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もうすぐ北風が強くなる

国民の選択肢、富の再配分

 長らく米国に暮らしていて日本の選挙を見ていると、日本国内では気づかないことに気づくようだ。
 中には少しは異なる見解もあるが、概ね新たな示唆に富むことが多い。
 消費税と付加価値税の相違もそのたぐいであるが、大きな国家、小さな国家の問題もそうだ。

 選挙は終わったが、「再配分」がほとんど為されていない国と、再配分が国家の責任として確立している国の差は激しい。
 と同時にその再配分の仕組みも各国で異なるので、日本国内だけに注目していると欧米との比較でマスコミに騙されてしまうのだ。
  ーーーーーーーーーーーーーーーーー
   国民の選択肢   11/26 「CTBNL」から

 まだハーバード系の研究施設で勤め人をしていた時代、直属の上司が、「どうだ、羨ましいだろう」と、折に触れて私にひけらかす自慢が二つあった。

 一つ目は、「自分はニューヨーク育ちで、子供時代に、エベッツ・フィールド(ブルックリン・ドジャース)と、ポロ・スタジアム(ニューヨーク・ジャイアンツ)と、改修前の(旧)ヤンキースタジアムで試合を見た」というものだった。私が大の野球ファンであることを知った上で、こちらが悔しがることを見越して羨ましがらせたのである。

 「俺だって東京育ちで、子供時代に、東京スタジアム(大毎オリオンズ)と、後楽園球場(読売ジャイアンツ、国鉄スワローズ、東映フライヤーズ)と、旧神宮球場(フライヤーズ、スワローズ)で試合を見た」と言い返すこともできたのだが、敵は、オリオンズやフライヤーズやスワローズなど聞いたことがあるはずもなく、悔しがらせることができない以上、だまって相手の自慢を受け入れる以外になかった。

 上司の二つ目の自慢は、「成人となって初めて選挙権を行使した時、ジョン・F・ケネディに投票した」というものだった。在日として生を受け、人生で選挙権を行使した経験がなかった私としては、もとより言い返す材料など持ち合わせていなかったのだが、「誰々に投票したことがある」と、自分が支持した政治家を自慢できる人が日本にどれだけいるだろうか?

 日米とも、政治に多々問題があるのは共通であるものの、こと「政治家の質」を比較した場合、その差は歴然としている。リベラルと保守とを問わず、国民から今でも敬愛されている歴代大統領(フランクリン・ルーズベルト、JFK、ロナルド・レーガン、etc)は枚挙に暇がないし、議員レベルでも、エドワード・ケネディとか、ティップ・オニールとか、名政治家が次々と輩出してきた。

 それに引き替え、日本では、「敬愛の念を持って振り返ることができる政治家」を考えた時、私には、市川房枝の名前くらいしか思いつかない。特に、最近は、「有権者が尊敬することのできる政治家」は絶滅危惧種となってしまった感がある(あるいは、もう、すでに絶滅してしまったのかもしれない)し、そもそも、政治のトップであるはずの首相にしてからが、メディアや国民から嘲りや冷笑の対象とされることが「例外」ではなく「ノーム」となってしまった。

 実は、いま、日本にいて、今回の選挙騒動を見ているのだが、政党は多数乱立しているものの、国民に本当の選択肢が与えられているようにはとても思えない。

 米国の場合、単純化しすぎることを恐れずに言えば、「世の中は市場原理に委ねておけば『見えざる手』が働いて自動的に良い方向に収まる。政府はよけいなことをしない方が良いし、社会保障も抑制すべし」とする保守の立場を取るか、
 「市場原理に任せたままでは不平等が拡大するだけであり、富の再分配を推進したり、社会保障を整備したり、政府がすべきことはたくさんある」とするリベラルの立場を取るかの選択が、大統領選の度に国民に迫られることとなる。
 どちらが勝つかによって、政治が大きく変わり得るのである(保守とリベラルの選択が政治の基軸となっているのは西欧諸国でも変わらない)。

 それに引き替え、日本では、「政権交代」とはいっても、保守同士の間の交代でしかなく、政治が大きく変わることはあり得ない。今回の選挙の結果、どのような組み合わせの政権が誕生するにせよ、「右寄り」の度合いに多少の変化が生じたとしても「保守政治」が継続されることに代わりはない。

 20年以上米国に暮らして、「保守かリベラルか」という対立軸が政治の選択の基本となっていることを、まざまざと見せつけられてきた私からすると、「リベラルの政治」という選択肢がないところで選挙をしている日本の現状は、「有権者に本当の選択肢が与えられていない」としか見えないのである。

   国民の選択肢(続き)

 前回のコラムに対して、「日本は大きな政府だ」と信じ込んでいる読者から反論をいただいた。しかし、財務省がまとめたデータによると、日本の国民負担率(国民所得に対する租税及び社会保険料の比率)は38.3%(2009年)でOECD加盟32ヶ国中下から6番目。
 「小さな政府の代表」といってよい国なのに「大きな政府」と信じ込まされている人がいるのだから、嘆かわしい限りである。

 ちなみに、OECDで国民負担率が日本を下回る国は、メキシコ、チリ、米国、韓国、スイスの5ヶ国。一方、国民負担率が5割(6割)を超える国は16ヶ国(8ヶ国)を占め、最高はルクセンブルクの79.2%となっている。

 「国民負担率が7割」と聞くと、日本の人は、「給料から税や社会保険料を7割天引きされた後、手元には3割しか残らない」と勘違いしがちだが、実際には、天引きされた後平均的勤労者の手元に残る給料(可処分所得)の割合は、大きな政府の国でも小さな政府の国でも「7ー8割」と変わらない。
 大きな政府で国家を運営している国では「富の再配分」に力を入れ、「持っている所、取れる所からたくさん取る」という原則を徹底しているからに他ならない。

 一方、小さな政府の国では富の再分配が進まず、貧富の格差が拡大する
 OECD加盟国で貧困度・貧困率の高い国は国民負担率の小さい国に集中するのだが、たとえば「所得が中央値の半分に満たない国民の割合」で見た時、日本は15.7%で下から6番目。
 メキシコの21.7%や米国の17.3%よりはましであるものの、デンマーク(6.1%)やオランダ(7.2%)やスウェーデン(8.4%)と比べるとはるかに見劣りする(前回の選挙で格差是正や派遣労働の禁止が争点となったのと違い、今回は全く争点となっていない。
 問題は何も解決されていないというのに、誰も格差や派遣の問題を語らなくなったのはなぜなのだろうか?

 小さな政府でずっと国を運営してきたのだから、日本も米国も、社会保障が手薄となってきたのは仕方ないのだが、不思議なことに、日米とも、「自分の国は大きな政府であり、社会保障に金をかけすぎている」と信じる国民は多い

 たとえば、オバマに敗れた共和党ミット・ロムニー候補が「47%の国民が自助努力をせず、社会保障に寄生して生きている」と支持者の集まりで演説したことが暴露されて物議を醸したことがあったが、大統領候補が「47%の国民は怠け者」とする「歪んだ」社会観を持つほど、米保守派の「大きな政府・社会保障嫌い」は根深いのである。

 さらに、「日本は社会保障に金をかけすぎてきた」とする誤解の延長線上で、「医療にも金を使いすぎてきた」と誤解する人が多いのだが、
 実は、日本の医療費支出は、ずっとOECD平均を下回ってきた。
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 さらに先進国では「高齢化率が上昇するほど医療費支出も増大する」という法則が成立する(高齢者は有病率が高いのだから極めて当然のことである)のだが、日本の場合、その著しく高い高齢化率を考えた時、医療費支出はとりわけ低く抑えられてきたのである。

 ずっと医療費を厳しく抑制してきたにもかかわらず、日本では、「医療の公的負担は限界に達した。これからは公を減らして民を増やす」として、医療の仕組みを米国型に変えようと主張する人が跡を絶たないのだが、民で医療を運営する米国では、高齢化率が上昇しないまま(国民が長生きできないまま)医療費が天井を向いて増え続けてきたことがおわかりいただけるだろうか?

 しかも、非常に皮肉なことに、民で医療を運営しているはずの米国の方が医療費の公的負担ははるかに手厚く、米国が医療に支出している税金の額は国民一人当たり3,266ドルで、日本の950ドルの3倍を超えている(数字は2006年、米保健省調べ)。
 日本の2006年の国民一人当たり医療費は2,581ドルであったから、米国が医療に使っている税金を日本に持ってくると、「医療費をすべて支払っておつりが出てくる」ほど、医療にふんだんに公費を支出しているのである。

 ちなみに、米連邦政府の予算に占める医療費の割合が25%であるのに対して、日本の一般会計予算に占める医療費の割合はわずか10%。同じ小さな政府の米国と比較しても、日本の公的負担は著しく低く抑えられてきたのである。

 以上、医療を例として日本の社会保障の「手薄さ」を見てきたが、今回の選挙では、「社会保障をいかにして向上・増進させるか」ではなく、「いかに抑制するか」が争点だというから呆れざるを得ない。たとえば、11月26日付の読売新聞社説は、「社会保障給付の抑制策を提示することは、政治の責任である」として、各党に抑制の具体策を明示することを求めていた。

 読売は、「社会保障抑制」を、あたかも自明の公理であるかのように扱うことで国民から「社会保障の向上・増進」という選択肢を奪ってしまっているのだが、社説を書いた論説員には、いま一度、以下の文言を読み直してもらいたいものである。

 「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」(日本国憲法第25条第2項)
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コメント

米国の医療費

USAのGDPに対する医療費の比率だけを見て、医療を語っても意味ありません。

例えば、MRI(核磁気共鳴画像法)一つとってもUSAは1080$もし、これはフランスの280$の4倍近くもします。 薬も同様です。 米政府のPharma Industry保護政策の為(即ち野放し)に、同種の薬が隣国カナダやメキシコの数倍もするので、国民はわざわざお隣の国に買い出しに行くと言うのが米国の医療現状です。米国の医療費の公的負担が多いといっても、それは製薬会社、病院、医者がボロ儲けしているからで、医療の質とは全く関係ありません。

please google "why an MRI costs $1080 in America and $280 in France": Washington Post

Re: 米国の医療費

> 米国の医療費の公的負担が多いといっても、それは製薬会社、病院、医者がボロ儲けしているからで、医療の質とは全く関係ありません。
……………………….
私もボロ儲けと思いますし、CTBNL氏もグラフで示しているとおりですね。
米国の医療費が高いのは社会保障としての皆保険制度が無く、金持ちだけを相手に高度医療を進めたために医療関係の全体が高価格になっています。
グラフを見るならそれは誰でも解ります。
国民皆保険制度に向けての米国のこれからの課題でしょうね。
ただ、はっきりしなくてはならないのは、CTBNL氏の論点は米国のボロ儲けとか医療の質とかではありません。
「日本の政府財政上の医療費は決して多くはない。」ということです。
その主張の根拠としてのグラフを出されているわけです。
カテゴリーの異なる論点から見るのは曲解のの元としか言えません。

社会福祉

ご存知の様に、社会福祉とは、『富の再分配」です。

ここでは、医療に付いて述べられていますので先ずその事に付いて:
医療費の公的負担に関しては、日本の国は寛大です。10年ほど前にThe Economistは日本の医療政策に関して、「安い掛金で西ヨーロッパ並の医療」と呆れていたほどです。
これは、2010年度の日本の医療費の国庫負担額が年間8.4兆円、ドイツは、たったの1.727兆円(1euro110円と換算して)と言うのを見ても分かります。 日本では医療の質に対して、健康保険の掛金が非常に安価ですので、公的負担が多くなっている訳です。 医療の質については、私は37年間日本をごぶたさしていましたので詳しくは分かりませんが、悪くはないはずです。 年金に関しても同じで、掛金の割に給付金がやたらと多いので、国庫負担額が多くなっています。この辺の事を、日本人は理解すべきだと思います。

さて、本質の『社会福祉=富の再分配』ですが、先ず『再分配』に係わる国庫収入として所得税と法人税があります。所得税に関しては、ドイツは14.48兆円、日本は人口が1.5倍以上ありながらたったの13.5兆円の収入しかありません。法人税は日本が7.87兆円、ドイツは6.93兆円です。

と言う事で、日本は『小さな政府』と言う訳ですが、その小さな政府日本が、『大きな政府』ドイツの5倍近くも医療費の負担をしているというのはどうした事でしょうか?

つまり、日本は、取れる所からきっちり取らないだけで無く、再分配もいい加減、社会保障の年金と医療に多く廻して、行くべき所=援助を必要とするところに集めた金を回して無いという事です。

日本では、社会保障として医療と年金の事がいつも話題にのぼっていますが、日本の「格差」を考えた時、私には先ず「教育と住居」が頭に浮かびます。 日本では、この人間の生活に不可欠な2つのものに金が掛かりすぎ、しかも国からの援助も無い状態ですので、低所得者にとっては悲惨です。 年金と医療に関しては、その掛金と比較すると、日本は待遇がいいほうです(将来は分かりませんが)。

ドイツにあっては、誰もが『人間的』な住宅に住む権利があると言う事で、収入と家族構成を考慮した国からの『住居費』の援助があり、かなり多くの人がこれを利用しています。 生活保護者でも45平方mの住居に住む権利があるとされています(2人目からは15平方m)。フランスでは、ドイツより寛大な住居手当が国から出ます。

そして、ご存知の様に、ドイツでは、教育費は以前は大学まで無料でしたし(今は大学は1年20万円位の自己負担)、返済する必要のない奨学金=生活費も全学生に出ます(収入の多い親からは、国が子に代わって徴収)。


日本も人間的な住居と、教育に金が掛からない社会を保障する国家になって欲しいですね。
派遣とか下請けなどというものはもう論外、そんなものがある狂った日本にまともな社会福祉を望むのは夢物語かも。

ところで、余談ですが、アサド政権のシリアは、教育は外国人を含め大学まで無料、医療も無料です。






 

出典

ドイツに関する前コメントの出典を述べます:

- 所得税と法人税は Wikiの「Steueraufkommen(Deutschland)」です。数値は2007年のものです。

- 医療費の国庫負担はPKV(Verband der Privaten Krankenversicherung)の2011年のパンフレットからです。

日本のものは、全て平成22年の数値です。

Re: 社会福祉

>  日本では医療の質に対して、健康保険の掛金が非常に安価ですので、公的負担が多くなっている訳です。 
 欧州に比べ日本は医薬品、検査機器共に使いすぎの医療と言われていますが、どうですか。医師の養成、立場もかなり異なるような(日本の医師は過重労働の高給取りと事業主に二分)。米国とはまた異なる構造で、焦げ付きのない皆保険制度が食い物にされていると思われます。

>  日本は、取れる所からきっちり取らないだけで無く、再分配もいい加減、社会保障の年金と医療に多く廻して、行くべき所=援助を必要とするところに集めた金を回して無いという事です。
 同意。
> 日本では、社会保障として医療と年金の事がいつも話題にのぼっていますが、日本の「格差」を考えた時、私には先ず「教育と住居」が頭に浮かびます。
 全面的に企業内労組となってしまった日本では、まともな意味の労働党、社会党が育たず、保守政党の刹那的な票田確保の悪習慣が続いた結果としての年金。
 医師の「事業主団体」医師会と医薬資本の均衡を取るだけが医療制度の動機だった。
 教育は明治以来のプロイセン型教育思想が占領後も引き継がれ、義務教育は「父母負担の義務化」にすり替えられたまま。
 住宅補助は建設業の経済効果と金融資本の利益を優先してきた結果、不要とされてきた。

> そして、ご存知の様に、ドイツでは、教育費は以前は大学まで無料でしたし、返済する必要のない奨学金=生活費も全学生に出ます(収入の多い親からは、国が子に代わって徴収)。
 米国以外の先進国と旧ソ連圏、アラブ・イスラム復興社会主義国は、教育無料が原則のはず。人権は18歳までは親の保護。成人は国が保護義務ですね。
 なにせこの国は生活保護まで家族親戚の資産調査をしようかと言いだす、世界に逆行する人権侵害国家です。
 宗主国は冷戦終結以降は、気兼ねなく植民地自治に人権や人道など不要としてしまったのです。
 同じ敗戦国とはいえ、ドイツとはずいぶん違う道筋を辿ってしまったものです。
 
 話は戻りますが、日本の国民に社会的な誤解が多いのは、長年にわたって専制的な教育とマスコミにより、選択肢のない詰め込みが為されてきたためと思います。
 選択肢のない詰め込みとは、特定の洗脳でしかありません。
 Net時代ですから、英語などの読める人がもっと多ければ井の中の蛙とか茹でガエルも減るのでしょう。
 

医療制度

> 欧州に比べ、日本は医薬品、検査器機共に使いすぎの医療と言われていますが
そう思います。 
X-ray検査一つとっても、日本では「無駄な乳歯」を抜くだけでも、「歯科医」は小児の頭に放射能を浴びせたり、毎年、集団結核検査として全く不必要な放射能を国民に浴びせますからね。(日本は福一事故以前から放射能付けの国)。そういえば、ドイツでは、予防接種の義務もありませんし。米国は34回もするとか聞いたけど)

そして、日本の医者は、医薬品もやたらに何種類も出す。 どんな病気でも、1ヶ月以上の薬を出せなくして、わざわざ毎月医者にこさせて、その度に不必要な診察費を稼ぐ仕組み、薬の処方箋だけは絶対に書かない等、日本の医療制度が患者や病気の種類を無視したものである事は確かである。 
ドイツでは電話で処方箋を頼む事が出来るし、返信用封筒を送って処方箋を郵送して貰う事だって出来ます。
以前「生活保護者に generic drug を処方するのは差別である」という記事を読んで呆れましたが、ドイツ人の大好きな言葉に“kostenguenstig" (質を落とさず価格を抑える)と言うのがあります。価格の違いで「差別、不差別」と論ずる次元の低さはどこから来るのでしょうね!?  ともかく、素人がちょっと見てもあちこちに無駄がある事が分かります。 よその事を知らないとこんな物かしらと思って気にもかけないのでしょうが。

でも、ドイツとて、健康保険制度に大きな問題を抱える様になってしまいました。 それは、80年代に民間医療保険の自由化と言う馬鹿な事を許してしまったからです。 
公的健康保険は、当然の事ながら、世帯主を中心にして家族ごとに加入し、保険料は家族の人員数ではなく、世帯主の収入で決まりますが、民間医療保険は、個人ごとに加入し、保険料は年齢と病歴で決まるのです。 という事で、金持ちや若い人達は公的健康保険機関に加入するより民間の健康保険機関に加入した方が安あがりなので、そちらの方に鞍替えしてしまったのです。
当然の帰結として、高齢者、病人、大家族を被保険者として抱える公的健康保険が経済的に行き詰まり、民間医療保険機関がボロ儲けとなり、医療自体にも「贅沢医療と通常医療」の格差が生まれました。
前述の出典先として“Verband der Privaten Krankenversicherung"(民間医療保険者連盟)のパンフレットを挙げましたが、実は、この連中はハレンチにもこのパンフレットの中で『みろ、俺たちは、国からの援助なしで運営してるのに、あの連中は国からの援助無しではやっていけない』とのたまっているのです。
と言う訳で、ドイツでは、馬鹿な改革でおかしな「医療格差問題」が生まれてしまいました。

Re: 医療制度

なるほど。
民間医療保険の自由化とはそのように具体化するわけですか。
TPPに多数の開業医が反対するわけですね。
日本で言われていることは反対論もいまいち抽象的な説明が多く、国民に浸透していません。
小泉規制緩和の時は、あの国はこうなった、この国はこうなったと事例を紹介しての反対意見がマスコミ報道にさえ紹介されていたように記憶するのですが、TPPについては農業壊滅くらいの認識しか明確化していないように思えます。
貧困と老化は疾病の源。
健康な金持ちと若者はやすい保険料で済み、かつ高額医療を受けられる。
同時に貧乏人と老人は高い保険料となって定額医療しか受けられない。
かつ、貧乏人と老人には税金食い虫との批判を浴びせられる。
そしていずれ先行きは米国並みの高額医療ばかりが発達する。
目に見えるような話です。

Re: 医療制度

micさんのコメントには、いろいろ間違ったことも書かれておりますので。

>「歯科医」は小児の頭に放射能を浴びせたり

そんなことは現在行われておりません。
対象となる歯を中心になるように狭い範囲を撮影することで一部の被爆で済むようになっております。大人にしろ子どもにしろ、頭部全体をレントゲン撮影をすることは行われておりません。

>集団結核検査

現在は結核・肺がん検診の一貫として行われております。
肺がん検診としての有用性は「科学的根拠に基づいた医療(EBM:Evidence-Based Medicine)」によってみとめられています。詳しくは下記のアドレスで確認されてみてはいかがでしょうか。
http://canscreen.ncc.go.jp/pdf/guideline/guide_lung070111.pdf


>日本の医者は、医薬品もやたらに何種類も出す

院外処方がメインになって、薬をいくら出しても医師の利益にならないようになっております。
また薬の数を減らすように合剤も多く発売されるようになって処方される薬の数は次第に減ってきているのが現状です。


>どんな病気でも、1ヶ月以上の薬を出せなくし

現在、慢性疾患では90日処方がメインになっています。毎月患者に来られたら、医師不足で忙しい外来が更に忙しくなって医療が崩壊してしまいます。


>薬の処方箋だけは絶対に書かない等

診療をせずに投薬することは、「薬の効果判定が不十分になる」とか「副作用のチェックに問題生じる」という医療の質でデメリットがあります。自己責任で構わないとするのならそれでもいいでしょう。
医療者側とすれば、薬の処方箋料だけ済めば手間がかからず収益になるメリットがあります。時間をかけての診察でも安い再診料しかとれないことを考えると、コストパフォーマンス的には診療せずに処方箋を出せたほうが経営的には助かるのですが。


>予防接種の義務
日本でも予防接種は義務ではありません。推奨接種といって親が判断して接種するかどうか決めています。
ドイツでも義務ではありませんが、基本予防接種が定められており、全て無料で行なえます。また日本より多くの疾患が無料で行えるようされています。また日本と違い、ドイツでは学校・幼稚園へ入るときに予防接種の証明書を求められるので、ほとんどの子どもが予防接種を行っています。

オダさんとやらへ

バカバカしくて、オダさんとかに返事する気もありませんが:

1.歯は頭部にあるのではないですか?
4歳の子の乳歯を抜く時にx-ray撮影で子供を被曝させる必要は全くありません。 日本の歯科医は小児の頭に有害な放射せんをためらいもせず浴びせます。 事実は事実です。 狭い範囲云々:ナンセンス!  『対象となる歯を中心に . . . 』と、ありますから、貴方もやはり、子供の頭部を被曝させているのを認めているわけですね。 欧州では、レントゲン撮影は最後の手段で、日本ではその反対です。

2.『結核・肺癌検診の為のx-ray撮影の有用性』
私は、毎年の集団検診の事を述べています!!
一体、日本以外に、どの国が、毎年、集団検診と称して、国民を被曝させているのでしょうか?
貴方の文は、何をして『有用』なのか全く分からない舌足らずのものですね。 毎年の集団検診の事? それとも必要に迫られたレントゲン撮影?

3.私の知り合いで、慢性の病気でも28日分しか出してもらえず、毎月、自分が医者に行くのが苦しいので(1時間以上も待たなくてはならない)家族の人に時々行って貰う人がいます。窓口に『診察せずに、処方箋のみはだしません』とあり、医者にあわなければならず、勿論、診察料もばっちり取られます。 5-6分の診察(?)で診察料が取れるわけですよ! 本人が行っても5-6分医者と話するだけです。 私は、事実のみを述べています。薬を、90日分出してくれるとは、初耳です。 
外国から日本への薬の持ち込み最大量は「1ヶ月分以内」と決められています。これは、日本で処方される量が28日分だからとありました。

そのほかの貴方のおかしな論理にはバカバカしくて論争する気も起こりません。まあ、毎回時間を掛けて診察してくれる医者がいれば、話は別ですが! そんな素晴らしいお医者さんがいましたらを教えて下さい。 お願いします。 (ドイツに一人本当に患者の事を考えてくれるお医者さんが居りました。彼は、診断書代も絶対に取らず、保険のない人にはタダで診療していました。無茶苦茶にはやっていたけれど、65歳で、50才位にしか見えませんでしたが、引退してしまいました。こんなお医者さんは例外です。)
 
推奨予防接種:『予防接種は良い』との洗脳ですな!

最後に、私には、ドイツ人の息子がおります。その昔、日本の事しか知らなかった私は、小児科医に「ドイツでは、予防接種はしないのが普通」と言われました。 日本とは大違いですね!
貴方の『ドイツと日本の差はあまりない』と錯覚させる様な発言には閉口です。


  

医療制度

続きを書かせていただきます。

オダさんは、『また、日本と違い、ドイツでは、学校・幼稚園に入るとき予防接種の証明書を求められる』と、述べておりますが、それはどこのドイツのことでしょうか? 始めて聞く話です。

息子が幼稚園に入るときに、私は念の為にと、予防接種をしてもらいに(何かは忘れました)小児科医を訪れました。 前述の通り、医者にハッキリ「ドイツでは、予防接種しないのが普通です。しないと心配ですか?」と言われました。 害があるとは夢にも思わず、ともかく接種してもらいました。 その後、一度も風を引いたり、熱を出した事のなかった息子は、37度の微熱に半年以上も悩まされ、結局幼稚園は時々通うハメになりました。 夫はすぐに予防接種を疑いました。 丈夫な元の体に戻るまでに3年ほどかかりました。 

ドイツでは、新生児の予防接種があり、生まれた病院から“Impfpass”(接種証明書)をもらい、全ての予防接種はそこに記入され、生涯それを所持する訳ですが、入学、入園時にそれを見せろなどと言われません。 入学時には、親子が役所に呼ばれて、見える、聞こえる、書けるの実際的な試験があっただけです。

幾ら無料でも、インフルエンザの予防注射などに出かけるドイツ人は少ないです。 

所で、もう一つ、Wiki に、『ドイツでは、一部の高所得者を除いて、公的医療保険に加入するのが義務付けられている』とありますが、これは正しくありません。 保険費が払えなくて、保険に加入していない人がいますし、保険費を払わなければ即座に追い出されます。 (日本では、役所の人との話では、飯代よりは保険代の方が先に来るみたいです。つまり、絶対、国保の保険料を払わなくてはならないそうです。弟と義妹が公務員です。) 但しドイツの事ですから、困った時には、それなりの手が伸びます。 
Wiki に職域保険と地域保険があるとありますが、これも正しくありません。 職域保険の中に地域があるのです。 地域だけのものはありません。

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