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もうすぐ北風が強くなる

TPPの「非関税障壁」、公的医療制度の崩壊

 村診療所
 村の診療所
 
 TPPに関連して、公的医療制度の崩壊を招くとして医師会が反対している。
 国民皆保険制度の公的医療保険(健康保険)制度が確立している日本に対して、米国は公的医療制度がまったく不備で民間保険資本が企業と金持ちの医療を賄っている。

 それこそTPPの非関税障壁として撤廃されると、当然日本の医療保険制度(健康保険制度)に米国資本が参入してくることになる。

 現在、日本はすべて公的保険制度でカバーしており、民間保険はその追加的な付加給付のみを扱って保険料を集め、保険金を払っている。
 公的保険制度は充実しており、現状の民間保険は「有ってもなくても良い」存在でしか無い。
 そのために「健康保険」に民間が参入ということが、なかなか具体的なイメージとして浮かんでこないと思うのですが、読者のコメントでわかりやすい例があったの一部抜粋で紹介します。

 ドイツに三十数年在住とのことです。
 ーーーーーーーーーーーーーーー
ドイツとて、健康保険制度に大きな問題を抱える様になってしまいました。 それは、80年代に民間医療保険の自由化と言う馬鹿な事を許してしまったからです。 

公的健康保険は、当然の事ながら、世帯主を中心にして家族ごとに加入し、保険料は家族の人員数ではなく、世帯主の収入で決まりますが、
民間医療保険は、個人ごとに加入し、保険料は年齢と病歴で決まるのです。 
という事で、金持ちや若い人達は公的健康保険機関に加入するより民間の健康保険機関に加入した方が安あがりなので、そちらの方に鞍替えしてしまったのです。

当然の帰結として、高齢者、病人、大家族を被保険者として抱える公的健康保険が経済的に行き詰まり、民間医療保険機関がボロ儲けとなり、医療自体にも「贅沢医療と通常医療」の格差が生まれました。

前述の出典先として“Verband der Privaten Krankenversicherung"(民間医療保険者連盟)のパンフレットを挙げましたが、実は、この連中はハレンチにもこのパンフレットの中で『みろ、俺たちは、国からの援助なしで運営してるのに、あの連中は国からの援助無しではやっていけない』とのたまっているのです。

と言う訳で、ドイツでは、馬鹿な改革でおかしな「医療格差問題」が生まれてしまいました。

 ーーーーーーーーーーーーーーー引用終わり
 そういうわけで
 公的な制度は世帯収入に累進課税で保険料をかけるので、所得の多い階層と健康な階層が、病弱な低所得層の面倒をみるという制度的な公正配分の機能を発揮しています。
 ここに参入する保険資本は当然そんな制度ではありません。
 民間保険資本は世帯ではなく個人加入で、所得とは無関係に年齢と病歴で保険料が決まります。

 当然の流れとしては、金持ちと健康な人、若い人は保険料負担が少なくなるので民間保険に移行してしまう。
 残った公的制度の方は病歴の人、低所得層、老人となってしまい、保険制度の存続のために莫大な国庫支出金が必要になってしまう。

 民間保険は金持ちと金持ち医療機関の高額医療で大いに利益を上げる。
 公的制度の方は保険料を上げて、医療給付を下げて、しかも質素な貧乏医療を進めざるを得なくなる。
 そのため医療機関は経営が苦しくなり、公的保険医を返上してゆくだろうし、民間保険が医療機関を支配してゆくだろう。

 成り行きは米国と同じく非常に高い医療単価となり、貧乏人は「貧乏医療」しか受けられないか、「無保険」となってしまう。
 まったく、とんでもないことが進められようとしているのです。
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コメント

“国民皆保険を持たない国家は野蛮”・・・そんな野蛮な国はTPPに参加させてはいけない。

日本基準は世界に出していい。打って出ることはできないだろうか。

北風さん おばんです。

これを一番心配しておりますが・・・。

なんでもできる「非関税障壁」

付け加えると、日本の公的健康保険制度の数十倍規模の保険料と給付をいくつかの保険資本が賄っているわけですから、途方もない資本力です。
米国は、国民皆保険制度が無いために保険資本がこれだけ巨大化し、医療機関を支配しているために世界一の高額医療となってしまった。
そのため、製薬、医療機器など関連資本も世界一の規模となった。
日本の公的保険制度が財政悪化で給付が劣化しつつあるのは、彼らにとって絶好のチャンスでしょう。
実に恐るべきは、何にでもどこにでも適用できる「非関税障壁」という言葉、規定です。

米国民間保険資本が巨大であればあるほど、対日非関税障壁の撤廃の要求・・・国民皆保険制度の縮小すなわち少なくとも

ドイツ並みにするよう迫られることは計算に入れておかねばならないだろう。混合診療の解禁についても要求は出てくるだ

ろう。少なくともそれぐらいの見返り利益が期待できなければ、米国としてもTPPを進めるメリットがないのでは。

これに対して我が方としては、再生医療技術やガン治療のワクチン療法を更に進化させてそこそこの料金で広くサービスを

提供できるよう、米国でもそんなサービスが受けられるよう内政・外交上の真剣な努力が必要になるのではないか。

現行体制に寄生する両国の官僚の壁も要注意ではある。

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