企業内労組連合の腐敗とブラック企業、アベノミクスの茶番
2013-02-18

年金改悪、定年延長阻止のゼネスト。ストライカーはデモに参加する。ゼネストは一般に自営業なども加わる。高校生も大量に加わる。(フランス)
安倍某が経済団体に賃上げを要請したそうだが。
勤労所得の賃上げかまたは、強行な所得の再配分政策によって家計の可処分所得をふやさなければ、消費は増えず、だから投資は増えず、資金需要も増えず、経済成長が無いままでありデフレの縮小循環は解消しない。
信用的にはデフレ恐慌だが、そのまま通貨増発(過剰流動性供給)し、円安、物価上昇ということになる。
「あのカネは何処に行ったの?」となるわけだ。
もちろん、賃上げが為されるなら、事態は好転する。
経済成長の循環に乗り、デフレから脱却する。
だが当然にも、労働者側が闘わないのに、賃上げする資本家などは世界にいない。
日本特有の「企業内労組」も高度成長期には賃上げを勝ち取っていたが、70年代の低成長期からはまったく闘えず、解体されて連合に再編された。
97年の消費増税からデフレ循環が始まるや、為す術もなく賃下げと非正規雇用に応じてきたのが「企業内労組」とその集合である「連合」である。
安倍某の賃上げ要請も「茶番」だが、連合や大手企業内労組の幹部共はもっと質が悪い。
彼らはもう30年近くも「何かやっているフリ」をしているだけである。
ストライキどころか、デモ集会など茶番のメーデー以外は何もしていない。
こんな連中が勤労者の組合費に寄生し、上納金で偉そうに発言しても、資本家からも政府からも相手にされるわけがない。
労働力市場は健全な国民経済の最も重要な機能である。
その労働力市場が機能していないことが、資本主義の機能を阻害し、いびつな腐敗した企業を作り出してきた。
「ブラック企業」が今や珍しくなくなってしまった。
企業を越えて、横断する労働組織が闘わない限り、資本の原理は弱い者を徹底して収奪してゆく。
政府権力が所得の再配分を強行すればデフレ脱却は可能なのだが、安倍某の政権にそんな能力はとても期待できないだろう。
ーーーーーーーーーーーー
大企業ブラック化、アベノミクスでも賃金上がらないワケ…ストしない連合の怠慢 2/18 大塚将司 Business Journal
今の日本人には、自ら戦わなければ成果は得られないと思い知ることが大事なのかもしれない。
労働者がストライキもしないで、賃上げなど、実現できっこないのだ。
労働側者が戦わなければ、賃上げができないばかりか、ブラック企業はますますはびこる。
1月29日である。「アベノミクス」(大胆な金融緩和、機動的な財政出動、民間投資を喚起する成長戦略)の一環で、景気てこ入れへ積極的に財政出動する2013年度予算案が決まり、経団連の米倉弘昌会長と連合の古賀伸明会長も会談、春闘という“茶番劇”が事実上始まった。
●安倍首相、賃上げ要請という茶番
そして、2月12日、首相官邸で「デフレ脱却に向けた経済界との意見交換会」が開催され、安倍晋三首相が経団連の米倉会長、経済同友会の長谷川閑史代表幹事、日本商工会議所の岡村正会頭の経済3団体トップに「業績が改善している企業は報酬の引き上げをぜひ検討してほしい」と要請した。
経済界の協力で、従業員の賃上げという、目に見える形で「アベノミクス」の効果を国民全体に浸透させるのが狙いだが、これも“茶番劇”以外の何ものでもない。
首相が大胆な金融緩和策を訴え出した昨年11月中旬以降、マーケットはといえば、2月12日に円相場が約2年9カ月ぶりに1ドル=94円台まで下げている。
株価のほうも2月1日に日経平均株価が1万1191円と約2年9カ月ぶりの高値を付け、週間ベースで12週連続の上げ相場となった。翌週末(2月8日)はマイナスだったものの、「岩戸景気」の時の1958年12月~59年4月の17週連続に次ぐ2番目の長さだった。
この円安、株高に、新聞はじめマスコミも浮かれ気味になっている。
●景気回復でも給料は下がり続けた
だが、ほんの5年前までのことを思い出してほしい。
実感に乏しかったとはいえ、日本は02年1月から景気回復過程に入り、期間は07年10月まで戦後最長の69カ月(5年9カ月)に及んだという事実だ。高度成長期の「いざなぎ景気」(1965年11月から4年9カ月)を上回った。
この間の円相場は1ドル=100~130円台で推移し、株価も06年末の日経平均で1万7000円台だった。
浮かれるのは時期尚早なのだ。
それだけではない。69カ月の回復過程を経てもデフレを抜け出せなかった。サラリーマンの給料が下がり続けたからだ。
国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、02年に448万円だったサラリーマンの平均年収は07年には437万円に減った。
11年は409万円で、ピークの1997年より58万円も減っている。
とにかく、この年収を底上げしない限り、デフレからの脱却は難しいのだ。
だから、安倍首相も国民に賃上げに動いていると見せる必要があるのだが、肝心の労働者側が動かなければ、絵に描いた餅にすぎない。
サラリーマンは憲法第28条で、団結権、団体交渉権、争議権(ストライキ権)の労働基本権を保障されている。しかし、この四半世紀、日本の労働組合はストライキ権をほとんど行使していないと言っても過言ではない。
今春闘で連合は定期昇給を最低限の課題とし、非正規社員も含めた給与総額の1%増を目指している。対する経団連側は円安で業績上方修正が相次いでいるにもかかわらず、定期昇給すら延期や凍結もあるという立場で、マスコミは「交渉難航は必至」と口を揃える。
●ストをしない連合は“労働貴族”
連合が本気で賃上げを目指す気があるなら、ストライキ権という「伝家の宝刀」を使わない手はないはずだ。
しかし、今春闘でもストライキはないだろう。
なぜか?
一定額以上の所得を得ている者には、なだらかなデフレは心地よい面がある。
経営者はもちろん、連合首脳陣はじめ大労組幹部の “労働貴族”もそうした所得階層の人間だ。
連合は組合員に最大限の努力をしたと見せれば事足りる。
経営者側と同じ穴の貉なのだ。だから、サラリーマンの賃金がダラダラ減り続ける。
連合の怠慢は賃金問題だけではない。
65歳までの雇用を義務付けた改正高年齢者雇用安定法の4月施行を控え、名だたる大企業で“追い出し部屋”を作って自主退職を迫る動きが目立ち、ブラック企業並みのサービス残業が横行しているという。
間違っても、安倍首相に期待などしてはいけない。
首相にとって大事なのは、今年夏の参議院議員選挙で自民党が勝利することであり、経済3団体のトップに賃上げを要請した、という証拠になるパフォーマンスが必要なのだ。
(政権にとっては)実現しようがしまいが、どうでもよいのだ。
3団体のトップもその辺を見透かしており、賃上げの言質を与えていない。
緊張感のない労使関係は企業を堕落させる。
それが20年以上も続けば、企業の力は衰える。責任の一端は労働者側にもある。
20〜40歳代前半までのサラリーマンの多くにとってストライキは外国の出来事で、自分たちがその武器を持っていることすら知らないのではないか?
今春闘で連合がストライキもせず、経営者側に歩み寄るならば、首脳陣は総退陣すべきだ。
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※ 以下は勤労者賃金、所得の再配分と消費増税、デフレに関連するページ。
労働分配率の強制修正
世界で日本のみデフレ
日銀の金融緩和は誰のためか
信用創造と言えば聞こえは良いが
信用創造とは
公務員叩きとデフレ政策
通貨、金利と信用創造の特殊な性質
信用創造(3)無政府的な過剰通貨
デフレ脱却には賃金上昇が不可欠:根津
これからの経済生活はどうなるのか
なぜデフレなのか、なぜ放置するのか
ゆでガエル!
消費増税でデフレ強行を目指すかいらい政権
日本の労働は封建主義の農奴農民か
窮乏化、3軒に1軒が貯金もなし
逆進課税とデフレ恐慌
消費増税を許すな!三党談合政権を倒そう
景気対策ではない、消費増税を通すためのGDP操作だ
安倍某の経済政策?恐怖のシナリオか
安倍の過激刺激策は過去のミス繰返し:人民網
家計、企業、政府の共倒れ破綻
生活と円安、アベノミクスが招くこと
アベノミクスが作り出す地獄の窮乏生活
通貨戦争(62)ゴロツキ右翼が口火で世界大戦:ペセック
アベノミクスは現実を欠いた宗教:ペセック
勤労者の地獄と国際金融資本の高笑い
賃上げが無ければ経済成長は無い
来年度成長率2.5%?参院選向けの国民騙し!
なぜ消費増税に固執するのか
アベノミクス、勤労者窮乏化の効果だけは必ずある
アベノミクスの展開と帰結:吉田繁治
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コメント
労働組合
コメントをありがとうございます
使用者に対して団結して争議権を行使して交渉するのは、使用者との利害共同体である企業内労組では不可能と思います。
企業内労組幹部は企業内昇進のステップ、手段となっています。
労働力市場への行使する力がなにもないので、不満な組合員は使用者側の言いなりか、もしくは辞めて転職するしかありません。
欧米の労働組合が十数年ぶりでもストライキを打てるのは、企業を横断する職業組合と産業別労組の組織が使用者側とは独立した「労働側の利益」を立場にできるからです。
職業組合は組合員以外をその職務に雇用する使用者を争議で懲罰します。
組合員の利益と組合専従者の利益は一致します。
当然失業しても組合員です。
横断賃金なので当然同一労働同一賃金です(最初からの組織存立の基本)。だからこそワークシェアリングなどと言う発想もあり得たわけです。日本のような正社員と非正規社員の格差は労働組織の存立を脅かすので、非道な雇用として猛烈な反対を呼ぶことになる。
こうした日本に特有の労働市場、労働経済を指摘する議論があまりにも無いのが不思議です。
全労連も連合ほどではないが、企業内労組の色濃き組織ですね。米軍占領下の「民主化」に協力した結果が未だに「企業内労組」としての色濃さに残っています。併せて共産党系の安全(保身)方針が弱みの体質となってしまっているのでしょう。
企業内労組幹部は企業内昇進のステップ、手段となっています。
労働力市場への行使する力がなにもないので、不満な組合員は使用者側の言いなりか、もしくは辞めて転職するしかありません。
欧米の労働組合が十数年ぶりでもストライキを打てるのは、企業を横断する職業組合と産業別労組の組織が使用者側とは独立した「労働側の利益」を立場にできるからです。
職業組合は組合員以外をその職務に雇用する使用者を争議で懲罰します。
組合員の利益と組合専従者の利益は一致します。
当然失業しても組合員です。
横断賃金なので当然同一労働同一賃金です(最初からの組織存立の基本)。だからこそワークシェアリングなどと言う発想もあり得たわけです。日本のような正社員と非正規社員の格差は労働組織の存立を脅かすので、非道な雇用として猛烈な反対を呼ぶことになる。
こうした日本に特有の労働市場、労働経済を指摘する議論があまりにも無いのが不思議です。
全労連も連合ほどではないが、企業内労組の色濃き組織ですね。米軍占領下の「民主化」に協力した結果が未だに「企業内労組」としての色濃さに残っています。併せて共産党系の安全(保身)方針が弱みの体質となってしまっているのでしょう。
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検索からきました。
もうすぐ北風さんのストライキに関するお考えにとても共感しました。ただぼくは、連合だけでなく全労連その他の組合も闘うことを放棄しているという点で意見が異なるかもしれませんが。
企業内労働組合は構造的に敗北と腐敗を避けることができない組織です。日本も欧州、もとい日韓を除くほぼ全世界と同じように、産業別個人加入労働組合を目指すべきと考えています。