死刑廃止論議がほとんどない国
2013-03-26

日本は死刑廃止論議が、確かに盛り上がらない国ですね。
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死刑反対は日本にほとんどない (DW English) 3/1 独DWサイト英語版 阿修羅から
(Little opposition to death penalty in Japan: DW English)
http://www.dw.de/little-opposition-to-death-penalty-in-japan/a-16638607
国家が人を殺すことの倫理的な是非について、他国では死刑制度に熱い議論が沸き上がっているが、日本には、このような議論は存在してこなかった。
今日、法廷の判決がこの処置を許可しているにも係わらずだ。
日本の最高裁は、2004年に4人の死に関連して有罪判決を受けた男性の上告を棄却し、伊藤玲雄氏(38)が死刑となるべきことが確定した。
伊藤氏は、詐欺グループの仲間だった2人の男性が、グループが不法に入手したお金を盗もうとしていたことが分かると、彼らを殴り、窒息させた。彼はその後、別の2人の男性に、死に至るに十分な酷さの怪我を負わせた。
この事件を担当した裁判官は判決で、伊藤氏の犯罪は「残酷かつ粗暴」で、「人命無視」を示したものだと述べた。
伊藤氏は日本の死の行列に並ぶ131人目の人物となり、この数字は再び吊り上がった。その1週間前、3人の死刑執行により、この数字は減っていた。
小林薫氏(44)は、2004年に女子小学生を誘拐・殺害したことで有罪となり、死刑が執行された。金川真大氏(29)は、2008年の無差別殺人により有罪と認定された。また、加納恵喜氏(62)は、2002年3月に名古屋で酒場の経営者を殺害したために死刑が執行された。
この3人の死を受けて開かれた記者会見の話で、谷垣禎一法相は、12月の総選挙で中道右派・自民党が政権に復帰して以降、初の死刑執行となる執行命令書になぜ署名したかを説明した。
「これらの事件は極悪非道な犯罪に関連している」と、谷垣禎一法相は語った
「極悪非道な犯罪」
「これらの事件は全て、自己中心的な理由から貴い人命を奪った、極悪非道な犯罪に関連している」と、同法相は語った。
超党派の議員グループは政府に抗議を行い、法務省は死刑についての情報提供-死刑制度を廃止している国は増えている、など-を怠たり、この問題についての議論を抑え付けていると述べた。
地元メディアはこの抗議にほとんど言及しなかった。この3人の男性が行った犯罪の恐ろしい性質を考慮したのだ。
「この男性たちはみな命を奪ったわけで、日本ではこの処罰が法で定められているので、私はこれが正しいことだと思う」と、東京の北、埼玉県の主婦、ホソムラ・カナコ氏は語った。「私は母親であり、彼らの1人が少女にやったことを読んだとき、怒りがこみ上げた。」
「もし、私が少女の母親だったら、やはり、彼には死刑になって貰いたいと考える。」
日本では、死刑制度への支持は一貫して高く、最近の世論調査でも、一般国民の80%以上が、特に極悪犯罪で有罪判決を受けた人に対して、死刑執行を支持していることが示されている。
「この考え方に、あまり多くの日本人が悲しんでいるようには見えないし、極悪犯罪を犯したのなら、その人は死刑になるのが相応しいという意見を、日本人の多くが持っている」と、明治学院大学の人類学教授トム・ジル氏は語った。
人命の尊厳
「日本史の中で、死刑制度は廃止と復活を何度か繰り返した。しかし、人命の絶対的尊厳という考えがいくらか欠けているようで、特に、他者の命を奪った人にはそうだ」と、彼は語った。
「そして、その最たるものとして、何か恥ずかしい行いをした者を抹消する傾向も、日本社会にはある。」
日本には、死刑制度への支持が幅広く存在するにもかかわらず、これが政治的な課題であり続けるよう取り組んでいる市民団体もある。
「死刑モラトリアムを導入し、国民的な議論を促進し、死刑制度の運用についてより多くの情報を開示するよう、私たちは日本政府に求めてきた」と、アムネスティ・インターナショナル日本支部の活動家・川上園子氏は語った。
「また、冤罪による有罪が、最近これほどたくさん見つかったのはなぜかを検証するために、刑事訴訟システムをもっと幅広く見直すことも、私たちは求めている」と、彼女は付け加えた。有罪を確実なものとするために自供を利用するのは、システムに欠点があると、活動家たちは主張する-特に、警察が最大23日間、弁護士が付かない状態で被疑者を勾留できる点については。
「日本で、一般国民が死刑制度に非常に高い支持を続けているのは、いくつかの理由を総合して考えているのだと、私は思う」と、川上氏はドイヂェ・ヴェレに語った。「まず、被害者の遺族に同情を集めて、厳しい判決を促すよう、メディアが話を誇張している。」
死刑反対を主張する人たちは、この問題が課題であり続けるよう取り組んでいる
一般国民は詳細を知らない
「また、日本の一般国民は死刑がどのように執行されるか、詳細を良く知らないのだとも、私は考える」と、彼女は語った。「さらに、70%以上の国々が死刑制度を廃止していることも、国連が死刑の慣行を非難する決議をしていることも、多くの日本人は知らないのだと確信している。」
先日の死刑執行に対して、欧州連合は厳しい反応を示した。駐日欧州連合代表部のハンス・ディートマール・シュヴァイスグート代表は、この死を非難した。
「2013年2月21日、3人の死刑囚に死刑が執行されたことに対し、私は深い遺憾の意を表する」と、代表は声明で述べた。「欧州連合は、あらゆる環境の下でのいかなる事件においても死刑の慣行に反対し、一貫してこの全面的な廃止を呼びかけてきた。」
「日本が死刑モラトリアムを検討し、その一方で、この問題について一般国民の間で包括的な議論を認めるよう、私は心から願っている」と、代表は付け加えた。
しかし、日本政府は世論の高い支持を受けており、また、一般国民も先日死刑が執行された3人の男性にほとんど関心を示していないことから、この問題での議論の呼びかけには、誰も耳を傾けないようだ。
発表 01.03.2013
執筆 Julian Ryall, Tokyo
編集 Gregg Benzow
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大いに参考になりそうな死刑制度に関してのFAQ。
死刑廃止を推進する議員連盟はおよそ80名(2009年)
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議員連盟のWikipediaによる概要
1994年4月6日に当時、公明党所属の国会議員だった二見伸明の働きかけで発足し、衆議院・参議院合わせて103人の超党派の国会議員が参加した。初代会長には元衆議院議長の田村元が就任。2代目会長は左藤恵元法務大臣、3代目会長は竹村泰子。2001年12月4日に亀井静香が第4代会長に就任した。事務局長は民主党の村越祐民。
2003年、死刑廃止議連は超党派の議員立法で死刑執行停止法案を作成[1]。その他にも、死刑制度に関する会合に議連メンバーが出席して廃止を訴えたり、死刑執行が行われた際に記者会見で抗議のアピールを行ったり、法務大臣に死刑執行停止の申し入れを行うなどの活動をしている。
なお議連のメンバーだった民主党の千葉景子は、鳩山由紀夫内閣での法相就任に伴い議連を退会。菅内閣でも留任し、第22回参議院議員通常選挙で落選後、7月24日に2人の死刑囚の死刑執行を命令した(24日の時点では落選は確定していたが、まだ参院議員の任期中だった)。
2010年現在、①重無期刑の創設、②死刑評決の特例化、③両院に死刑問題に関する協議機関を設置、の三点を中身とした議員立法「重無期刑の創設及び死刑に処する裁判の評決の特例等に関する法律案」の提出・成立に向け活動を活発化している。2011年8月8日、法務省主催の死刑の在り方についての勉強会[1]に亀井静香会長及び村越祐民事務局長、本多平直幹事の三名が参加し、所見を述べた。
会長 : 亀井静香(みどりの風)
会長代行 : 中川秀直(自由民主党)
副会長 : 仙谷由人(民主党)、加藤紘一(自由民主党)、斉藤鉄夫(公明党)、福島瑞穂(社会民主党)
顧問 : 保坂展人(社会民主党・世田谷区長)
事務局長 : 村越祐民(民主党)
幹事 : 山花郁夫(民主党)、照屋寛徳(社会民主党)、川田龍平(みんなの党)、井上哲士(日本共産党)、浅野貴博(新党大地)、辻元清美(民主党)
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国が毎年調査している法制度世論調査に死刑制度の項目があるが、設問項目に死刑の対案提示がなく批判されている。
また日弁連は国連など国際社会の流れを踏まえて論議を起こすべきとしている。

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コメント
日本が死刑制度を守っている理由のひとつにヨーロッパ人は日本の文化論をよく上げますが、ちょっと待って欲しいです。
つい十数年前までヨーロッパでも普通に死刑制度があったではないですか。
しかも死刑廃止に持ち込む時、民意は死刑制度に賛成でした。
しかしそれを時の政権がねじ伏せて死刑廃止に持ち込んだのです。
十数年前まで自分たちもやっていたのに、いざ自分たちが「死刑廃止」という価値観を得たら途端に上から目線で「日本の社会はー」「日本史はー」と言うのはどうなんでしょうかね?
死刑制度と日本文化論を簡単に結びつけることはできません。
このトムさんの考えは人種差別的傾向があると思うのですが。
欧州は常に世界をリードしてきました。
政治経済科学宗教哲学。ありとあらゆる面で常に世界史をリードし世界に多大なる影響を与えてきました。
欧州は近代日本の師匠であり、先生であり、尊敬すべき存在です。
しかしそれらが時として思い上がりに変わり、自分たちが発見したものや自分たちが手に入れた価値観を世界に広めることに価値を見出す傾向にあります。
「教えてあげなければならない」
かつて未開の地にキリスト教を広めた宣教師たちもそういう使命感があったと言います。
「人命の絶対的尊厳」を新たに発見した彼らはそれを日本に教え与えようとしてくれているらしいですが、ありがた迷惑というものです。
日本は欧州から学んできましたが、何を学ぶかは自分たちで決めます。
つい十数年前までヨーロッパでも普通に死刑制度があったではないですか。
しかも死刑廃止に持ち込む時、民意は死刑制度に賛成でした。
しかしそれを時の政権がねじ伏せて死刑廃止に持ち込んだのです。
十数年前まで自分たちもやっていたのに、いざ自分たちが「死刑廃止」という価値観を得たら途端に上から目線で「日本の社会はー」「日本史はー」と言うのはどうなんでしょうかね?
死刑制度と日本文化論を簡単に結びつけることはできません。
このトムさんの考えは人種差別的傾向があると思うのですが。
欧州は常に世界をリードしてきました。
政治経済科学宗教哲学。ありとあらゆる面で常に世界史をリードし世界に多大なる影響を与えてきました。
欧州は近代日本の師匠であり、先生であり、尊敬すべき存在です。
しかしそれらが時として思い上がりに変わり、自分たちが発見したものや自分たちが手に入れた価値観を世界に広めることに価値を見出す傾向にあります。
「教えてあげなければならない」
かつて未開の地にキリスト教を広めた宣教師たちもそういう使命感があったと言います。
「人命の絶対的尊厳」を新たに発見した彼らはそれを日本に教え与えようとしてくれているらしいですが、ありがた迷惑というものです。
日本は欧州から学んできましたが、何を学ぶかは自分たちで決めます。
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「命」でなく「人の命」だけが「絶対的尊厳がある」というのも、「どんな命も尊い」というのも疑問です。職業などに貴賤はないが、「魂」に貴賤はあると思う。社会制度の中に位置づけるものではないが。
「他者の命を奪った人」、つまり、「人命の絶対的尊厳」を侵した人にも、「人命の絶対的尊厳」は、あるものなのか。
そして、理論以前に、人の「自然な感情」として、家族を殺された「人の気持ち」は決して納得しない。突然、我が子を殺されたら、親の人生もまた殺されたに等しい苦しみ、祖父母ももまた・・
「自然な感情」「当たり前の感情」こそ、大事にすべきことだと思う。
たとえ、精神に疾患があろうと、社会に生きる人間ならば、人を殺していいかどうかの認識はあり、責任は問われるべきとおもう。
「10ない人」(一人前を10として・・差別用語だが)に対して、社会は追い詰めるばかり、最低限の自立を目指す政策さえなく放置しているに等しい。社会保障政策の中で最も重要なのが、触法精神障がい者、出所後の対策と私は思っている。
しかし、その人がどんなに苛酷な人生を歩んだにしても、社会の責任は大きいにしても「理不尽な殺人」は許せない。それが「人命の絶対的尊厳」なのではないのか。人の命を「理不尽」に奪った者に「人命の絶対的尊厳」などあるのだろうか。