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信任を得ずに大勝した自民、右寄政権:ワシントンポスト

【 国民の信任を得ることなく、大勝した自民 】  翻訳「星の金貨プロジェクト」から

軍事支出を増大させ、平和憲法を改正すること、本当にそれが日本人の望み?!

チコ・ハーラン / ワシントンポスト 12月16日

2月16日日曜日、日本の有権者は政権を再び自民党の手に渡しました。
第二次世界大戦の終了から2009年まで、途切れることなく日本の政権の座に座り続けた大政党の自民党の政権奪還はまた、これまで政権担当者の誰もが解決できなかった、大きな経済問題をも引き継ぐことになります。

投票が締め切られた後、衆議院議員選挙は現政権に対する国民の反発を、一層強調した結果となりました。
日本の公共放送であるNHKは、衆議院の定数は480ですが、自民党が前回118だった議席数を294にまで増やしたことを伝えました。
一方政権の座を追われることになった民主党は、選挙前の240から57にまで議席を減らし、景気を一層悪化させ、中国との領土紛争の処理を誤ったことに対する批判の大きさを物語りました。

この選挙結果により、国家主義者として知られ、2006年から2007年にかけ366日間一度首相を務めたことがある自民党総裁の安倍信三氏が、二度目の首相を務めることになります。
安倍氏は野田首相の代わりに首相に就任しますが、この20年で14度目の首相交代となります。

これ程頻繁に首相が交代してきた背景にあるものは、延々と続く政治抗争、そして高齢化が進み労働人口が縮小していく中、近代化された社会ではあっても世界でも最高水準の公的負債を抱え込んでいる状況には、簡単な解決の道など無いという事実です。

自民党は連立政権を組む公明党が31議席を得たため、衆院定数480の3分の2にあたる320議席に達することになります。
この結果、憲法59条に基づき、民主党が多数を占める参院で否決された法案を衆院の再可決で成立させることが可能になり、自民党はいくつかの制約から解放されることになります。
16日深夜、民主党の大敗が決定的となり、野田首相は「厳しい結果に対する責任を取って」民主党の党首を辞任しました。

2009年に政権の座を降りたとき自民党は中道派でしたが、公共事業投資によるばらまき政策により農村部の支持を固める手法を長年用いてきました。
しかし安倍氏は、自民党にどんどん右寄りに舵を切らせる役割を果たし、今回の選挙でも『日本を取り戻す』というスローガンを掲げていました。
軍事支出を増大させ、平和憲法を改正することを優先事項に掲げる安倍氏の姿勢が国民の意向と一致しているのかどうか、2度目となる首相就任期間がそのことを明らかにするだろうと、多くの政治評論家が見ています。

安倍氏はまた、中国との紛争の原因になっている尖閣諸島に政府職員を常駐させたいと語っており、そうなれば中国側を激怒させることは必至であり、地域的な軍事衝突が発生した場合には日米の軍事同盟に基づき、アメリカ政府は日本側に立っての対応を迫られる可能性があります。

安倍氏は首相就任後の最初の海外訪問先としてアメリカを訪れたいと語り、日米の関係改善に取り組む意向を表明しました。

自民党は16日地滑り的勝利を得ましたが、その支持率は20%台であり、これではとてものこと国民の信任を得たと言う事はできません。
数多くの小選挙区で自民党の候補者は多数の有権者の信任を得ることなく、当選者となりました。
12党が乱立しての選挙戦で、漁夫の利を得たのが自民党でした。
世論調査の結果は、2007年腸の病気を理由に首相を辞任したころと比較しても、それ程人気があるわけではないことを表しています。

「地滑り的勝利は、国民の圧倒的支持を得たことを意味してはいません。」
どの党派にも与(くみ)しない政治評論家の板垣英憲氏が語りました。
「自民党の幹部はこの点を心にとどめ置き、思い上がった態度をとらないよう注意すべきです。」

安倍氏が国民の大きな支持を得たいと考えるなら、論争の的となっている軍事問題は後回しにし、まずは国民が優先課題だと考えている経済問題の解決に焦点を合わせるべきだと、専門家は指摘します。
今回の選挙戦で安倍氏は、不動産市場と株式市場のバブルの崩壊により、20年以上も深刻な不況に落ち込んだままの経済問題に、演説時間の半分以上を費やしました。

安倍氏が唱える景気対策は、歳出削減を中心に据え、消費税増税について議会から承認を取り付けた緊縮財政派の野田首相とは対照的なものです。
安倍氏は大規模な財政出動を行う事を唱え、市場から歓迎されました。
日本をインフレに誘導することが彼の首相としての、最優先事項であると日曜日夜、強調しました。

安倍氏は現政権が目標としている1%を上回る、2%のインフレ目標を設定し、このために日銀に対しもっと積極的に紙幣増刷に踏み切るよう、必要なら無制限の金融緩和を行うように求めています。
安倍氏は日銀に国債の買取を命じることにより、その独立した権限を取り上げると脅した事すらあります。
安倍氏は金融緩和策により、建設事業に大規模な出費を行おうとしています。

自民党は、これからの10年間に、現在の日本の国内総生産の40%に相当する約2兆3,800億ドル(約195兆円)を、地震、津波対策を中心とする公共事業に費やそうとしています。

この政策について専門家は、歳出が歳入を大幅に上回れば、インフレが天井知らずの規模で進行し、日本の公的負債が際限も無く膨らむ危険性があると指摘しています。
そうなれば日本の債務返済能力について、世界中の投資家の信頼を失うシナリオが現実になる可能性があります。

景気回復にのみ重点を置く政策は、また別の負担を国民に強いることになります。
昨年発生した福島第一原発の事故により国民の間に脱原発の機運が高まっていますが、重要な発電手段として原子力発電が見直されることです。
先に民主党政権は2040年までに原子力発電を廃止する方針を打ち出しました。
これに対し自民党はこの方針を廃止するだろうと、日本の共同通信社が伝えました。

http://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/opposition-party-wins-japanese-parliamentary-vote/2012/12/16/354b25e0-4780-11e2-ad54-580638ede391_story_1.html
 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 ※ 「国民の信任を得ることなく、大勝した自民」については下のグラフで一目瞭然なわけです。
 つまり、予想されていた民主惨敗の状況に加えて、マスコミが「未来の党」にかかる報道タブーと「維新」の誇大宣伝を行ったために、脱原発・消費増税反対の層が大幅な棄権と無効票、死に票を生み出すことで、「自民」は僅か国民の3割にも満たない得票で294議席が転がり込んだわけである。

 現行の小選挙区制度の矛盾であるが、この特性をマスコミが巧妙に活用したわけである。
 「信任なき大勝利」を現実化したわけだ。 

 総選挙第一党の得票数および獲得議席数の推移
19962012_4.png

 総選挙第一党の比例区得票率の推移
19962012_2.png

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