国連人権理事会A・グローバー会見
2012-11-29

「日本政府に要請します…」国連人権理事会特別報告者 アナンド・グローバー 氏 11/26 日本記者クラブ 書き起こし「kiikochan.blog」から
国連人権理事会特別報告者アナンド・グローバー(インド人弁護士)が11月15日~26日まで来日した。
政府関係者、医療従事者などへの調査を終え、
東日本大震災後、被災者などに対して"健康を享受する権利"が機能していたかどうかについて中間報告を発表し、
記者の質問に答えた。
ー略ー(以下発言)
達成可能な最高水準の心身の健康を享受する権利短く言うと「健康を享受する権利」に関する
国連人事理事会特別報告者としての
ミッションを説明した簡単な資料をこの会場に用意しております。
端的に申しますと、
私は健康を享受する権利の実現に関して国連人事理事会及び国連総会に報告・勧告をする独立専門家です。
国連人権理事会から任命を受けましたが、
国連に雇われているわけではなく、名誉職という立場で今回の任務を遂行しています。
独立専門家として、私なりの結論と提言をまとめるべく、専門的判断を下します。
本日の発表は、予備的考察の一部に限らせていただきます。
詳細につきましては2013年6月に国連人権理事会に提示する最終報告で発表いたします。
ー略ー
原発事故の直後には、
放射性ヨウ素の取り込みを防止して甲状腺がんのリスクを低減するために、
被ばくした近隣住民の方々に安定ヨウ素剤を配布する、というのが常套手段です。
私は、日本政府が被害に遭われた住民の方々に安定ヨウ素剤に関する指示を出さず、
配布もしなかったことを残念に思います。
にもかかわらず、一部の市町村は独自にケースバイケースで安定ヨウ素剤を配布しました。
災害、なかでも原発事故のような人災が発生した場合、政府の信頼性が問われます。
従って、政府が正確な情報を提供して、住民を汚染地域から避難させることが極めて重要です。
しかし、残念ながらSPEEDIによる放射線量の情報、
および放射性プルームの動きが直ちに公表されることはありませんでした。
さらに避難対象区域は、実際の放射線量ではなく、
災害現場からの距離および放射性プルームの到着範囲にもとづいて設定されました。
従って、当初の避難区域はホットスポットを無視したものでした。
これに加えて、日本政府は避難区域の指定に年間20ミリシーベルトという基準値を使用しました。
これは、年間20ミリシーベルトまでの実行線量は安全であるという形で伝えられました。
また、学校で配布された副読本などのさまざまな政府刊行物において、
「年間100ミリシーベルト以下の放射線被ばくが、癌に直接的につながるリスクがあることを示す明確な証拠はない」と発表することで
状況はさらに悪化したのです。
年間20ミリシーベルトという基準値は、
1972年に定められた原子力業界安全規制の数字と大きな差があります。
原子力発電所の作業従事者の被ばく限度、管理区域内では
「年間20ミリシーベルト、年間50ミリシーベルトを超えてはならないと定められていまして、
5年間で累計100ミリシーベルト」と、法律に定められています。
3カ月間で放射線量が1.3ミリシーベルトに達する管理区域への一般市民の立ち入りは禁じられており、
作業員は当該区域での飲食、睡眠も禁止されています。
また、被ばく値が年間2ミリシーベルトを超える管理区域への妊婦の立ち入りも禁じられています。
ここで思い出していただきたいのは、
チェルノブイリ事故のあった際、強制移住の基準値は土壌汚染レベルとは別に、
年間5ミリシーベルト以上であったという点です。
また、多くの疫学研究において、
年間100ミリシーベルトを下回る低線量放射線でも、
癌、その他の疾患が発生する可能性があるという指摘がなされています。
研究によれば疾患の発症に下限となる放射線基準値はないのです。
残念ながら、政府が政策で定めた現行の限界線量と、国内の業界安全規制で定められた限界線量、
チェルノブ位置事故時に持ちいられた放射線量の限界値、
そして、疫学研究の知見との間には一貫性がありません。
これが多くの地元住民の間に混乱を招き、
政府発表のデータや方針に対する疑念が高まることに繋がっているのです。
これに輪をかけて、放射線モニタリングステーションが、
監視区域に近接する区域のさまざまな放射線量レベルを反映していないという事実が挙げられます。
その結果、地元住民の方々は、自分たちの放射線量をモニタリングするために
近隣地域の放射線量のモニタリングを自ら行っているという状況にあります。
訪問中、私はそうした際を示す多くのデータを見せてもらいました。
こうした状況において、私は日本政府に対して
住民が測定したものも含め、すべての有効な独立データを取り入れ公にする事を要請いたします。
健康を享受する権利に照らして、
日本政府は全体的かつ包括的なスクリーニングを通じて、
放射線汚染区域における放射線による健康への影響をモニタリングし、適切な処置を取るべきです。
この点に関しては、日本政府はすでに健康管理調査を実施しています。
これは良いのですが、
同調査の対象は、福島県民の呼び被害災害発生時に福島県を訪れていた人々に限られています。
そこで私は日本政府に対して、健康調査を放射線汚染地域全体において実施することを要請しいたます。
これに関連して、福島県の健康管理調査の質問回答率は僅か23%余りと、大変低い数値でした。
また、健康管理調査は
子どもを対象とした甲状腺検査、全体的な健康診査、メンタル面や生活習慣に関する調査、
妊産婦に関する調査に限られています。
残念ながら、調査範囲が狭いのです。
これは、チェルノブイリ事故から限られた教訓しか活用しておらず、
また、低線量放射線地域、たとえば年間100ミリシーベルトを下回る地域でさえも、
癌その他の疾患の可能性があることを指摘する疫学研究を無視しているためです。
健康を享受する権利の枠組みにしたがい、日本政府に対して慎重に慎重を重ねた対応を取ること、
また、包括的な調査を実施し、長時間かけて内部被ばくの調査とモニタリングを行うよう推奨いたします。
自分の子どもが甲状腺検査を受け、
基準値を下回る程度の大きさののう胞や結節の疑いがあるという診断を受けた住民からの報告に、
私は懸念を抱いています。
検査後、ご両親は二次検査を受ける事も出来ず、、要求しても診断書も受け取れませんでした。
事実上、自分たちの医療記録にアクセスする権利を否定されたのです。
残念なことにこれらの文書を入手するためには、煩雑な情報公開請求の手続きが必要なのです。
政府は原子力発電所作業員の放射線による影響のモニタリングについても、特に注意を払う必要があります。
一部の作業員は、極めて高濃度の放射線に被曝していました。
何重もの下請け会社を介在して、大量の派遣作業員を雇用しているという事を知り心が痛みました。
その多くが短期雇用で、雇用契約終了後に長期的な健康モニタリングが行われることはありません。
日本政府に対してこの点に目をそむけることなく、
放射線に被ばくした作業員全員に対してモニタリングや治療を施すよう要請いたします。
報道関係者の皆様、
日本政府は避難者の方々に対して、一時避難施設あるいは補助金支給住宅施設を用意しています。
これは良いのですが、住民の方々によれば、
緊急避難センターは障害者向けにバリアフリー環境が整っておらず、
また、女性や小さな子どもが利用することに配慮したものでもありませんでした。
悲しい事に、原発事故発生後に住民の方々が避難した際、家族が別々にならなければならず、
夫と妻、夫と母と子ども、およびお年寄りが離れ離れになってしまう事態に繋がりました。
これが、互いの不調和、不和を招き、離婚に至るケースすらありました。
苦しみや精神面での不安につながったのです。
日本政府はこれらの重要な課題を早急に解決しなければなりません。
食品の放射線汚染は長期的な問題です。
日本政府が食品安全基準値を
1kgあたり500ベクレルから100ベクレルに引き下げたことは称賛に値します。
しかし、各県ではこれよりも低い水準値を設定しております。
さらに住民はこの基準の導入について不安を募らせています。
日本政府は早急に食品安全の施行を強化すべきです。
また、日本政府は土壌汚染への対応を進めています。
長期的目標として、汚染レベルが
年間20ミリシーベルト未満の地域の放射線レベルは1ミリシーベルトまで引き下げる。
また、年間20~50ミリシーベルトの地域については
2013年末までに年間20ミリシーベルト未満に引き下げる、という具体的政策目標を掲げています。
ただ、ここでも残念なのは、現在の放射線レベルが
年間20ミリシーベルト未満の地域で年間1ミリシーベルトまで引き下げるという目標について、
具体的なスケジュールが決まっていないという点です。
さらに、他の地域については、汚染除去レベル目標は
年間1ミリシーベルトを大きく上回る数値に設定されています。
住民は、安全で健康的な環境で暮らす権利があります。
したがって、日本政府に対して他の地域について、
放射線レベルを年間1ミリシーベルトに引き下げる明確なスケジュール、指標、
ベンチマークを定めた汚染除去活動計画を導入することを要請いたします。
汚染除去の実施に際しては、
専用の作業員を雇用し、作業員の手で実施される予定であるということを知り、
結構なことであると思いました。
しかし、一部の汚染除去作業が、住民自身の手で、
しかも適切な設備や放射線被ばくに伴う悪影響に関する情報もなく行われているのは残念なことです。
また日本政府は、全ての避難者に対して経済的支援や補助金を継続、または復活させ、
避難するのかそれとも自宅に戻るのか、どちらを希望するか、
避難者が自分の意思で判断できるようにするべきです。
これは日本政府の計画に対する避難者の信頼構築にもつながります。
訪問中多くの人々が、
東京電力は原発事故の責任に対する説明義務を果たしていないことへの懸念を表明されました。
日本政府が東京電力の株の大多数を所有していること、
これは突き詰めれば納税者がつけを払わされる可能性があるという事でもあります。
健康を享受する権利の枠組みに於いては、
訴訟にもつながる謝った行為に関わる責任者の説明責任を定めています。
従って日本政府は、東京電力も説明責任があることを明確にし、
納税者が最終的な責任を負わされることのないようにしなければなりません。
ご臨席の皆様、また記者のみなさん、
訪問中、被害にあわれた住民の方々、特に障害者、若い母親、妊婦、子ども、お年寄りなどの方々から、
「自分たちに影響が及ぶ決定に対して発言権がない」という言葉を耳にしました。
健康を享受する権利の枠組みに於いては、地域に影響が及ぶ決定に際して、
そうした影響が及ぶ全ての地域が決定プロセスに参加するよう国に求めています。
つまり、今回被害に遭われた人々は
意思決定プロセス、さらには実行、モニタリング、説明責任プロセスにも参加する必要があるという事です。
こうした参加を通じて、
決定事項が全体に伝わるだけではなく、被害に遭った地域の政府に対する信頼強化にもつながるのです。
これは、効率的に災害からの復興を成し遂げるためにも必要であると思われます。
日本政府に対して、被害に遭われた人々、特に社会的弱者を
全ての意思決定プロセスに十分に参加してもらうよう要請いたします。
こうしたプロセスには、
健康管理調査の策定、避難所の設計、汚染除去の実施等に関する参加などがあげられるでありましょう。
この点については、
「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」が
2012年6月に制定されたことを歓迎します。
この法律は原子力事故により影響を受けた人々の支援及びケアに関する枠組みを定めたものです。
この法律はまだ施行されておらず、
私は日本政府に対して同法を早急に施行する方策を講じることを要請いたします。
これは日本政府にとって、社会的弱者を含む被害を受けた地域が十分に参加する形で、
基本方針や関連規制の枠組みを定めるよい機会になることであるとおもいます。
それではご質問のある方はどうぞお願いいたします。
ご清聴ありがとうございました。
<質疑応答>
Q地球の子ども新聞:
1.
汚染地域の調査を広域にすべきというご指摘ですが、
実際に汚染地域の定義というものを法的にどうあるべきと考えているのか?
チェルノブイリ法では年間1ミリシーベルトを汚染地として定めるとありますが、
実質的には年間0.5ミリシーベルトから、
放射能及び放射線の管理測定をしているというふうに記されております。
2.
福島の被災者の人達が、健康の身体に関して非常に憂慮していることについて、
よく言われる意見として「これは人体実験ではないか」というふうな意見が出されています。
今回のお話しの中で、自分の健康に関する情報が自分でみることができない手続きが指摘されました。
この問題に対する改善指摘のされましたけれども、
インフォームド・コンセントという、ある意味でニュルンベルグ原則のなかにある、
戦争犯罪として極めて非人道的だという事が
インフォームド・コンセントの概念にありますけれども、
実際にこのような、診断書を本人に開示しないという事は
インフォームド・コンセントという概念から見ると、どのように考えられるのか?
特に人権という観点においてニュルンブルグ原則兼ね合いについてお尋ね申し上げます。
3・
さまざまな除染活動等々を含めて、
住民の、具体的な被害者の参加プロセスがきわめて重要だとおっしゃられましたが、のなかで
特に避難の項目について、
年間20ミリシーベルトという極めて高い線量の限度のなかで帰還させられるという被災者の人々が、
それに対して20ミリシーベルト未満で避難解除指示が出されるにと言うことについて、
極めて憂慮しています。
避難基準ということについても、やはり住民の参加プロセスが必要であるかどうか?
アナンド・グローバー:
ありがとうございます。
大変重要なことばかりを質問としていただきまして、感謝をいたします。
1.
私の話しの中でも申し上げましたように健康調査というのは広く行うべきだというのは、
これは申しております。
どこでその意見を知ったか?というのは今定かには覚えておりませんけれども、
とにかく現在行われている健康調査というものは幅が狭いものであるという意見が表明されております。
それからまた
今までになされております健康調査のいくつかを取り込んでいないというような懸念もいたしまして、
これからの健康調査というものはもうちょっと幅広くするべきであるというふうに私は申しました。
で、私が政府の方々とお話をした印象なんですけれども、
政府の方々も同じような印象をお持ちのような気がいたしました。
ですからこれから健康調査の対象は広くしていこうというふうにお考えなのではないかと、
私は推測をしております。
2.
健康調査という事と、人体実験という事に関するご質問ですけれども、
ちょっと、何をお聞きになりたいのか?私はちょっとよく分からなかったのですけれども、
インフォームド・コンセントという事に関してもお聞きになりましたのでそれに関して申しますと、
インフォームド・コンセントというのはどういう概念か?と言いますと、
何らかのテストが行われる前、あるいは何らかの治療措置が施される前に
同意をしなければいけないというのがインフォームド・コンセントの意味であります。
で、今回の福島の方々は、調査されるという事に関しましては、
なんら苦情を申し立てるとか不満を持っているという事ではなかったと思います。
逆に言いますと、健康調査に参加するという事を拒否しているという事ではなかったと思います。
そうではなくて、彼らが問題視していたのは、
そのような健康調査に参加したことによって発生した情報を
自分たちが入手する術がないという事だったのです。
テストをしたという事によって出てきたドキュメントが、
自分達にとって見ることができない、あるいは自分たちが入手可能になっていないという事なのです。
やはりインフォームド・コンセントという概念ではなくて、
このような資料に彼らがアクセスを持つ権利を持っているというふうに考えるべきだと思っております。
住民のみなさんというのは、たとえばセカンドオピニオンを求めるとか、
あるいは、二次調査と言いますか、
もう一度調査をしてもらうという事などにつきましても権利を持っている、
資料にたいする権利を持っているという事だと思っています。
3.
避難区域の指定解除等に対して住民がどのように参加する場気か?というようなご質問でありましたけれど、
それは私がどう思うからという事ではなくて、
健康に対する権利という、そういった枠組みの概念から申しましても、
「住民というのは自分たちに関わってくるようなあらゆる意思決定には参加をしなければならない」
というふうに謳われております。
また、あらゆる計画の実施、モニタリング、
そういったことに関する意思決定にも参加しなければならないという事です。
ですから住民が参加するという事によって、いろいろと良いアイデアがもらえるなという事だけではなくて、
実際の実行や、それからモニタリングにも住民が参加することが重要であるという事なのです。
ですから日本国政府が意思決定をするという事に関して、
「この路線で行く」という事になったならば、
あなたや私が表明したような懸念という事には相当十分な対応がされるという事になるだろうと思います。
ですからその避難区域の指定解除という事に住民が参加するという事も、
その事だけではなく、全ての意思決定に住民は参加するべきであると考えます。
私は今の時点におきましては、
日本というのは本当にいろんな問題があるだろうと思いますけれども、
日本の国民は全てまとまって、一つにまとまって、
まるで戦争のようなこの問題に対して闘っていかなければならず、
この闘いの中のあらゆるプロセスにおいて、専門家だけではなく、
政府は専門家だけに決定させようとしているかもしれませんけれども、
専門家だけでやるというのはベストなやり方だとは思えません。
健康に対する権利という枠組みからしても、
全ての国民が参加をしていく事が必要であろうと思っております。
Q朝日新聞:
来年の6月に報告書がまとめられるという事なんですが、
現在の中間地点での報告書を政府の方に渡すとか、日本政府に要請するといったことはあるんでしょうか?
現時点での日本政府への助言ですとか要請についてはどのように政府にお伝えになるんでしょうか?
Q毎日新聞:
健康調査の実施主体というのが、今は福島県が主体になっています。
これの実施主体に助言する検討委員会というものがあって、
これは県が専門家を選んで作っているんですが、
そこで弊社が、毎日新聞が報道したんですが、
秘密会、シークレット・ミーティングがずっと開かれていたという事が問題になりました。
23%という低い回答率の問題もあるんですが、非常に信頼感、
この県の調査に対して信頼感があるとお感じになったのかどうか?
それで信頼感がないとしたら、どういうところに問題があると感じられたのか?
あと、内部被ばくを無視しているんじゃないかということを懸念されておられるのは、
やっぱり過小評価、この専門家たちが
健康調査をみんなが専門家たちが過小評価をされているという事を懸念されておられるのか?
この調査を助言する専門家たちの選定が全く秘密裏に行われているんですが、
これに対してどのように感じられるか?
通訳:
最初の質問は
チェルノブイリに比べて帰還可能ならしめるような限界値というのが高すぎるのではないか?
という質問でした。
アナンド・グローバー:
大変沢山の議論を呼ぶような質問を頂きましてありがとうございました。
で、私どものリポートのプロセスというものは大変単純なものでありまして、
今回を対話の始まりというふうに位置付けております。
これから私たちは政府に対しまして、今回のプレスステートメントのドラフトの、
午前中には政府の方ともお会いしましたので、それを見ていただいたりもいたしました。
そして政府も私どもが申し上げた事については
政府もいくつかの点につきましては取り組んでおられるという事で、私も非常に嬉しく思っております。
特に、コミュニティーをもう少しかかわらせなければダメだという所につきましては、
ご同意いただいているような向きもあるようで、これは私は歓迎したいと思います。
で、レポートはこれからドラフトの形で出しまして、政府に送ります。
政府からコメントを頂くようにいたします。
そして、政府からコメントを頂いたうえで、
それでは最終報告をどういうふうにするかという事を私が決めまして、
3月に人権理事会にそれを提出いたします。
そこから極めて厳しい編集、それからチェックの作業にはいります。
報告書というのは正確を期さなければいけませんので、
厳しい編集の手を経まして6月の会合に提出されるという事になりますが、
その場におきましても
政府が、自分たちがそれに対して何か物を言うという権利は当選の事ながら保有しております。
そういうプロセスをたどります。
それから2つ目の朝日新聞(毎日?)の方の質問ですけれども、
非常にデータというか数値には開きがあるという事につきましてのご質問でしたけれども、
3番目の質問にも関わるような非常に基本的なことがその質問の中には含まれていたと思います。
さて、その実際のプロセスが秘密裏に行われたかどうかという事につきましては、
私はコメントする立場にありませんけれども、
私が政府に申し上げた点があります。
それは、「専門家だけではなくて地域社会の人達も関わって全てをやらなければダメですよ」ということを
私は申し上げました。
専門家だけでやろうという事をどうしても政府はしがちでありますけれども、
それは意図してそういうことをやっているという事ではないと思います。
政府のやることは何でも専門家ベースでやるという事は、他の国でもよくあることでございます。
ですから、政府は意図しなかった事でしょうけれども、
政府が専門家だけでやろうとするのは十分ではありませんよという事を私どもはお示しいたしまして、
それを政府も理解していただいている部分もあると思います。
私の意見では専門家というのは、ある事象の一部しかわかっていないと思うのです。
ある一端の側面だけは分かっているので、
コミニュティー全体が関わっていくというのがよりよい結果になるというように思っております。
それから内部被ばくについて懸念があるんではないかというご質問については、
あなたもそう直に明示的におっしゃったのではないので、
私も明示的ではない形でお答えしたいと思うんですけれども、
やはり科学者の間でちゃんとした、立派な科学者の間でも、
「ゼロから100ミリシーベルトの間であれば健康に危険はない」という事を
言っている科学者がいるのも事実ではありますけれども、
「そうではない」と言っている科学者、
あるいはそういうことに反対する研究報告が出ているという事も事実であります。
ですから政府の立場というのは、
「どっちの研究が正しいとか正しくないとか」いうことではなくて、
常に用心深い方の立場に政府というのは立ち、
そして何事も排他せず包摂的に事に当たるというのが政府が取るべき立場ではなかろうかと思います。
チェルノブイリの例というのはあまりいい例ではないのです。
まず、チェルノブイリの場合には、あの事故があってから3年間は
完全に何の情報も出てこないというブラックアウトの状況がありました。
しかし今回の事象というのは民主的な国日本で起こったことであります。
しっかりとした構造があり、そして善意があり、政治的な構造も整っているという、そういった国であります。
そういった国で起こった事であるからこそ、全ての調査、全てのプロセスには地域社会も
かみ合わせながらやっていかなければならないという事だと思います。
それがあってこそ
徹底的で、オープンで、包括的で、科学的な調査、そして治療が行われるべきものだろうと思います。
で、私はこういうことを言っておりますけれども、
これから何度も試練にさらされるという場面が出てくるだろうと思います。
しかしながら、必ずや地域社会をもインボルブしながら、
政府は最も良い形で対処をなさるであろうという事を確信しております。
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