闇の中ではない、明るく輝くろうそくが:本澤
2012-12-06

闇の中ではない、明るく輝くろうそくが増え続けている。
本澤二郎「日本の風景」から。
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本澤二郎の「日本の風景」(1214)
<ナベツネと小沢の死闘>
12月4日公示の衆議院選挙の勝敗の行方は混とんとしている。いい加減、出まかせの情報を週刊誌は、面白おかしく流して関係者を一喜一憂させている。
今回の隠れた決戦は、小沢退治の黒幕であるナベツネと小沢の死闘の行方であろう。筆者の注目点である。
ナベツネは滋賀県知事が立ち上げた「未来」に対して、即座に批判の社説を掲げて、大方のジャーナリストを驚かせた。小沢退治への執念であろう。日本記者クラブでの各党党首の討論会は、例によってナベツネの子分を揃えて質問させていた。
しかし、小沢は潰れない。猛然とナベツネ工作を乗り越えている。常人に出来ないことである。これが小沢ファンにとって、たまらなく魅力的なのだろう。死闘は始まったばかりである。
左翼共産党から極右に転向したナベツネは、児玉誉士夫・大野伴睦・中曽根康弘らと提携しながら、読売の出世階段を駆け上った。この間、ワシントン支局にも籍を置いて、ワシントンの共和党右派人脈をも手にしている、と見られている。
戦後の読売を急成長させた元内務官僚・正力松太郎は、CIAのコードネームもあったことが判明している。ナベツネはその後継者となって、これまた元内務官僚の中曽根と連携して原発推進の音頭を取ってきた。
小沢新党ともいえる「未来」は、10年以内に原発のない日本にすると公約した。原発NOだ。
世論を受け入れたまともな公約だが、それはナベツネに対する挑戦状でもあった。このナベツネ路線を踏襲する政党が、安倍・自民党と石原・維新の会ということになる。極右の連携なのだ。
余談だが、小沢の恩師・田中角栄は、児玉の仲間である笹川良一にメスを入れようとして失敗した。笹川財団は今日の日本財団だ。競艇ギャンブルの売り上げを原資にしている右翼で知られる。
戦前右翼は、財閥富豪を攻撃したが、戦後右翼は自ら富豪の道を歩んで、むしろ彼らの防衛に努めている。
<老いぼれに足元の亀裂>
中曽根も94歳、最近、夫人に先立たれた。老いると、夫婦の情愛は格別といわれる。かなりまいっているだろう。
それはナベツネとて年齢には勝てない。16歳後輩の小沢をひねりつぶそうとしたが、失敗してしまった。全てのマスコミを動員して小沢を悪党に仕立て上げた。その先に捜査機関を、検察が証拠をねつ造しても、駄目だった。検察審査会を投入しても、成功できなかった。
恐らく、この3年間の小沢とナベツネの攻防戦は、以上のような経緯を辿ってきたと見られている。小沢はしかし、耐えた。見事に耐えた。これに筆者も驚愕するばかりである。
この間、ナベツネの足元が揺らいできている。彼の数々の政治工作を暴露させる作業も進行している、と風の便りに聞く。
86歳の現役主筆は立派だが、頭脳の衰えは明らかだ。それが先の小沢新党への暴走社説に現れている。
<小沢のコンプレックス>
小沢の強さを教えてくれる人物が現れた。彼は「小沢の強さは、コンプレックスからきている。やられても何くそと反発して耐える。優等生に出来ないことだ」と指摘した。
「小沢の父親は苦学して弁護士になった。東京市議を経て政界に飛び出した。東京では2号と生活、小沢は幼くして岩手で母親との生活。父親への反発を母親と共有しながら。そして父を越えようとして東大を目指したが失敗。やむなく慶応で司法試験に挑戦、大学院で果たそうとしたが、大学院に入れなかった。
やむなく父親が苦学した日大の大学院に入って、勉強を続けたが、やはり駄目。とうとう父親を超えることが出来なかった」
コンプレックスの塊が、小沢の精神を強くさせているというのだ。なるほど理解できる。小沢がナベツネごときに屈するはずはない。原発新聞に未来はないだろう。
軍配はいずれ小沢に上がる。早ければ12月16日になるのだが?
<民自公は欠陥商品>
ナベツネ支配のマスコミは、自民党と公明党が過半数を制することに期待をかけて報道している。もしも、届かなかった場合は、民主党を抱き込めばいいと想定している。民自公の連立政権である。
これは財閥と官閥とワシントンCIAの計略と思われる。10%消費税派の思惑である。
新聞テレビに誘導されるだけの有権者ばかりだと、民自公政権・大増税政権が誕生する。霞が関に対するメスは入らず、日本衰退に拍車がかかるだけである。民自公は商品に譬えると、欠陥商品なのだ。
新聞テレビが世論形成をするわけだから、民自公政権の可能性は低くはない。むろん、増税で1000兆円を超える借金大国を経営することは不可能であるが。ネット報道の行方も注目される。
<プラス維新は最悪>
安倍は憲法を改悪して、日本を戦争国家に改造しようとしている。アメリカの戦争に加担することが、米軍の下請け国防軍が、日米同盟と信じる危険人物だ。アジアに緊張を振りまこうという極右人物だ。
この考えの持ち主は、石原・橋下の維新の会である。民自公に石原を加えて3分の2を実現しようとしているため、石原との連携に前向きだろう。
第一、石原の2人の息子は自民党ではないか。
日本はかなり危ない橋を渡ろうとしている。その水先案内人がナベツネ新聞テレビということになろうか。ここは小沢にかけるしかないだろう。
<未来に希望>
小沢公約は、世論に委ねている。ふと、先輩の角栄秘書の早坂茂三を思い出した。彼は1年生代議士に対して「朝日新聞の社説を読め」と指示していた。今は大分変化しているが、昔の朝日は灯台の役目を担っていた。
朝日の言い分を演説すれば、有権者から支持を得られるというものだ。早坂も左翼から保守に変質した人物だが、ナベツネほど極右に走らなかった。田中も早坂も「日中友好はアジアの平和と安定の基礎」という理念の信奉者だった。
小沢には、田中や早坂のリベラルが膚に沁み込んでいると思いたい。
自民党時代の小沢ではない。それは亀井静香にも言える。彼は福田赳夫や中曽根の派閥にいたこともある。しかし、郵政民営化問題と3・11で保守的1本やりの思考を変えた。
史上空前の原発大惨事・民族の存亡を目の前にして反原発の立場、自立する日本に舵を切った。
ワシントン服従の日本に危機感を抱いている。官邸包囲デモに賛同した理由だ。
琵琶湖畔での小沢と滋賀県知事の密会では、こうしたやりとりがあったのだろう。
小沢はナベツネの裏をかいている。ナベツネの時代も幕引きが始まっているとみたい。
本澤二郎の「日本の風景」(1215)
<財界も脱原発へ始動>
経済音痴のもとへ最新の大手町情報が寄せられてきた。事実ならいいニュースである。
「財界が脱原発に舵を切った」というのである。ということは、今度の総選挙で原発再稼働派の民主党はいうに及ばず、続原発派の自民党や原発促進派の維新の会に対して、金と票の支援をしないか、薄めることになる、というのだ。
どうしてか?「財界人の多くは、原発ではもう飯が食えない」ということがわかってきた。
そういえば、アメリカはシェールガス発電に切り替わる。3・11脱原発の影響は、国際的広がりを見せている。各国とも原発は、核のゴミ一つとっても深刻な負の遺産であることに気付いたからなのだ。
<重電の日立・三菱の連携>
最近、日立と三菱の重電機部門の提携・合体が明らかになった。「3・11の福島原発大惨事が、もろに影響している」が、その筋の解説だ。
日本の原発ビジネスは、各国の市民・人類から拒絶されてしまった。日本での新規建設は100%不可能である。
欧州も無理だ。アジアでも反原発世論が大勢を占めている。中国でも無理だろう。人民が受け入れない。強行すれば、人民が力で反対するだろう。福島事件の知られざる人類に対する貢献である。人類は福島の教訓を学んでいる。
こうした分析から重電器メーカーも、ビジネス認識を新たにしたようなのだ。日立と三菱の連携は、経済界のみならず関係方面に衝撃を与えている。性能のよいガスなどの火力発電機の開発に力を入れることになる。
<孤立した東芝>
その点で、東芝の対応が遅れている。東芝は3・11をまるで反省していない原子炉メーカーだ。表向き社会的責任を吹聴しながら、原子炉製造に必死という狂った企業である。
米原子炉メーカーを、大金はたいて子会社化したものの、まだまだ元が取れていない。そのため買収資金相当の利益を挙げねばならない、と考えているようだ。
依然として現在も、東芝ビジネスの核は原子炉製造である。しかし、日本ではもう作れない。用無しだ。「輸出でぼろ儲けできる」という判断をしているのだろうが、3・11の影響は地球全体に行き渡っている。
第一、福島の東芝製3号機の核爆発さえ秘匿して、真実を公表出来ないでいる。こんな不誠実な企業の原子炉を「信用しろ」と言う方がおかしい。
たとえ途上国の政府を買収したとしても、ネット時代の住民がおいそれと受け入れることはないだろう。
先見の明のない無責任・無能の経営者として、人々から非難されるだろう。いかにテレビCMを大量に流しても、無駄なことだろう。
<住化の経団連会長も孤立>
東芝は三井住友傘下に入る。経団連会長の米倉も住友出身者だから、必死で原発ゼロに反対している。
しかし、すでに内部で孤立してしまっているようだ。彼は三菱と日立の重電機メーカーの合体について、相当にショックを受けたという。
ナベツネ読売は、野田に対して「原発・消費税・TPPをちゃんとやるのであれば、支持する」と言明していたことが、昨夜届いた極秘メモに記述されていた。
消費税の10%を強行した野田は、TPPを選挙の争点にしたが、そこにはワシントンと連携するナベツネとの駆け引きも存在したようだ。
むろん、原発再稼働もナベツネの意向にも順じた行動の一つとみたい。
そうして見ると、卒原発の未来の党に対して、真っ向から排除しようとの主張理由が理解できる。
堕ちた言論人は、しかし、財界内部や世界の変身に気付いていない。それは米倉孤立にもいえる?
<京セラ・稲盛はソーラー発電>
民主党スポンサーで定評のある京セラの稲盛も、いち早く松下政経塾の前原の後援会長を降りて、目下のところ、脱原発・反TPP・反増税の小沢に接近しているという。
先見の明のある経営者でも知られる稲盛だ。動きが速い。
彼は人間や地球と共存できない原発コストが、自然エネルギーに比べて、べら棒に高いことを熟知している。原発のない社会へとビジネスを軌道修正して当然だろう。
筆者は知らなかったが、京セラは太陽光発電メーカーでは、シャープ・パナソニックに次いで3番手を走っている。小沢政治の開花と京セラの発電ビジネスの拡大は、双方に利害の一致を見てとれる。
既に報道されているのであろうが、小沢と嘉田の琵琶湖密会をセットした人物が稲盛というのだ。
先見の明のある経済人は、既に松下政経塾離れをしていたのだ。
<ソフトバンクやトヨタも>
一時、大阪の橋下に接近していたソフトバンクの孫正義も、石原の配下となったことから「現在は小沢にかけている」と見られている。彼は既に大がかりなソーラー発電建設に取り組んでいる。孫の投資先は自然エネルギー発電に絞られている。
隣国との緊張や対立を煽り、改憲で世論を分断する石原・橋下路線に反対しているのだろう。
中国に投資している企業、とりわけ自動車業界も小沢に接近しているというのだ。あり得るだろう。
日中関係の改善を極右の安倍には、当然のことながら期待できない。「安倍が天下を取ると、自民党は分裂する」との見方も出ている。「アジア重視の小沢にかけるしか、トヨタなど日本の自動車メーカーは生き延びることは出来ない」という指摘はその通りだろう。
石原と野田の尖閣問題化が、財界の小沢への期待となっているという。財閥内部も複雑に割れてきている。
トヨタの城下町で知られる愛知県は、長い間、労働組合が政治の主導権を握っていた。トヨタ経営陣は自民党を相手にしなかった。
「奥田が肩書に浮かれて財界に手を出して変身したが、もともとは金もうけ主義。政治に翻弄されないできた。
今回の石原・野田の尖閣表面化で内心、怒り狂っている。中国ビジネスを軌道に乗せるためには、小沢に期待するしか手はない、という思いだろう」と専門家も指摘している。
<原発と尖閣が小沢支援>
世の中は変わる。地球は動いている。裁判から解放されて、自由の身となった小沢に心ある経済人も支援を始めている。
ワシントンの属国に反発する市民・文化人も、亀井静香や小沢に期待している。
ナベツネ主導の新聞テレビは、相変わらず小沢叩きに懸命だが、ネット社会での小沢人気はすごい。
12月16日の結果が待たれるところである。
<ケニアの地熱発電は日本の技術>
日本は地震大国だ。地熱発電による発電も無尽蔵にある。
これまで不熱心な政府のため、日本の地熱発電技術は海外で活躍している。アフリカのケニアでは、地熱発電が電力の主力になりつつある。
この地熱なら日本で大がかりな開発が可能だ。地震国では、地熱発電の需要が増大している。日本もそうすれば原発など不要だ。
政府がここに集中して投資環境を用意すればいい。次の政権の課題だ。財界の小沢接近が選挙でどうなるのか、にも注意していくべきだろう。
全てが闇の日本ではない。1本のローソクは輝いている。
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