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クロポトキンと相互扶助論

 クロポトキン

 かつてアシスト社のビル・トッテンとして書かれていたコラム。今は単に無所属匿名の賀茂川耕助のブログとして継続しています。
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   クロポトキン思想再考を 11/29 賀茂川耕助

これまで、私は日本が直面するさまざまな問題の解決策のヒントは日本の歴史にあると思っていた。具体的には、解決策は、江戸時代や高度成長期の日本人の生き方や、当時の制度に戻すことだと考えていたのである。

しかし最近になって、制度を変えても無駄ではないかと思い始めた。
もちろん規則を変えること、それ自体もきわめて難しい。
しかし問題の根本は、人間の心のあり方が、倫理や道徳教育がなくなったために、過去と現在で大きく変わったことにある。高い精神性が失われたことが、日本が国民の幸福度の低い国になった大きな理由だと思う。

では、もし過去のやり方に戻れないならどんな解決策があるのかとさまざまな本を読み、その中で興味をもったのがロシアの科学者であり哲学者であったクロポトキンの無政府主義の思想である。
彼の提唱する無政府主義とは、中央政府に縛られない、相互扶助を中心概念に据えた政府支配のないコミュニティー社会をつくることだ。

昨今では、無政府主義、アナーキズムといえば、テロリズムと同義とされるが、それは資本主義政権が意図的に結び付けようとしているものでクロポトキンのそれとは異なる。
彼は人道主義者であり、国家共産主義でも帝国主義者でもなかった。
彼がアナーキズムを提唱したのは、自然科学者として自然を観察し、共同体の中で互いに協力しあうことが、生産と消費を最も効率的に行う方法だと考えたからである。

彼の言う無政府主義とは、社会のヒエラルキー(ピラミッド型の階層的組織構造)を排除することだ。
鳥や蜂、その他の集団行動をとる動物はヒエラルキーなしに共同作業を行う。ではなぜ人間だけがヒエラルキーを形成しなければならないのだろう。

この地球上で人間が他の生き物より抜きんでて成功したのは、コミュニケーション能力や協調性、自発的に行動したり一緒に何かを作り上げることができるからだ。
しかしその一方で人間社会に大きな格差や不平等が生じたのは、ヒエラルキーによる権力者と非権力者、階級差別の容認、盲目的に命令や規則に従わせる、等々の理由による。

生き物は渡り鳥が移動する時など、何か目的のために群れをなす。
ある行動をする場合にも餌を食べる順番などがあったりするが、そこに特権階級や命令系統はない。
女王蜂に権力があるのではなく産卵という理由があるだけだ。
生物の社会では権力や地位を理由に他者を服従させることはない。
クロポトキンはまた、「現在の生物は生存競争の勝者である」というダーウィンの進化論を誤用しており、そのために人間社会では経済や市場原理で「弱肉強食」があたかも当然のように受け入れられているのだという。
このようにクロポトキンは例を挙げて動物社会では同じ種族内では決して競争がなかったことを指摘する。
動物に生存競争はあってもそれは干ばつや洪水、寒波や病気が相手であって、仲間同士は常に協調しあってきたのである。

あらゆる生物が政府がなくても自発的に互いに協力し、きちんと組織されてるなら、人間だけが例外であるはずはない。
特に、今の日本政府を見るにつけ、クロポトキンの思想を再考すべきだと強く思うのだ。
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 ※ピョートル・アレクセイヴィチ・クロポトキン(1842-1921)はロシアの始祖ルーリックの血を引く名家であるクロポトキン公爵家の生まれ。革命家、政治思想家で地理学者、社会学者、生物学者。帝政により投獄され後ロシア革命まで西欧に亡命。
 主な著作には「パンの略取」1892、「田園・工場・仕事場」1898、「革命家の思い出」1899、「相互扶助論」1902、「フランス大革命」1909などがある。「フランス大革命」はレーニンが絶賛したほどである。
 フランスのプルードン、ロシアのバクーニンと並ぶ近代アナキズムの功績者。自然科学者としての実証的な知見に基づき、当時の社会進化論やマルクス主義を批判し、相互扶助を中心に据えた「無政府共産主義」の提唱者である。

 なぜいま、クロポトキンなのか?
 労働者階級の意識的な組織化をいかに達成するか?これがプロレタリアートの独裁をいかに達成するかとなり、結果としての国家共産主義、「党の独裁」を生み出したことは周知のとおりである。
 国民の社会的な指向はそれなりに社会主義的ではあったものの、支配形態はマスコミとプロバガンダ、官僚制度とヒエラルキーによる強圧、金銭亡者を権力亡者に置き換えれば帝国主義国家と同様となった。

 否、現在から振り返るなら、逆に資本主義が帝国主義へと進んだ結果の義務教育、普通選挙権、徴兵制といった「国民国家」を取り入れた「社会主義国家」といっても良いだろう。
 従って今の世界、例えばこの日本の統治形態が外見はともあれ、何事かあった場合の統治組織の動き方が国家共産主義思想の「社会主義国家」とそっくりなのである。

 資本主義経済は労働者社会主義と新自由主義(ブルジョア独裁)に分かれつつあるようだが、いずれが有力かに関わりなく圧倒的な「99%」に依拠していることは疑いない。
 この労働階級を様々なマスコミプロガバンダでブルジョア化し、彼らの不利益を彼らの満足と錯覚させる洗脳が行われているのも周知のとおりだ。

 そこで今、問題は「労働者階級の意識的な組織化をいかに達成するか?」に戻るわけだ。
 世界に類をみない「企業内労組」が「御用労組」でこれ自体が支配階級による洗脳の道具でしかない。
 企業別にまったくとらわれない、失業者、退職者を含む横断職能組合、職業組合とその産別連合。
 欧米で一般的なこの組織形態は、社会思想としての「相互扶助」の可能性を大いに高める要素にあふれている。
 よく「アナーキーな暴動」と言い方がされるが、これは単純な支配階級の言う「暴力反対」ではないはずで、勝利の展望無く敗北と弾圧しか招かない行動を言うのである。

 公然たる相互扶助の失業者、退職者、家族をも含む労働団体が、公然と闘い、要求するのである。
 政府が権力を放棄するなら、取って代わるのである。
 この国はイタリア、スペインではないので現実性はない。
 だが、あまりにも大衆洗脳が進んでいるのは、支配側の無理が限界となるのも事実だろう。

 この国でも、クロポトキンの相互扶助論。労働階級の政党化を考慮しないで、真っ当な労働生活大衆組織(横断的な職能、職業労組、一般労組、同業組合、協同組合など)による意識化の方向は萌芽が表れている。
 十分に達成可能な課題ではないだろうか。
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