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もうすぐ北風が強くなる

今年も福島を「忘れない」:通販生活

   Sさん・郡山市・女性・48歳   編集部に寄せられた福島の声 「今年も福島を「忘れない」」から

 震災があり、すぐに原発事故があり、様々な報道に右往左往し、そのパニックから徐々に解き放たれつつも、日常には常に危険や不安があるという状況。
 目に見えない正体不明の放射性物質の恐怖。
 食材には気を使っていますが、あまり食費にお金もかけられないので、近くで手に入る範囲で、なるべく安全なものを購入するようにしています。

 福島県内産には抵抗はあるけど、かといって近隣の県のものは福島のように放射性物質をきちんと検査しているのか、数値はクリアしていても「0」ではないんだろうなとか、一つ一つの食材を見るたびに考えてしまいます。 ここに住む覚悟をしたわけですから、子どものためにできる限りの対応をしようと思っています。

 11月下旬、ようやく、娘の中学校でも甲状腺検査が行なわれました。
 検査結果は2週間後ですが、何事もないように祈るのみ。
 子ども自身、体の不調には敏感で、特に以前から頚部リンパ節の腫れが気になっていて、去年と今年の2回病院で診てもらっています。
 幸い「異常なし」と言われましたが、子どもなりに「もしかしたら放射線のせいで病気になっているかも」という不安は常に持っているようです。
 本当に可哀想です。

 中1の娘は「なぜすぐに原発が再稼働され、これからも稼働させようとしているのか、その気持ちが理解できない」と言っていました。
 こんなにみんなが、健康の不安を感じながら生活しているのに、同じような思いをするかもしれないのに、どうして? と。

 最近地震が多いですよね。先日、東京でも大きな地震が起きましたし、沖縄でも揺れた。
 「もしかしたら…」という危険を日本中のどの原発も抱えているはずです。
 喉元過ぎれば…ということもあるでしょうし、政治家は経済活動が優先。
 危険を知りつつ日本が破滅に向かっているようにしか思えません。
 反原発の声がもっと大きくなるように私たちも、声を大にして訴えていかねばならないと思いを新たにしています。

 「郡山(福島県)は危険だから、どこか安全なところに行きたいと思う?」と子どもに聞いたところ、「絶対いや」と言われました。
 集団疎開ならいいのでしょうが、子どもたちには学校や仲間と離れて違う環境に一人で置かれるのは大きなストレスだと思います。

 とにかく「福島を忘れないで」と言いたい。
 住んでいる人たちがかわいそうとか、そういうことではなく、県民はなんとかここで頑張っているので、「こんな大変なことはもう世界のどの場所でも起こってほしくない。
 事故のことを忘れないで、明日は我が身と思って真剣に考えてほしい」ということです。

 本当に大事なものは何か、守るべきものは何か、経済より大事なものは何か、そういうことを日本人一人ひとりが考えれば、何かが変わっていくと信じたいです。
 …………

   Yさん・女性・二本松市(小学4年生)

私が今したいこと。
・たくさん外で遊びたい。
・マスクを外したい。

これから東電(国)にしてほしいこと。
・放射能を福島及び他県から消し去り、国民の不安をなくしてほしい。
・国から原発を取り去る。
・いろんなこと(政治)でもめてないで、良い国にしてほしい。

 あの3・11のとき、私は廊下を歩いていた。
 まだ2年生だった。私は3組だったが、1組の前をとおったとき、生徒がバッと起立するのが見えた。
 1組の友だちと、どちらが教室から早く出られるか、「かけ」をしていた私は「負ける!」と思って教室へ走って帰った(帰るときは、起立をしてあいさつをして帰る)。
 教室へたどりつくと、みんな机の下へもぐっていた。
 先生が「Yちゃんも早くもぐって!」と言った。私がもぐったとたん、大きなゆれが来た。
 そのとき、トイレに行っていた親友も助かってよかった。 

 夕方、家に帰ると祖父母が真っ青な顔をしていた。
 何でも、「ほうしゃせん」というものが福島県にちらばっちゃったらしい。
 幼かった私の頭の中では、そんな風にしかにんしきしていなかった。
 しかし、夜になって、母が帰って来て、祖父母とまゆをひそめて、話をしているのを見ると、なんか「アブナイモノ」「大変だ」「生きていけるの?」とすこーし分かってきた。
 その時の母は、目を見ひらいて、恐怖、不安、おどろきの表情をしていた。

 帰りはぼうしをかぶり、冬でもないのに手袋をし、ぬれたタオルで、目、鼻、首など、とにかく肌をろ出しないようにして家に帰った。
 帰り道、私は母を質問ぜめにした。「放射線ってナニ?」「死んじゃうの?」「どうなるの?」「引っこすの?」「だれが悪いの?」

 母は、「放射線はアブナイモノなんだよ。死にはしないと思うけど、これからはマスクをつけようね。だれも悪くないんだよ。悪いのは『原発』なんだよ」と教えてくれた。
 いつもは車のライトなどで、明るく輝いている道が、ひんやりとした空気に満たされ、ぬれたタオルの冷たさが肌に心地よく、辺りが真っ暗で、群青色の空に浮かぶはずの月が、見えなかったことを、
 私は今でもしっかりと、しっかりと覚えている。

 私は、しん災、及び原発事故から1年8ヵ月たつ今でも、マスクをつけている。マスクをつける人は、もう少なくなってしまった。

 私は、放射線量が高かった1学期の間、山形にひなんしていた。
 友たちはできたが、すごくさびしかった。
 母や父、祖父に会えなかったし、長年住んできた家から、1日もはなれるのが、私にはつらかった。
 私は福島に帰った今も、「山形」と通信を続けている。

 放射能、原発をなくして、良い日本にしてほしいです。
 ……………….

   Mさん・二本松市・47歳

 美しい稜線をたたえる安達太良山と、裾野に広がる黄金色の田園風景。
 その絵のような美しさに見とれながらも、見えない「放射能」で「汚染された」と言われる故郷に、胸が締め付けられた秋でした。
 福島のお米は本当に美味しい。地産地消が何よりと生活してきた福島の、豊穣の秋を、いつまでこんな辛い気持ちで迎えるのかと苦しく思う秋を過ぎて、今は、12月から始まる娘の学校の「地元産給食米等」に、心乱されています。
 安全で安心な数値であるのは、丁寧な取り組みからも十分理解できますが、気持ちがついていかない……悩むところです。

 「親子の放射能ワークショップ」が広げられ、教師は立ち位置に困り、親も判断に迷い、進まぬ除染、新たな事実(東電の電話会議も、あそこまでひどかったとは、あきれてものが言えません)の渦の中、震災から1年半が過ぎて、思考停止をしたくなる自分もいます。
 実際、除染についても、取り除いた土の仮置き場が決まらず、中間貯蔵施設の決定も遅れる中、除染が進むわけもない。
 住民たちの疲労もたまり、ずっと意識を持ち続け、見つめ続け、悩み続けている親たちが「納得」出来る支援をし、それを広げていく努力が必要と感じます。

 事故後、あらゆる分断を強いられた福島ですが、黒く這う津波のように、分断は形を変え、今も人の心に静かに入り込んでいると感じます。
 「お金」が絡むことは難しい。事実を見つめる目を曇らせ、人々の心をくすぐります。
 「福島の復興なくして!」と言いますが、この地で生活し、子育てをし、慎ましい幸せを丁寧に守ろうと努力してきた福島を、国が本気で守ろうとしているとは考えられません。
 また、子どもの健康は何よりも大切ですが、お年寄りにはお年寄りの苦しさ、切なさがあり、この事故は年代を問わず人を苦しめるのだと改めて感じています。

 子どもたちは、その特権である「外遊び」を制限されています。
 室内にいる時間が多いと、ゲームをする子が増えたらしく、視力低下が顕著に現れているようです。
 国も県も、避難地域の除染を実験的に大掛かりに、多額のお金を使い、始めているようですが(誰かが、どこかが巨額の利益を得ているのでしょう)、
 子どもと中通りに避難を続ける親子さんたちは「実際、帰還困難な土地を除染するよりも、今いる高線量の中通りを一刻も早く除染してほしい」とおっしゃっています。
 こんな、当たり前の切実な願いも、この国のやり方では受入れてはいただけないようです。

 先日、「一人で言い始めればクレーマー扱いなので、数人で集まって、嘆願書を出すべきです!」との話も頂きましたが、
 福島で、日常を頑張って生きている子育て世代に、そんな余力はない。
 誰かがやってくれるのを待っているだけではないけれど、働く子育て世代は、思い悩むのが精いっぱいなのだということを、分かってほしいと強く願います。
……………….

   通販生活編集部

 「一日も早い脱原発なんて、そんなのムリだよ」という声が、経産省や電力業界だけではなくて、経済界を中心に活発になってきました。
●曰く、原発をゼロにしたら原油の価格が上昇したり、再生可能エネルギーのコストが高くついて、電気料金がどんどん上がって家計を圧迫していく。
●曰く、原発をゼロにしたら深刻な電力不足になって、経済が悪化し、雇用は守れないし、社会保障の財源もつくれなくなる。
●曰く、中国、北朝鮮、ロシアにとり囲まれているわが国が原発技術を放棄したら、国の安全保障があぶなくなる(核兵器をいつでもつくれる状態にしておかないとナメられる)。
●曰く、「危険VS必要」「生命VS経済」といった不毛な2項対立はやめて、それぞれが対案を出し合っていけば、いずれ国民的合意は生まれてくる。

 これらの原発必要論や合意論には福島が欠けています。
 つまり、これらはいずれも福島第一原発のメルトダウン事故が起こる以前に論じられるべき話であって、福島の事故が起きてしまったいま、多くの人は「必要を超えた危険の大きさ」を知ってしまいました。
 もはや地震国における原発の存在については結論が出てしまったと言っていいのではないでしょうか。

 読者の中には、「いやいや、福島の事故だけで全原発即廃炉という最終結論を出すのは感情的すぎるよ」と顔をしかめる再稼働やむなし派もいらっしゃいますが、
 そんなやむなし派の皆さんにぜひ聞いていただきたいのが、12年11月に編集部に届いた福島県の読者S・Tさんの声です。

 「日本全国、いつ、どこでも大地震は起きる可能性があります。原発があるかぎり、誰でも福島と同じような目に遭うのです。どうしてそのことが、国の偉い人には分からないのでしょう」(福島市・46歳)

 もう一回、福島レベルもしくはそれ以上の原発事故が起きたとき、それでもあなたは、「やはりゼロはいけない、さらに安全対策を練り直して稼働し続けよう」と言えるのか、という問いかけです。
 「もう一回起こったらゼロ派になるよ」というのであれば、その「もう一回」をふせぐためにいまゼロ派になってくれませんか。
 福島を「もう一回」経験しないと原発を全廃できないとしたら、ドイツやイタリアの人たちに言われそう、「やっぱり日本人はエコノミック・アニマルだった」って。

 今年中に、全国の原発を一基残らず停止させる。
 停止させたからといって即安全はつくれません。炉内の使用済み核燃料は4~5年間プール冷却させたあとでないと乾式貯蔵キャスク(容器)化できません。
 各発電所敷地内につくったキャスク仮保管設備に貯蔵できるのは4~5年後。これによってなんとか、
〈いつ、どこの原発が大地震に襲われても、福島レベルの悲劇はふせげる〉
 そして40年(くらいと言われています)かけて完全廃炉に取り組んでいく。
 これが、「福島を忘れない」から生まれた地震国日本の結論でしょう。
安達太良山
 安達太良山
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コメント

NHKの番組を見ている
全部を見たわけじゃないけど

除染が生み出す莫大な事業
住民の思いに付け入った事業?

メディアが敢えて他の選択肢を示さず
「除染」に住民を縛り付けている?

みすみす多くの人々が被爆し、復興事業費が除染に消えてゆく
国は希望がないとは決していわない
一種のマッチポンプ?

でも、みんな 無理だって気づいているのに 

愚痴も嘆きも何の意味があるだろう
地域リーダーは除染で子供たちの未来が見えるのか?
私は「除染」でなく、集団移住しかないのに・・と無念の思いで見ている。

前へ進め、明日へ勧め、と祈る

私は無理解で無神経なのだろうか・・

今年も福島を「忘れない」:通販生活

 同じ地震で…東京のショッピングセンターで、スロープが崩れ死傷者がでたというカドで、構造計算、耐震設計に瑕疵があったと設計士が書類送検されましたが、「あっち」のとてつもない被害を生みだした方々にはいまだまったくお咎めなしで結構なことですな。

 それに事故前の規定を余裕で超える「新」基準で「安全です、問題ありません」と言い放ってきた某学者さんたちも、法律を守らないのに(違反を教唆してきても)お咎めなしときた。逆にその功績で出世された方もいる。お上まで法違反をそそのかす方を公的な役職に就けるとは…いやはや、天地がひっくりかえるとはまさにこの事。あの地震は本当に天地をひっくり返した驚異的な災害だったんですねえ。
 この国にはびこる利権・支配構造もひっくり返してくれればよかったのに。もっとも東京23区のほんの一角の、遠来の砂の嵐に隠されてよく見えないビル群あたりの「耐震設計」は万全盤石完璧最強のようで…。

Re: タイトルなし

> 一種のマッチポンプ?
 仰るとおり。権力亡者と金銭亡者が住民の居住の希望と放射能隠しのためにでっち上げたのが「除染」と思います。
 海外報道では最初から非常におかしなことと指摘されていました。
 いくら除染しても子どもの健康が守れるほどにはならないし、数日から数月で空間線量は戻ってしまいます。
 また山村部は山林、農地の除染は最初から不可能。
 除染は安い時給で住民を雇って被曝させ、元請けゼネコンは大儲けという噴飯物の馬鹿芝居としか思えません。

Re: 今年も福島を「忘れない」:通販生活

>  同じ地震で…東京のショッピングセンターで、スロープが崩れ死傷者がでたというカドで、構造計算、耐震設計に瑕疵があったと
  耐震構造の異なる物をつなぐ構造体は、地震で双方の揺れが異なるために、容易に破壊される。
  原発の配管破断とまったく同じですね。

>  この国にはびこる利権・支配構造もひっくり返してくれればよかったのに。
  まったく……………….。
  ところが彼らはまともな教訓ではなく、権力側の住民騙し、旧ソ連の手口まで学んでいたとは。
  人道も責任もなく、卑劣なことばかりに能力発揮する。
  最近は、つくづくこいつらは普通の人間じゃないのだと思う感じが強くなってきます。
  銭と権力にしか反応しない、瞬時に飛びかかるなんざ、まさにヌルヌル「爬虫類」。

絆は柵ともいう

絆は柵ともいうそうだ。
柵とかいて「しがらみ」、柵(さく)とも読む。
囲い込まれて、自由に外に出れない。

 被爆から、子を守ろうとする人、引っ越してゆく人を「裏切り者」扱いする話に、「絆」の裏の「理不尽」を思う。我が子が被爆から守ろうとするのは至極当たり前の親としての行為。
 放射能の危険性は、個々の認識の問題、誰の認識が正しいという事が出来るだろうか。責任を取ってくれるだろうか。自分が決断するしかない。

 狭量なしがらみという絆が 時として一番人を不幸にしているのでは。本人が思う方へ歩いて行くのを応援、支援することこそ「絆」だと思う。

 

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Re: タイトルなし

島国特有の共同体幻想は血縁の幻想でもあるのでしょう。
明治以来の教育で強められ、一億火の玉幻想までに肥大化し、今また同調圧力と「絆」なる言葉で囲い込みを図っているのでしょうね。
無責任な団体行動しか生まないのは歴史的事実。
右傾化と差別。

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