ウォルフレン:官僚独裁の勝利か
2012-12-20

彼がいう「人間を幸福にしない日本のシステム」は民主制度による政治的な中心権力が空白なために、国民の幸福に責任を持たない官僚システムが独裁的な権力を行使していることを指すと思います。
彼のいう官僚機構とは広い概念であり、行政官僚のみならず経団連、マスコミ、電力などを含む意味である。
空気に同調することの得意となった日本人が、この広義の官僚機構に騙され、洗脳されている構造である。
この「人間を幸福にしない日本のシステム」を変えるのは日本人以外にいない。鶏と卵ではない。
現状は「幸福をつかもうとしない日本人」ということだろう。
自分たちの幸福と不幸を権威的な仕組みに任せたりせず、「幸福は自分の手でつかみとる」気概が必要だ。
騙されたり勘違いしたりではなく、自分の利害を自分で考え、判断し、そしてつかみとることが幸福への道筋でしょう。
ーーーーーーーーーーーーーー
ウォルフレン氏 日本というシステムの本質は権力中心が不在 12/20 NEWS ポストセブン
言葉だけは同じ「政権交代」であっても、日本が変わるかもしれないという3年前の期待感や高揚感は全く感じられない。今回の“政変”が残したのは、やはりこの国は変われないのかという脱力感だった。
20年以上にわたる日本研究で知られ、『日本/権力構造の謎』の著者であるK.V.ウォルフレン氏は、この選挙結果に「日本というシステム」の完成を見たと指摘する。復活した官僚独裁主義についてウォルフレン氏が解説する。
* * *
自民党勝利の前から、「政権交代」は起きていた──それが私の実感である。野田佳彦・首相時代に、すでに「官僚独裁主義」は完全復活を遂げていたからだ。
彼は財務省の言いなりとなって消費増税を断行し、各省庁の希望通りに公共事業を復活し、民主党がマニフェストに掲げた「脱官僚」や「コンクリートから人へ」といった改革への期待を裏切った。
今回勝利した安倍自民党は、単にその流れを引き継いだにすぎない。官僚にとっては、野田政権よりさらに扱いやすいだろう。
民主党は、官僚とどう付き合っていけばいいかという経験則がなく、それを作り上げる時間もなかったが、自民党は様々な方法やレベルでそれを熟知している。つまり、より官僚と馴れ合いの関係になるということだ。
フランスには、「物事は変われば変わるほど、同じであり続ける」ということわざがある。これこそ日本に当てはまる言葉だと、かねて大勢の友人がいっていたが、私は今回の選挙結果を受けて、改めてそのことを確信した。
日本の権力システムが、多くの人々に自分は不幸だという意識を抱かせている──そのことに着目し、私が『人間を幸福にしない日本というシステム』を書いたのは1994年のことだ。
それから約20年が経って画期的な政権交代が起き、私自身、一度はこのことわざは間違いだったのかと思ったこともあった。
しかし、その思いは残念ながら裏切られた。このたび私は、前著を大幅改稿し、『いまだ人間を幸福にしない日本というシステム』を上梓した。
つまり、そうした社会的変化があったにもかかわらず、「日本というシステム」の根幹は全く変わることがなかったのである。
それどころか、今回の自民党の勝利によって、このシステムはさらに強固になった。
システムとは、国家や法律とは別に、日本人の生き方を、またこの国の支配構造を決定する仕組みのことをいう。
日本にはシステムを構成する権力者たちが多数いるが、この国は彼らによって押されたり、引き戻されたり、漂わされることはあっても、率いられることはない。
権力の中心が不在であること、それが「日本というシステム」の本質である。
※週刊ポスト2103年1月1・11日号
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
このブログ内のカレル・ヴァン・ウォルフレン氏関係ページのリンク一覧。
・ ウォルフレンの小沢一郎論
・ ウォルフレン:米国の変質
・ 政権を妨げる内外の力:ウォルフレン11/24
・ 大震災の直前に小沢一郎を排したこの国の不幸:ウォルフレン
・ 小沢一郎、ウォルフレン7/28上杉
・ 小沢一郎7/28自由報道協会会見
・ ウォルフレン:小沢叩きで洗脳するメディア
・ ウォルフレン:世界に例を見ないメディアと司法
・ 財政危機の罠とTPPの罠:ウォルフレン
・ 在日米軍は国民に利益ゼロ:ウォルフレン
- 関連記事
-
- 沖縄の自主自立を:琉球新報 (2013/01/04)
- 政治的焦土からの復興:達増 (2012/12/30)
- 違憲選挙、違憲議員、違憲総理と百日裁判 (2012/12/29)
- マスコミは記事と世論調査で小沢潰しと自民擁立:鳥越 (2012/12/22)
- 信任を得ずに大勝した自民、右寄政権:ワシントンポスト (2012/12/20)
- ウォルフレン:官僚独裁の勝利か (2012/12/20)
- 福島を忘れる日本人:仏ルモンド紙 (2012/12/20)
- 自公325議席でやり放題 これでいいのか!この国 (2012/12/19)
- 北の衛星発射と中国の尖閣領空侵犯:田中 (2012/12/18)
- 国民の選択肢、富の再配分 (2012/12/18)
- マスメディア情報工作が生んだ「元の木阿弥政権」:植草 (2012/12/17)
コメント
コメントの投稿
トラックバック
この記事へのトラックバックURL
http://bator.blog14.fc2.com/tb.php/1498-867b56aa