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もうすぐ北風が強くなる

蝶、奇形の発生率は代を重ねる程に高くなる

 福島・関東の蝶の調査。
 奇形の発生率は代を重ねるほどに高くなる。
 26年経過したチェリノブイリでは昆虫、鳥などはひどく減少した。
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福島の蝶:後の世代ほど高い奇形率/ルモンド紙(8月16日) 8/18  「フランスねこのNews Watching」から

2011年3月の福島原発事故以来、福島周辺の蝶に様々な奇形が観察されている。そしてこれらの奇形が発生する率は、世代を追うごとに増加している。
原発事故が原因と見られるこの現象は、1986年に起きたチェルノブイリ原発事故の後で見られた昆虫や鳥の生態の異変および人体への影響にも重なっている。
……………………………………...
縮んだ羽、曲がった羽、もしくは異常に多い羽をもった蝶たち。変形した触覚、でこぼこの目。変色した体。孵化できなかったサナギたち。不妊になり子どもを産めなくなった蝶。

沖縄県琉球大学の大瀧丈二(おおたき じょうじ)准教授が率いる研究者チームが学術誌「科学報告書」(Scientific Reports)に発表し、ネイチャー誌を通じて公開された調査結果は、福島県の周辺で蝶の生態に非常に深刻な異変が起きていることを伝えている。

●蝶の写真はこちら(ルモンド紙の記事より)
http://www.lemonde.fr/planete/article/2012/08/15/des-papillons-mutants-autour-de-fukushima_1746252_3244.html 

蝶の羽の色は、気候変動の影響を反映するなど周囲の自然環境の変化に鋭敏に反応することで知られている。
今回の調査ではまず福島原発事故が発生した2か月後の2011年5月に、福島原発から200キロ以上離れた東京など10ヶ所を含む地点で144匹のヤマトシジミ蝶が収集された。
12%の蝶に羽、目、触覚を中心とした奇形が見られ、実験室での培養では第二世代で18%の蝶に奇形が発生、第三世代では33.5%にのぼった。

事故から6ヶ月後の2011年9月に行なわれた第二回目の調査では、238匹の蝶が採集された。
これらの蝶のうち奇形が生じていたのは全体の28%、その後第二世代では52%に同様の奇形が見られた。
比較のために実施した実験室内での実験では、健康な蝶に放射線(注)を照射したところ、同様の奇形が生じることが分かっている。

大瀧教授は福島原発事故により大量に放出された放射能の影響により奇形が発するという因果関係について「科学に100%確実ということは無い」として断定を留保しつつ、「今回のような奇形はかつて見たことがない」として、原発事故が蝶の生態に大きな影響を与えたことを否定しない。
研究者チームは福島原発から放出された放射性物質による外部被曝だけでなく、蝶が汚染された木の葉を食べたことによる内部被曝も影響を与えたと見ており、現在より確度の高い検証を行うため、福島県で他の昆虫や小動物について同様の調査を予定している。

「今回の調査は(原発事故が与えた)福島周辺地域の生態系と人間への影響を考える上で貴重な成果です。」

チェルノブイリと福島で原発事故による動植物への放射線被曝の影響を調査しているサウス・キャロライナ大学のティム・ムッソ教授(生物学)は述べる。

これらの奇形の原因は、被曝の影響以外には説明のしようがありません。

現在のところ、公式には福島原発事故を原因とする被曝で亡くなった人はいないとされている。
しかし医学や生物学の専門家たちは被曝の影響がただちに現れるものでは無いことを指摘しており、こうした(晩発性の)被曝の影響こそが、福島県から避難した8万人の人びとや事故処理にあたる原発作業員たちが危惧する問題となっている。

(抜粋、一部編集)

(注)蝶の1ヶ月の生涯を通じ55ミリシーベルトという比較的高い量の放射線を照射し、実験を行った。

●参考: 「フクシマウォッチ:原発事故後にチョウの奇形が増加」/ウォールストリートジャーナル(8月15日) http://jp.wsj.com/japanrealtime/blog/archives/13332/ 

●元の記事:フィリップ・ポンス特派員(東京)「福島の周辺で奇形化する蝶」/ルモンド紙(8月16日)
(Philippe Pons, « Des papillons mutants autour de Fukushima », Le Monde, 2012.08.16)
http://www.lemonde.fr/planete/article/2012/08/15/des-papillons-mutants-autour-de-fukushima_1746252_3244.html
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チェルノブイリの放射能汚染:若い世代ほど遺伝子変異が蓄積/ルモンド紙(8月16日)

サウス・キャロライナ大学のティモシー・ムッソ教授(生物科学)は、南部パリ大学のアンダース・パップ・モレー教授(動物学)と共に、チェルノブイリ周辺の立ち入り禁止区域における放射能汚染と生態系への影響について研究を行ってきた。
福島周辺で蝶の奇形が増加している可能性があるとの研究結果が発表されたのを機に、ルモンド紙はムッソ教授にインタビューを行った。

●ルモンド紙: 1986年に事故を起こしたチェルノブイリ原発周辺の汚染地域(現在のウクライナ共和国)に生息する動物の生態について、何がわかっていますか?

ムッソ教授: 曖昧な点は全くありません。放射線の強度と私たちが調べた生物―複数種の鳥、昆虫、蜘蛛―の状態には非常に強いマイナスの関係があります。
汚染地域に住む動物たちは、繁殖数でも健康面でも、汚染されていない地域の動物に比べより劣悪な状態にあります。
原因は(各個体における)遺伝子の変異にあります。そしてこの変異は個々の生物にとどまらず、生態系内の動植物同士の関係にも影響を与えています。
たとえばチェルノブイリの果樹は、受粉を媒介する昆虫の減少によりひどく衰退しました。

●チェルノブイリ原発事故から26年が経った今、周辺地域での放射線量は低下しています。

その通りです。しかし放射能被ばくによって引き起こされた突然変異は蓄積され、新しい世代ほどより深刻な遺伝上の影響を被っています。
それがまさに、私たちの日本の同僚(注:福島周辺での蝶の奇形を報告した大瀧丈二准教授ら研究者)が蝶について見つけたことなのです。
第二世代や第三世代は第一世代より更に深刻な(放射能被ばくの)影響を被るのです。

●チェルノブイリでは鳥の数が減少しています。これは放射能による遺伝上の影響に関係するのでしょうか。それとも鳥が食べるものに関係があるのでしょうか。

鳥の数が減少した背景として、複数の要因が組み合わさっていると思われます。
放射線量が最も高い地面の上に生息する昆虫を食べる鳥は、他の鳥に比べて最も深刻な影響を受けています。
鳥たちに見られる突然変異の原因が何であれ、変異率が最も高い鳥たちは汚染に最も弱い種類の鳥たちです。
他の動物に比べて長距離を移動し春に繁殖期を迎える種についても、一つの場所に住み続ける動物に比べより強い負の影響が見られます。

●全ての種が同じように影響を受けますか?

全ての種が(放射能汚染の)影響を受ける訳ではありませんが、大多数が影響を受けています。
個体数が増えた動植物もあります。たとえば昨年私たちが福島で調査を行っていた時期、福島の最も放射能に汚染された地域で蜘蛛の数が爆発的に増加したことを確認し、私たち研究者は大変驚かされました。

●チェルノブイリ周辺の植物についてはどうですか?

ほとんど研究がなされていないのですが、既存の研究によれば遺伝性の突然変異が起きる率が上昇しています。
そして汚染地域では他の地域に比べ生物の種類がずっと少なくなっています。

●福島とチェルノブイリで異なる点は何ですか?

チェルノブイリでは、原発事故が起きた直後の最初の数か月については動物の生態の変化についての研究がほとんど全くなされませんでした。日本では反対に、研究者たちがずっと早くに調査を開始しています。
又、チェルノブイリでは大多数の生物について大きな減少が見られましたが、福島では鳥や蝶の減少がちょうど観察され始めたところです。

(抜粋、一部編集)

●元の記事:エルベ・ケムプ「チェルノブイリでは最近の世代ほど遺伝上の影響」/ルモンド紙(8月16日)
(Hervé Kempf, « A Tchernobyl, « les effets génétiques sont plus grands sur les générations récentes ». Questions à Timothy Mousseau, biologiste à l’université de Caroline du Sud», Le Monde, 2012.08.16)
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