なぜ日本に証明医療が定着しないのか
2012-11-01
日本列島に証明医療が定着しないわけ リー湘南クリニックから
2005年、英国の超一流内科誌に「日本の証明医療」(Evidence-based medicine in Japan)という記事*が掲載された。
何故、日本に証明医療が定着しないのかという内容で、
1 日本の医師は、データより経験を重視する。
2 医局構造、先輩医師への従属を挙げていた。
僕に言わせれば、他にも次の理由が挙げられる。
3 ほとんどの日本人医師は、欧米の一流医学誌(英語)を読まない・読めない(私事だが、医師一年目に国内誌で騙されて以来、日本語雑誌やネット情報は読まない)。
4 国内学会(4流以下)や国際学会(3流)、また製薬会社主催の研究会に出席して、勉強した気になり、所詮耳学問であること、そして洗脳されていることに気づかない。
5 医療業界の繁栄を目的とした、権威者、製薬会社、そして行政の情報操作を見抜けないマスメディア。
6 ニセ医学(漢方薬など)と科学的データに裏付けられた医療を区別できない医者と患者。そして
7 保険医療制度、無駄な検査や治療を行わないと儲からない仕組み。
殆どの日本人が英語を喋れないのは、日本語と英語に共通点がないのに、英語教育にかける時間が極端に短いから。
医者とて英語を操れるのは極少数。2年程度の留学では喋れるようにならない。
英語で論文を読み書きできる医者は多少いるが、それは出世するための小道具、論文を量産しなければ出世できぬ。
例えば、癌患者さんを対象とした無作為対照化試験(RCT)を実施するには、膨大な費用と時間を要し、また論文を量産できない。
だから、細胞や小動物を用いた屁の役にも立たない研究が跋扈し、論文を量産、めでたく教授になる。
日本には事実上、RCTは存在しない。製薬メーカーが出資する、厚生省の認可を得るための「RCTもどき」だけ。
英語の教科書や論文で治療法や診断法をいくら学んでも出世の足しにはならないから、「RCTの意義」とか「標準治療」さえご存知でない、あげく漢方薬などを処方するお医者様が多いのです。
世界中の医者が英語で臨床医学を勉強している中、英語から隔離されたこの島国、「ガラパゴス医学」、「妖学」が育まれているのです。
*Lancet 366:122 July9, 2005
進行した胆嚢がんが消えたとの報道は抗がん剤が効く証拠では?
「日刊ゲンダイ」に毎(月)掲載されている「近藤誠のがん相談室」連載38から抜粋。≪≫内は僕の注釈
質問】胃がんの疑いがある 64歳の男性です。
近藤先生は、胃がんや大腸がんに抗がん剤は効かないとおっしゃていますが、ある週刊誌には、進行した胆嚢がんが抗がん剤で消えたケースが載っていました。
これは消化器のがんに抗がん剤が効く証拠ではないでしょうか。
回答】一般人は「抗がん剤が効く」とか「有効」と聞くと、”がんが治る””延命する”と受け取るはずです。
また、がん腫瘤が「消失」「縮小」すれば、やはり”治る””延命する”と感じるでしょう。
しかし、そこには誤解があります。・・・
胆嚢がんが抗がん剤で消失するのはごくまれで、患者全体の 1%前後に過ぎません。
他のがん種でも≪精巣腫瘍と絨毛上皮癌を除く≫”完全消失”の確率は似たり寄ったりです。
そして、この貴重な”完全消失”ケースも、治ることはないのです。
というのは、”完全消失”といってもがん腫瘤が検査で発見できない大きさになっただけだからです。・・・
したがって、”完全消失”のケースでも、がん腫瘤はかならず再増大してきます。≪転移したがんに対する治療効果の判定法(end point)に無病生存期間(DFS:disease free survival)がある。これは転移巣が消失した後に、再出現するまでの期間。無作為化対照試験の結果をみると「DFSが延長しても総生存期間(OS)は延長しなかった」というのが常である。≫・・・
抗がん剤には毒性がある。・・・大部分の抗がん剤は・・・繰り返し投与するとすぐに致死量に達してしまう・・・≪逆に言うと、抗がん剤治療の原則は、致死量一歩手前まで投与すること(容量依存性があるので)≫・・・抗がん剤には、寿命を縮める効果が確実にあるのです。・・・
抗がん剤治療を続けて自分の仕事(生活)を確保したい専門家たちは、がんが縮小・消失すれば「有効」「効いた」と発言し続け、患者や一般人が錯覚するように仕向けているわけです。
また、がん腫瘤が完全縮小したケースをマスコミに紹介するだけで、患者のその後を紹介しないのも、一般人を錯覚させようとする作業の一環です。
私に言わせれば、がん腫瘤が消失したと言う記事は、詐欺商法同様なのです。≪勝手にアンダーライン≫
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関連ページ。
がん検診の無理、効果に根拠はない
癌の縮小(奏効率)で患者は延命しない
薬の犠牲、薬害をまき散らす医師
「医療」の餌食にならない、無作為対照試験(RCT)
2005年、英国の超一流内科誌に「日本の証明医療」(Evidence-based medicine in Japan)という記事*が掲載された。
何故、日本に証明医療が定着しないのかという内容で、
1 日本の医師は、データより経験を重視する。
2 医局構造、先輩医師への従属を挙げていた。
僕に言わせれば、他にも次の理由が挙げられる。
3 ほとんどの日本人医師は、欧米の一流医学誌(英語)を読まない・読めない(私事だが、医師一年目に国内誌で騙されて以来、日本語雑誌やネット情報は読まない)。
4 国内学会(4流以下)や国際学会(3流)、また製薬会社主催の研究会に出席して、勉強した気になり、所詮耳学問であること、そして洗脳されていることに気づかない。
5 医療業界の繁栄を目的とした、権威者、製薬会社、そして行政の情報操作を見抜けないマスメディア。
6 ニセ医学(漢方薬など)と科学的データに裏付けられた医療を区別できない医者と患者。そして
7 保険医療制度、無駄な検査や治療を行わないと儲からない仕組み。
殆どの日本人が英語を喋れないのは、日本語と英語に共通点がないのに、英語教育にかける時間が極端に短いから。
医者とて英語を操れるのは極少数。2年程度の留学では喋れるようにならない。
英語で論文を読み書きできる医者は多少いるが、それは出世するための小道具、論文を量産しなければ出世できぬ。
例えば、癌患者さんを対象とした無作為対照化試験(RCT)を実施するには、膨大な費用と時間を要し、また論文を量産できない。
だから、細胞や小動物を用いた屁の役にも立たない研究が跋扈し、論文を量産、めでたく教授になる。
日本には事実上、RCTは存在しない。製薬メーカーが出資する、厚生省の認可を得るための「RCTもどき」だけ。
英語の教科書や論文で治療法や診断法をいくら学んでも出世の足しにはならないから、「RCTの意義」とか「標準治療」さえご存知でない、あげく漢方薬などを処方するお医者様が多いのです。
世界中の医者が英語で臨床医学を勉強している中、英語から隔離されたこの島国、「ガラパゴス医学」、「妖学」が育まれているのです。
*Lancet 366:122 July9, 2005
進行した胆嚢がんが消えたとの報道は抗がん剤が効く証拠では?
「日刊ゲンダイ」に毎(月)掲載されている「近藤誠のがん相談室」連載38から抜粋。≪≫内は僕の注釈
質問】胃がんの疑いがある 64歳の男性です。
近藤先生は、胃がんや大腸がんに抗がん剤は効かないとおっしゃていますが、ある週刊誌には、進行した胆嚢がんが抗がん剤で消えたケースが載っていました。
これは消化器のがんに抗がん剤が効く証拠ではないでしょうか。
回答】一般人は「抗がん剤が効く」とか「有効」と聞くと、”がんが治る””延命する”と受け取るはずです。
また、がん腫瘤が「消失」「縮小」すれば、やはり”治る””延命する”と感じるでしょう。
しかし、そこには誤解があります。・・・
胆嚢がんが抗がん剤で消失するのはごくまれで、患者全体の 1%前後に過ぎません。
他のがん種でも≪精巣腫瘍と絨毛上皮癌を除く≫”完全消失”の確率は似たり寄ったりです。
そして、この貴重な”完全消失”ケースも、治ることはないのです。
というのは、”完全消失”といってもがん腫瘤が検査で発見できない大きさになっただけだからです。・・・
したがって、”完全消失”のケースでも、がん腫瘤はかならず再増大してきます。≪転移したがんに対する治療効果の判定法(end point)に無病生存期間(DFS:disease free survival)がある。これは転移巣が消失した後に、再出現するまでの期間。無作為化対照試験の結果をみると「DFSが延長しても総生存期間(OS)は延長しなかった」というのが常である。≫・・・
抗がん剤には毒性がある。・・・大部分の抗がん剤は・・・繰り返し投与するとすぐに致死量に達してしまう・・・≪逆に言うと、抗がん剤治療の原則は、致死量一歩手前まで投与すること(容量依存性があるので)≫・・・抗がん剤には、寿命を縮める効果が確実にあるのです。・・・
抗がん剤治療を続けて自分の仕事(生活)を確保したい専門家たちは、がんが縮小・消失すれば「有効」「効いた」と発言し続け、患者や一般人が錯覚するように仕向けているわけです。
また、がん腫瘤が完全縮小したケースをマスコミに紹介するだけで、患者のその後を紹介しないのも、一般人を錯覚させようとする作業の一環です。
私に言わせれば、がん腫瘤が消失したと言う記事は、詐欺商法同様なのです。≪勝手にアンダーライン≫
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関連ページ。
がん検診の無理、効果に根拠はない
癌の縮小(奏効率)で患者は延命しない
薬の犠牲、薬害をまき散らす医師
「医療」の餌食にならない、無作為対照試験(RCT)
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