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尖閣・竹島と米大統領選:山田

 以前から日本の財界が、非公然にアメリカの大統領選挙に献金していることが知られている。
 相手からの要求によるのか、こちらからの利権期待によるのかは、両方だろう。
 しかも概ね、軍産複合体≡共和党候補の陣営に献金してきている。
 結果的には、勤労者を犠牲にした莫大な企業内留保金が使われていることになる。
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 尖閣・竹島と米大統領選
「共和党のロムニーなら」という錯誤 9/13 山田厚史 ダイヤモンド・オンライン

「尖閣国有化」を明らかにした日本に対して、中国各地でデモが起きている。領土を「核心的利益」と位置づける中国は、監視船を尖閣周辺に派遣した。
 昔なら軍事的衝突もありえる局面だ。両国とも引くに引けない。
 この局面に米国はどう出るのか。11月6日投票の大統領選挙を争うオバマとロムニーの、どちらが日本に好ましい政策を掲げているのか。

  大見えを切ったロムニー

「共和党のロムニーのほうが頼りになりそう」という声をよく聞く。中国に強い姿勢で臨むロムニーなら、領土問題で日本の肩を持ち心強い後ろ盾になってくれそうだ、という期待からだ。
 果たしてそうだろうか。

 ロムニーは「大統領に就任したら、中国を為替操作国に指定する」と大見えを切った。中国が嫌がる人民元切り上げを、力ずくで迫る「圧力重視の中国外交」である。

 オバマは中国を「重要な二国間関係」と位置づけ、対話路線を継続する方針だ。

「圧力」と「対話」。どちらに重点を置くかは、外交にとって永遠の課題だ。
 今回の大統領選は、共和党と民主党の外交方針の違いを鮮明にした。

 違いの根本は「米国の例外主義」を認めるか、という点にある。
 ロムニーは「米国は特別な国であり、国連に縛られない単独行動もいとわない」という考えだ。身勝手に聞こえるが共和党の伝統的な外交政策である。
 「強いアメリカ」を主張して対ソ強硬策を主張したレーガンや、イラク攻撃に踏み切ったブッシュらがこの路線を象徴している。

 世界の平和を守るため、と称して国際協調を無視してでも、米国の利益追求を進める、その力が米国にある、という考えだ。レーガンやブッシュが掲げたこの路線をロムニーは踏襲し、オバマ外交を「弱腰」と非難する。

 オバマは「米国の例外主義」を否定する。「強いアメリカ」の発露として始まった戦争を終結することに力を注ぎ、財政を圧迫する軍事費の重圧を和らげようと必死だ。「核廃絶」を主張したように、外交の力点は「世界の緊張緩和」である。

 その裏には単独行動を貫くほど米国に突出した経済力はない、という現実認識がある。武力で解決できない課題を背負っていることを理解した上で、中国とは融和を基調とする外交で臨む。

「大量破壊兵器」を口実にイラクに侵攻し、身動きがとれなくなった米国は、前回の大統領選挙で「対話派」のオバマに軌道修正を託した。リーマンショックも重なり、反省を迫られた米国の有権者は黒人大統領を登場させた。

 あれから4年、力を増したのが中国だ。世界最大の自動車市場は中国へと移るというのに米国は経済苦境にもがき、失業率は高止まりしたまま。
 対中融和策に飽き足らない人たちに「強いアメリカ」への郷愁が広がり、ロムニーは「圧力路線」を鮮明にした。

  ロムニーは軍事的後ろ盾?

「為替操作国の認定」は、中国の横っ面を張るようなものだ。だが為替操作国と認定し、中国からの輸入に課徴金をかけたからといって米国の産業が回復することにはならない。
 怒涛のように流れ込むアパレルや雑貨、家電製品などは、米国内に競合する企業はなくなっている。

 中国製を規制すればバングラデシュや韓国からの輸入に変わるだけだろう。それどころかアップルやウォルマートなど有力企業は中国を工場として使っており、安い中国製品はビッグビジネスの利益になっている。
 そうした現実に目をつぶり、大衆受けする対決姿勢を鮮明にすれば、双方とも身構えるだけで関係はこじれる。

 政治家が拝外主義・愛国主義を煽る行動に出ることは、いまや世界に共通した傾向だ。格差社会に充満するポピュリズムの向かう先は「外に敵を作ること」。背後に「鬱憤のはけ口」を求める民意が渦巻いている

 対中圧力政策を取る共和党にとって、日本は中国を睨む最前線だ。膨脹政策が尖閣諸島まで及べば、無視することはできない。
 「尖閣は日米安保条約の対象区域」という立場から、ロムニーは軍事的後ろ盾になる選択は排除しない、と見られる。

「ロムニーが頼りになる」という見方が日本にあるのは、そんな構図からだ。

  田中角栄失脚の影に

 だがここに一つの落とし穴がある。米国が日本の後ろ盾になっていたことで、日本の対中外交は米国の管理下に置かれていた、ということだ。戦後史を振り返ってみよう。

 国民党・蒋介石との内戦に毛沢東が勝利し、1949年、中華人民共和国が誕生すると、米国は「中国封じ込め政策」をとった。第7艦隊を近海に派遣し台湾を守った。
 沖縄を要に日本に軍事基地を構え中国を牽制した。共産主義との戦いは、米国の国策だったが、その陰で日本は中国と「戦争処理」どころか国交の回復さえできなかった。

 国交回復は72年9月の日中共同宣言まで待たなければならなかった。時の首相・田中角栄は近隣諸国との関係改善へと動き、シベリア開発など対ソ関係の修復も視野に入れていたが、ロッキード事件で政治生命を断たれる。

 田中の失脚には日本の独自外交を好ましく思わなかった米国の関与があった、という説がいまも根強くある。

 最近、「平和構築」という言葉を外務省がよく使う。世界の紛争地域で日本が果たす役割として、和平の仲介や紛争の原因となる貧困や格差の解消に貢献することを指している。
 しかし彼方で「平和構築」に汗を流すことが奨励されながら、近隣諸国との間で「平和構築」が進んでいなかったことが今回の尖閣・竹島問題で明らかになった。

 日本から見れば、中国・韓国の領土的野心や抜きがたい反日感情が問題なのだが、向こうには歴史的ないきさつやそれなりの理由がある。こじれた関係を放置し、関係修復に十分な努力をしてこなかったことは否定できない。

 ドイツがフランスやイギリスと和解して欧州諸国の一員として再出発し、いまやEUの中心として活動できていることと比べ、日本の戦後処理が進まなかったのは、米国のアジア政策と無縁ではない。

  外交の主流は「対米従属」

 米国の外交は米国の利益に沿って行われる。仁義や盟友といった日本的感覚とは無縁である。
 中国より日本を重視するというロムニーは、果たして日本を大事にするだろうか。日本を「衰退国」と表現したことが適切だったかどうかはともかく、日本に愛着や関心を持っているようには思えない。

 日米関係が緊密なのは、日本が米国の意向に添って忠実な従属者である時で、そのことが米国と緊張関係のある中国などとの軋轢を増してきたのが、戦後の歴史なのだ。

 イラン大使を務めるなど外務官僚だった孫崎亨は、著書『戦後史の正体』(創元社)で「戦後の日本史を動かす原動力は、米国に対する二つの外交路線」と書いている。
 日米関係を大事にして米国の指示に従うことを大事にする「対米従属」と、日本の立場をできるだけ認めさせようとする「自主路線」が交差して戦後史を織りなしている、という見方だ。

 田中角栄の対中外交や、原油確保からイランを重視した田中六助通産相(当時)のような「自主」も時にはあったが、外交の主流は「従属」で貫かれていた。

 その結果、外務省は共和党の外交政策と親和性を持つようになった。圧力外交を看板にする共和党は、日米安保にそった日本の役割を重視したからだ。
 外務省出身の外交評論家の多くが共和党の観点を踏襲しているのは、その結果といえる。外務省の主流は「従属派」が占めている。

 「ロン・ヤス」が囃されたレーガン・中曽根は、ソ連との軍拡競争で日本が資金協力し、ブッシュ・小泉はイラク攻撃を巡る協調関係だった。米国が「強いアメリカ」を謳うとき、日本に良好な関係が求められる。

  日中米の深い関係

 日本は尖閣で中国との関係がこじれ、中国は反日の声が高まっている。ではロムニーの中国敵視政策に乗れば、日本は安泰なのか。

 対立を深刻化するだけではないだろうか。アメリカの対中政策に従って平和構築の糸口を見失っていた日本が、また不信の増幅にのめり込むことになる。

 戦前のように「国交断絶」というような分かりやすい政策が取れないのが、グローバル化した今の世界だ。

 政治ではささくれだった関係でも、日本にとって中国は最大の貿易相手国である。日本の企業数万社が中国で商売をしている。中国は日本社会とつながっていて、好き嫌いで関係を絶ったり、衝突することはできない構造になっている。

 米国も同じ構造だが、もっと深刻である。財政赤字を埋める米国債の最大の引き受け手は今や中国。
 20世紀は同盟国・日本が最大の債権国だったが、今や米国財政のスポンサーは中国なのだ。中国が手持ちの国債を売りに出したら、米国経済は大混乱する。
 国債は暴落し長期金利は跳ね上がる。中国も保有する国債の価格が値下がりして打撃を受けるが、肉を切らせて骨を断つ、という戦略に出る選択だってある。通貨で経済制裁する手段を中国は手にしたのだ

 そうした現実を踏まえて、オバマは対中融和策を採らざるをえない。中国は巨大な国内市場や豊富な貯蓄を使って、武力に代わる覇権を手にした
 そのことが高圧的な外交につながっているのだが、経済はいいときばかりではない。
 混沌たる矛盾を抱える中国が、経済の舵取りをうまく行うには、他国とのいい関係が欠かせない。


 竹島で沸騰する韓国も同じである。国債の格付けで日本を追い越し、自信を強めているが内実は脆弱性を秘めている。それゆえ外国に強く当たることが、問題から目をそらさせることにつながる。
 だが、緊密な取引関係にある日本との関係を悪化させることが、円滑な経済運営に逆行することを識者は十分承知している

 吹き出した愛国主義に乗って対外緊張を煽ることは、目先の得点になっても、やがて自らを袋小路に追い込む

 ロムニーの対中強硬姿勢は選挙公約としては威勢がいいが、政権を取った後もその路線を突っ走るのは危険すぎる。世界は腕まくりして一撃を与えれば解決するほど単純ではない。

 緊張はらむ日中関係に必要なことは、日中平和友好条約1条に立ち返る努力だろう。

すべての紛争を平和的手段により解決し及び武力又は武力による威嚇に訴えないことを確認する」と書かれたその精神をどう今に活かすか。その知恵と熱意が問われている。
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