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尖閣と日中対立、スイスとロシアの解説

 尖閣問題をめぐる日中の対立について、スイスとロシアの解説記事を紹介します。
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  尖閣諸島問題、スイスはこう見る 9/21 スイス放送

 尖閣諸島問題をめぐる中国と日本の対立は、9月上旬から激しさを増している。スイスのメディアも今週に入り、2面や3面の全ページを割き大きく取り上げた。そこでは、「尖閣諸島問題は、資源問題であり、同時にアメリカが絡む戦略的・外交的問題でもあり、さらに中国にとっては『日本から受けた第2次世界大戦での屈辱の象徴』でもある」とみる。

 中国でのデモや暴動による今後の行方を、各紙は「戦争などに発展することはないが、長引くだろう」と分析している。

 ドイツ語圏の日刊紙ノイエ・ツルヒャー・ツァイトゥング( NZZ ) の18日付けの記事によると、「日本も(中国と同様)、事態の悪化を望んでいない。
 愛国主義者であり、中国に敵対心をちらつかせる東京都の石原慎太郎都知事が尖閣諸島を購入しようとした際、日本政府は全力で先手を打とうとした。
 こうして、尖閣諸島を石原氏のナショナリズムと先の見通しのなさから守ったわけだが、今度は日本政府が尖閣諸島の国有化に猛反対する中国から攻撃を受けている。
 この対立は急展開するかもしれないし、逆に鎮静化するかもしれないが、いづれにせよ長く続くだろう。領土問題に関しては、中国も日本も同じくらい譲らないからだ」

  デモの意味
フランス語圏の日刊紙ル・タン ( Le temps ) は、「中国の外電は北京の日本大使館前でのデモを穏やかな模範的なデモで、日本による中国の名誉棄損と中国の領土主権を支持する行為だと評価している」と書く。

 「デモが中国共産党によって組織されたことは誰の目にも明らかだ。インターネット利用者は、行政からデモ参加を呼びかけられていると証言。また警察のブログでも『愛国心を持ち、平和なデモを行うように』と指示が出されている」と続ける。

 さらにル・タン紙は、ある中国人作家にインタビューし「中国共産党は状況を完璧にコントロールしている。いわば党が演劇の演出家。デモをする民衆は役者だ」と言わせている。

 一方NZZ紙は、中国でのデモや暴動を中国の内政状況からこう分析する。
 「暴動は、中国政府にとって都合が悪いということはない。薄熙来(ポーシーライ)氏の事件で腐敗した政界の一面が外部に漏れたこともあり、政府はここ数カ月、世論に押され気味だった。
 そんな中、愛国主義者が街に出て日本人を批判したことで、中国政府はほっとしている。指導者が交代するこの時期、政府が特に恐れているのは国民の政治に対する不満が鬱積(うっせき)することであり、暴動がそのはけ口になるのは好都合だ」

 だが、NZZ紙は「中国政府は暴動を長く静観してもいられない」と付け加える。「日本に今反発している人たちは、明日は中国政府に対しそれ以上に激しく反発する可能性を秘めている。
 政府は自ら火傷を負わないためにも、デモが行きすぎないように注視している」

  第2次世界大戦の傷
 ドイツ語圏の日刊紙ターゲス・アンツァイガー ( Tages Anzeiger ) は、デモ・暴動は国内問題のうっぷん晴らしとみる日本人の一方的な態度を批判する。
 「自らを被害者と見なす日本人は、対立激化の原因は隣国の強硬な態度にあると考え、中・韓両国は日本の弱みにつけ込んでいると主張する。
 さらに、中韓両国を領土問題を使って(中韓両国自らの)国内問題から国民の目をそらさせようとしている国々だとみている」

 だが同紙は、実は中国の主張の裏には、第2次世界大戦で受けた屈辱の感情が尾を引いていると言う。
 「尖閣諸島周辺で水産資源やガス資源が豊富なことが判明して初めて、中国は領有権を主張したと日本は言う。だが、中国人にとってこの島は侮辱の象徴なのだ。
 日本は1931年に中国北東部を占領し、その後東沿岸全てを支配。このときから中国への侮辱が始まったと中国人はみている」。
 「ところが日本は戦争での残虐行為すべてに対し今まで誰も責任を取らず、『あれは戦争だったから』と過小評価する」

 ル・タン紙も、この10月に満州事変についての本を出版するブルーノ・ビロリ記者に、こう言わせている。
 「結局、第2次大戦は終了していない。アジアでは、いつも、ある出来事が巨大な争いに発展する可能性が潜在的にある。
 それは、日本が全く戦争を反省せず、日本の歴史の中で最も暗いページの部分を認めようとしないからだ。そして今、中国共産党はこの戦争に根を持つ『日本人嫌いの感情』を最大限に利用している」

  島をめぐる戦略的・外交的問題
 さらに、ル・タン紙はフランスの中国・日本関係専門家ジャン・リュック・ドメナッハ氏にインタビューしている。
 ドメナッハ氏は「中国共産党はデモや暴動が長引けば長引くほど、有利になると考えている。しかし、やがて有利なことばかりではないと気がつくだろう」と言う。

 アメリカが、パネッタ国防長官を中・日両国に今週の初めに送り込み、争いの調停役として介入し始めているからだ。
 「つまりアメリカは、この争いをいわば『利用して』島をめぐる海域を戦略的かつ外交的な問題に持ち込もうとしている。ところが中国は長年、この海域からできる限りアメリカを遠ざけようとしてきた。
 しかし、現在アメリカを相手に(外交的に)事態を収拾せざるを得ない状況に追い込まれている」

里信邦子 & 鹿島田芙美, swissinfo.ch
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   日中の対立には心理的要因がある アレクサンドル・ルーキン 10/4 ロシアの声

 中国と日本との領土紛争の悪化は国際的な専門家らの前に一連の問題を突きつけている。
 領土論争はすでに数十年にわたって存在していたにもかかわらず、なぜ今になってそれが緊張化したのだろうか? 両国の経済協力関係が伸びているにもかかわらず、政治問題は減らず、逆に増大したのだろうか? 
 ロシア外務省外交アカデミーのアレクサンドル・ルーキン元学長はVORのために特別に用意した論文のなかで紛争の原因およびその発展の行方について次のような考察を示している。

 関係悪化の公式的な理由は日本側の行為とされている。尖閣諸島(中国名:釣魚諸島)を地権者から買い上げ、国有化することは日本のイニシアチブだった。
 法的にはこの行為は主権問題とは何の関係も持たない。仮に中国人が日本の土地を購入しても、これによってその土地の主権が中国に移るわけではない。
 ところが中国はこの諸島が国有化されたことを現状に違反すると捉えた。中国人の観点からすると、国交正常化の時代から島についての相互理解は維持されているはずであるからだ。

しかしながら、ルーキン教授の意見では日中関係の悪化にはもっと根本的な原因がある。中国の経済的、政治的な力は年を追うごとに増している。
 中国が経済成長を行うことで主要なパートナーらとの間の経済協力は深まっている。それは日本ともそうである。日本は中国経済に巨額の投資を行っており、日本にとっては中国は輸入、輸出両面で主要な貿易パートナーとなっている。
 こうした二国であるからには本来はいかなる争いも断固として避けて通らねばならないところだろう。というのも深刻な争いがおこることで双方とも取り返しのつかない損失を被ることになり、それによって経済的困難を味わうことになるからだ。
 ところが経済構造が常に両国関係を決めるとは限らない。経済上の相互依存はもちろん日中の対立を抑制する要因になる。しかしここにはさらに政治的、愛国的、心理的性格の理由も存在する。

そうした理由は次のようなものだ。

中国が力をつけつつあるということは当然、外交政策においても活発度を増しているということである。
 とはいえ、外交活動を活発化させることに中国は今のところ慎重な姿勢を示している。
 なぜなら国内には、過去に中国を「陥れた」ことのある国々に対して、何よりもまず日本に対して、中国政府がより粘り強い態度を示すよう呼びかける社会勢力が増えつつあるからだ。世論の圧力に押されて中国政府は「本来の国益」の分野を拡大し始めた。
 これは依然はおもに台湾であったのだが、今やこれが釣魚諸島、南シナ海の諸島、チベット(80年代から続くダライ・ラマとの交渉は2010年に断絶してしまった)、新疆ウイグル自治区となり、未開発資源を獲得する問題が加わった。

別の見方をすると日本ではちょっとした譲歩も妥協も痛烈な批判を浴びてしまう。
 日本は中国のみならず、ロシア、韓国、台湾とも多くの領土問題を抱えているが、それに妥協的な解決方法をとろうとすると、その政治家は愛国的な世論の攻撃にさらされ、国賊扱いされてしまう。

こうした状況で紛争はいったいどういう方向へいくのだろうか? 
 現在の状況ではこれ以上拡大することはないだろう。なぜなら両国ともあまりに互いへの関心が深く、対立を深刻化することはできないからだ。
 ただし対立を妥協によって解決することもまた考えにくい。ルーキン氏は、おそらくこの先も盛り上がったり、下火になりながら対立は続いていくだろうと考察している。
 ただし、この際も中国の成長如何に多くはかかっている。
 仮に中国の成長が右肩上がりに進み、ますます力が拡大した場合、中国は語気を弱めず、状況は先鋭化するだろう。
 ただし中国経済が深刻な困難に突き当たった場合、指導部はより逼迫した問題と取り組まざるを得ないだろう。
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