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3分で終わる核武装論議

  印核弾頭中距離ミサイル
 2012/9月インドの核搭載可能中距離ミサイル。

 欧米だけではない世界各国の評論が「日本の右傾化」を問題視しているようだ。
 確かに、民主は松下政経塾、自民は安倍、石破から伸晃、「右翼のゴロツキ」石原、橋下とまるで極右のオンパレードである。
 これらの今までなら「極右グループ」だった連中が米国軍産複合体とそのかいらいマスコミによって引き立てられ、政治の前面に登場してきた。いわゆる中道保守は影を潜めてしまったのである。
 唯一、中道保守だった小沢一郎グループが離党して。中道リベラルというべきな「国民の生活が第一」が登場した。
 この傾向につれて、日本の核武装論者たちが息を吹き返している。

 この日本の核武装論なる代物。
 「自立した国家になるためには核武装が必要だ。」と言うものであるが、どうも日本の国連安保理常任理事国化と連動しているようで、その実矛盾している。
 と言うのは、安保理常任理事国は第二次大戦の5大戦勝国の席であり、同時に5大核保有国である。事実上の特権である。
 彼らが敗戦国である、日独伊の常任理事国化とか、ましてや日本の核武装などを認めることはあり得ないのではないだろうか。

 私は前々から、この「日本核武装論」なるものに胡散臭さを感じていたものである。
 それは、核武装は経済的にも技術的にも可能だろうが、国際的に不可能だろうということ。
 例えばドイツが核武装するとしたら、欧米、ロシア、中国のみならず世界中が猛反撃を加えて叩き潰すことになるだろう。
 まして、日本が本気でそんなことを始めたら、あらゆる手段の猛攻撃を食らうことは間違いないことだ。

 何を言いたいかというと、日本の「核武装論者」は本気で核武装できるとはたぶん思っていない。
 彼らは「日米安保利権」に取って代わる「核武装利権」が目的なのだろう。
 つまり、実際に核武装するのではなく、核武装「論」を発言し広めることで、世界とアジアの緊張を高めることである。
 このことの最大の利益者は米国軍産複合体に他ならない。
 これもまた、非常に危険な考えであり、米国に都合の良い日本滅亡のシナリオである。
 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
3分で終わる核武装論議 11/16 冷泉彰彦 News Week Japan

 その昔、亡くなった自民党の政治家、中川昭一氏が2006~09年にかけて「核武装論議をタブー視するな」という発言をした頃には、ずいぶんと賛否両論が激しかったのを記憶しています。
 その中川氏は「最近は、非核三原則に『言わせず』を加えた非核四原則どころか、『考えてもいけない』という非核五原則だ」と強く反発していましたが、今ではこうしたタブー視に関してはかなり緩んでいるように思われます。

 今回の総選挙で、何らかの話題になりそうな「第三極」においても、石原前都知事は日本の核武装論について従来から放言を繰り返していますし、最近はこの問題に慎重な橋下大阪市長も「議論は歓迎」という立場のようです。

 漠然としたムードとしては、仮に米国が何らかの理由でアジアにおける軍事プレゼンスを軽減していった場合には、日本は「自主防衛」をすることになり、その際に中国の核攻撃能力を抑止するためには、日本は核武装の可能性を否定するわけにはいかない、というようなストーリーが1つ。
 これに加えて「核武装論の議論自体に反対する」勢力を「平和ボケの旧思想」だとして断罪することに興味を示す向きもあるように思われます。

 ですが、そもそも日本の核武装論というのは可能なのでしょうか?

 議論としては可能ですが、結論は3分もあれば出ると思います。要するに核武装は不可能ということです。何故でしょうか?

 それは、現在の国際連合を中心とした核不拡散体制への重大な挑戦になるからです。
 日本が核武装宣言をするということは、具体的にはNPT(核不拡散条約)体制、そしてこれと表裏一体であるIAEA(国際原子力機関)、更には、日本と各国の間で締結している「原子力協定」の総てから離脱することを意味します。

 NPT=IAEAに背いて核兵器保有へ進むということは何を意味するのでしょうか? 例えば、イラクのバース党政権は(冤罪でしたが)保有が疑われたために国家の滅亡に追い込まれましたし、イランと北朝鮮は現在「核開発疑惑」を理由に国際社会から経済制裁などの厳しい対応を受けているわけです。

 勿論、現在すでにNPT=IAEAにソッポを向いて独自に核武装を行なっている国は存在します。
 イスラエルは一切この問題では沈黙を守ることで、西側諸国は暗黙の承認に近い扱いを与えているのも事実です。
 またインドとパキスタンも、勝手に核武装していますが、それぞれの同盟国からは二国間関係として認められている中で、既成事実化しているわけです。

 では、日本の場合はこのイスラエルやインド、パキスタンのように「暗黙の承認」なり「既成事実化」が許される可能性はあるのでしょうか?

 ゼロだと思います。理由は3つあります。

 まず1点目ですが、日本は科学技術、とりわけ宇宙航空関係のロケット、コンピュータ制御、素材、品質管理などにおいて、世界の最先端の技術を保有しています。核の技術も最高水準です。
 そのほとんどは民生用ですが、これを軍事転用することは可能です。
 そうした技術水準においては、北朝鮮やパキスタン、イランなどは勿論、インドやイスラエルとも比較にならないほど、日本は優れています。そのような国が核武装することで世界の軍事バランスが変化するということは、国際社会から見て許されるものではありません

 2点目としては、日本は第2次大戦を引き起こした旧枢軸国の「国体=国のかたち」を「護持」してしまっています。
 ドイツのように「第三帝国の崩壊、4カ国の分割統治、東西分裂での再独立、連邦共和国としての統一」という苦しみを経て「国体変革」を遂げてはいません。
 勿論、日本人から見れば、戦後の日本は官民挙げた努力によって「平和国家への移行」という形で「傷ついた国体の修復」を行なっているのは厳粛な事実です。
 ですが、仮に核武装宣言を行えば、半世紀以上にわたる平和国家への努力は完全に無効となり、国際社会からは「邪悪な枢軸国の復活」という認識をされることになります。
 日本人の視点から見れば不公平かもしれませんが、外交上はそのような帰結となり、外交そのものが不可能な窮地に陥ることは不可避と思われます。

 最後に、日本は「核サイクル」を目的として大量のプルトニウムを保有しています。
 これは、あくまで資源のない日本が将来のエネルギーとして、高速増殖炉による利用、MOX燃料の従来型軽水炉での混用(プルサーマル)のために確保しているものですが、国際社会としては重大な関心と警戒を行いながら二国間協定で「承認と監視」を続けているものです。
 このような国家は、核保有が「NPT体制」で認められた五大国以外には日本しかありません。
 プルトニウム保有をしながら核武装宣言をするということは、世界の核拡散抑止体制を根底から破壊するインパクトを持つことになります。

 この3点の理由により、日本が核武装をすることは不可能です。
 現状の日本が仮に核武装宣言を行うとしたら、どうなるでしょう。
 第1点と第2点を考慮すれば、経済制裁ということになるのかもしれませんが、第3点、つまり大量のプルトニウムを保有し、尚かつその平和利用が棚上げされている状態で、核武装宣言に近い行動を取るようなことになれば、制裁では済まされないようにも思います。
 例えば、国連軍による「核設備の破壊」だけでなく「核推進政権の崩壊」と「プルトニウムの国際管理」を目的とした軍事行動が行われてもおかしくないのです。

 そう申し上げると「ちょっと待ってくれ。日米同盟があるから日本がそこまで悪玉になることはないだろう」という反論が返ってくるかもしれません。
 ですが「日米同盟から自立しても核抑止力が欲しいから核武装論をしたい」というのが最初の議論の前提であるとすれば、そんな甘い話にはならないわけです。

 話がやや大げさになりましたが、結論はただ1つ、日本の核武装は不可能だということです。
 理由は上記の通りであって、この「議論」を禁じる必要は感じませんが、その「議論」自体が3分で終わるものだというのもまた事実だと思います。
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