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もうすぐ北風が強くなる

世界通貨戦争(23)全世界で拡大する格差と貧困

 リオ

 信用恐慌を防ぐため各国は莫大な金融緩和政策を実行した。
 恐慌の波及を先延ばししたのは事実だが、懲りない金融資本は依然として投機に資金を向けている。
 金融緩和という名の金融資本への流動性供給は、結局信用創造で数十倍の投機資金に化けてしまっている。

 現状は、自国通貨安による産業防衛と、株、為替、商品等投機市場の高騰を招いてしまった。
 世界通貨戦争と、食糧・石油を含めた物価高騰である。
 2008年から2009にかけては金融デリバティブ規制と社会格差是正、内需拡大の声が上がったが、今やそうした声が弱まってしまっている。

 世界的に新自由主義が復活を始めており、貧富の格差が拡大している。
 懲りない金融資本はすでに復活し、小さな政府をまたも公然と主張し、財政緊縮圧力を強めている。
 
 先進国においては社会保障の削減、賃金総額の実質減少、失業と貧困の増加が進んでいる。
 こんなことをしていては、内需拡大どころではない。
 本来は、流動性供給した金融資本から回収して、格差是正と内需拡大に当てなければならないのだ。
 「テレビ・新聞は現実の経済社会を解らなくする」、「危険なアメリカ」を御覧ください。

 途上国。特に国内経済、自国通貨の弱体な欧米依存国は最も悲惨な状況になっている。
 社会保障が未整備の上に失業とドル・ユーロの下落による自国通貨のさらなる下落とこれに重なる食糧と石油の高騰。

 途上国の増大した貧困層は飢餓状態に追い込まれつつある。
 「途上国は既に食糧危機」、「遂に親米政権との闘いが始まった」を御覧ください・
  欧米からの資金流入がさらに追討ちで国家を破綻させようとしている。
 
 今、求められているのは強い政府による、強力な経済統制と社会保障だ。

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 ブルームバーグから
 金持ちはますますリッチに、格差縮小の妄想を捨てよ-リン

 2月8日(ブルームバーグ):信用危機は新しい謹厳実直な時代をもたらすという議論を覚えているだろうか。金融業界は縮小し、貧富の差は縮まり、高所得層は税率引き上げによってもっと社会に貢献するようになる――はずだった。
 
 ところが、そんなことは何も起こらなかった。実際には、リセッション(景気後退)は金持ちをもっと金持ちにした。英国のデータを見ると、貧富の差はむしろ広がったようだ。貧富の差が勝手に縮まるなどとの妄想は捨て去ろう。政府は通常、金持ちを助ける。高度な専門技能を要する職の賃金は永久に上がり続ける。グローバル化のおかげで、金持ちは居住国の経済とは何ら無関係に豊かに暮らせる。

 英銀HSBCホールディングスが先週発表したユーガブの調査に基づくリポートによれば、英国の富裕層(年収10万ポンド=約1330万円以上の世帯)は今年、支出を平均7.8%増やす計画だ。支出増額分の一部は貯蓄を減らすことで捻出される。謹厳実直とは程遠い。

 一方、普通の家計では過去3カ月の賃金上昇率が中央値で2.2%とインフレ率(3.7%)を下回っている。普通の人は実質ベースで減俸となっているわけだ。

 一方、高所得層の羽振りは良い。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのスペーシャル・エコノミクス・リサーチ・センターのディレクター、ヘンリー・オーバーマン氏によれば、英国で群を抜いて豊かな地域であるロンドンは、大した痛みもなくリセッションを乗り切った。「中産階級にリセッションは起きなかった。中産階級というのはイングランド南東部に集中している層のことだ」と同氏は先月の講義で指摘した。

        高級住宅は値上がり

 ロンドンでは、所得も雇用も英国の他の地域ほどは減らなかった。住宅価格は上昇さえしている。不動産仲介業者サビルズによれば、ロンドンの一等地の不動産は過去1年に5%値上がり。一方、平均的な住宅価格は下落した。

 貧富の差はしばらく前から拡大している。英政府統計局(ONS)によれば、所得分配の不平等さの指数であるジニ係数(国民所得分配係数)は1983年が28だったのに対し2008/9年には34になっていた。1は完全な平等、100はすべての富をただ1人の国民が得ていることを示す。同係数は05年以降、比較的安定していたが、再び上がり始めた。

 英国で起こっていることは恐らく、先進諸国の大半でも起こっているだろう。英経済に特別なところがあるわけでははい。米国ではブッシュ前大統領が導入した減税は金持ち優遇だし、ウォール街の報酬はあっという間に回復した。どこの国でも同様の傾向が見られると考えて間違いないだろう。

        格差が縮小しない3つの理由

 これでよいのだろうか。金持ちが他の人よりますます金持ちになっていく理由を考えてみよう。

 第1に、政府の救済は金持ちを助ける。
 政府はかつて製造業界を補助してきたものだが、今では金持ちの大半が働いている銀行業界を救済する。中央銀行は景気てこ入れのために量的緩和を実施するが、その主な結果は資産と商品価格の上昇だ。量的緩和の恩恵は原油先物を売買するヘッジファンドへの投資家が受けることになる。
 ガソリンの値上がりで家計が苦しくなる普通の人は負け組みに分類される。銀行救済と量的緩和は事実上、主に金持ちへの支援策だ。

 第2に、教育による付加価値への評価は高まり続ける。
 現代の経済に共通する特徴は、高度な技能を持った人間を優遇することだ。金持ちたちが競争社会でリードを広げているのはこのためだ。リセッションはこの傾向を増幅させたように思われる。
 厳しい時代には公的部門と製造業、専門技能のいらないサービス業の職が最も削減される。無くてはならないスキルを持っていれば、職を失わないで済む可能性が高まる。

        グローバル化の功罪

 第3に、グローバル化は大金持ちたちが国家経済から切り離されて生活することを可能にした。
 ロンドンで働くバンカーや弁護士、コンサルタントは英経済に属するのと同時に、ブームに沸く新興市場の一部にもなっている。ロシアの鉱山会社の新規株式公開(IPO)をアレンジし、ドバイの不動産会社の債務再編を手伝う。英国内で起こっていることは、これらの人々にそれほど影響を与えない。
 主要なビジネスセンターで働いている大半の人も同様だ。

 これらの流れの中にはわれわれがどうすることもできないものもある。一方、何とかできるものもある。銀行は救済しなくてよい。資産価値を押し上げることで景気を支えようとする必要もない。

 信用危機が不平等を縮小させるというのは、耳ざわりの良い夢物語だったが、現実にはならなかった。社会は自らに問い掛けなければならない。巨大な貧富の差を放置してよいのかと。格差が自然に縮まることはないのだから。(マシュー・リン)
(リン氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
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