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もうすぐ北風が強くなる

36%に甲状腺異常:ヤブロコフ他

 文中(* )は引用者の注釈です。
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  ヤブロコフ博士の見解 7/9 木下黄太氏のブログから

ヤブロコフ博士は、ニューヨーク科学アカデミーによる”Chernobyl: Consequences of the Catastrophe for People and the Environment” の著者の一人(カルディコット氏推薦)
1986年のチェルノブイリ事故当時、ゴルバチョフ書記長のアドバイザー。エリツィン政権で環境安全委員会の委員長。ロシアGreenpeace設立者。

海外の複数の見識者からヤブロコフ博士に連絡を取ってみてはどうかと言われたので、その提案に従ってみましたら、快くお返事を下さいました。

(以下翻訳)

38,111人の子供たちのうちの36%に甲状腺異常があったと言うことですが、これは大変に重大で危険です。チェルノブイリの時の状況と似ています。チェルノブイリの経験からいくと、甲状腺異常700件につき1人に、3-4年後にガンが見つかりました。(*嚢胞を含むか、嚢胞の5mm未満を含むかで分母が大きく変わることに注意。当時は5mm以上が普通だった。)
甲状腺異常は、放射性ヨウ素のせいだけではありません。セシウム137、テルル132と、その他の放射性核種とも関連しています。

私の福島県の子供たちに関する忠告は次のようです。

体内の放射性物質の負荷量につき、ホールボディーカウンターや尿検査や唾液検査等によって、可能な限りの真実の情報を得ること。そして、被曝量の多い子供たちは、排出を促すものを摂るべきです。
放射能被曝の程度の目安として、子供たち全員の染色体異常をモニターすること。同様に、歯のエナメル質(EPR線量測定法/Electron Paramagnetic Resonanceまたは電子スピン共鳴)と水晶体混濁をモニターすること。
食べ物と飲料水全てをコントロールし、汚染を避けること。
ホットスポットを避けること。

被曝量が大きかった人は、きちんと検査を受け、集中的な治療を受けるべきです。
(*計測から推定計算される放射性物質の放出量だが、東電と政府の発表が余りにも信用されておらず、被曝量の推定を困難にしている。)

( 更にメールで質問しました。

Q.福島県での甲状腺異常は事故後1年で見つかっていますが、チェルノブイリではどうだったのですか?

チェルノブイリでは、事故後2-4年で明らかになりました。

Q.福島県のみでなく、東京や関東圏でも、年齢に関わりなく突然死の報告があります。30代から50代の男性に増えていると言う報告もありました。また、これも年齢に関わりなく、感染症、回帰感染、胸痛、不整脈、咳やのどの痛みが増えています。

それは、放射能被曝との関連性が考えられます。

Q.福島県では、まだあと154895人の子供たちの甲状腺検査をする事になっています。

そんなに多くの子供たちが、年間被曝量が1 mSv以上の所に住み続けているとは、驚くばかりです。1 mSvでも、自然放射線量に加算されたら危険です。

Q.唾液検査で放射性物質の負荷量と言うのは分かるのですか?

いえ、すみません、これは理論上の事です。現実的には、チェルノブイリによってロシアで一番汚染がひどかったBryanskで行われている、頬粘膜上皮細胞の変化の検査があります。

Q.歯のエナメル質の電子スピン共鳴線量測定法と言うのは良く知りませんが、抜けた乳歯などを使うのですか?

私の知る限り、数十ミリグラムのエナメル質しか必要とせず、これは後で修復されます。これは、米国で行われた乳歯の研究とは違うものです。

Q.水晶体混濁については、眼科医が行う白内障の検査と言うことですか?

いえ、水晶体に白内障ができる前に、多量の小さな混濁点ができます。この混濁点の数は被曝量と相関性があり、被曝量の指標として使うことができます。
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  小児甲状腺がん発症の想定は論理的に思考すべきだ  8/26 「エビデンスに基づく考察」から

チェルノブイリでは甲状腺がんは2-3年後から徐々に増え、5年からは激増した。一方、福島の子供の甲状腺異常率はチェルノブイリより早いペースで進行している。
1 このことはチェルノブイリより被ばく量が多い可能性を示唆する。
また、観察された結節と濾胞を比較すると濾胞の比率が高い。
2 このことは放射性物質の核種の違いを示唆する。

1 の福島の放射性ヨウ素被ばく量に関する証拠はない。その理由を以下に述べる。
昨年原子力災害現地対策本部はSPEEDI を用いた試算(3月23日公表分)で甲状腺の等価線量が高いと評価された地域として、いわき市、川俣町、飯舘村を選び、1080人の小児甲状腺の被ばく量をNaIシンチレーション式サーベイメータで測定した。その結果小児甲状腺被ばく(一歳児の甲状腺等価線量として100mSvに相当)を超えるものはなかったと報告(参考資料1)した。
このことが多くのヒトを安心させたようであるが,実際は極めて信頼性の低いデータであった。何故なら、ヨウ素131の出すβ線を検出するのに何とγ線を計測するNaIシンチレーション式サーベイメータを用いたことであった。

一方、ヨウ素131のβ線を正確に測定できるγ線スペクトロサーべイメータという計測器を用いて、弘前大学の床次教授らの医療チームが福島県の浪江町に入ってその頃(ほんの少し遅れたが)計測していた。
その結果、大人の被ばく量から逆算すると、1歳児では800mSvほどまで被ばくしていることが推定された(参考資料2)。この量に実際に被ばくしていたら大変な事態だった。
ところが同教授らが65人まで測定したところで、中止せよとの電話連絡を福島県庁から受け、その人数で打ち切ったのでデータ不足となった。もし、同教授らによる測定が継続されていたならば信頼すべきデータが得られたので最も重要なデータが得られないことになり、最悪の事態にいたった。
結局、国際的には公表できないような、恥ずかしい信頼性の低い測定結果だけがわが国で一人歩きすることになった。

以上は個人々の被ばく量のことであるが、もうひとつのとらえ方は地域への緻密な分布状況を元に、そこに過ごした時間から被ばく量を推定する方法がある。ところがヨウ素131の半減期は8日なので、すぐ計測しない限り不可能だ。
今年4月1日のNHKのETV特集放送では、自動計測装置の電池の切れるまで記録されたデータが見つかり、原子力村以外の専門家が解析した結果、放射性セシウムと異なり、同心円上に分布したのではないかということであった(参考資料2)。
福島原発は何回も爆発を繰り返し、またベントによる飛散もあり、今となっては分布状況を再現するなど不可能であろう。従って、福島の子供達の住む地域からどれくらい被ばくしたかの推定も不可能なことがわかった。

以上から、放射性ヨウ素被ばくに関する測定された個人のデータも、環境中への分布濃度に関するもデータもないことから小児甲状腺被ばくの予測は不可能の事態に至った。

2 核種の違いについて、今回の福島原発とチェルノブイリ原発事故を較べると原子炉の数やタイプの違い、爆発の仕方も違ったが、決定的な違いは3号炉がプルサーマル型であったために、アルファ粒子(キュリウム、プルトニウムなど)の放出が強かったことが原因であろうと海外の専門家はみなしている。

以上から、最後に残された手段は、甲状腺検査の初期データの解析がもっとも重視されることになった。
ところが血液検査などは一切なく、甲状腺エコー検査されただけである。
しかも比較対照群(例えば被ばくの少ない秋田県の日本海岸地域)もおかれなかった。

今年3月末時点で福島の子供3万8千人余り(全体の1割)のエコー検査結果が発表された。それによって36%もの子供に甲状腺異常が見つかった。
このことは福島の子供の甲状腺異常出現スピードが早いことで海外の医師は初期被ばく量が想像を絶する大量である可能性を指摘したが、同感である。
何故なら、生物学的変化は初期被ばく量に比例して起こると考えるのが論理的思考である。

今回実施したのは、エコー検査だけであり、本来なら引き続き様々な検討を小規模で良いから実施すべきだった。
しかし、たったたひとつのデータであっても解析に最大限の努力をすべきだった。

海外の医師は細胞診を早急にして癌の有無を病理学的に判断すべきと主張している。
癌の診断を確定するには病理学的診断が必要で、逆にいえば癌であってもそれがなければ良性であろうと思われるともいえる。
今回エコー検査で5.1mm以上の結節が認められた例が184人もいたの早急な細胞診検査が必要である。

また現在の速度で検査していたら最後の子供は10年後になり、甲状腺の検査を一度もしないうちに生涯を終える子供も出るかもしれない。前にも書いたが年内に全員検査完了するようにしなければ、全体計画もたてられないであろう。

それから異常のあったヒトの再検査は2年間隔でなく半年間隔に狭めるべきだ。固形がんの倍加時間(癌が倍になるのに要する日数)は75日くらいだからその倍くらいの期間で検査するのは合理的と思う。

今回の犠牲者は子供であるので世代間の責任論で考えれば、我々大人の連帯責任だと思う。しかし、過ぎ去った過去は変えられないので、今我々ができることは福島の子供の甲状腺異常の観察から次の展開を考えるべきだ。
分からないところは予防の原則に照らし、安全サイドの立場で被害を最小にするべく最善の努力をすることこそ、原発事故を犯した世代の子供に対する償いだ。

子供を被ばく地域に帰すなど論外である。
というのはカルディコット医師によれば放射能に対する感受性は、子供達は大人の20倍であり、女の子は男の子の2倍胎児の感受性は子供達より更にもっ と高いということです。ところが、日本では子供の感受性が高いことも具体的数値では報道されてない。

なお、被ばく予測が万一外れても無駄になったらそれはありがたいことであり喜ぶべきことである。何十万の子供の命とは代えられないで自明であろう。
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