小沢氏12/12特派員協会:書き起こし
2012-12-14

2012年12月12日 於;日本外国特派員協会 12/13 書き起こし「銅のはしご」氏から
2012年12月12日 於;日本外国特派員協会 FCCJ 「小沢一郎記者会見」
ご紹介を頂きました小沢一郎でございます。今日はお招きを頂きまして,久しぶりに特派員協会で皆様と意見交換できますことを,たいへん喜んでおります。
ゲストスピーカーと言いましても,今もう選挙の最中ですし,特段に申し上げることはないんですけれども,一点だけわたくし共のことにつきまして皆様に誤解のなきように申し上げておきたいことがございます。
わたくし共は,形の上では新党ということになりますけれども,その基本的な哲学,政治姿勢においては,政権交代で民主党が国民の皆様に訴え,そして,政権を担った場合に,このように日本の社会をつくりかえたい,ということ。
そのことを,我々はずうっと思い続け,そして今後もそれを継承して,目的を少しでも達成できるようにしたいと,そう思っている集団であります。
民主党は政権をとった後に次第次第に旧体制と妥協と言いますか,旧体制の中に自分自身を埋没させている形になってしまいました。
したがいまして,わたくしはまっすぐに進んでいるつもりでございますが,民主党のほうが曲がってしまった。
しかしその曲がってしまった方針を,体質が変わってしまった民主党を多数で変えるだけの力を,我々,持ち得ませんでしたので,已む無く民主党と訣別して新しい党をつくるに至った
ということですので,その点だけはぜひご理解頂きたいと思います。
ただ,いずれにしても,民主党に対するあの当時の国民の期待が非常に大きなものだっただけに,その後の民主党の変質と言いますか,
まあ実態だったのかも知れませんけれども,その姿に国民が非常に失望をしてしまっているという現状であろうと思います。
その意味で,わたくし共の,今言った政治姿勢と政治主張がなかなか素直に受け入れて頂けないところがあるんですけれども,
わたくし共としては,まったく我々の主張は間違っていないし,3年半前に,3年前の夏に,国民が期待してくれたその主張を,我々は貫き通そうと思っている訳ですので,
今後もたいへん厳しい選挙戦であり,今後の政治情勢かと思いますけれども,日本が誤った方向に行かないように一生懸命努力したい,そう思っているところであります。
以上申し上げまして,あとは御質問にお答えしたいと思います。
Q.シンガポール
日本のメディアはいつも小沢さんの悪口ですが(会場笑)?
自民党とか維新の党は,日本の憲法改正とか,そういう話があり,海外でも日本の右翼化を心配している。小沢さんは普通の国を,前は主張したが今はどのような考えなのか。
A.
日本のメディアの小沢攻撃は,ずうっと今まで,今でも続いていますし,
これからも続いて行くと思いますが(会場笑)
ぜひ,その点は事実を良く御覧になってご理解して頂きたいと思います。
今,自民党あるいは維新の会もそうですし,言ってみれば民主党の幹部の人達も似たようなことを言っていますけれども,その中で憲法改正ということが時々口に出されて,メディアもまたこれが争点であるかのように報じております。
しかしこの,何を意図しているのかよく分かりません。憲法改正して軍備を拡張し,あるいは核武装を目指すという,これは原発とも関連してまいりますが,そういうことなのか,どうなのか,
とにかく何を意識して意図してやっているのか,まったく分かりませんけれども,
憲法の改正ということと,そういう政治的な考え方,あるいは政策というものは,基本的には別の話でありまして,憲法はアメリカでもしょっちゅうではないですけれども,変えられたりすることが,修正されることが多々あると思いますが,
国民のための最高のルールですから,時代が変わって国民のために変えたほうがいいと思えば変えればいいし,このままでいいと思えばこのままでいいというものに過ぎないと思いますけれども,
その憲法改正論の裏に色々な政治的な意図が隠されているかのように思えます。
それは,わたくしとしては,ちょっと同意しかねますし,もしそれが,彼等の政治的な目標・目的であるならば,それははっきりと,きちんと国民に言うべきであろうと,メディアも同然ですけれども,そう思います。
Q.小沢さんと嘉田さんが組まれたことはまさに美女と野獣(会場笑)そこで,ナイーブな質問だが,小沢さんが初めて嘉田さんにアプローチされた時,これだけはしない,これだけはするという約束を嘉田さんとしたと思うが。
A.
わたくしは嘉田さんとは,まったく面識がありませんでした。形式的な陳情か挨拶かで一二度会っただけです。
ただ,彼女が,全政党推薦の現職に挑んだ選挙戦,その政治的なセンスと,それから選挙戦で主張した「川上から」という考え方と,
それからいろんな分野,税金の無駄遣いなど「3つの分野」と言っていましたが「もったいない」という日本の社会では今や死語になってしまった言葉ですけれども,そのことに非常に感動いたしました。
そのような経過で当選したにもかかわらず,その後の県庁始め行政手腕についても見事でしたので,遠くから高く評価しておりました。
質問に答えますと,特別な話は何もありません。そういう風に彼女を見ておりましたので,思う存分やって下さい,と,わたくしは私のできることをサポートしますということを言っただけです。
Q. 日中関係
A.
日中関係につきましては,現状の内閣,と言っても選挙ですけれども,政府では難しいだろうと思いますし,仮に選挙後,自民党政権になっても,その解決はなかなか困難ではないかと,そう思います。
Q. マスコミは新政権はあたかも自民党中心の政権であるかのように報道している。ところが,我々フリ―ランスやインディペンデント,非記者クラブメディアの取材では,必ずしもそう人々は望んでいない。
「未来」が沢山票を獲るという取材結果になっている。現実との乖離の原因はどこにあるのか?
A.
民主党も当初はそうでしたが,わたくし共は,旧来の自民党支配下にあった半世紀,もっと遡れば,官僚制度は明治維新内ですけれども,少なくても戦後体制,官僚支配の体制を根本から変えようと,いうことを主張いたしております。
しかしながら,やはり,この旧体制の中で色々既得権を持っている人達から見れば,そういう主張はけしからん,と,小沢はけしからん,と,いうことになるだろうと思います。
メディアも戦後体制の中の大きな一つの集団だと思います。
したがいまして,根本的に日本の仕組みを変えるということについては,強烈な抵抗と反撃をすることになると思いまして,
したがって今の国民の意識は必ずしも自民党にではない,ということは,わたくしもそう思っておりますけれども,そのようなメディアを中心としたムードづくりと,それからもう一つは民主党政権が失敗した,期待外れだったという,その両方が相まって今何となく,国民自身がモヤモヤしている,
或いははっきりと選択をしづらくなっているということが現実ではないかと思いますが,
私たちも大きなメディアより以上に,自民党政権というよりは寧ろ何か新しい仕組みを創り上げる,そういう勢力の台頭を期待している,という風に感じますけれども,これは選挙,あと4,5日後でなきゃ分かりません。(微笑)
Q.中国新指導者について.
A.
他国の指導者の資質について論評することは,いけないと思いますので止めますけれども,指導者云々を別にいたしまして,
中国は非常に大きな曲がり角に差し掛かっているのではないかと思います。
特にユーロの問題と,経済的に世界経済が非常に不安定な状況にありますので,
それは中国の政権運営に大きな影響を与えるのではないかと思っておりまして,その点については非常に心配をいたしております。
Q.仮に自民党政権になったら,現状の中国との問題は解決困難とおっしゃったが,なぜか? 自民党は教育改革という政策言っているが,教科書検定では近隣諸国との配慮を見直すと書かれているが,どう思うか。仮に自民党政権になったら,近隣諸国との関係が悪化するのではないかという懸念が日本国内外にはあるが,どう思うか。
A.
仮に自民党政権になったという前提での質問ですが,それは,御国の問題であって,御国が自民党政権を信頼して,領土問題も解決しようという気持ちであればいいかも知れませんけれども,
私にはそうは思えませんけれども,
御国のことですので,御国の自民党政権に対する評価にかかっているのではないでしょうか。
次の質問で,(通訳者に向かって)自民党内でって言いましたか,教科書問題は?
自民党の教育政策の中で,そのようなことが意図されているとすれば,それは私は,ちょっと姑息な,あまり程度の良い話ではないと思っております。
ただ一方でですね,中国もいつまで経っても反日教育をやっていたんでは,これはもう両国の将来の友好関係というのは保てない訳ですから,
これは過去の我々の行動に対する,日本の行動に対する謝罪は,それはもちろんそれとして,将来に向かって,御国の指導者もよく言いますが,将来に向かって友好親善を深めなきゃならない。
そのためには,そういったお互いに相手を誹謗中傷するような教育,教育の中にそれがあるとすれば,それはお互いに改めなければならないと思います。
Q.日本が右傾化することの懸念。
A.
わたくしは今指摘されている,右寄りの,右傾化ということについては以前から心配をしておりました。
現時点で,本当に極端な右寄りになってしまうだろうという風には思ってはおりませんけれども。
ただ,例えばEUの危機等に見られるような経済的な危機が世界的な不況という形で襲ってきた場合とか,或いは中国との間の領土問題が拗れてしまった場合とか,或いは朝鮮半島その他,非常に深刻な事態が生じた場合には,その傾向が非常に強くなってしまうのではないかということを怖れております。
わたくしも愛国心や民族主義を否定するわけでもありませんし,自分自身もその一人であると思っておりますが,
これは,他の国と色々力づくでの対決やらとは,まったく別の問題でありまして,
ほんとの民族主義はもっと他の,相手国を認めると,民主主義の基本は自己主張・自我を確立すると同時に相手の自我も認める,と。
国家と国家も同じことでありまして,そういう正当な,正常な民族主義は一向に問題ありませんけれども,
単なるその場その場の情緒的な雰囲気に圧されての,そういった傾向が強まるということが,
特に日本の場合は,その要素が潜在的にちょっとありますので心配しているということです。
Q.安倍晋三について。
A.
私は安倍晋三さんのお父さんに御指導を頂いた立場で,晋三さんのことはよく知りません。
もちろんとてもいい人だと思いますけれど,まあ仮に総理になって,その基本的考え方は,考え方というか体質というか,それはやはり霞が関を中心とした統治の機構を維持しそれに乗っかって行くという考え方ではないかと推測しております。
ただ、そうであっても,それはやり方次第で如何様にも出来るのですから,一概にどうこうは言えませんけれども,考え方としては,そうではないかなと思っております。
Q.「未来の党」について。
A.
「未来の党」という党名を言わなかったというお叱りですけれども,皆さんはお分かりだと思って(会場笑)言わなかったんだと思います。
わたくしの役割は,特別,結党してすぐ選挙ということですので,国民に対するアピールとか政策のうったえ,(政策の)作成というようなことは全部,嘉田代表が基本的にリードしてつくりました。
その内容については,わたくし共も,ほとんど理解し,賛同するところでありましたので,彼女のもとで一緒に闘うことにいたしました。
そこで私の役割ですけれども,わたくしは,即選挙という状況の中でございましたので,自分の経験を生かして選挙の相談に乗ったり,或いは激励をしたり,ということが,わたくしの役割だと思いまして,可能な限りその努力をして参りました。
Q.政治家の姿とは? 新しい政治家とは?
A.
政治家の姿というのは日本でも,御国でも,求められるものは同じだろうと思います。
私は少なくとも,政治は国民の平和と生活の安定いわゆる命と暮らしを守ることにある,と。当然のことですから,そう思っております。
それで,最初の御挨拶で言いましたとおり,色々な時代の変遷とともに,日本は非常にイクォールな,先進国OECDの中でも一二を争う非常に平等な公正な社会でありました。
非常に経済の大きい国でありながら。
ところが世界的な状況の変化,或いはもちろん国内の状況の変化,内外の状況の変化によりまして,特に小泉政権によって,いわゆる新自由主義とも言われますが,
自由競争に最大の主眼を置いた政策をとりましたので,その結果,非常に所得の格差,雇用の格差,産業別の格差,地域間の格差が急速に進みまして,今ではOECDの中でもかなり低いランクになってしまいました。
(通訳者に向かって念を押す)格差のおおい,ね。
このような日本社会のひずみを是正するためには,官僚を中心とし,官僚に乗かった政治ではだめだ,と。
根本的に,この統治の機構,橋下さんも使っておりますけれども(苦笑),わたくしは従来から申し上げておりました,
統治の機構,あるいは行政の仕組みと言ってもいいですけれども,それを根本的に変える。
具体論で言えば,霞が関支配の中央集権から地方分権に,日本の社会を変える,ということから始めなくてはならない,というのは,我々の主張でありました。
ですから,これについては,旧体制の中で,今までの官僚支配の中で既得権を得てきた方達は,猛烈な反対をしている訳であります。
その意味において,わたくしは,このアンシャンレジームの既得権を打破する勇気と智慧と責任を持ったリーダーが,今の日本に必要ではないかと思っております。
- 関連記事
-
- 小沢氏:生活の党結党大会スピーチ全文 (2013/01/29)
- 生活の党結党大会、小沢氏:非常な決意で (2013/01/25)
- 小沢氏:もう一度政権交代目指し参院選へ (2013/01/14)
- 小沢氏12/14官邸前書き起こし (2012/12/15)
- 官邸抗議に小沢氏登場、参加者は「マスコミ帰れ」 (2012/12/15)
- 小沢氏12/12特派員協会:書き起こし (2012/12/14)
- 小沢氏インタビュー12/13日刊ゲンダイ (2012/12/13)
- 小沢氏12/12特派員協会会見:田中龍作 (2012/12/13)
- 小沢氏インタビュー、12/10演説 (2012/12/12)
- 小沢氏12/1嘉田氏対談 (2012/12/05)
- 小沢氏11/30インタビュー「生活」の理念と未来の党 (2012/12/05)
コメント
コメントの投稿
トラックバック
この記事へのトラックバックURL
http://bator.blog14.fc2.com/tb.php/1481-be031213