笹子トンネルの吊天井事故
2012-12-03
中央高速の笹子トンネル事故は天井から厚さ8cmものコンクリート板(もちろん鉄筋入り)が百数十mにわたって落下するという事故だった。
これまであまり例のない落下事故である。
なぜ、当時こんな吊天井が設計されたのか、
吊ったものは落下しやすいので、建物の天井などは軽量材を使う。
また、トンネルの場合は交通振動しているので、建物のように目視点検しても意味が無い。
そしてこの吊天井の上5m以上の高さに結合する吊金具に打音検査を施さなければならないはずだが、されておらず、点検基準にもなかったようだ。
「なんでも民営化」と「外部委託化」、そして緊縮予算がまかりとおる中で、点検検査、維持補修が年々不十分になっていることは道端の雑草が増えていることからさえうかがえる。
今後の方向を思うに、どうもこの吊天井落下事故は、これからの交通環境と安全確保に重大なことが示されているのではないか。
※ は私の注釈。
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中央道笹子トンネルで天井崩落…車が下敷き炎上複数遺体 12/3 スポニチ
山梨県大月市と甲州市にまたがる中央自動車道上り線の笹子トンネル(全長約4・7キロ)内で2日午前8時ごろ、コンクリート製の天井板が約110メートルにわたり崩落し、少なくとも通行中の車3台が下敷きになった。車両火災も発生。総務省消防庁によると、焼損した乗用車内に5人が乗っていた。県警も複数の遺体を確認し、業務上過失致死傷容疑で捜査を始めた。
中日本高速道路八王子支社によると、事故現場は東京側出口から約1・7キロ付近。天井板は約100枚が崩落した。1枚当たり幅5メートル、奥行き1・2メートル、厚さ8センチで、約1・2トン。トンネル上部の通気ダクトと車が走行する部分を仕切るように道路から約4・5メートルの高さに、横に2枚が長さ5・3メートルの鋼材でつるされて並べられている。この鋼材が外れたもよう。
同支社に設置された監視カメラのモニター画面には、両方の天井板がセンターラインに向かってV字形に崩れ落ちた姿が映し出されていた。
中日本高速道路は、9月の点検で天井板の上に人が入りチェックし、異常は見つからなかったとしているが、1977年の開通以降、大規模な改修工事はしておらず、老朽化していた可能性がある。
総務省消防庁によると焼けた乗用車内に5人が乗っているのを確認。病院に搬送された神奈川県三浦市の銀行員の女性(28)は「6人が乗っていたレンタカーから(1人で)脱出した」と話している。
東山梨消防本部によると、がれきの下から食品卸会社のものとみられるエンジンがかかったトラックが見つかり、車内には男性1人が乗っていた。男性とみられる人物から同僚の携帯電話に「身動きがとれない。苦しい。助けてください」と連絡があり、午後0時20分ごろ119番。その後、現場で医師が男性の死亡を確認した。また県警は、焼損した山梨ナンバーの乗用車内で新たに遺体を発見した。
現場には救急車やポンプ車など計14台が出動し、日が替わった3日も救出作業は続いた。
東山梨消防本部によると、二次崩落の危険があるため、午後0時50分に活動を一時中断。補強工事が終わった午後4時半ごろ、救出作業が再開された。午後には雪が舞い始め、夕方からは投光器で入り口を照らしながら、トンネル内に放置された約30台の一般車両を警察官が運転したり、レッカー車を使うなどして移動させた。土ぼこりにまみれ、車体がへこんだ乗用車が崩落の衝撃を物語っていた。
▽笹子トンネル 山梨県大月市と甲州市にまたがり、中央自動車道の大月ジャンクションと勝沼インターチェンジ間にある。上下線が別々のトンネルで片側2車線。上り線は全長約4・7キロ。帰省やUターンラッシュで渋滞が集中する。今年10月には、下り線で3人が死傷する事故があった。
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高速3社管内 笹子トンネルと同様の構造は12カ所 12/2 スポニチ
中央自動車道の笹子トンネル内崩落事故
中日本高速道路によると、中央自動車道で天井の崩落事故を起こした笹子トンネルと天井板の構造が同じトンネルは、東日本、西日本高速道路管内と合わせ、笹子トンネルを含め計12カ所ある。
中日本は3日から、笹子、恵那山、都夫良野、富士川の4トンネルを緊急点検する。12カ所は次の通り。
【首都圏中央連絡自動車道(圏央道)】菅生トンネル
【中央自動車道】笹子トンネル▽恵那山トンネル
【東名高速道路】都夫良野トンネル
【新東名高速道路】富士川トンネル
【第2京阪道路】京田辺トンネル▽長尾東トンネル▽長尾台トンネル
【山陽自動車道】志和トンネル▽安芸トンネル▽武田山トンネル
【国道2号】関門トンネル
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全国の高速に二十数カ所以上“つり天井”トンネル 12/3 テレビ朝日
笹子トンネルと同じつり天井方式のトンネルが、全国の高速道路で少なくとも二十数カ所あることが分かりました。
崩落した笹子トンネルは、重さ1トン以上あるコンクリート製の天井の板を金属製の棒でつり下げる方式になっています。
国土交通省によりますと、同じ方式のトンネルは全国の高速道路のトンネル1575本のうち、少なくとも二十数カ所あるということです。
中日本高速は、9月に笹子トンネルの点検を実施しましたが、問題は見つからなかったということです。
また、3日から中央道の恵那山トンネルや新東名の富士川トンネルなど管内にある同じ方式のトンネル4カ所の緊急点検を行います。
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※ 全国の高速道のみならず、国道、都道府県道、市町村道のトンネル点検が必至でしょう。
また、吊天井以外のトンネル添架物、高架下とかアンダーパスなども落下防止点検が必須でしょう。
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クローズアップ2012:中央道トンネル崩落 後手に回った対応 12/3 毎日
◇老朽化対策、先月から 「経年劣化」の指摘も−−高速3社
天井板の崩落事故が発生した山梨県の中央自動車道・笹子トンネルは、供用開始から35年が経過しており、中日本高速道路など高速3社は先月、道路全般の老朽化対策について検討を始めたばかりだった。
専門家からは経年劣化の可能性が指摘されるとともに、点検方法の見直しや早期の原因究明を求める声が上がった。
中日本高速道路によると、笹子トンネルは中央道の起点・高井戸インターチェンジ(東京都杉並区)から82・7キロの地点にあり、全長4784メートルで77年12月20日開通。崩落した天井板はプレキャストコンクリート(PC)板と呼ばれ、板1枚は幅5メートル、奥行き1・2メートル、厚さ8〜9センチ、重さ約1・2〜1・4トン。これを左右に1枚ずつ並べ、両端はトンネルの壁に固定し、中央部分はトンネル最上部からつり金具で固定していた。
つり金具は板の奥行きと同じ1・2メートル間隔で設けられ、金具と金具の間には隔壁がある。隔壁は天井の上の空間を左右に分け、片方はトンネル内の車の排ガスを換気機を使って排出する排気用、もう片方は外部の新鮮な空気を取り入れる送気用として利用しており、これは「横流(おうりゅう)換気方式」と呼ばれる。
このトンネルの天井が約130メートルにわたり崩壊。つり金具部分も落ちる一方、天井板の両端はトンネルに固定されたままで、V字形になった。施工は76年8月から77年9月に大成建設と大林組の共同企業体が行い、点検は中日本高速グループの中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京10+件(東京都新宿区)が担当していた。
同社によると、天井の点検は技術者の目視と専用のハンマーを使った打音で行われ、水門直仁・経営企画課長は「技術者はたたいた時の反発や音で劣化の有無についてある程度目安はつく。一番信頼性が高い方法で、他のトンネルや業者でも同様だ」と説明した。
一方、近年は天井がなく、ジェットファンや車の流れでトンネルの出入り口で換気する「縦流(じゅうりゅう)換気方式」が主流とされる。横流方式には構造物が多くコストがかかる一方、縦流方式は安価なため普及したという。
中日本高速は「トンネルの更新計画はなかったが、経済性や、天井板があると圧迫感があるので縦流方式の方が好ましいと考えていた。でも工事には長期間の通行止めが必要なので、簡単ではない」と説明した。【池田知広、神足俊輔】
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※ 点検検査の受託会社幹部はハンマーでの打音検査をやっていたと言うが、高速道路会社によれば「打音検査」の報告は一切無いという(他の通信社)。
なんたる恥知らず!嘘を公言したのだ。
嘘をつくものではない。じきにバレるのだから。
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つり金具結合部、点検は目視=天井板保守管理、捜査焦点―笹子トンネル崩落事故 12/3 WSJ
山梨県大月市と甲州市にまたがる中央自動車道上り線の笹子トンネル(全長約4.7キロ)の天井板が崩落した事故で、中日本高速道路が今年9月に同トンネルを点検した際、最上部と重さ1トン以上の天井板をつり下げる「つり金具」の結合部分の点検を目視だけで済ませていたことが3日までに分かった。1977年の開通以来、結合部分の点検を目視で済ませていた可能性もある。
事故ではつり金具が天井板とともに落下していた。つり金具とトンネル最上部の結合部が老朽化し、腐食していた可能性もある。山梨県警は業務上過失致死傷容疑などで捜査を進めており、中日本高速道路の保守点検の仕方や安全対策基準に問題がなかったかどうかが捜査の焦点になる。
中日本高速道路によると、9月18〜20日に実施された点検では、つり金具とトンネル最上部を結合するボルト(直径16ミリ、長さ23センチ)については、天井板から高さ5.3メートルの位置にあるため、工具でたたいて音の異常などを調べる「打音」検査は実施していなかった。
[時事通信社]
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トンネル崩落事故 原因は「老朽化」ボルト抜けている箇所発見 12/3 スポニチ
中日本高速道路幹部は3日の記者会見で、トンネル本体上部の天井に、つり金具をつなぐボルトが抜けている箇所があったことを明らかにし、「大きな原因は老朽化と考えられる」と説明した。
崩落事故を受け、同様に天井板がある笹子トンネル下り線で緊急点検を実施。3日午前には中央道の恵那山トンネル(長野県、岐阜県)や東名高速道路の都夫良野トンネル(神奈川県)も点検する。
中日本高速によると、ドーム天井と天井板をつなぐ「つり金具」などをハンマーで打音検査し、異常の有無を確認。4日には新東名の富士川トンネル(静岡県)でも実施する。
国土交通省は2日、同じように天井板を持つトンネルの点検を高速道路各社に近く指示する方針を明らかにしている。
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※ 点検整備の手抜きが濃厚というか、安全確保できない点検検査は、点検検査にならないので、欠陥検査に委託料を払っていたわけだ。
それだけではない。
開通前の会計検査院報告書。
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高速道路等のトンネル新設工事におけるアーチ部覆工コンクリート等の施工について処置を要求したもの
(昭和51年11月29日付け51検第458号日本道路公団総裁あて) 会計検査院
日本道路公団が施行している高速道路等のトンネル新設工事のうち、昭和50年度実施にかかわる東北自動車道平泉工事ほか29工事(工事費総額794億 1878万余円)について検査したところ、中央高速道路笹子トンネル西工事ほか13工事(工事費総額403億3194万余円)において、次のとおり、監督 及び検査が適切でなかったため、トンネルアーチ部の覆工コンクリート等の施工が設計と相違し、その一部の強度が設計に比べて低くなっていると認められる事例が見受けられた。
(以下略)

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※ 地山と巻立てコンクリートの間が密着せず、空間があることは、トンネル強度自体が危険であり、また大型重車両の通過振動、あるいは地山のゆるい滑りなどで容易にトンネルが崩壊することとなる。
また、トンネルの躯体が(たとえ僅かでも)ズレたり歪むことによって、吊天井など緩みやすくなること、つまり落下しやすくなることは言うまでもない。
維持と補修の予算を削減しないこと。監督人員を強化すること。
でなければ、今後同様の事故が多発するだろう。
これまであまり例のない落下事故である。
なぜ、当時こんな吊天井が設計されたのか、
吊ったものは落下しやすいので、建物の天井などは軽量材を使う。
また、トンネルの場合は交通振動しているので、建物のように目視点検しても意味が無い。
そしてこの吊天井の上5m以上の高さに結合する吊金具に打音検査を施さなければならないはずだが、されておらず、点検基準にもなかったようだ。
「なんでも民営化」と「外部委託化」、そして緊縮予算がまかりとおる中で、点検検査、維持補修が年々不十分になっていることは道端の雑草が増えていることからさえうかがえる。
今後の方向を思うに、どうもこの吊天井落下事故は、これからの交通環境と安全確保に重大なことが示されているのではないか。
※ は私の注釈。
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中央道笹子トンネルで天井崩落…車が下敷き炎上複数遺体 12/3 スポニチ
山梨県大月市と甲州市にまたがる中央自動車道上り線の笹子トンネル(全長約4・7キロ)内で2日午前8時ごろ、コンクリート製の天井板が約110メートルにわたり崩落し、少なくとも通行中の車3台が下敷きになった。車両火災も発生。総務省消防庁によると、焼損した乗用車内に5人が乗っていた。県警も複数の遺体を確認し、業務上過失致死傷容疑で捜査を始めた。
中日本高速道路八王子支社によると、事故現場は東京側出口から約1・7キロ付近。天井板は約100枚が崩落した。1枚当たり幅5メートル、奥行き1・2メートル、厚さ8センチで、約1・2トン。トンネル上部の通気ダクトと車が走行する部分を仕切るように道路から約4・5メートルの高さに、横に2枚が長さ5・3メートルの鋼材でつるされて並べられている。この鋼材が外れたもよう。
同支社に設置された監視カメラのモニター画面には、両方の天井板がセンターラインに向かってV字形に崩れ落ちた姿が映し出されていた。
中日本高速道路は、9月の点検で天井板の上に人が入りチェックし、異常は見つからなかったとしているが、1977年の開通以降、大規模な改修工事はしておらず、老朽化していた可能性がある。
総務省消防庁によると焼けた乗用車内に5人が乗っているのを確認。病院に搬送された神奈川県三浦市の銀行員の女性(28)は「6人が乗っていたレンタカーから(1人で)脱出した」と話している。
東山梨消防本部によると、がれきの下から食品卸会社のものとみられるエンジンがかかったトラックが見つかり、車内には男性1人が乗っていた。男性とみられる人物から同僚の携帯電話に「身動きがとれない。苦しい。助けてください」と連絡があり、午後0時20分ごろ119番。その後、現場で医師が男性の死亡を確認した。また県警は、焼損した山梨ナンバーの乗用車内で新たに遺体を発見した。
現場には救急車やポンプ車など計14台が出動し、日が替わった3日も救出作業は続いた。
東山梨消防本部によると、二次崩落の危険があるため、午後0時50分に活動を一時中断。補強工事が終わった午後4時半ごろ、救出作業が再開された。午後には雪が舞い始め、夕方からは投光器で入り口を照らしながら、トンネル内に放置された約30台の一般車両を警察官が運転したり、レッカー車を使うなどして移動させた。土ぼこりにまみれ、車体がへこんだ乗用車が崩落の衝撃を物語っていた。
▽笹子トンネル 山梨県大月市と甲州市にまたがり、中央自動車道の大月ジャンクションと勝沼インターチェンジ間にある。上下線が別々のトンネルで片側2車線。上り線は全長約4・7キロ。帰省やUターンラッシュで渋滞が集中する。今年10月には、下り線で3人が死傷する事故があった。
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高速3社管内 笹子トンネルと同様の構造は12カ所 12/2 スポニチ
中央自動車道の笹子トンネル内崩落事故
中日本高速道路によると、中央自動車道で天井の崩落事故を起こした笹子トンネルと天井板の構造が同じトンネルは、東日本、西日本高速道路管内と合わせ、笹子トンネルを含め計12カ所ある。
中日本は3日から、笹子、恵那山、都夫良野、富士川の4トンネルを緊急点検する。12カ所は次の通り。
【首都圏中央連絡自動車道(圏央道)】菅生トンネル
【中央自動車道】笹子トンネル▽恵那山トンネル
【東名高速道路】都夫良野トンネル
【新東名高速道路】富士川トンネル
【第2京阪道路】京田辺トンネル▽長尾東トンネル▽長尾台トンネル
【山陽自動車道】志和トンネル▽安芸トンネル▽武田山トンネル
【国道2号】関門トンネル
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全国の高速に二十数カ所以上“つり天井”トンネル 12/3 テレビ朝日
笹子トンネルと同じつり天井方式のトンネルが、全国の高速道路で少なくとも二十数カ所あることが分かりました。
崩落した笹子トンネルは、重さ1トン以上あるコンクリート製の天井の板を金属製の棒でつり下げる方式になっています。
国土交通省によりますと、同じ方式のトンネルは全国の高速道路のトンネル1575本のうち、少なくとも二十数カ所あるということです。
中日本高速は、9月に笹子トンネルの点検を実施しましたが、問題は見つからなかったということです。
また、3日から中央道の恵那山トンネルや新東名の富士川トンネルなど管内にある同じ方式のトンネル4カ所の緊急点検を行います。
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※ 全国の高速道のみならず、国道、都道府県道、市町村道のトンネル点検が必至でしょう。
また、吊天井以外のトンネル添架物、高架下とかアンダーパスなども落下防止点検が必須でしょう。
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クローズアップ2012:中央道トンネル崩落 後手に回った対応 12/3 毎日
◇老朽化対策、先月から 「経年劣化」の指摘も−−高速3社
天井板の崩落事故が発生した山梨県の中央自動車道・笹子トンネルは、供用開始から35年が経過しており、中日本高速道路など高速3社は先月、道路全般の老朽化対策について検討を始めたばかりだった。
専門家からは経年劣化の可能性が指摘されるとともに、点検方法の見直しや早期の原因究明を求める声が上がった。
中日本高速道路によると、笹子トンネルは中央道の起点・高井戸インターチェンジ(東京都杉並区)から82・7キロの地点にあり、全長4784メートルで77年12月20日開通。崩落した天井板はプレキャストコンクリート(PC)板と呼ばれ、板1枚は幅5メートル、奥行き1・2メートル、厚さ8〜9センチ、重さ約1・2〜1・4トン。これを左右に1枚ずつ並べ、両端はトンネルの壁に固定し、中央部分はトンネル最上部からつり金具で固定していた。
つり金具は板の奥行きと同じ1・2メートル間隔で設けられ、金具と金具の間には隔壁がある。隔壁は天井の上の空間を左右に分け、片方はトンネル内の車の排ガスを換気機を使って排出する排気用、もう片方は外部の新鮮な空気を取り入れる送気用として利用しており、これは「横流(おうりゅう)換気方式」と呼ばれる。
このトンネルの天井が約130メートルにわたり崩壊。つり金具部分も落ちる一方、天井板の両端はトンネルに固定されたままで、V字形になった。施工は76年8月から77年9月に大成建設と大林組の共同企業体が行い、点検は中日本高速グループの中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京10+件(東京都新宿区)が担当していた。
同社によると、天井の点検は技術者の目視と専用のハンマーを使った打音で行われ、水門直仁・経営企画課長は「技術者はたたいた時の反発や音で劣化の有無についてある程度目安はつく。一番信頼性が高い方法で、他のトンネルや業者でも同様だ」と説明した。
一方、近年は天井がなく、ジェットファンや車の流れでトンネルの出入り口で換気する「縦流(じゅうりゅう)換気方式」が主流とされる。横流方式には構造物が多くコストがかかる一方、縦流方式は安価なため普及したという。
中日本高速は「トンネルの更新計画はなかったが、経済性や、天井板があると圧迫感があるので縦流方式の方が好ましいと考えていた。でも工事には長期間の通行止めが必要なので、簡単ではない」と説明した。【池田知広、神足俊輔】
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※ 点検検査の受託会社幹部はハンマーでの打音検査をやっていたと言うが、高速道路会社によれば「打音検査」の報告は一切無いという(他の通信社)。
なんたる恥知らず!嘘を公言したのだ。
嘘をつくものではない。じきにバレるのだから。
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つり金具結合部、点検は目視=天井板保守管理、捜査焦点―笹子トンネル崩落事故 12/3 WSJ
山梨県大月市と甲州市にまたがる中央自動車道上り線の笹子トンネル(全長約4.7キロ)の天井板が崩落した事故で、中日本高速道路が今年9月に同トンネルを点検した際、最上部と重さ1トン以上の天井板をつり下げる「つり金具」の結合部分の点検を目視だけで済ませていたことが3日までに分かった。1977年の開通以来、結合部分の点検を目視で済ませていた可能性もある。
事故ではつり金具が天井板とともに落下していた。つり金具とトンネル最上部の結合部が老朽化し、腐食していた可能性もある。山梨県警は業務上過失致死傷容疑などで捜査を進めており、中日本高速道路の保守点検の仕方や安全対策基準に問題がなかったかどうかが捜査の焦点になる。
中日本高速道路によると、9月18〜20日に実施された点検では、つり金具とトンネル最上部を結合するボルト(直径16ミリ、長さ23センチ)については、天井板から高さ5.3メートルの位置にあるため、工具でたたいて音の異常などを調べる「打音」検査は実施していなかった。
[時事通信社]
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トンネル崩落事故 原因は「老朽化」ボルト抜けている箇所発見 12/3 スポニチ
中日本高速道路幹部は3日の記者会見で、トンネル本体上部の天井に、つり金具をつなぐボルトが抜けている箇所があったことを明らかにし、「大きな原因は老朽化と考えられる」と説明した。
崩落事故を受け、同様に天井板がある笹子トンネル下り線で緊急点検を実施。3日午前には中央道の恵那山トンネル(長野県、岐阜県)や東名高速道路の都夫良野トンネル(神奈川県)も点検する。
中日本高速によると、ドーム天井と天井板をつなぐ「つり金具」などをハンマーで打音検査し、異常の有無を確認。4日には新東名の富士川トンネル(静岡県)でも実施する。
国土交通省は2日、同じように天井板を持つトンネルの点検を高速道路各社に近く指示する方針を明らかにしている。
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※ 点検整備の手抜きが濃厚というか、安全確保できない点検検査は、点検検査にならないので、欠陥検査に委託料を払っていたわけだ。
それだけではない。
開通前の会計検査院報告書。
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高速道路等のトンネル新設工事におけるアーチ部覆工コンクリート等の施工について処置を要求したもの
(昭和51年11月29日付け51検第458号日本道路公団総裁あて) 会計検査院
日本道路公団が施行している高速道路等のトンネル新設工事のうち、昭和50年度実施にかかわる東北自動車道平泉工事ほか29工事(工事費総額794億 1878万余円)について検査したところ、中央高速道路笹子トンネル西工事ほか13工事(工事費総額403億3194万余円)において、次のとおり、監督 及び検査が適切でなかったため、トンネルアーチ部の覆工コンクリート等の施工が設計と相違し、その一部の強度が設計に比べて低くなっていると認められる事例が見受けられた。
(以下略)

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※ 地山と巻立てコンクリートの間が密着せず、空間があることは、トンネル強度自体が危険であり、また大型重車両の通過振動、あるいは地山のゆるい滑りなどで容易にトンネルが崩壊することとなる。
また、トンネルの躯体が(たとえ僅かでも)ズレたり歪むことによって、吊天井など緩みやすくなること、つまり落下しやすくなることは言うまでもない。
維持と補修の予算を削減しないこと。監督人員を強化すること。
でなければ、今後同様の事故が多発するだろう。
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コメント
公明党が狂った自民党を支えて民営化路線に走った。それが今度の事故に次なかった。
民営化路線。公明党は民営化路線の小泉にすり寄った。その後腐敗名に腐敗を重ねる政府、大学まで民営化し学問レベルも下げた。公明党の責任は重い。狂った公明党は、小泉安倍の右翼路線にべったり。おかしいではないか。国家主義の戦前、創価学会は国家によって弾圧された。
笹子トンネルつり金具ボルト抜け落ち
つり金具ボルトの老朽化腐食などに原因を推定しているが「植込みボルト」の機能、工法を知らないのではないか。
トンネル上部の覆コンに穿孔してボルトを差込み「ケミカル
剤注入」との報道がある。事実とすれば「植え込みボルト」の
「コンクリ基盤」との固定の本質無視であろう。緊急対策につり金具、コンクリ表面打診が行われているが、手じかにスパナーでナットを締め上げてみるのが一番の確認となろう。
また落下つり金具の腐食破損実態、トンネル内天井壁落下位置順との関連がが把握できているかも重要な証拠であろう。
トンネル上部の覆コンに穿孔してボルトを差込み「ケミカル
剤注入」との報道がある。事実とすれば「植え込みボルト」の
「コンクリ基盤」との固定の本質無視であろう。緊急対策につり金具、コンクリ表面打診が行われているが、手じかにスパナーでナットを締め上げてみるのが一番の確認となろう。
また落下つり金具の腐食破損実態、トンネル内天井壁落下位置順との関連がが把握できているかも重要な証拠であろう。
Re: 笹子トンネルつり金具ボルト抜け落ち
私も単に金具ボルトの老朽化腐食だけとは思えませんね。
「抜けていた」と言う言い方が気になります。
常に通過する重車両の振動、共鳴があるわけで、そこにに地山の歪みが加わり、さらにコンクリートの質は完全に検査されていたのか、等々重複した可能性は大きいと思います。
また、コンクリートの巻立て部は上になる程に手抜きで薄い可能性があるのが普通です。検査院は普通、天辺での破壊検査はあまりしていないはず。
打音検査はもちろんボルトに対してでなければ意味はありません。
目視ではなんの意味もないので、点検検査の基準がデタラメだったようですね。
この吊下げ重量天井構造と点検検査基準が、まるで見合っていないのです。
この構造が流行した時期を思えば、これから続々と落下する時期だったかも知れません。
ダムは通常、毎年精密な測量を行なって地山と堰堤の動きを監視しています。
笹子トンネルは富士山周辺の断層が多いところですが、この火山国です、トンネルの地山はいつどこででも動いている可能性があります。
「抜けていた」と言う言い方が気になります。
常に通過する重車両の振動、共鳴があるわけで、そこにに地山の歪みが加わり、さらにコンクリートの質は完全に検査されていたのか、等々重複した可能性は大きいと思います。
また、コンクリートの巻立て部は上になる程に手抜きで薄い可能性があるのが普通です。検査院は普通、天辺での破壊検査はあまりしていないはず。
打音検査はもちろんボルトに対してでなければ意味はありません。
目視ではなんの意味もないので、点検検査の基準がデタラメだったようですね。
この吊下げ重量天井構造と点検検査基準が、まるで見合っていないのです。
この構造が流行した時期を思えば、これから続々と落下する時期だったかも知れません。
ダムは通常、毎年精密な測量を行なって地山と堰堤の動きを監視しています。
笹子トンネルは富士山周辺の断層が多いところですが、この火山国です、トンネルの地山はいつどこででも動いている可能性があります。
Re: 公明党が狂った自民党を支えて民営化路線に走った。それが今度の事故に次なかった。
若い頃友人に創価学会の人などいましたが、今の公明党と矛盾はどうなっているのかとたまに思います。
昔の創価学会とは今はまるで人も変わってしまったかのようですね。
良心的な創価学会員(今もいるのかは分からないが)は、公明党に、あるいは学会幹部に対して闘わなければならない立場であるべきと思うのですがね。
昔の創価学会とは今はまるで人も変わってしまったかのようですね。
良心的な創価学会員(今もいるのかは分からないが)は、公明党に、あるいは学会幹部に対して闘わなければならない立場であるべきと思うのですがね。
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