は3.11 以降まだ短い期間で、今後より一層国民の喚起を促すためにはどうしたらいいか。
A.原子力の危険ということは、リスク・コスト両面で日本人も今回の福島の事故で相当認識が大きくなってきているのではないでしょうか。
ドイツでは日本の原発の事故をもって最終的に10 年で原発をやめることをきめたわけですから、当事者の日本で、今は皆さんの調査でも6割をこえているかな、もっともっと全国に広めればドイツと同じくらい7~8割の人は脱原発ということを考えているのではないでしょうか。
ですからそれを政治の場でシビアに、深刻に考えないといけないと思います。
どちらかといえば国民皆さんのほうが、かなり認識が進んでいて、永田町と霞が関が遅れているという感じではないでしょうか。
ぼくらとしてはその責任もありますから、政治と行政の中で脱原発を実行有らしめるように活動していきたいと思います。
Q.日本は地熱の潜在能力が高いのだが、公園法や温泉業者などいろいろな制約があり、実際には使えないという問題があるようだが、具体的にはどういった使い方を考えているか。
A.それは規制の問題でしょう。
地熱のところには温泉があります。今ボーリングの技術が発達しまして、僕の田舎でも各町全部温泉をもっています。
そのくらい発達しておりますので、地熱発電は本気になればコストも安くできるのではないかと思っております。
ですから規制は取っ払えばいいですし、旅館や観光業の人たちとの摩擦というのは、地熱発電そのものとは大して問題がないと思いますので、あとは国として全体的に代替エネルギー、再生可能エネルギーの開発についてどれだけ真剣に取り組むかではないでしょうか。
Ⅴ 小沢一郎代表の記者懇談概要(4-3)
2012年10月18日 ベルリン・ドイツ連邦議会
原発事故当事国の日本で、いろいろな政党がある中で、脱原発を明言しているのが我々だけということについてはドイツでは不可思議な感じを持っておられたように思います。
その反面ドイツにおいては、具体的な問題については議論がありますが、脱原発ということについてはほとんどの人が、ほとんどの政党が、ほとんどの議員が一致していると、ぜひこれをやらなければならないということでした。
連邦議会の環境委員会の方は別れ際に、あなた方の日本での成功をお祈りします、との話もありました。
今回の事で我々の主張が正しいと、何としてもこれを日本の国民の皆さんに理解してもらって脱原発を実現しようという決意を新たにしました。
Q.ドイツの議員から脱原発の成功のカギが電力生産を地方に移行させることだという話があったが、地方分権と脱原発の親和性についてどう考えるか。
A.それは規制の撤廃ということでしょう。
それぞれの地域で個人でも発電できるということについて、その電力をちゃんと買いますというシステムをきちんと作れば、地域もそれぞれの個人もいろいろな方法で再生可能エネルギーに参加できるということですし、それが地域の産業の発展や雇用にもつながっていくとおいうお話を聞きました。
ぜひ規制の撤廃、自由化につながるのですが、それをうまく、電力に支障をきたさないような、企業の活動に支障をきたさないような、国民生活に支障をきたさないような形で、再生可能エネルギーにシフトしていくための国のバックアップ、法整備や財源の確保をしなければいけないと思います。
ぜひこれは非常にいいことですので、脱原発と同時に、雇用の拡大にもつながるので、やらなければいけないと思います。
Q.プルトニウムの再処理への懸念について諸外国にどう説明しているか。
A.プルトニウムという点からいえば、日本では相当多くのプルトニウムがすでに蓄積されています。
ただ、時々ライトの方々から核武装論が突発的に出ることがありますが、国民の総意は核武装を望んでいると思いませんし、
また私は国際社会の中でもアメリカであれどこであれ政治的にも決してプラスにならないと思っておりますので、そのことははっきりと政府がその姿勢を表明すべきだと思います。
あいまいにしていると、いろいろな疑念を生じさせることになる。
我々は野党ですけれども、そこははっきりしていきたいと思います。
Ⅴ 小沢一郎代表の記者懇談概要(4-4)
2012年10月19日 メルケンドルフ村
まず、エネルギーを大事に、有効に使っていくという考えでなくてはだめだという前提で、ドイツでは2022 年で脱原発を決定しております。
そういう脱原発の決定とこういう再生可能エネルギーの開発・取り組みを並行してやることによって初めて脱原発が可能になる、というお話でした。
この町ではかなり前から太陽熱とか風力とかいろんな形で取り組んでこられたというお話をいただきました。
それで自分たちが使う2.5 倍の電気を作って、余った分は売ることによって村民の皆さんの収入にもなるし、またいろいろな形での雇用も生まれるという話でした。
その中で、今バイオガスの工場と現実に発電しているところを見せていただきました。
ここでは各農家から家畜の糞尿を集め、そしてそれにひまわり等の植物を加えて、メタンガスを作り発電する。
そしてメタンガスをとった残りのものはまた肥料として使う。
非常に有効な、自然のサイクルのような形で、きれいに電気を生むことができるということを、現実にこの目で見せてもらいました。
非常に今後私たちの脱原発を進める上においても大変参考になったと思います。
糞尿等を利用して、メタンガスを出して、残りを肥料にというこのサイクルの考え方自体は、日本でもわかっていたことですが、やはり安易に原発に依存してきてしまったということで、これらを本格的に推し進めようという努力を怠ってきたわけです。
特に僕は田舎の出身ですが、地方で一番問題になるのが糞尿の処理なのです。
これが牛であれ豚であれ、鶏、鶏も今大量に飼ってやりますから、この糞尿の処理が立地の際の一番の問題なのです。ですからそれがこういう形でエネルギーにできる、そして残りは肥料になる、このサイクルを完成させれば、問題を解決できるわけで、日本で本気になって取り組めば、技術的にはそれほど難しいことではないのです。
まず、政治的に、国民みんなの意思で脱原発ということを決定すれば、それに代わる再生可能エネルギー、代替エネルギーをどうやってやるかといえば、当然こういういろんな知恵でもってやっていこうということができるはずです。
ドイツではかなり前から取り組んできたということですが、今からでも日本は遅くないので、国として脱原発を決定し、同時に代替エネルギー、再生可能エネルギーの開発に取り組んでいくということであれば、経済的にも社会的にもほとんど障害が生ずることなくエネルギーの転換ができるのではないかと思っております。
今日現実としてこのシステムをお聞きし、目で見てさらに一層思いを強くしましたので、今後ともその方針で進めたいと思います。
Q.村長の話の中で農業の発展にもつながるという話があったが。
A.1つはソーラーなどで作った電気を売ることによって収入を得られる、バイオの発電の関係で雇用を増やせる。
この村でもかなりの雇用を再生可能エネルギーの関連施設で働いています。
それから家畜の糞尿の問題もバイオエネルギーによって、このシステムによって解決できる。
一石二鳥三鳥で、地域社会にとっても国全体にとってもいいやりかたではないかと思います。
Q.改めて日本での脱原発の必要性は。
A.原子力というのは、日本ではこれまで安くて安全なエネルギーだという触れ込みでどんどんやってきたわけです。
ところが決して安いものではない。
というのは事故が起きて福島の処理はどうするのか、何十兆、何百兆とかかるコストです。
これは電力会社では到底払えない。
また事故が起きなくても、ドイツでもそうですが、最終の高レベルの廃棄物をどう処分するのか、このコストはどのくらいかかるかわからないのです。
それを全然考えないで、ただ単に原発の初期投資だけでコストを計算して、安い、安全だという謳い文句はもう崩れてしまったのです。
コストの問題以上に、国民の命、生活を破壊してしまうことになるわけですから、脱原発というのは日本では特に、ヨーロッパ、大陸以上に、国策として決めないといけないのではないかと思います。
ドイツで現実にすでに始まっている脱原発、そしてそれに代わるエネルギーの開発を実際に見せていただきましたので、私たちの主張が裏付けられた。
我々の思いが正しいということを強く感じました。
Q.はじめCSU で脱原発を唱えた唯一の議員、ゲッペル議員に会ったが、どうだったか。
A.まさに先駆的な考えを持った地元の議員さんでした。
ところが彼も言っていましたように、今自分の主張が完全に党の主張になり、そして国民の、国家の主張になり非常にうれしい。これを何としても続け、今後とも全力で活動していきたいというお話でした。
だから我々も、会派で言えば60 人もいるのだから絶対できますよ、と激励をうけましたけれども、本当に先駆的なグループ、政党として必ず国民皆さんから賛同を得られると確信しながら頑張っていきたいと思います。
Ⅴ 小沢一郎代表の記者懇談概要(4-5)
2012年10月19日 ミュンヘン・ホテル内
Q.全日程を終えて率直な感想は。
A.本当に脱原発を実行しているドイツへ来て、話で聞いたり、本で見たりする以上に、実際に担当の大臣以下、国会の委員会、経済界等々ドイツの責任ある立場の人からその人の口でもって語られて、それを聞くことができたというのは、本当によかったと思う。
それと同時に我々の主張が間違っていない。
そして日本でも福島の原発を抱えている日本だからこそ、これを早くやらなくてはいけないということで、私どもの主張の裏付けと、むしろドイツの現状にバックアップされたような気がして、とてもよかったと思っている。
Q.特に印象に残っている視察は。
A.誰がとかどれがという話ではないけれども、ドイツ人の意識が変わったというのは、福島の事故でもって、8割以上の国民とすべての政党と経済界もみんな含めて、脱原発ということを10 年後に完全に実現しようという方向性は全員異論なしということになった。
ところが原発事故の当事国である日本ではまだその意識が低い。特に政治・行政・経済の中で、我々がまだ少数派だという現実がある。
ドイツの人も心の中ではかなり驚いていると思う。
僕は大手の調査で原発反対が6割くらいとでているけれども、全部まんべんなく調べればドイツと同じ8割くらいになると思う。
だからそういう意味で国民が支持してくれると思っているけれども、ドイツの人たちはその点では全く、国を挙げて一致している。
逆になんでそれに反対する人がいるの、という感じだったので、本当に日本も早くこれを国策として決めなければならない。
それから日本の場合はドイツと違って電力不足がすぐ起きるという話ではない。電力の供給能力は原発を除いても十分ある。
だから電力会社の当面のコストの問題とか、CO₂の問題とかが多少あるだけで、今日の村を見学してわかったけれども、あのようなことは、日本が本気になって取り組めばできる話である。
また電気の買い入れもドイツのようにもっと積極的な法の内容になれば個人でもやるようになる。
それからバイオの話は本当に地方にとってもとてもいいことだし、これもやる気になればすぐにでもできる。
だからマイナス効果というのはほとんどないと思う。
再処理の能力を保持しなければいけないなどという人がいるけれども、仮に原発をやめて、それをマイナスだと点数をつけたとしても、プラスの点数のほうがはるかに高いのではないかと思う。
Q.ドイツは日本と違い、20 年以上前から脱原発の議論が起こり、また再生可能エネルギーの割合も日本よりもはるかに大きく、またもともとの原発の基数も日本の半分以下で、経済界の反発も日本ではまだまだ大きいが、ドイツと同じ速度で脱原発を進めることは可能なのか。
A.経済界の反対は、直接話したわけではないけれども、電力会社を中心としたコンツェルンの影響が大きく働いていることと、大企業にとっては電気料金が上がったのではかなわないという意識があるのではないか。
それに加えて役所もある。
だから大企業の集団である経団連では脱原発は言えないだろう。
しかしドイツの例を見ながら、ドイツよりも僕は日本のほうがやる気になればやれると思う。
そういう意味で国民が理解すれば経団連がどうこうということは関係ないと思う。
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ドイツ脱原発報告(付録)参加者メッセージへ続く。
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