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もうすぐ北風が強くなる

ドイツ脱原発報告(1)概要と提言

 ドイツでは全政党が脱原発で一致しています。
 また、経済界も誰ひとり異論を唱えておりません。
 この視察で、脱原発が正しいと確信しました。
 安心して暮らせるために、子々孫々のために、この政策を実行しなければならない!

 (生活の党、脱原発視察ドイツの前書き。)

 2011年10月、人類史上最大の原発事故を起こした日本の政党で、唯一「国民の生活が第一」は日本の原発事故を受けて脱原発を決定したドイツに視察調査団を送りました。
 4泊5日の正味3日間というハードな日程ですが、視察側の熱意とドイツ側の真剣な対応によって大きな成果を上げました。
 マスコミが一切報道しなかったこの報告は、詳細が「生活の党」のサイトに掲出されています。
 しかし、現実には「埋もれている」といって良い状態かと思います。
 この脱原発ドイツ視察は冒頭の前書きのとおり、現「生活の党」の脱原発方針を極めて強固な政策へと鍛え上げた報告です。
 「埋もれていて良いものでは無い」と感じたので、自分の勉強と内容の普及そして貴重な記録のため、掲載します。
 
 それにしても、わずか正味3日間でよくこの分量を視察調査したものです。
 詳細で分量は多いですが、いずれも貴重な記録と思います。 6ページに分けて紹介します。
 
 私の読後感も冒頭の前書きのとおりです。
 原文は段落が少ないので、読みやすくするために段落を増やしています。 
 ーーーーーーーーーーーーーー
      「ドイツ脱原発視察」報告書  2012年11月 国民の生活が第一 生活の党
動画はこちら

   目 次 
I.「ドイツ脱原発視察」概要
II. 提言:エネルギー政策の大転換
III.「ドイツ脱原発視察」報告書(総括)
IV.「ドイツ脱原発視察」会談・視察概要
 (3-1)アルトマイヤー連邦環境・自然保護・原子力安全大臣との会談
 (3-2)クリーガー・エネルギー事業連合国際関係特別代表との会談
 (3-3)クラヴィンケル独消費者保護連合エネルギー・環境局長との会談
 (3-4)シュッツ再生可能エネルギー協会会長との会談
 (3-5)シュレーター独連邦議会環境委員長ヘーン(同席:ヘーン「緑の党」院内総務代行・連邦議会議員、 マイヤーホーファー自民党連邦議会議員
 (3-6)ボレイ・ドイツ商工会議所エネルギー気候政策課長との会談
 (3-7)エッセンバッハ町(原発立地自治体)町長との会談
 (3-8)メルケンドルフ村(再生可能エネルギーによる電力自給率 247%を 2011 年に達成)村長との会談
 (3-9)「アグリコンプ社」(バイオガス設備会社)視察
 (3-10)「有限会社 saferay」太陽光発電施設視察
V.小沢一郎代表の記者懇談概要

   Ⅰ 「ドイツ脱原発視察」概要

【目的】
 日本の東京電力福島第一原発事故を受け、ドイツの政府、国会は事故後数か月で2022 年までに国内の原発を全て閉鎖することを決定した(閣議6 月6 日、連邦議会6 月30 日、参議院7 月8 日)。原発ゼロに向けたドイツの連邦政府、議会、産業界、市民社会などの取り組みを視察し、日本における10 年後の脱原発実現への施策の参考とする。
 ドイツでは1990 年代初めまで、日本と同様に化石燃料と原子力が中心の電源構成で、再生可能エネルギー産業が存在していなかった。その後、エネルギー政策の大転換により、2010 年には再生可能エネルギー割合を17%にし、2020 年には35%、2040 年には65%への引き上げをめざしている。一方、温室効果ガス削減目標は90年比で2020 年に40%、2050 年には80%削減とし、それを原発に依存せず達成することをめざしている。
 ドイツより再生可能エネルギー資源が豊富といわれる日本において、10 年後の原発ゼロは実現可能である。今回の我が党の訪独視察によって、脱原発の道筋をより具体化し、それを一人でも多くの国民と共有し、連携を深めて原発ゼロ社会の早期実現をめざす。

【日程】

10 月16 日: 成田発 → ベルリン着
10 月17 日: アルトマイヤー連邦環境・自然保護・原子力安全大臣、クリーガー・エネルギー事業連合国際関係特別代表との面談、太陽光発電施設の視察
10 月18 日: シュレーター連邦議会環境委員長、ヘーン「緑の党」院内総務代行及び再生可能エネルギー協会、独商工会議所、独連邦消費者保護連合の関係者との面談、ミュンヘンに移動
10 月19 日: エッセンバッハ町(原発立地自治体)、メルケンドルフ村(再生可能エネルギーによる電力自給率247%を2011 年に達成)の視察
10 月20 日: ミュンヘン発 → 21 日成田着

【構成】

顧 問: 小沢一郎 代表・衆議院議員
団 長: 牧 義夫 幹事長代行・衆議院議員
副団長: 森ゆうこ 参議院幹事長・参議院議員
松崎哲久 副幹事長・衆議院議員
事務局長: 岡島一正 総務委員長・衆議院議員
有識者: 河合弘之 脱原発法制定全国ネットワーク代表世話人・弁護士
(随行事務局:鈴木賢一 本部事務局部長、西塔謙志 本部事務局員)

 (概略の説明) 
小沢一郎代表、牧義夫幹事長代行(政策担当)、森ゆうこ参議院幹事長、岡島一正総務委員長、松崎哲久副幹事長、河合弘之脱原発法制定全国ネットワーク代表世話人が10月16日から20日までドイツを訪問し、脱原発への取り組みを視察、
アルトマイヤー環境・自然保護・原子力安全大臣、シュレーター連邦議会環境委員長らと会談し、脱原発実現性の確信を得ました。

今回の福島原発事故によって、安全性、経済性、温暖化対策の面で優位とされた原子力発電は、いったん事故になれば、その被害が甚大であり、優位性が根底から崩壊しました。
日本の福島第一原発事故は、ドイツ国民に脱原発と再生可能エネルギーを主軸とするエネルギーシフトへの決意を固める契機となりました。
ドイツ政府、国会は、先進工業国の日本での原発事故だったことを深刻に受け止め、2022年までに原発を全廃することを決定しました。
私たちが会談したアルトマイヤー環境大臣、シュレーター連邦議会環境委員長はじめ、商工会議所、消費者連合会、再生可能エネルギー協会の関係者は異口同音に脱原発がドイツ国民の総意であることを強調しました。

18日に会談したシュッツ再生可能エネルギー協会会長は「原発事故は人間が制御できない。放射性廃棄物の処理も未解決である」と脱原発の理由を説明しました。

ドイツの脱原発は、ドイツ国内17基の原発中、日本の原発事故直後に一時停止させた8基を再稼働しないこと、残る9基を2022年までに段階的に廃炉にすることで実行されることになっています。
また、太陽光、風力、バイオマスなどの再生可能エネルギーの割合を2020年までに35%、2030年に50%、2050年に80%とする目標を定めました。
すなわち再生可能エネルギーの一層の普及によって、脱原発を進めるとともに、化石燃料への依存度を削減し、地球温暖化防止にも配慮するエネルギー政策です。

19日に視察したドイツ南部のメルケンドルフ村は再生可能エネルギーで247%の電力自給率を達成しています。ポップ村長は、「地域の価値を創造し、雇用を増やし、所得を高め、税収を高める。さらには、村のイメージアップにつながる。環境に優しく資源を保護し、持続可能社会にも貢献する」と再生可能エネルギーの利点を説明しました。

18日に意見交換した再生可能エネルギー協会会長のシュッツ氏は「協会では、再生可能エネルギー割合を2020年までに50%(政府を上回る)にするとの目標を掲げている。これまでに再生可能エネルギーで38万人の雇用を確保した。今後も雇用増が見込まれ、経済効果が期待できる。環境にも優しく、持続可能社会を実現できる」と普及の意義を語りました。

19日に視察した原発2基を抱えるエッセンバッハ町のヴィットマン町長は、原発廃炉に伴う税収や雇用面での影響を認めつつ、政府が推進するエネルギーシフトに賛意を示し、「エネルギーシフトに文句を言うのではなく、自ら手を打ってエネルギー転換を自分の手で進めるべきだ」と語りました。
また、町長は再生可能エネルギーを供給する公社をすでに創設し、市民組合とともに再生可能エネルギー供給に積極的に取り組んでいることを明かしました。

連邦議会で会談した「緑の党」院内総務代行のヘーン議員は「日本の海岸線は長いので、風力発電に適しているし、日照時間も長く太陽光促進のポテンシャルがある。
地震は多いが、地熱の開発可能性も高い。日本は再生可能エネルギー促進のための環境が整っている」と指摘しました。
日本で唯一、期限を区切って脱原発を明確にしている政党が「国民の生活が第一」であるとの私たちの説明に、アルトマイヤー環境大臣はじめ、視察で会談したすべてのドイツ人が日本における脱原発の実現と我が党への賛意と期待を示しました。
ヘーン議員は我が党に対して「市民のことを第一に考え、脱原発に関し一貫した態度をとっており、脱原発という国民の立場をしっかり代表している」と語るとともに、今後の両党間の交流への意欲を示しました。
与党CSU(キリスト教社会同盟)のゲッペル連邦議員は、2010年にメルケル内閣が脱原発期限を2036年まで最長14年延長した際に唯一「反対」した議員だが、「今は党の全員が自分と同意見だ」と、強い信念を維持することの必要性を語り、
「あなた方の成功を確信している」と期待を表明しました。
ドイツ脱原発視察によって、我が党の10年後の原発ゼロ政策の実現可能性について確信を深めることができました。
我が党は今回の訪独の成果を来る衆議院総選挙政策に反映し、「いのち」と「暮らし」を守るために国民の協力を得て2022年の脱原発を実現します。

【調査項目】

脱原発、省エネルギー推進、再生可能エネルギー拡大、エネルギー自給率向上、小規模・分散型エネルギーシステム化、エネルギーの地産地消、地域経済の発展と雇用拡大、持続可能社会の実現、放射性廃棄物処理、エネルギー安全保障強化他

   Ⅱ 提言:エネルギー政策の大転換
   原発は直ちにゼロ可動とする


  1 原発ゼロの実現と十分な電力確保は両立する

電力は現代社会において欠くことのできないエネルギーである。しかし、原子力を利用した電気は、国民の生活を脅かす危険なエネルギーであることも理解しなければならない。昨年3月の原発事故の反省に立って原子力を利用しない場合の電源構成を考えると、総発電電力量の燃料別比率の推移は、下記のように実現可能な数値が提示される。
 germany_p2_ls001.gif

  2 原発の再稼働は容認しない

 原発ゼロはただちに実現可能である。2012年の夏も、猛暑日にも深刻な電力不足は生じなかった。したがって、代替発電所の進捗状況、今後の燃料調達先の確保、価格、気候の態様、電力需給見通し等を慎重に見極めながら、また国際枠組を尊重し、外国との協調、地方自治体・住民の意見に配意しつつ、遅くとも2022年までに最終的な廃止を確定する。

 なお、原発の廃止とは、「発電のための施設でなくなる」ことである。それまでの間も原発の新増設と再稼働は容認しないので、大飯原発の2基を含めて実質的な「原発稼働ゼロ」は早期に実現する。

  3 新エネルギーの普及を確実に増進させる

 低炭素社会実現の観点で最も有利なのは再生可能エネルギーであるが、水力の割合を短期間で大幅に引き上げるのは困難と言わざるを得ない。風力・太陽光・地熱・バイオマスなどは、ドイツ等の事例を見ても、技術開発、法の整備もしくは規制緩和、財政支援を強化する等の適切な誘導策を講じれば、新エネルギー全体で年毎に1%程度の増進が可能である。その際、発電量が天候に左右されるものは、蓄電設備の充実によって効率性と安定性を高めなければならない。

 なお、原発の代替で一時的に増加した石油は、極力抑制する。

  4 省エネルギー技術等で電力需要を抑制する

 送電技術の高度化、地域連系の強化など電力事業者側の技術革新とともに、需要者側の省エネルギー技術開発を促進することにより、総電力需要を抑制する。東日本大震災後、需要者側の節電およびピークカット意識の向上は目ざましいものがあり、ライフスタイルの変化、スマートグリッドの普及、コージェネの推進などで、経済成長の鈍化を伴わない最大電力需要の下方見直しが可能である。

  5 CO2排出が抑制される最新型火力を即戦力として使う

 再生可能エネルギーの比率拡大が望ましいのは当然だが、普及に一定の年限を要するのも事実である。それまでの間も、「脱原発」をスローダウンさせて原子力を維持するよりは、即戦力として最新型火力発電を優先すべきであって、その際、CO2 排出量が著しく増加しないよう配慮する必要がある。

 したがって、石油火力は高効率の天然ガスに転換し、天然ガス自体もさらに高効率化を図ることにより、また石炭火力は最新型に転換し、国産の間伐材等を利用したバイオマス混焼、CO2 分離回収技術(CCS)などにより、排出量削減の達成に努める。

 (1)天然ガス・コンバインドサイクル発電を増強する

 天然ガスの高温燃焼と、その排熱(余熱)で沸騰させた高圧蒸気を使う発電を複合させた方式で、高い熱効率(60%超)が得られる日本の技術は世界最先端にある。すでに全国の電力会社が23発電所の33基で出力3159万kwを実際に発電し、2021年度までに1627万kwの運転開始が予定されている。これをさらに加速させ、老朽火力発電所と置換(リプレース)する。

 (2)高効率石炭火力発電への置換を促進する

 現段階の最高効率技術(微粉炭火力)ですでに熱効率40%以上が実用化され、さらに熱効率55%の達成も可能とされている。既存の旧式火力発電所を最新式に置換(リプレース)し、価格が安く安定した石炭を有力な電源として位置づける。

  6 エネルギーの地産地消を促進する

 電力を使用する地域で発電を行えば、送電ロスも少ない。電力を大量に必要とする地域に発電所を立地するだけでなく、全国各地に設置することで地域の経済活性化、雇用拡大に寄与し、ひいては成長戦略の一環に位置づける。

  7 発送電を分離する

 発電、送電、変電及び配電に係る事業の分離を前提に、電力供給体制を抜本的に改革する。明治期以来2分されている東西の周波数を統一して地域連系を容易にするとともに、地域独占の自由化、卸市場の強化等で新電力(PPS)の参入を促進し、消費者の電気料金負担を軽減する。

  8 資源調達を多様化し適正価格を確保する

 中東に過度に依存した石油と異なり、天然ガスの調達先は多様化できる。更に、近年のシェールガス革命、非在来型革命に対応し、上流事業への参入促進、石油連動型の長期契約の是正など、廉価かつ安定した資源調達に努める。
 また、日本近海の資源開発(メタンハイドレートなど)を進める。

  9 原発の廃止に伴って必要な措置を実施する

 廃止した原発の廃炉を安全確実に進めるとともに、発生する廃棄物の処理、残された使用済み核燃料の保存・管理・最終処分、及びこれらの業務を円滑に行うための研究者・技術者の育成・確保に全力をあげる必要がある。原発立地地域の雇用・経済対策、電力会社の損失処理等にも配慮した諸施策を推進しなくてはならない。

  10 世界の脱原発政策に貢献する

 原発事故の完全収束と瓦礫処理、除染に世界の英知を集め、最優先に取り組むことは、子供たちの命と地域の将来を守るためにも必要不可欠である。

 エネルギー、原発に関連するその他の分野の研究・技術開発を進め、拠点として原発立地地域の活用を優先する。自家発電、コジェネ(燃料電池)、蓄電技術、廃炉技術、除染技術、廃炉に伴う汚染物質の処理技術等を先入観なく研究し、日本のみならず世界の脱原発政策に積極的に寄与する。
 ーーーーーーーーーーーー
 ドイツ脱原発報告(2)総括へ続く。
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