アベノミクスの展開と帰結:吉田繁治(3)
2013-02-15
(2)からの続きです。
ーーーーーーーーーーーー
■4.構造派と、マネタリストはどちらが正しいか?
確かに、輸入品と耐久財(家具、家電、IT、衣料)は、2000年代の1年に4.5%のペースで下がっています。
ところが、「世帯は減った耐久財の分、他の消費財(食料、サービス、医療、電気、交通、通信、教育)の合計購入を増やした」とは言えません。耐久財以外の合計物価は、ほぼ±0%付近です。
原因は、マネー量よりも、1994年にはじまり、金融危機の98年からはっきりした世帯所得の減少です。この要因が、大きいと当方は考えます。
(注)この間、消費税の3%から5%への上昇もありました(1997年4月以降)。これは物価を2%上げる要素でした。
(※消費増税の建前からは本来物価上昇になるはずが、実際には賃金の下落(98年から)による勤労家計の可処分所得減少(99年から)に引っ張られて物価は下降(99年から)し、デフレ循環が続くこととなった。)
▼名目所得の減少という特殊な現象が起こった日本
1994年の世帯所得は、664万円でした。2010年は538万円(19%減少)です。
生活が苦しいと答える世帯は、62%(3世帯に2世帯)に増えています(厚労省)。
●輸入品や耐久財の価格が下がっても、ほぼ80%の世帯で収入が減ったため、それで浮いた所得は、なかった。
このため、輸入品以外の、他の商品の需要が増えることはなかった。
マネタリストは、マネー・サプライが4%以上増えなかったから、物価が下がったと言います。それもある。
しかしもっと大きな原因は、世帯の名目所得の減少です。
名目所得の、長期の減少(19%)は、世界にない現象です。
(注)スイスも0.6%消費者物価が下がるデフレですが、世帯所得の減少はない。このため、実質GDPは、増えています。
日本の世帯所得の減少を指摘する人がほとんどいないのは、不思議です。
理由は、経済学では、不況期は世帯所得が減るより、失業率が増えるとしているからでしょう(フィリップス曲線)。名目所得には、なかなか下がらない下方硬直性があるとするのが、ケインズ以来の近代経済学だからです。
ところが1994年以降の日本では、失業を増やすより、平均の名目賃金が19%も下がったのです。
▼日本の雇用構造の変化
●日本では、名目賃金が同じで、失業が増えるのではなく(現在の失業は4.2%です)、雇用されている人の、平均の名目所得の減少になった。
これは、2000年代の非正規雇用の増加が、最大の要因です。
(注)2010年で、正規雇用は3355万人、非正規雇用は1755万人(構成比34.3%)です。3人のうち1名は非正規雇用です。うちパートが847万人、アルバイトが345万人、契約社員や嘱託330万人、派遣96万人、その他が137万人です(厚労省)。
わが国では、米欧のような「名目賃金の下方硬直性」は薄かった。
1980年代までの正社員部分が、非正規雇用化して、全体の平均賃金が下落しています。
【雇用の構造の違いがある】
米欧では、現場労働は、ほぼ100%が、時間給の社員です。フルタイム労働とパートタイムはありますが、同じ仕事(作業)なら、時間あたり賃金に、格差はない。
(※欧米は企業を横断する職種組合、産業労組が主流な社会のために「同一労働、同一賃金」はその組織存立の基本条件である。)
日本では1980年代までは、ほぼ正社員でした。ここが、90年代から次第に非正規化して、その結果、平均賃金が下方シフトしたのです。
以上は、米欧にはない、雇用構造の要因です。
日本は、現場の正社員の時間給換算は2000円くらいですが、パートは同じ仕事でも700円から1000円です。
(※日本特有の企業内労組は経済学的にも労組とは見做せません。)
●賃金の下方硬直性とは、給与計算書の名目金額は、なかなか下がらないことを言います。
このため、不況期の雇用調整は、失業の増加になる(米欧)。
米欧では、確かにこれがある。このため、失業率は米国で7.8%(2012年12月)、ユーロ17ヵ国では11.8%(12年11月)と高い。
日本の2000年代は、米欧よりGDPが増えていないのに、失業は4.2
%と低い。
1998年以降の日本では、こうした労働事情から、賃金が低い非正規率が34%にまで増えて、平均賃金が19%も下がっています。
(※欧米では通常賃下げはあり得ない。当然だが労働組合が真っ向から闘うからである。労働経済的にはGDP成長率+物価上昇率が賃上げに帰結するので、それがコストとなり、翌年の物価とGDPに跳ね返る。また、労働組合の先任権によって中高年の雇用は守られるが、若年者は失業機会が増加する。
日本に特有の企業内労組は、企業と利害を共にするわけなので、労働経済的には労働組合と見做さない。安倍某が経団連に賃上げを要請したそうだが、闘って要求する労働組合が無ければ、賃上げする資本家などいないだろう。
経済学にいう「賃金の下方硬直性」とは、企業を横断する職種組合と産業労組の存在を前提にしているからこそ、日本では通じないのである。)
●岩田氏は、賃金の下方硬直性(米欧の事情)を、前提にしていま
す。
このため、マネー・サプライの2%増では十分ではなく、物価が下がったという。しかし、これは100%の要因ではない。
当方、日本のデフレは、
(1)賃金の構造要因が50%から60%、
(2)マネー・サプライ要因が50から40%だったと見ています。
日銀がマネー供給を増やし、マネー・サプライが6~7%増えれば、物価は2%上がるというのは、40~50%の正解です。
50%以上は、日本の特殊な、2000年代の賃金要因だからです。経済では、多くが、複合的な原因です。
日本は、複合デフレでした。
以上から、マネー・サプライが6~7%増になるように、日銀が量的緩和分を増やしただけでは、一般消費者物価(マーケット・バスケットの価格)を2%上がるには至らない。平均の名目賃金が、年2%くらいは上昇しなければならないのです。
●経済理論は、残念ですが、ほぼ全部が、米国から来ています。岩田氏の論もこれです。
このため、失業を増やすより、名目賃金を約10年で19%も下落させた日本の、固有の事情が、見えなかったので
しょう。
原因が何かを決定するのは重要です。
対策は、原因によって決まるからです。
世帯所得が減少傾向のままでは、物価が上がった商品への支出は増えず、物価が下がる商品への支出も増えません。
マネー・サプライを増やし、企業の設備投資価格は上がっても、消費者物価は、それだけでは上がりにくくなります。
所得が下がる中では、価格が上がると、消費量が減るからです。
わが国GDPの60%は個人消費です。(※かつての高度成長時代は70%が個人消費。)
これは、80%の世帯の実感にあっているはずです。
2012年12月の、需要面の名目GDP 473兆円は、
個人消費288兆円(構成比61%)
+民間住宅購入13.7兆円(同2.9%)
+企業の設備投資63兆円(同13%)
+政府消費98兆円(同21%)
+公共投資24兆円(同5%)
+純輸出マイナス10兆円(同-2%)、です。
(注)輸出は68兆円、輸入が78兆円です。
2013年は公共投資の10兆円増加(補正+一般会計)で、2%は増え
る要素になります。
しかし所得が増えて個人消費が増えないと、供給の超過のため、消費者物価は上がることはない。
15%の円安で、輸入物価が15%上がる貧困化の要素になります。
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2012/qe123_2/pdf/jikei_1.pdf
■5.円安効果は、実は小さくなっていて、輸入増になる。
2000年代は、輸出入の構造が、90年代とは変わっています。
◎以降の1.5ページ分が、訂正後のもの~~~~~~~~~~~
▼15%の円安で輸出が増える分は、10.2兆円
恒常的な円高に懲りていた輸出企業は、輸出契約のうち、50%を、円建て契約に変えています。
円建て輸出では、円安になっても、円の輸出価格は、価格を上げない限りはそのままです。
しかし、ドルから見た円での価格が下がるため、価格競争力は強化され、輸出が増える要素になります。
同時に、円安では、ドル建ての34兆円分の輸出(輸出の約50%)が、15%ドルでの価格が下がって、増えるでしょう。
円建て・ドル建ての両方で、中期では15%くらいの輸出増が見込めます。金額で言えば、68兆円×15%=10.2兆円の輸出増加に向かうでしょう。
この10兆円増で、貿易赤字になった分(10兆円)が解消し、貿易黒字になるかと言うと、そうではない。2011年
から輸入の金額が大きくなっているからです。
▼15%の円安で輸入が増える分は、11.7兆円
輸入は78兆円です。輸入では、円建て契約は少ない。
円高(ドル安)が、輸入には有利だったからです。
・現在のように、昨年比で15%の円安なら、計算上、ほぼ11.7兆円、資源・エネルギー・商品の輸入額が増えます。
・一方で、円安での輸出増は、15%(10.2兆円)です。
以上をまとめれば、
円安による輸出増・・・・・・・・68兆円→78.2兆円
円安による輸入財支出の増加・・・78兆円→89.7兆円
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
貿易赤字 10兆円→11.5兆円
昨年比15%の円安で、貿易赤字が解消するかと思うとそうではない。
逆に11.5兆円に増加します。円安は、わが国の変化した輸出入の構造では、貿易赤字を増やしてしまうのです。
そして輸入の資源・エネルギー・商品が上がることによって、輸入支出が増えた11.7兆円(GDPの2.5%)の、物価の上昇が生じます。
コストの15%増という金額は、輸入企業がコストダウンできる分をはるかに超えていますから、販売価格に転嫁せざるを得ません。
輸入されているのは、主に資源・エネルギー・食料の必需財です。
価格が上がれば購買を減らせる選択財ではない。つまり、円安で価格が上がれば、輸入が減るという性格のものではない。
◎訂正・変更はここまで~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
経済は、この10年で、以上のように、動いています。
輸出入にも、以上のように、大きな変化があります。
ーーーーーーーーーーーー
(4)へ続きます。
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■4.構造派と、マネタリストはどちらが正しいか?
確かに、輸入品と耐久財(家具、家電、IT、衣料)は、2000年代の1年に4.5%のペースで下がっています。
ところが、「世帯は減った耐久財の分、他の消費財(食料、サービス、医療、電気、交通、通信、教育)の合計購入を増やした」とは言えません。耐久財以外の合計物価は、ほぼ±0%付近です。
原因は、マネー量よりも、1994年にはじまり、金融危機の98年からはっきりした世帯所得の減少です。この要因が、大きいと当方は考えます。
(注)この間、消費税の3%から5%への上昇もありました(1997年4月以降)。これは物価を2%上げる要素でした。
(※消費増税の建前からは本来物価上昇になるはずが、実際には賃金の下落(98年から)による勤労家計の可処分所得減少(99年から)に引っ張られて物価は下降(99年から)し、デフレ循環が続くこととなった。)
▼名目所得の減少という特殊な現象が起こった日本
1994年の世帯所得は、664万円でした。2010年は538万円(19%減少)です。
生活が苦しいと答える世帯は、62%(3世帯に2世帯)に増えています(厚労省)。
●輸入品や耐久財の価格が下がっても、ほぼ80%の世帯で収入が減ったため、それで浮いた所得は、なかった。
このため、輸入品以外の、他の商品の需要が増えることはなかった。
マネタリストは、マネー・サプライが4%以上増えなかったから、物価が下がったと言います。それもある。
しかしもっと大きな原因は、世帯の名目所得の減少です。
名目所得の、長期の減少(19%)は、世界にない現象です。
(注)スイスも0.6%消費者物価が下がるデフレですが、世帯所得の減少はない。このため、実質GDPは、増えています。
日本の世帯所得の減少を指摘する人がほとんどいないのは、不思議です。
理由は、経済学では、不況期は世帯所得が減るより、失業率が増えるとしているからでしょう(フィリップス曲線)。名目所得には、なかなか下がらない下方硬直性があるとするのが、ケインズ以来の近代経済学だからです。
ところが1994年以降の日本では、失業を増やすより、平均の名目賃金が19%も下がったのです。
▼日本の雇用構造の変化
●日本では、名目賃金が同じで、失業が増えるのではなく(現在の失業は4.2%です)、雇用されている人の、平均の名目所得の減少になった。
これは、2000年代の非正規雇用の増加が、最大の要因です。
(注)2010年で、正規雇用は3355万人、非正規雇用は1755万人(構成比34.3%)です。3人のうち1名は非正規雇用です。うちパートが847万人、アルバイトが345万人、契約社員や嘱託330万人、派遣96万人、その他が137万人です(厚労省)。
わが国では、米欧のような「名目賃金の下方硬直性」は薄かった。
1980年代までの正社員部分が、非正規雇用化して、全体の平均賃金が下落しています。
【雇用の構造の違いがある】
米欧では、現場労働は、ほぼ100%が、時間給の社員です。フルタイム労働とパートタイムはありますが、同じ仕事(作業)なら、時間あたり賃金に、格差はない。
(※欧米は企業を横断する職種組合、産業労組が主流な社会のために「同一労働、同一賃金」はその組織存立の基本条件である。)
日本では1980年代までは、ほぼ正社員でした。ここが、90年代から次第に非正規化して、その結果、平均賃金が下方シフトしたのです。
以上は、米欧にはない、雇用構造の要因です。
日本は、現場の正社員の時間給換算は2000円くらいですが、パートは同じ仕事でも700円から1000円です。
(※日本特有の企業内労組は経済学的にも労組とは見做せません。)
●賃金の下方硬直性とは、給与計算書の名目金額は、なかなか下がらないことを言います。
このため、不況期の雇用調整は、失業の増加になる(米欧)。
米欧では、確かにこれがある。このため、失業率は米国で7.8%(2012年12月)、ユーロ17ヵ国では11.8%(12年11月)と高い。
日本の2000年代は、米欧よりGDPが増えていないのに、失業は4.2
%と低い。
1998年以降の日本では、こうした労働事情から、賃金が低い非正規率が34%にまで増えて、平均賃金が19%も下がっています。
(※欧米では通常賃下げはあり得ない。当然だが労働組合が真っ向から闘うからである。労働経済的にはGDP成長率+物価上昇率が賃上げに帰結するので、それがコストとなり、翌年の物価とGDPに跳ね返る。また、労働組合の先任権によって中高年の雇用は守られるが、若年者は失業機会が増加する。
日本に特有の企業内労組は、企業と利害を共にするわけなので、労働経済的には労働組合と見做さない。安倍某が経団連に賃上げを要請したそうだが、闘って要求する労働組合が無ければ、賃上げする資本家などいないだろう。
経済学にいう「賃金の下方硬直性」とは、企業を横断する職種組合と産業労組の存在を前提にしているからこそ、日本では通じないのである。)
●岩田氏は、賃金の下方硬直性(米欧の事情)を、前提にしていま
す。
このため、マネー・サプライの2%増では十分ではなく、物価が下がったという。しかし、これは100%の要因ではない。
当方、日本のデフレは、
(1)賃金の構造要因が50%から60%、
(2)マネー・サプライ要因が50から40%だったと見ています。
日銀がマネー供給を増やし、マネー・サプライが6~7%増えれば、物価は2%上がるというのは、40~50%の正解です。
50%以上は、日本の特殊な、2000年代の賃金要因だからです。経済では、多くが、複合的な原因です。
日本は、複合デフレでした。
以上から、マネー・サプライが6~7%増になるように、日銀が量的緩和分を増やしただけでは、一般消費者物価(マーケット・バスケットの価格)を2%上がるには至らない。平均の名目賃金が、年2%くらいは上昇しなければならないのです。
●経済理論は、残念ですが、ほぼ全部が、米国から来ています。岩田氏の論もこれです。
このため、失業を増やすより、名目賃金を約10年で19%も下落させた日本の、固有の事情が、見えなかったので
しょう。
原因が何かを決定するのは重要です。
対策は、原因によって決まるからです。
世帯所得が減少傾向のままでは、物価が上がった商品への支出は増えず、物価が下がる商品への支出も増えません。
マネー・サプライを増やし、企業の設備投資価格は上がっても、消費者物価は、それだけでは上がりにくくなります。
所得が下がる中では、価格が上がると、消費量が減るからです。
わが国GDPの60%は個人消費です。(※かつての高度成長時代は70%が個人消費。)
これは、80%の世帯の実感にあっているはずです。
2012年12月の、需要面の名目GDP 473兆円は、
個人消費288兆円(構成比61%)
+民間住宅購入13.7兆円(同2.9%)
+企業の設備投資63兆円(同13%)
+政府消費98兆円(同21%)
+公共投資24兆円(同5%)
+純輸出マイナス10兆円(同-2%)、です。
(注)輸出は68兆円、輸入が78兆円です。
2013年は公共投資の10兆円増加(補正+一般会計)で、2%は増え
る要素になります。
しかし所得が増えて個人消費が増えないと、供給の超過のため、消費者物価は上がることはない。
15%の円安で、輸入物価が15%上がる貧困化の要素になります。
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2012/qe123_2/pdf/jikei_1.pdf
■5.円安効果は、実は小さくなっていて、輸入増になる。
2000年代は、輸出入の構造が、90年代とは変わっています。
◎以降の1.5ページ分が、訂正後のもの~~~~~~~~~~~
▼15%の円安で輸出が増える分は、10.2兆円
恒常的な円高に懲りていた輸出企業は、輸出契約のうち、50%を、円建て契約に変えています。
円建て輸出では、円安になっても、円の輸出価格は、価格を上げない限りはそのままです。
しかし、ドルから見た円での価格が下がるため、価格競争力は強化され、輸出が増える要素になります。
同時に、円安では、ドル建ての34兆円分の輸出(輸出の約50%)が、15%ドルでの価格が下がって、増えるでしょう。
円建て・ドル建ての両方で、中期では15%くらいの輸出増が見込めます。金額で言えば、68兆円×15%=10.2兆円の輸出増加に向かうでしょう。
この10兆円増で、貿易赤字になった分(10兆円)が解消し、貿易黒字になるかと言うと、そうではない。2011年
から輸入の金額が大きくなっているからです。
▼15%の円安で輸入が増える分は、11.7兆円
輸入は78兆円です。輸入では、円建て契約は少ない。
円高(ドル安)が、輸入には有利だったからです。
・現在のように、昨年比で15%の円安なら、計算上、ほぼ11.7兆円、資源・エネルギー・商品の輸入額が増えます。
・一方で、円安での輸出増は、15%(10.2兆円)です。
以上をまとめれば、
円安による輸出増・・・・・・・・68兆円→78.2兆円
円安による輸入財支出の増加・・・78兆円→89.7兆円
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
貿易赤字 10兆円→11.5兆円
昨年比15%の円安で、貿易赤字が解消するかと思うとそうではない。
逆に11.5兆円に増加します。円安は、わが国の変化した輸出入の構造では、貿易赤字を増やしてしまうのです。
そして輸入の資源・エネルギー・商品が上がることによって、輸入支出が増えた11.7兆円(GDPの2.5%)の、物価の上昇が生じます。
コストの15%増という金額は、輸入企業がコストダウンできる分をはるかに超えていますから、販売価格に転嫁せざるを得ません。
輸入されているのは、主に資源・エネルギー・食料の必需財です。
価格が上がれば購買を減らせる選択財ではない。つまり、円安で価格が上がれば、輸入が減るという性格のものではない。
◎訂正・変更はここまで~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
経済は、この10年で、以上のように、動いています。
輸出入にも、以上のように、大きな変化があります。
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(4)へ続きます。
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