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ドイツ脱原発報告(2)総括

 ドイツ脱原発報告(1)概要と提言からの続き。
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    Ⅲ 「ドイツ脱原発視察」報告書(総括)

 はじめに

 ドイツにおける「脱原発視察」は、我が党の原発ゼロ政策の正しさを裏付け、その遂行が現在と未来の国民の「いのち」、「暮らし」、「環境」を守るうえで、極めて重要であるとの確信を深めた。
 何としても再生可能エネルギーを主軸とする脱原発社会を実現させなければならないとの決意を新たにもした。
 今回の視察を総括すると、次の5つの観点から集約できる。

 (1)福島第一原発事故がドイツ脱原発決定にどのように影響したのか、
 (2)ドイツではどのように脱原発、エネルギーシフトを進めているのか、
 (3)再生可能エネルギー普及がもたらす持続可能社会とは、
 (4)再生可能エネルギー普及上の課題は何か、(
 5)日本でエネルギーシフトを進める上でのドイツからの提言である。
 以下5点について説明する。

 国民総意のドイツ脱原発

 日本の福島第一原発事故は、ドイツ国民に脱原発と再生可能エネルギーを主軸とするエネルギーシフトへの決意を固める契機となった。先進工業国の日本が原発事故を制御できない事態に直面し、ドイツ政府、国会は、2022 年までに原発を全廃することを決定した。
 私たちが会談したペーター・アルトマイヤー環境・自然保護・原子力安全大臣は「この結論に達するまでに過去30 年にわたる様々な議論があった。
 現在では独国民の80%が脱原発を支持している。95%の議員は脱原発に賛成しており、党としても反対しているところはない」と述べた。

 今回の福島原発事故によって、安全性、経済性、温暖化対策の面で優位とされた原子力発電は、いったん事故になれば、放射能汚染が広がり、人的・物的に甚大な被害を引き起こし、その優位性が根底から崩壊した。
 再生エネルギー協会のシュッツ会長は私たちに「原発事故は人間には制御不能である。放射性廃棄物の処理という大きな問題も存在する。再生可能エネルギーは多くの地域に利益をもたらし、雇用を創造し、環境に優しい技術である」と脱原発の理由を説明した。

 再生可能エネルギーシフト

 どのようにドイツは脱原発を具体化していくのか。
 国内17 基の原発中、日本の原発事故直後に一時停止させた8 基(内1 基は故障停止中)を再稼働しないこと、残る9 基を2022 年までに段階的に廃炉にすることを決定した。
 太陽光、風力、バイオマスなどの再生可能エネルギーの割合を2020 年までに35%、2030 年に50%、2050 年に80%とする目標を定めた。すなわち再生可能エネルギーの一層の普及によって、脱原発を進めるとともに、化石燃料への依存度を削減し、地球温暖化防止にも配慮するエネルギー政策である。
 原発2 基を抱えるエッセンバッハ町のフリッツ・ヴィットマン町長は、原発廃炉に伴う税収や雇用面での影響を認めつつ、政府が推進するエネルギーシフトに賛成を示し、「エネルギーシフトに文句を言うのではなく、自ら手を打ってエネルギー転換を自分の手で進めるべきだ」と語った。
 実際、ヴィットマン町長は再生可能エネルギーを供給する公社をすでに創設し、市民組合とともに再生可能エネルギー供給に積極的に取り組んでいることを明かした。

 エネルギーシフトと持続可能社会

 連邦議会内で会談した「緑の党」院内総務代行のベーベル・ヘーン議員は、再生可能エネルギーについて「経済的ポテンシャルがあり、約40 万人の雇用を創り出しており、海外からの石油やガスに依存する必要がない」と利点を強調した。
 さらに、再生可能エネルギー普及の鍵となった固定価格買取制度が大規模な発電会社から地方公共団体や私人などの小口の発電者にも売電の機会を提供し、民主的な電力供給を導く政策であると指摘。
 今日では全国に100 万人の発電主を生み、そのうち11%が農民であり、彼らが地域活性化に貢献している。

 ヘーン議員の主張を具現化しているのが、ドイツ南部のメルケンドルフ村である。
 同村は再生可能エネルギーで247%の電力自給率を達成している。
 村長のハンス・ポップ氏は、再生可能エネルギーの推進について「地域の価値を創造し、雇用を増やし、所得を高め、税収を高める。
 さらには、村のイメージアップにつながる。環境に優しく資源を保護し、持続可能社会にも貢献する」と説明した。

 つまりドイツにおける脱原発とは、エネルギーの節約、効率化を進めるとともに、代替エネルギーとして再生可能エネルギーを飛躍的に普及させる。
 化石燃料への依存を減らし、CO2削減を同時に達成し、現在及び将来の人類に対し、安心、安全、クリーンなエネルギー供給を図る。
 外国からの化石燃料輸入を減らし、エネルギー自給率を高める。
 大規模会社から各地の第1 次産業従事者や小規模事業者が発電主になり、エネルギー供給の分散化が進む。発電主の広がりによって、各地で再生可能エネルギー事業が起こり、地域の価値を高め、雇用を創造し、活性化をもたらすものである。

 再生可能エネルギー拡充の課題

 1990 年代初頭からドイツでは、グリーンエコノミーという考え方からエネルギーシフトが徐々に行われてきた。
 しかしながら今日のエネルギーシフトの土台となる基本的な政策の導入は、1998 年の「社民党」と「緑の党」による連立政権が発足してからである。
 同政権は、2002 年に原子力法を改正し、2022 年までの原発全廃、新規原発建設の不許可、使用済み燃料の再利用終了、中間貯蔵施設の原発敷地内設置、2030 年までの国による最終処分地の建設などを決定した。
 環境税を導入し、化石燃料関係諸税率を引き上げ、エネルギーの節約、効率化を促した。
 再生可能エネルギー法を導入し、固定価格での再生可能エネルギーの買取りを配電事業者に義務付けた。
 これらの施策によって、1990 年代初頭にはほぼゼロ%だった再生可能エネルギーの電力供給割合が2011 年には19.9%まで普及し、2012 年には25%となる見込みである。

 今回の調査で明らかになったこととして、政府予想を上回るスピードで太陽光発電が普及し、設置コストが低下したにもかかわらず、買取り価格が高いために消費者の負担を重くしている問題がある。
 また、再生可能エネルギーに関する賦課金が来年1 月から5.3 セントkwh への引き上げ(今年は3.9 セントkwh)が決定した。

  一般市民、中小企業は新たな負担を強いられる一方で、大口の消費企業は、国際競争力維持との理由から賦課金が免除される。
 今後、消費者間で負担をどのようにバランスさせるかが新たな課題になっている。
 さらに、かねてより指摘されていることとして、再生可能エネルギーの不安定な供給問題がある。
 これには蓄電技術で補えるが、まだコスト高であり、その開発如何が再生可能エネルギー促進の方向性を決める。

 独から日本へのメッセージ

 アルトマイヤー環境大臣は、再生可能エネルギー分野における日独交流の重要性について「両国は高度な技術を有しており、再生可能エネルギーの開発で協力し、国際市場における競争力を強化していきたい」と双方の交流強化を提言した。

 「緑の党」ヘーン議員は、日本の再生可能エネルギーの可能性について「日本の海岸線は長いので、風力発電に適しているし、日照時間も長く太陽光促進のポテンシャルがある。
 地震は多いが、地熱の開発可能性も高い。日本は再生可能エネルギー促進のための環境が整っている」と指摘した。

 また、ブーリング・シュレーター独連邦議会環境委員長は、日本での再生可能エネルギーを確実に前進させるには「法的枠組みを作り、政権交代が起こっても政策が逆戻りしないようにすることである」と助言した。
 経済界の立場から独商工会議所のボレイ・エネルギー気候政策課長が同様の指摘をした。
 「明確な計画の策定と提示であり、この計画は政権が代わっても維持されるべきである」と述べた。

 日本で唯一、期限を区切って脱原発を明確にしている政党が「国民の生活が第一」であるとの私たちの説明に対して、アルトマイヤー環境大臣はじめ、視察で会談したすべてのドイツ人が日本における脱原発の実現と我が党への強い賛意と期待を示した。
 ヘーン議員は我が党に対して「貴党は脱原発に関し一貫した態度をとっており、脱原発という国民の立場をしっかり代表している」と語るとともに、今後の両党間の交流への意欲を示した。

 与党CSU(キリスト教社会同盟)のゲッペル連邦議員は、2010 年にメルケル内閣が脱原発期限を2036 年まで最長14 年延長した際に唯一「反対」した議員だが、「今は党の全員が自分と同意見だ」と、強い信念を維持することの必要性を語り、
 与党から離党して新党を結成した国民の生活が第一と手法は違っても、「あなた方の成功を確信している」と期待を表明した。

 日本での脱原発の課題

 再生可能エネルギー由来の発電電力割合が2012 年で25%に達する見通しのドイツだが、原発は現在でも9 基稼動し、電源構成の17.6%を占めている。
 一方、日本では今年、記録的猛暑にもかかわらず、大飯原発2 基だけの稼動で電力供給をまかなうことができた。
 その点に限れば、ドイツより日本の方が脱原発を早く達成できる可能性がある。

 しかしながら、日本では水力を除く再生可能エネルギーの電源構成割合が1%程度で、化石燃料由来の電源への依存度が高く、CO2排出削減により効果的な対策が求められる。
 ドイツでは原発のみならず、化石燃料由来のエネルギー割合を減らし、脱原発とともにCO2排出削減の目標も同時に達成すべく、再生可能エネルギーの飛躍的普及に政府、国会、産業界、市民が連携し取り組んでいる。

 このドイツのめざす脱原発とCO2排出削減の同時達成社会は、我が党が掲げる「原発ゼロ社会」の良きモデルになっている。
 同じ先進工業国である日本の高い技術力、経済力を活用すれば、ドイツと同様のことを必ず実現できる。
 不足しているのは、国民の脱原発への思いの結集と脱原発を実行に移せる小さくても強い政府である。

 今後、我が党における総選挙に向けた第2次基本政策検討案のとりまとめに本視察の成果を反映させる。
 私たちは脱原発がもたらす、いのちと暮らしを守り、地域を豊かにする社会の意義を一人でも多くの国民と共有し、早期に原発のない社会構築をめざす。

「エネルギー政策の大転換」で、10 年後を目途に全ての原発を廃止する。
 そのために、日本の省エネルギー技術と再生可能エネルギーの普及、効率の良い天然ガスコンバインドサイクル火力発電、さらにエネルギーの地産地消を強力に促進する。
 それにより、原発立地地域をはじめ、地域経済の発展と雇用の拡大を実現する。

(「国民の生活が第一 基本方針 3 つの緊急課題」より)

 終わりに

 ドイツ視察では、政界、財界、エネルギー事業者、消費者団体、原発立地自治体などの関係者と脱原発に関して率直かつ有意義に意見交換ができ、連携協力関係を深めることができた。
 特に、「緑の党」はじめドイツの諸政党との間で、脱原発を中心とする政策課題について、連携協力を深めるために党間交流を推進することで一致できた意義は大きい。
 これによって、脱原発に向けた日独間の連携協力チャネルが構築され、国際的視座から脱原発に取り組むことが可能になった。

 最後に、私たちの視察を大変実り豊かにしていただいたアルトマイヤー環境・自然保護・原子力安全大臣をはじめとするドイツの政府、連邦議会、財界、事業者、消費者団体、エッセンバッハ市、メルケンドルフ村の関係者の方々に深甚なる感謝を申し上げる。

 また、フォルカー・シュタンツェル駐日ドイツ大使はじめ、大使館関係者、日本の外務省、国会図書館、有識者の方々、中根猛駐独日本大使、水谷章在ミュンヘン総領事はじめ、在外公館関係者のご協力に心より感謝申し上げる。

 また、今回の視察に「脱原発法制定全国ネットワーク」を代表して、河合弘之弁護士にご同行いただいた。
 長年、全国各地での原発差止裁判の弁護に取り組んでこられた河合氏の参画に私たちは大いに刺激を受け、学ばせていただいた。
 そして、我が党の同僚議員、国民の皆様に貴重な視察の機会を与えていただいたことに衷心より御礼申し上げる。
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 ドイツ脱原発報告(3)会談・視察3-1、2、3、4へ続く
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