もうすぐ北風が強くなる

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ユーロ、イタリアは財政緊縮要求に対抗するか

 イタリア

 ユーロ圏のソブリン危機。
 国債金利が上昇し、失業が増大しているギリシャ、ポルトガル、スペインに続くのがイタリアか、と言う市場の思惑だが、すこし色合いが変わりそうな気配がある。
 イタリアは生産力もブランド力も強いヨーロッパの大国だからである。
 国民はスペインなどを巻き込んで、ドイツ主導の財政緊縮策要求に対抗する力があるので、そうなる可能性もある。
 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
   イタリアを「周辺国」と呼ばないで   8/23 ロイター
アナトール・カレツキー

昨今のユーロ圏ソブリン債務危機においては、勝ち組を指す「中核国」、負け組を指す「周辺国」という言葉が一般にすっかり浸透した感がある。
しかし、歴史や芸術、文化に関する知識が少しでもあるならば、イタリアやスペインを欧州の「周辺国」、フィンランドやスロバキア、ドイツ、オランダを「中核国」とどうして呼ぶことができようか。

不定期とはいえイタリアに住み、欧州2000年の文化の中心地であるローマから100キロ離れたところに住宅を構える私としては、ありきたりの答えでは満足できない。
私はこの夏、イタリアの友人や隣人と語り合い、欧州指導者の行動をつぶさに観察した末に、「中核国・周辺国」という分裂について、興味深くかつ気がかりな結論に達した。その結論とは、「中核国」「周辺国」という言葉は過去や現在ではなく、未来を暗示する言葉ということだ
この言葉に地理的・歴史的な意味はなく、欧州諸国の恒久的な経済的、政治的不平等を正当化する表現だ
危機の解決に一歩近づくたび、「周辺国」は政治的自主性や経済的な機会、国家としての尊厳を失っていく。
反対に、ドイツを代表とする「中核国」は一段と富み、さらに強力になる。
イタリアやスペインなど地中海諸国の金利が、ドイツなど北部諸国より大幅に高いという状況を作り出すことにより、欧州は、南欧の政府だけでなく、その民間企業や個人に対して、強力かつ恒久的な経済上の足かせをはめたことになる。

イタリアでは収益性に優れた企業や支払い能力の高い個人ですら、ドイツやオランダの2倍、3倍の金利を支払わねばならない。
イタリアがドイツとは異なる通貨を使っていた時代は、金利差はあまり問題ではなかった。リラが周期的に切り下げられ、債務の実質的なコストも下がったからだ。
ところがユーロを導入した結果、資金調達コストの格差が広がり、ドイツ企業には一種の補助金となる半面、イタリアやスペインの企業は競争力を失い、雇用や経済成長に大きな影響が及ぶようになった。

いわゆる「周辺国」では、ごく最近まで、この明らかに不当な処遇に対する抗議の声は驚くほど小さかった。地中海諸国は立地条件や国民性が原因で、経済的に劣り政治的にも問題があるという、ドイツなど欧州の北側諸国が展開する主張を「周辺国」の人々もうのみにしていたようだ。
しかしイタリアでは、モンティ首相が6月29日の欧州連合(EU)首脳会議で、ドイツの改革要求に抵抗したことをきっかけに、ムードに変化が起きている。特にここ数週間、抵抗ムードが強まっているようだ。

イタリアの政治家は最近、イタリアの産業に打撃を与えている金利スプレッドの縮小に向けて思い切った措置をとるよう、欧州中央銀行(ECB)に要求し始めている。
注目すべきことは、ECBに行動を求めるイタリアの要求は、ドラギECB総裁の方針を大幅に上回る内容になっていることだ。ドラギ総裁は、ECBが対策をとる場合の条件として、ドイツが主張する財政緊縮の強化を主張している。
一方、モンティ首相らイタリアの閣僚は、ECBがクレジットスプレッド縮小に向け、緊縮や改革実施を条件とすることなく無条件で行動するよう要求している。

数カ月前には、政治家がドイツに反抗したりECBを批判したりしても、一般の国民は単なるジェスチャーとして相手にしていなかった。
しかしここ数週間の間に、考え方が変わり始めている。3年に及ぶ深刻なリセッション、大幅な増税、大規模な歳出削減、大胆な構造改革の結果、イタリアはもう十分にやった、というムードが広がっているのだ。

イタリアは財政運営に失敗し、産業の競争力もないため、経済や政治がドイツその他の欧州諸国と比べて劣っているのは必然、との見方がドイツなどを中心としてある。
しかしここにきて、イタリア国民はこうした指摘が正しいのか疑問を持つようになっている。例えば、イタリアの税収は健全で、過去15年間の大半の間、基礎的財政収支の黒字はドイツを上回っている。
健康保険基金や年金の債務も欧州で最低水準にあり、雇用コストはフランスやドイツよりずっと低い。貿易赤字はごく小さく、国民1人あたりの預金についても、ドイツや日米よりも多い。

要するに、イタリアは「周辺」の問題児ではないのだ。むしろ、人口や富、経済の点でドイツやフランスと同等の国だということを、イタリア国民も認識し始めている。
イタリアは実際、1950年代初頭から、イタリアがユーロ参加を決断した1999年までの間は、成長や国民1人あたりの富や産業においてドイツと同等、いや、ドイツを上回ってすらいた
世論調査によると、イタリアでは44%がユーロ参加は間違いだったと考えている。
イタリア国民は、改革実施の要求はイタリアの競争力を向上させるどころか、逆に、イタリアを恒久的にドイツに隷属させることを意図しているのではないかと、考えるようになっている

今後は、劇的な展開も予想される。例えば、イタリアはドイツに対して、財政緊縮や改革実施をこれ以上要求するのであればユーロ圏から出ていけ、と迫るかもしれない。
そうなれば、欧州諸国は選択を迫られる。イタリアを支持して、ドイツをユーロ圏から追い出すのか。それともその逆か。
そうなれば、どの国が本当の意味で欧州の「中核国」で、どの国が「周辺国」なのか、白日の下にさらされることになるだろう。
 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 このブログ内での、ユーロの基本的で致命的な欠陥とリーマンショック以来の二極化と財政緊縮政策の危機についての、関連記事リンクです。

・ 通貨、金利と信用創造の特殊な性質
・ 欧州の財政危機
・ ユーロは夢の終わりか
・ ヨーロッパの危機
・ 動けなくなってきたユーロ
・ ギリシャを解体、山分けする国際金融資本
・ 過剰信用と恐慌、焼け太る国際金融資本「家」
・ ユーロは凋落、デフレと円高は悪化へ
・ ユーロの危機は労働階級を試練にさらす
・ ギリシャの危機拡大はEUの危機!
・ 公平な分配で経済成長を続けるアルゼンチン
・ アイスランドの教訓:銀行は破綻させよ
・ ギリシャ、イタリアでIMF、EU抗議の大デモ
・ 破滅するユーロか、破滅する国家か
・ 欧州直接統治へ進む国際金融資本
・ ユーロは国民国家を解体するか
・ アイスランドの教訓、ギリシャはドラクマに戻せ
・ ユーロは崩壊か分裂か
・ 動乱の2012年
・ 通貨戦争(46)ドル、ユーロ、円
・ ヨーロッパは恐慌に向かっている
・ ユーロ危機で延命するドル・ 通貨戦争(48)分裂に向かうユーロ
・ 緊迫するユーロ、ギリシャは何処へ向かうか
・ IMF、EU、メルケルと闘うギリシャ
・ ギリシャ、抗議の暴動
・ 資産も主権も国際資本に奪われるギリシャ
・ ギリシャは民主主義を守るためにデフォルトを!
・ ユーロが襲うギリシャの社会危機、政治危機
・ 毒饅頭を食わされたギリシャ
・ 何も改善しないEU新財政協定
・ ユーロの悲劇:三橋
・ 通貨戦争(51)ユーロ分裂に備え始めた欧州
・ 通貨戦争(54)債務国から巨額の資金流出
・ ギリシャ、経済の崩壊と政治の腐敗
・ ヨーロッパは変われるのか?
・ 緊縮財政を否定する各国国民
・ 通貨戦争(55)ユーロの罠
・ ドイツのユーロと加盟国の国民経済
・ 嵐のスペイン
・ ギリシャ反・緊縮財政の渦
・ 国際金融資本が仕掛けたヨーロッパの危機
・ ギリシャと交渉するか離脱させるか
・ ユーロ、誰も引けないギリシャ離脱カード
・ ユーロのボールはドイツに渡った
・ 通貨戦争(58)ヨーロッパの「新たな火種」
・ 資本は移動できず金利は収斂しない、ユーロの実体経済危機
・ ドイツのためのユーロ
関連記事

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://bator.blog14.fc2.com/tb.php/1270-ae016c2d

 | HOME | 

 

プロフィール

もうすぐ北風

Author:もうすぐ北風
こんにちは。
いろんな旅を続けています。
ゆきさきを決めてないなら、しばらく一緒に歩きましょうか。

最新記事(引用転載フリー)

カテゴリ

経済一般 (118)
経済一般~2012冬まで (161)
日本の経済 (224)
通貨戦争 (70)
ショック・ドクトリン (12)
震災関係 (23)
原発事故発生 (112)
事故と放射能2011 (165)
放射能汚染2012 (192)
汚染列島2013-14 (146)
汚染列島2015-16 (13)
福島の声 (127)
チェリノブイリからの声 (27)
政治 (413)
沖縄 (93)
社会 (316)
小沢一郎と「生活の党」 (232)
健康と食 (88)
環境と地球の歴史 (28)
未分類 (174)
脳卒中と入院 (7)

カウンター

最新コメント

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

リンク

このブログをリンクに追加する

カレンダー

09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

最新トラックバック

月別アーカイブ

RSSリンクの表示

FC2Ad

Template by たけやん

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。